2009年07月31日
自民党 政権公約2009 [要約版]

変えるなら、ちゃんとした方向へ。
今、日本は、そして世界は、めまぐるしい変化の中にいます。
そのスピードに対応できるように、日本も、政治も、変わらなければならない。
しかし、やみくもにすべてを「変える」ことが、よいわけではない。
必要なのは、現実を見据えて時代遅れになったシステムをスピーディに改めながら、
もともとある強みをしっかりと伸ばしていくこと。
改めるべきは改め、伸ばすべきは伸ばす。
私たち自民党は、リアルな政策を実行し、全力で日本を守ります。
[P2]改めます。
日本を、具体策で変える。
戦後の日本を、世界有数の大国に育てた自負があります。
しかし、その手法がこの国の負の現状をつくってしまったことも、
近年の行き過ぎた市場原理主義とは決別すべきことも自覚しています。
これからは、「国をメンテナンスしていく」時代。
現実を正しく変えるのは、現実を直視するリアルな政治。
改める。これが自民党の決意です。
[P3]「国のしくみ」のマイナスを改め、プラスへ。
[P4]地方分権を、前へ。メンバー(地方)全員が元気な、活力あるチーム(日本)を。
国と地方の役割を明確にし、国が地方のやり方を縛っている現状の打破へ。
「地方のチカラ」を強めるため、国の出先機関の廃止、補助金・税配分の見直しなどの「新地方分権一括法案」を成立させます。
同時に、直轄事業負担金制度などの抜本的な見直しや、国と地方の協議機関設置の法制化を進めます。
また、「道州制基本法案」を早期に制定し、2017年までに「道州制」を導入します。
官僚の特権は認めない。行政と公務員のムダを徹底的になくします。
「天下り」や「渡り」は全面的に禁止。65歳以上の天下りの常勤役員を認めません。
信賞必罰の徹底など、評価制度を一新。国家公務員は、2015年までに8万人以上削減。
政策の重複をチェックする「政策の棚卸し」や、公益法人・独立行政法人の徹底したスリム化を進めます。
ムダ撲滅は終わりなき課題。今年度は一般会計で約5500億円、特別会計で3300億円の予算見直しを実現しましたが、
今後も税金のムダ遣いを徹底的に追及します。
国会議員の数が、まだ多い。国のスリム化は、まず国会のスリム化から。
日本より人口の多いアメリカでも、上院議員の定数は100人、下院議員は435人。
議員数を含め、正しい国会のあり方が求められるいま、
次回の総選挙から衆議院議員定数を1割以上削減、10年後には衆参議員定数の3割以上を削減します。
また、企業献金の脱法行為を防ぐ対策なども1年以内に結論を出します。引退する議員の配偶者と3親等内の親族が
同じ選挙区で立候補する場合は、次の総選挙から公認または推薦をせず、「世襲候補」を制限します。
一方で、官邸機能の強化は不可欠。早急に総理を補佐する国家戦略スタッフ等の発足を実現します。
[P5]「生活を支えるしくみ」のマイナスを改め、プラスへ。
[P6]パパ・ママに、もっと笑顔を。不安なく子育てできる環境を、充実させます。
新待機児童ゼロ作戦による保育サービスの充実化。
そしてひとり親への支援拡大、児童手当の給付など、子育てのための支援と経済的支援とをバランスよく進めます。
また、3〜5歳児の教育費用は段階的に軽減し、平成24年度には完全に無償化するなど、
子育てに心強い政策を具体的に実行していきます。
大きくなってしまった中堅世代の負担を、軽減へ。「教育支援」の具体的な仕組みをつくります。
高校生・大学生を抱える中堅世代の教育費の負担が増大している現実。
低所得者の授業料無償化。就学援助制度の創設、新たな給付型奨学金の創設など、
具体的な支援の仕組みで家計を助けます。
不安定な経済状況だからこそ、安定した雇用制度を。
働ける喜びを、誰しもが実感できる社会を取り戻します。
厳しい経済環境でも解雇せず働く場所を守る企業を、サポート。
若者の正規雇用化援助、女性への支援として再就職に積極的な企業に対する新たな制度の創設やマザーズハローワークを拡充します。
特に不安定な雇用環境にある非正社員の方のために、日雇派遣の原則禁止、雇用の常用化促進など、働きやすい環境を作るための「労働派遣法の改正」を行います。
職業訓練や職業紹介など「雇用のセーフティネット」も準備します。
[P7]「70歳現役社会―生涯現役社会」の実現へ。
高齢者の方々が健康でイキイキと活躍できる社会を。
人材バンクや情報提供等の充実を目指す「70歳はつらつ現役プラン」を策定し、
経験・知見を活かした就業・ボランティア活動などへの参加機会を拡大。
元気な「70歳現役社会―生涯現役社会」を実現します。
「老後の安心」を支え続ける年金制度の充実強化へ。
老後の生活を支える柱となるよう、3年以内に無年金・低年金対策のための具体策を提示、
また在職老齢年金の見直しなど、年金制度の安定・充実を図ります。
