2009年12月08日

舛添メモ 厚生官僚との闘い752日(舛添要一著、小学館)

舛添 要一 前厚相の舛添要一参議院議員の本が出た。一気に読んだ。非常に読みやすく、勉強になる。
 その中で、何箇所か掲載する。


 委員会や本会議が始まれば、当然、大臣は野党の質問攻めに応じなければならない。
野党の誰が質問に立つかは事前にわかっているので、各省の官僚たちが議員のところへ行って、その内容を聞き出してくる。これは「質問とり」と呼ばれ、国会会期中は官僚たちが議員会館を、あたかも「質問鳥」のように飛び回っている。
 原則では、質問者は委員会の2日前までに担当大臣に質問内容を知らせることになっている。
 だが、民主党の長妻昭衆院議員のように、前日の、しかも夜中12時に、120問などという大量の質問を出してくる議員もいる。ひどい時は、午後1時からの質問を、2日前ではなく、その日の午前11時半に出してくる。いじわるな言い方だが、今や大臣の立場に立たれた長妻氏が、これとまったく同じことをやられたとしたら、どうなるだろうか。
 質問の把握がどんなに遅い時間になったとしても、役人は仕方なく、徹夜でその答弁原稿を書く。そして質問当日の朝までに、その内容を大臣にレクチャーしなければならない。


 もっとも、民主党は野党時代から、何でも大臣に答えさせるのが好きだった。どんなに些細な事柄でも、「大臣、お答えください」と言ってくる。
年金問題や薬害肝炎問題などで勇名を馳せた長妻昭&山井和則両議員のコンビは、
そのあたりが執拗だった。
 例えば、
「子宮頸癌の要因となっているウイルスの名前は何と言うんですか。大臣、お答えください」
 とくる。
 大臣が答えろ、と言うから「ヒトパピローマウイルス」と答弁したけれども、こんなことを大臣がわざわざ答える必要があるのだろうか。質問自体も意味のないものだが、知識を問うだけなら、役人が答えたって何の問題もない。



 厚労大臣になってから半年を経過した頃だろうか。職員たちを前にして、挨拶をする機会があった。その中で、私は西郷隆盛の『遺訓』を引用した。
〈万民の上に位する者、己れを慎み、品行を正しくし、驕奢(きょうしゃ)を戒め、節倹を勉め、職事に勤労して人民の標準となり、下民其の勤労を気の毒に思ふ様ならでは、政令は行はれ難し〉
 さらに、西郷が愛読したという佐藤一斎の『言志録』の言葉を引いた。
〈凡そ事を作(な)すには、須(すべから)く天に事(つか)ふるの心あるを要すべし。人に示すの念あるを要せず)          
 職員へのメッセージではあるが、同時に、自分自身に言い聞かせていたことでもあった。「職員ひとりひとりが、天に恥じない仕事をする時、必ずやわが厚生労働省は力強く生まれ変わるものと確信しております」と挨拶を締めたが、それは自分の信念でもあった。
 国民から気の毒に思われるぐらい頑張り、国民のために日々働けばきっと努力がわかってもらえる。党利党略、私利私欲……西郷隆盛ではないが、そうしたところから無関係でいつづければ、いつか人は評価してくれる。そう信じていればこそ、任期中の大臣支持率の高さや、「次の総理になってほしい政治家」のひとりに選んでいただいたことは、とても励みになった。



「改革を断行して自民党を立て直す」という思いは、今も強い。やらなければならないと思っている。
 ではどうしたらいいか。
 かつての日本人が子弟の教育に使った朱子の『小学』の一節に、こうある。
〈丹書に日く、敬、怠に勝つ者は吉なり。怠、敬に勝つ者は滅ぶ。義、欲に勝つ者は従い、欲、義に勝つ者は凶なり)
 敬、つまり「現実に甘んじず、高邁で高貴なものを追求して努力する心」が怠惰に勝ち、また正義の心が欲望を克服する時は、物事は順調に進むが、逆の時には滅亡の道を歩むというのが、この言葉の意味するところだ。
 これは08年4月、厚労省の新人職員にも贈った言葉なのだが、この気持ちがおそらく、今の自民党には最も必要なのだ。
 「自民党を立て直す」ために、私はどんなポジションで、どう動くべきなのか。それはこれから、じっくり考えていきたい。

shige_tamura at 15:43│Comments(1)TrackBack(0)clip!本の紹介 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by piku   2009年12月08日 20:40
舛添さんは新型インフルエンザの件で毎日毎日どんなに遅い時間でも新しい出来事があったら会見を開いていた。
水際作戦をしていた時もマスコミがどんなに「大袈裟」と囃し立てても国民のためにやってくれた。
今日、世界に比べ日本が新型インフルエンザでの死亡率が低いのは「初期の段階の水際作戦の成果」と言っている番組を見ました。
舛添さん、前政権の功績ですよね・・・

長妻さんが新型インフルエンザの件で会見している姿を私は見たことがありません。
官僚に丸投げしてるんでしょうかね…?

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
ランキング一覧

人気blogランキング

人気blogランキングに参加しました。
応援よろしくお願いします。
月別アーカイブ
最新コメント