2009年09月28日
陸上自衛隊の素顔(監修・小川和久、小学館)


『陸上自衛隊の素顔』(監修・小川和久、小学館)が出版される。間もなく書店に並ぶ。
アマゾンでは予約注文ができる。
陸上自衛隊、国内最大の国家公務員、その実情を国民は知らない。
今こそ、その素顔を知る必要がある。
この本、写真も満載だ。さすが、監修の小川和久氏の本だけあって読みやすい。
今回は、第1章 なぜ、陸上自衛隊か?の冒頭部分を記述した。
陸上自衛隊は今、大きな岐路に立たされている。国際貢献や災害派遣などで任務が拡大する一方、政府は緊縮財政を理由に自衛隊にも大きな“リストラ”を求めようとしているからだ。言うまでもなく、自衛隊は陸上、海上、航空の3自衛隊で編成されている。総兵力は24万人あまりだが、そのうち半数以の14万人あまりが陸上自衛隊に所属している。一方、予算規模で比較した場合、防衛予算約4兆8000億円のうち、陸自に振り分けられるのは3分の1の約1兆7000億円。もちろん装備などの差はあるものの、単純に隊員1人当たりの予算で言えば、陸自はかなり低く抑えられている。
一旦“クリストラ”が計画されれば、最も多くの人員を抱える陸自が真っ先に対象にされるのは明らかだ。民間企業では、未曾有の経済危機でリストラの嵐が吹き荒れ、正社員の雇用を守るために非正規社員が解雇されるという事態が起きているが、自衛隊においては、陸自が“雇用調整弁”の役割を担わされている面は否定できない。
しかし、冒頭で述べたように、陸自の任務は拡大している。そして忘れてはならないのは、海上自衛隊であれ航空自衛隊であれ、その任務を遂行するには港湾や航空基地を守り支える陸自の力が不可欠という点だ。海自、空自に比べて地味なイメージの陸自ということもあり、これまでその役割やあるべき姿が積極的に論じられてきたとは言えない。平成21年末に向けて策定される中期防衛力整備計画(中期防)や自民党内で活発化しつつある敵基地攻撃論でも、話題になるのは最新鋭戦闘機や空中給油機、イージス艦や潜水艦といった海、空の兵器ばかりだが、陸自なくして本土防衛も敵基地攻撃も実現しないことは軍事専門家なら誰もが同意することだろう。
だからこそ、本気で陸上自衛隊の現状と将来像を考えておく必要がある。そして、優秀な陸上自衛官を育てなければならない。本書はそうした視点に立ち、国民が身近に知ることが少なかった陸上自衛隊の素顔を明らかにすることを目的にしている。陸自にとって耳の痛い話も書く。保守とかリベラルといった政治的立場とは関係なく、すべての国民が知っておくべき「祖国を守る人々の真の姿」を明らかにしたい。読者諸賢には、先入観を排して、自衛隊の真実を直視し、あるべき姿をお考えいただければ幸いである。
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この記事へのコメント
2. Posted by 論語研究会事務局 2009年11月09日 09:06
本サイトでも各章タイトルを掲載していますが、他章が「知る」為の材料であるのに対し、第3章は自衛隊のオーナーでもある国民一人ひとりが「考える」材料として出色です。
願わくば、各自治体でも手元に置いて頂けたらと思います。
願わくば、各自治体でも手元に置いて頂けたらと思います。