年金制度の抜本改革については、法律によって超党派の協議機関を早期に立ち上げます。
年金記録問題については、日本年金機構の設立(来年1月)などにより、一日も早い救済を進めます。
医療・介護サービスを、もっと身近に。安心と満足が、全国どこでも受けられる健康長寿社会へ。
安心できる医療のために、診療報酬のプラス改定により医師数の増加や地域医療の再生を進めます。
介護についても、今後3年間で施設の充実化と、介護報酬のさらなるアップを実現します。
高度成長期の公共事業を、モデルチェンジ。あなたに、将来に、具体的なインフラ整備に転換します。
災害から国民の命を守ることは、公共事業の大きな使命。そして未来をつくり、生活につながる「新しい公共事業」へ。
生活道路や「命の道」、通学路の整備、バリアフリー化、学校の耐震化などを具体的に進めます。
また、超電導リニアなど未来の土台に必要な投資も前倒します。
[P8]伸ばします。
日本の平均値を、上げる。
世界的にも、「右肩上がりで」というわけにはもういかない。
そんな時代でも、日本にしかない知恵と技術、勤勉さを活かして、
この国に住むことが幸せだと思える生活を実現します。
強者だけが優遇される社会ではなく、みんなが力を発揮できる社会で、
一人ひとりの「幸せ」をかたちにする。
自民党には日本の平均値を上げる実行力があります。
[P9]社会を支える日本独自のしくみを、もっとプラスへ。
[P10]税のあり方も思い切って改革。消費税の社会保障・少子化対策への特化へ。財源のない「高福祉」ではなく、「中福祉・中負担」こそ現実的です。
歳出・歳入改革や経済成長による税収アップを進め、今後10年以内に国と地方のプライマリーバランスの確実な黒字化を。
また、地方財政の健全化も進めます。消費税を含む税の制度も、ムダ排除とともに経済の回復後に見直す準備を進めます。
社会保障制度は、社会全体で適度な負担をお願いし、ちょうどよい福祉サービスを提供。
消費税の社会保障・少子化対策への特化、社会保障番号・カードの導入など、堅固でわかりやすい制度へと進化させます。
すべての子供たちの夢と可能性を、育てるために。新しい教育基本法の理念を、かたちにします。
世界で闘える基礎学力の向上。道徳教育や伝統文化教育の強化。食育や環境教育など新しい分野への挑戦。
自民党なら、偏向教育を進める日教組の強い影響を受けた民主党にはできない、教育現場の一新ができます。
「スポーツ基本法案」を制定し、スポーツ庁を創設。トップレベルのアスリート育成や地域スポーツを振興します。
子供に夢を与える2016年東京オリンピック・パラリンピックの招致なども進めていきます。
農業(むら)、林業(もり)、水産業(はま)をもっと国の力へ。必要な政策を実行します。
食料自給率50%を具体的な目標に。農地面積や年齢などに関係なく、意欲ある農家の経営を最大限にサポートし、所得の増大へ。生産性の向上を目指し、 「平成の農地改革」を断行します。
地産地消、農商工連携などの推進や、世界に通用する農産物の輸出を進めます。また、国産木材の利用率50%、水産業への新たな就業支援・安定した経営へのサポートなど、林業や水産業も力強く支えます。
[P11]誇りと信頼ある国家を、もっとプラスへ。
[P12]北朝鮮のミサイルや核は明らかな脅威です。国民の生命を守ることは、政治の大きな使命。
安全保障政策は、国の安全や経済を守る重要なもの。日米安保体制のたゆまぬ信頼向上は、必要不可欠です。
また北朝鮮のミサイルや核から日本を守るため、弾道ミサイル防衛で連携する米国艦艇の防護などが可能となるよう、
安全保障上の必要な手当てを行います。国を守るのは、曖昧な理想論ではなく、現実的な政策です。
「領土問題」には毅然とした対応を。「拉致問題」は許しません、絶対に。
北朝鮮による拉致やミサイル、核実験強行の問題。
これらには、毅然とした対応を行います。そして、北方領土問題や竹島問題には、毅然たる態度で粘り強い交渉を続けます。
「拉致」は北朝鮮による国家テロ。絶対に許しません。国の責任において一日も早く被害者全員の救出を目指します。
北朝鮮に対しては、国連決議に基づき全面的な制裁を発動。拉致問題が解決しない限り、支援をしません。
海賊なんかに負けない。テロにも絶対動じない。日本として必要な国際貢献を、引き続き。
「海賊対策」や「テロとの闘い」は、国家の義務であること以上に、日本の貿易や国民生活の安全を守ることに繋がっています。
自衛隊がすばやく平和協力活動に参加するための法律制定も目指します。
こんな「当たり前」すら躊躇し、意見集約できない党に、日本の安全を任せられません。
いま、そして未来のために、新しい日本のルールを。憲法の改正を実現させます。
新しい日本は、新しい憲法から。国会に設置された「憲法審査会」を早急に動かし、
あるべき日本の姿を現実的に考えながら、憲法改正を実現させます。
