2009年08月26日

講演録「民主党批判」(田村重信)(その4)

 これは、僕の「民主バラマキ政策を検証する会」(自民党愛知県連主催、8月12日、名古屋ウエスティンナゴヤキャッスルホテル)での講演録です。


 民主、前回マニフストの「年金基礎部分への消費税を全額投入」6兆3000億円が消えた

 それから、次に、「新規政策と財政問題」ということなのですが、今いろいろマスコミの方もおられますが、ぜひお願いしたいのは、2年前のマニフェストというのはいったいどんなことが書いてあったのかなということを見てもらいたいんです。
2007年のはここにありますが、15.3兆円かかると言っているのです。今回は16.8兆円かかるということです。

 2007年の主要政策というのは、いちばん大きいのは例の年金問題。たいへん沸騰しましたね。年金選挙だったですね。だから、2007年の参議院選挙のときは、民主党は年金の基礎部分への消費税を全額投入するから、6兆3000億円かかりますということを言ったのです。そして子ども手当、公立学校への無償化、それから農業の戸別補償、高速道路の無料化、それから最低賃金の引き上げ、中小企業対策。それが15兆3000億かかると言ったのですよ。ここにあります、大ざっぱな部分。15.3兆円かかります。その中でいちばん大きいのは基礎年金部分に6兆円以上かかりますよと言ったのです。

 今回どうですか。
 今回はどうかというと全くないのです、そのことは。なぜないかというと、後期高齢者医療制度は、とんでもない、とんでもないと言ったでしょ。そうると、じゃ、どうするのということになります。それからガソリンがうんと上がりましたよね。そのときにいろいろなところに補填するとか、ガソリン税の暫定税率もなくしちゃうと言っちゃったものだから、それでなんと2兆5000億かかるんです。2007年のマニフェストから新たに。

 さらに、大学の奨学金拡充、最低賃金の引き上げだとかいうようなことで、1.4兆円だったのが今度は3.6兆円かかるとか、医療・介護の再生(医師不足など)に1.6兆円だとかいろんなことをどんどこどんどこ言うものですから、それを合わせると今回が16兆8000億円かかるというのです。

 だから2007年よりも大きな額になる。それにどうですか、皆さん。
6兆3000億円(年金基礎部分への消費税全額投入)乗っけたらどうなります?
今だって財源がデタラメだと言われているのに、6兆3000億円、乗っかったら20兆をはるかに超えるんですよ。だから口をつぐんでいるんです。マスコミの方も全然言わないでしょう。不公平でしょう、これは。それが民主党のいちばんの問題点なんです。


 民主、今回、年金の制度設計問題から逃げる

 だってこの基礎年金の問題。前回どんなこと言ってました? 
年金の基礎部分、いろいろと追及されて、みんな払うとおカネがもたないから、「年収600万からどんどんもらえないようにして、1200万になったら基礎年金はもらえないようにしましょう」なんて言ってましたでしょう。
 今回そういう話あります?
 全然ない。全然ない。
 全然なくて、じゃどうするかと。7万円というだけが明確なんです。2段階にするのは明確なんです。あとは選挙が終わってから考える。これひどいですよ。

 僕が『なぜか誰も書かなかった 民主党研究』(成甲書房)という本を出しました。やはり記録として残しておく必要があると思うんです。というのは、平成15年10月、これ菅(直人)さんのときですよ。このときも、マニフェストに各方面から批判を受けて追加しているんですよ、5項目。一つは、「ひも付き補助金の全廃後5年以内に国から地方へ大幅な税源移譲の明記」。次が「拉致問題をテロと見なし、北朝鮮への送金規制を可能とするための外為法の改正」「食料自給率向上とFTA(自由貿易協定)促進を両立させるための関税措置によらない農家への直接支援の拡充」だとか、それから「高速道路無料化財源の明記」。その次にあるのは、「年金制度改革後の負担と給付水準の数値明記」ということが入っているんですよ。それが入っているんですよ。
 それが入っているんですが、どうなりました?
 年金制度改革っていうのはどういうことかといったら、当時、消費税を充てる基礎年金と所得比例部分からなる二階建て年金制度を4年以内に確立します、と言っているんですよ。平成15年ですよ。4年以内に。それから何年経ってます?
 それが民主党の実態なんです。


