2010年02月01日

谷垣禎一総裁代表質問(その2)

二、内政(経済・財政)
 
 他方で、われわれ自民党は、党利党略に基づいた不毛な政争をやるつもりはないと常々申し上げてきました。「政治とカネ」を巡る真相究明とあわせて、国民が求める政策論議をしっかりと行ってまいる所存です。

 わが党の考え方は、「自分だけよければよい」というものではありません。「今だけよければよい」というものでもありません。次の世代の負担に頼らない、自制心のある財政を目指さなければなりません。少子高齢化社会に向かって、社会保障の給付を十分に実現していくには、国民にきちんと負担をお願いする覚悟が必要です。給付は負担なくしてありえません。税制への長期展望のない政治は、未来の国民に無責任な政治です。

 これを前提としてまずは、平成22年度予算案に関わる質問に移らせていただきます。
 自民党は、対案を作成しています。財政規律を守るとともに、景気にも配慮し、公務員人件費の10%カットや理念なきバラマキを排することで財源を捻出することによって、真に必要な分野に資源を集中的に投ずることを可能としたものとなっております。

 一方、政府案は、明らかな「マニフェスト違反予算」です。民主党は、マニフェストで「国の総予算207兆円を全面組み替え」と明記し、無駄づかい、不要不急な事業を根絶することで9.1兆円の財源を生み出し、やがては16.8兆円の恒久財源を生み出す、としてきました。そして、207兆円の予算から1割程度を捻出することはたやすいことだと嘯いておられましたが、これを自らの手で215兆円にまで膨らませているではありませんか。207兆円は、一般会計と特別会計を合わせた純計ベースの計数ですが、一般会計が3.8兆円増加したばかりでなく、更に大きく膨張している訳です。

 そもそも207兆円の中には税金とは関係ない保険料などを原資とするものが含まれており、結局、いわゆる207兆円予算なるものは、いかにも財源の捻出が可能であるかのように見せかけるための目くらましの大風呂敷だったということではないのでしょうか。「207兆円予算の全面的組み替え」というのは一体何だったのでしょうか。
 また、後ほど述べますが、消費税の議論の必要性が閣内にあるようです。このことも、無駄排除による財源の捻出というマニフェストの基本構造が破綻を来したことから生じているのではないでしょうか。総理の見解を伺います。

 次に公債発行額ですが、鳩山総理は昨年の自公政権が提出した補正予算案に対する質問において、「ばらまきは行う」「借金は増やす」「めちゃくちゃ」と当時の補正予算案を批判されました。にもかかわらず、今般の政府予算案の公債発行額は、当初予算のみで、昨年の当初予算と一次補正予算を足したものと同額の44兆円に膨らみました。幾らなんでもこれは無節操なのではないでしょうか。

 公債発行額が膨らんだ要因が無茶なマニフェストにあったことは明らかです。今回の予算案は、子ども手当や高速道路無料化、農業の戸別所得補償など、理念なきバラマキの辻褄合わせに苦心惨憺した結果、マニフェストどおりのバラマキとマニフェスト違反が混在し、一貫性がなく政策体系の体をなしていない予算になってしまった感が否めません。
 
 代表例として、子ども手当についてお尋ねします。
 われわれ自民党は、あくまでもまず「自助」すなわち個人の自由と努力が基本として尊重されるべきであると考えています。それを「共助」という形で家族や地域社会など顔の見える間柄同士が共に支え合い、それだけでは立ち行かないところには、国民全体で相互に助け合う「公助」が必要と考えてきました。
 例えば、子どもを育てるに当たっては、一義的にはまず親、家庭が責任を持ち、足らざるところを社会が補うべきでありませんか。子ども手当は、このような根本的な議論が無いままに、子育て世帯にいきなり「公助」ありきで現金をばら撒くという施策に他なりません。家庭の所得や子どもの属性による区別もなく、子ども一人当たり一律月1万3千円を支給するという政策は、個々人の努力や創意工夫を大切にする姿勢とは縁遠いものであり、きめ細やかなニーズに応えるものでもありません。
 しかも、現行の児童手当の仕組みも残したまま導入されますが、衣替えで財政負担が増大する一方で、国民にとって何がよくなるのかさっぱり分かりません。子ども手当と児童手当とで制度設計がどのように異なり、それによっていかなる政策効果の差異が生じるのか、総理に改めてお伺いします。
 むしろ、子ども手当の導入による混乱すら考えられます。すなわち、導入に当たり、マニフェストにも載せておらず「やらない」と公言しておられた住民税の年少扶養控除の廃止を行った結果、負担の方が上回ってしまう世帯も相当数出てくることが想定されます。そういうご家庭にとっては、子ども手当のどこが子育てに優しい施策であり、何が「控除から手当へ」だったのか、ということになります。
 それとも、とりあえずは参院選前にはそうしたご家庭にも子ども手当の給付を行い、控除廃止による増税の影響は選挙後になるほうが望ましいとでもお考えなのでしょうか。鳩山総理は、このようなチグハグな顛末についてどのような認識をお持ちなのでしょうか、お教え下さい。

