2010年02月02日

『日本でいちばん大切にしたい会社2』(坂本光司著、あさ出版)

本 ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』の続編がでました。
 今回は、ブロローグから以下を紹介します。


 社員と社員の家族からの千羽鶴

 私は、前著を読んでくださった方々からのメールや手紙で、とりわけ心を揺さぶられたものをくださった読者のもとには、実際に訪ねていきました。そうすることが、その経営者を勇気づける最大の方法、最善のお礼と考えたからです。
 そうして訪れた中小企業は、北海道から沖縄まで五〇社以上になると思います。

 訪問したなかでとりわけ思い出深いのは、大阪市のS社でした。
 S社のS社長は、元大手企業の資材部長さんで、早期退職の折には、勤めていた大手企業から数十社の関連会社の重役職を斡旋されたそうです。しかしS社長はそのすべてを断り、まったく関係のない倒産寸前の中小企業の社長を引き受けたのでした。

 きっかけは、友人から「倒産寸前の中小企業があるが、きみならきっと再建できる」と嘆願されたからだといいます。
 S社長がその中小企業を見に行くと、パート職や高年齢者が現場で油だらけになって懸命に働いており、その姿を見て、「この人たちを路頭に迷わせることはできない」と、あえて再建社長を引き受けたのです。
 しかし会社の業績悪化は想像以上で、収支は火の車、社長となった最初の仕事は、自宅を担保にした銀行からの借り入れだったそうです。
 そんな状態のなかでS社長は、もともと少ない自分の給料をさらに下げて社員に分配したり、自身の預貯金を引き出して、社員やその家族の誕生日にはバースデーケーキをプレゼントするなどしてあげたのです。

 社長を引き受けた最初の年の夏は、自分の虎の子の預貯金も解約し、これだけでは申し訳ないと思いつつ、夏のボーナスを支払ったといいます。
 経理を担当していた女性は、そのお金が会社ではなく、もともとは縁もゆかりもなかったS社長の個人の家計から出されていることを知っているので、涙を流しながらその事実を全社員に伝えたそうです。

 S社長の行動を知った社員は、最初の頃こそ疑心暗鬼でしたが、自分たちのためにがんばる背中と、自分たちの幸せのための愛情ある経営に、次第に心を揺さぶられていったのです。そして、長いこと暗く淀んだ空気が蔓延していた職場に、再び活気が満ちあふれていきました。万年赤字で倒産寸前の会社が黒字化したのは、その一年後のことでした。

 余談ですが、その後、S社長は、過労が原因と思われますが、ガンを患い、胃の全部と、ほかの大半の臓器を摘出する手術を受けたといいます。

 その際の、感動のエピソードがあります。
 手術を前にして、全社員はもとより社員の家族までもが、手術の成功と一日も早い回復を願い、一枚一枚に祈りの言葉を書いた千羽鶴を折り、S社長の横たわるベッドに届けたというのです。

 この話を聞き、私は涙を抑えることができませんでした。S社長に会いに行ってお礼が言えてよかったと、つくづく思いました。

shige_tamura at 10:04│Comments(3)TrackBack(0)clip!本の紹介 

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この記事へのコメント

1. Posted by ゆうこ   2010年02月02日 15:27
5 2冊とも感動して、涙がでました。

私の会社で、
「日本でいちばん大切にしたい会社2」で
紹介されている
沖縄教育出版さんの書籍を作ってます。
よかったら読んでみてください♪

http://www.kokorozashi.co.jp/
2. Posted by あさ出版 木内   2010年02月02日 23:29
あさ出版の木内と申します。
前回に続き、「日本でいちばん大切にしたい会社2」も
紹介していただき、ありがとうございました。

今回も公式ブログにてお礼の記事を書きました。
動画もご用意していますので、
どうぞご覧くださいませ。
3. Posted by 小林秀司   2010年02月25日 12:38
法政大学院坂本研究室に所属しています。
教授の著書をご紹介くださりありがとうございます。

坂本研究室のブログです。
http://yaplog.jp/sakamoto/

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