 民主は、年金問題で国民に不安をあおっただけ

 それはどういうことかといったら、できないんです。
 今年(2009年)の5月31日、フジテレビの「新報道2001」で、年金の問題が議論になりました。そのときに慶応義塾大学の権丈(善一)先生が言ってました。「いかにマスコミと民主党が年金が今にも崩壊するというデマを流し、国民に不安をあおり、選挙に勝つことしか考えていない無責任政党」ということが浮き彫りになった、というようなことを言っているのです。「民主党の年金戦略が日本政治の諸悪の根源」と。あおりにあおっているのです。そりゃ手続きミスもあります。そらしょうがないですよ、民主党を応援している労働組合の働かない人たちなんだから。そうでしょう。それが問題なんですよ。

 にもかかわらず、民主党は、ちゃんとした年金制度をつくるとあえて言ったのに、出してない。

 次に産経新聞(7月10日)の記事。これは社会保障の財源をどうするということで、これは権丈先生と民主党の峰崎(直樹)さん、かなり常識的な方ですね。それが年金の議論をしているんです。
 権丈先生が、「民主党の年金改革案はスローガン程度で、抜本改革を言いはじめて5年間も細部を明らかにしていない。(だから)うまい政治戦略だと思う」ということなんです。それで、民主党は、国民年金、基礎年金は崩壊すると言ってるけど、それはウソっぱちだっていうことを権丈先生は言った。
 細野(真宏)さんという人の『未納が増えると年金が破綻するって誰が言った〜世界一わかりやすい経済の本〜』っていう本を扶桑社(新書)から出てベストセラーになった本があります。細野さんは、カリスマ教授、先生っていう有名なんですが、この人が何を言ってるかというと、「国民年金は、年金の基礎部分で、サラリーマンは加入していることが忘れられている」と。わかりますか。学生さんと自営業者だけが基礎年金(国民年金部分)を払っているわけじゃなくて、普通のサラリーマンの方もそれを払っているんですよ、ということです。
 だから、国民年金の被保険者約7000万のうちサラリーマンと公務員が4000万人。その専業主婦(約1000万人)ぶんの保険料については給料から天引きされてがっちり入ってるんです。
 自分で保険料を納める「第1号」被保険者・自営業者や学生などは約2000万人で、国民年金の3割程度。そんな中で未納が増えていると言うけれども、10人に2人が確信犯的に未納となっている。これを踏まえて、国民年金全体から見れば、その割合は5%程度なんだと。その程度の数字は全体にほとんど影響がない。

 それを、今にも年金制度が崩壊するというようなことを言うのは「おかしい」というわけです。
 だから、民間に比べて国の年金というのはどうしていいかというと、税金がむちゃくちゃ入っているでしょう。だって今度は1/2税金が入るわけですよ、基礎年金の中に。そんな商品ありますか、金融商品の中で、民間で。ない。
だから年金というのは安定してるんです。
 だから、「年金は将来破綻するから払わない」という若者は、あとで必ず後悔するんですよ。破綻しないんです、絶対に。だって払ってない人は一部なんだ。その一部だって全体から見ればほんのちょっぴり。ところが、学生さんだけにフォーカス(焦点)を当てると、「学生の中で多いね」ということになれば大変ですよ。だから、どこにフォーカスを当てるかの話なんですよ。そこなんです。

 だから、民主党の言うとおりに、学生が払わないでいて、「年を取ったら、おれ年金もらえないんだけど」って言う。「え?もらえないっていったって、君払ってないから」。それで終わりということなんです。「だって、破綻するって言ったから払わなかったけど、破綻してないね」っていう話になるんですよ、必ず。
 だから、民主党は不安をあおりにあおってるんです。
 だからできないんですよ、新しい年金制度の設計が。
 そうでしょう。平成15年に、今、民主党が言っている年金制度をやりますと言って、何年、経ってるんですか。