 予算を決定するプロセスにも問題が大きかったと思います。事業仕分けは鳴り物入りでスタートしたものの、期待された削減額も出せず、わが国の成長に不可欠な科学技術予算の削減を図る等、内容についても疑問符の付くものでした。行政刷新会議資料において概算要求からの削減額は約1兆円とされていますが、このうち、当初、事業仕分けの成果として説明されていたのは7,000億円程度だったはずです。
 最終段階で歳出削減額が積み上がったのは、小沢幹事長が民主党としての重点要望として申し入れた土地改良予算の半減などが影響しているとされていますが、これが事実であるとすれば、数千億円もの事業仕分けを一挙に成し遂げた最大の事業仕分け人は小沢幹事長であり、不透明な「密室」の中で事業仕分けが行われたということになります。
 税制においても同様です。鳩山総理は、政府税制調査会の開催により税制改正のプロセスが透明になったと胸を張っていますが、暫定税率を維持するとか、価格高騰時の暫定上乗せ分の停止措置を設けるといった措置や、自動車重量税の国分の暫定上乗せ分を半減する、タバコ税を1本3.5円引き上げるといった内容は、小沢幹事長が予算重点要望をまとめる前の政府税調の議論からは一切窺い知ることができません。
 鳩山総理はこの過程で、「暫定税率廃止は国民への誓い」などと抵抗を試みられたようですが、小沢幹事長の提案の前でははかないものでした。政府は「公平・透明・納得」の税制と喧伝していますが、その実態は、「不公平・不透明・不可解」な税制改正であったと言わざるを得ません。

 結局、鳩山内閣の予算・税制の意思決定は、どの団体にアメを与え、どの団体にムチを与えるかという、選挙至上主義に偏った小沢幹事長のさじ加減一つによって決められたことになります。鳩山総理は、このように「密室」で決断した「天の声」なり「鶴の一声」によって予算・税制が決定されているという現状をどのようにお受け止めなのでしょうか。見解を伺います。

「小沢独裁」の下での鳩山政権の経済財政運営における最大の欠陥は、選挙に向けた戦略や謀略はあっても、将来の財政の姿、健全化への道筋が何ら示されていないことです。本来、予算は将来の財政のあるべき姿を見据えながら編成されるべきものです。
 ところが鳩山政権においては、中期財政フレームの策定は本年前半に先送りされています。中期的な経済財政の運営方針を示さぬまま予算や税法の審議を国会に求めることは、政府・与党の怠慢に他ならないと考えます。
 すでにわれわれ自民党は、先の衆院選の際、々顱γ亙の債務残高対GDP比を2010年代半ばにかけて安定化させ、20年代初めには安定的に引き下げる、△海里燭瓠∈810年以内に国・地方のプライマリー・バランス黒字化の確実な達成を目指す、まずは景気を回復させ、5年を待たずに景気対策によるものを除く国・地方のプライマリー・バランス赤字の対GDP比の半減を目指すとの目標を掲げました。
 政府におかれても、平成22年度政府案の審議の前提として、中期の財政見通しと財政再建目標を早急に提示することを求めたいと考えます。鳩山総理の今後の対応をお聞かせください。

 国民のわが国の社会保障や財政の将来に対する不安は、今や覆い難いものです。政治的意図で「数字の真実」から逃げ続ける時間的余裕はありません。近年の国債発行の要因は、景気対策もさることながら、少子高齢化による社会保障費の増分にともなう赤字国債であります。
 平成10年には建設国債の発行額と赤字国債の発行額が17兆円で拮抗し、その後恒常的に赤字国債の発行額が上回っています。21年度当初予算において大まかに言うと、建設国債は8兆円、赤字国債が26兆円と約1:3の比率です。また、公共事業費は決算ベースで、ピーク時の10年度の約13兆円から20年度では7兆円弱とほぼ半減しております。
 さらには、わが国の社会保障費を除く一般政府総支出の対GDP比は、G7諸国の中で最も低いものであります。すなわち、歳出の構造が変わっており、いわゆる「コンクリートから人へ」の転換は、既にわれわれが政権を担っていた時代になされていたのです。そうであれば今の課題は、「コンクリートから人へ」を呼号することではなく、安定的な財源の裏打ちを得て社会保障の安心を強化し、財政を発散させないための具体的な歳出歳入一体改革のプログラムを早急に固めることにあります。

 最近になって仙谷大臣も消費税増税の検討を急ぐお考えを示され、菅副総理も次期総選挙が想定される平成25年秋までに方向性を示すお考えを示されていますが、3年間もの時間を空費している余裕はありません。ここは、与野党が胸襟を開いて持続的な社会保障制度の構築に取り組むべき時と考えます。
 われわれがかつて呼びかけても応じていただけませんでしたが、与野党の立場が逆転した今、自民党は、与党との協議に応じ、社会保障制度改革の具体的メニューと具体的な安定財源の確保策について合意する用意もあります。そのための超党派の「社会保障円卓会議」を設置し、与野党で検討を深めることを提案しますが、鳩山総理の前向きな答弁を求めます。

shige_tamura at 16:17│Comments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 

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