 2007年のときに6兆3000億かかりますと言っといて、今回なんですか。
 黙っちゃってるんですよ。それは制度ができないからなんです。デタラメだからなんですよ。まやかしだからなんです。
 そこをメディアは追及しないでいる。
 そこをまずわれわれはきちんと言わなきゃいけないんですよ。
 これが正しいことなんですよ、いちばん問題点は。



(参考)民主党の年金改革はスローガン程度

 産経新聞(7月10日)で、「社会保障の財源をどうする?」ということで、慶應大・権丈善一教授と民主党・峰崎直樹氏が発言をしています。その中で年金の部分を掲載します。民主党の年金改革のいい加減さが分かります。

(権丈善一教授)―年金改革については
 「民主党の年金改革案はスローガン程度で、抜本改革を言いはじめて5年間も細部を明らかにしていない。うまい政治戦略だとは思う。
年金に強い不信感を抱く人は、細野真宏さんの『未納が増えると年金が破綻するって誰が言った』(扶桑社)を読んではどうだろう。現行制度を正しく理解すれば、少しは安心できると思う」
「誤解の上に成り立つ世論におもねるだけの政策を採る政党がいれば、僕は批判する。政治は、有権者に正しいことを説いて権力の地位を狙うことであってほしい。
なのに、今の民主党は説得の努力を放棄し、国民の誤解を増幅させて権力の地位を取ろうとしているように見える。
政治家の権力闘争から生活をいかに守るかが、今、国民に問われているんですよ」

(民主党・峰崎直樹氏) 年金改革案見直し必要
―民主党は、基礎年金部分(月額6万6000円)を全額税でまかない、7万円の最低保障年金を出す改革案を出しているが、細部がはっきりしない
「“絵姿”はおそらく、まだ描けない。所得比例年金が多いと、最低保障年金を受け取れない仕組みになっているが、どういう人が最低保障年金を受け取るのかもはっきりしない。受け取る人が多ければ、必要な財源も増える。7−8年前、私もメンバーになって作ったときは、年金制度を一元化して税でまかなえば、未納、未加入の問題は解消すると考えた。 しかし、昨年、社会保障国民会議で、年金財政は未納、未加入の問題では破綻しないと示された。
 民主党案では、年金保険料を納め終わった世代が、さらに年金のための消費税を納める『二重の負担』が生じるし、不安定雇用労働者の年金問題も当面、実現されない。全額税方式にしたら、企業が負担している年金保険料3.7兆円分が、サラリーマン層も含めた国民に転化される。消費税率で1.5%にあたる巨額な企業負担をなくすことは、誠に惜しい。考え直した方がいい」

shige_tamura at 15:39│Comments(1)TrackBack(0)clip!講演録 | 自由民主党

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この記事へのコメント

1. Posted by 葉音   2009年08月27日 10:18
5 こんにちは〜
とても勉強になるブログです。
この様な内容が広く国民に伝わって欲しいものです。

ブログを拝見して小泉さんの演説を聞きたくて、伺いました。
帰りにエレベーターを待つ間のお話ですが、年配の男性が「さすがに小泉さんの話はうまいなあ〜久しぶりにすかッ!としたよ、道路やかんぽ、後期高齢者の事が良く分かったよ」また年配のご婦人たちも「今日はきて良かった!このような説明をもっと早く聞きたかったし小泉さんの話でよく理解できたわよね〜」と仰っていました。その近くにおられた方たちも今日は来て良かったとの声が多くありました。
ネットをやられない方には真実が伝わっていないと言うのを実感させられました、とても残念です。

田村様!どうぞ小泉さんにこの事を伝えて下さい!
そして時間の取れる限り多くの候補者の応援をして下さるようにお願い致します。
田村様の近くにおりましたのでご挨拶しようかなと思いましたが、ちょっと恥かしくて止めました。
ブログの更新を楽しみに待っております。

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