[P13]世界をリードする強みを、もっとプラスへ。
[P14]経済成長戦略で、国民所得を世界トップクラスに。
低炭素社会や健康長寿社会の実現を目指して、引き続き大胆かつ集中的な経済対策を実施し、
2010年度後半には年率2%の経済成長を実現。さらには、ものづくり技術の開発、
イノベーションの推進などによる産業の高付加価値化を実現します。あわせてアジア諸国の市場を取り込む
ための投資環境の整備などにより、日本経済を2011年度から、安定的な成長経路へ復帰させます。
今後3年間で40〜60兆円の需要を創出し、概ね200万人の雇用を確保します。
経済成長戦略の着実な実施により、10年で家庭の手取りを100万円増やし、
1人当たり国民所得を世界のトップクラスに引き上げることを目指します。
日本発の環境革命を。世界一の「環境立国」へ。
ただの環境対策ではなく、環境と経済がともに向上する「低炭素社会づくり」を。
そのために「低炭素社会づくり推進基本法」を制定します。
省エネ技術を活かした国際協力を進めるなど、世界全体の温室効果ガス排出削減を主導します。
美しい自然、多様な生物に満ちあふれた日本を守りながら、間伐材などを使った国産バイオマス燃料の生産拡大、
同時に3R(Reduce[減らす]・Reuse[再利用する]・Recycle[再資源化])に
基づいた循環型社会を目指します。
低炭素社会づくり推進基本法
太陽光発電の買取制度などによる、再生可能エネルギーの需給拡大。
省エネ住宅、エコカー減税、エコポイントなどによるグリーン化の推進。
カーボンオフセットの本格的な推進。
[P15]町工場にも息づく、世界の最先端テクノロジー。産業の「土台」、中小企業を支えます。
緊急信用保証、セーフティネット貸付の実施などで、中小企業の経営支援を強力に進めます。
そして、最先端技術が、経済をリードしていけるように、ものづくり技術、試作品の開発・販路開拓などを積極的にサポートします。
最先端技術が、研究室止まりではいけない。世界と闘える研究者を、もっと増やします。
数多くのノーベル賞受賞者を輩出してきた日本。
その力を育て、世界で活躍する研究者をもっと増やすために。
世界トップレベルの研究拠点を約30カ所設置や、研究費基金を創設し、現場にフィットしない予算の単年度ルールを廃止します。
具体的なプランを次々に進めていきます。
独自のコンテンツや伝統文化を盛り上げ、世界へ。同時に、観光でも魅力ある「ジャパン」を目指します。
ゲームやアニメ、キャラクターなど、日本が強みを持つコンテンツ。
お家芸とも言えるこの分野の人材育成、製作者の待遇改善を行い、世界に誇る作品が生み出される環境をつくります。
デジタルアーカイブ化を通じて日本文化を国内外へ発信。地域の文化・芸術・音楽活動の振興・継承に努めます。
「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を進め、2020年までに観光で訪れる外国人2000万人を目指します。
[P16]具体的な実績を、ひとつずつ、着実に。その姿勢は、これからも変わりません。
【 麻生自民党 経済対策の実績 】
自民党は政府とともに、世界的な経済不況に対応するため、「まずは景気」と心血を注いできました。
このため、「日本が世界で一番先に不況から脱出する」ことを明確な目標とし、4度にわたって経済対策を矢継ぎ早に実施してきました。
「景気の底割れ」という最悪の事態は回避し、株価など一部経済指標に効果が表れ始めています。
国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」でも、2010年のわが国の成長率は
前年度比1.7%と、G8の中でもトップです。
しかし、雇用情勢や賃金水準など国民が身近に実感する指標については
未だに予断を許しません。
実現すべき大きな目標は、2010年度後半に経済成長率2%を実現し、2011年度までに、同時不況が起こる前の2007年の経済状態(成長率、失業率など)に戻すことです。
今後、自民党は「数字上の景気回復」を国民が「実感できる景気回復」にするため、
あと2年間、経済対策に全力を尽くす決意です。
[P17]安心・活力・責任
日本を守る、責任力。
日本には、世界に比類ない「力」があります。
品質へのこだわり、仕事への誇り、微細なモノづくりなど、
日本人の感性に支えられた世界最高の「技術力」。
全員で助け合う精神など、信頼に基づいた「結束力」。
これらの「力」で、資源のない日本が世界第2位の経済大国となり、
世界一の長寿国になれたのです。
すべてを一から変え、これらの「力」を失うことがあってはいけない。
みなさん一人ひとりがその「力」であることに、誇りを持ってください。
その自信が社会の『活力』になり、確かな『安心』をもたらすのです。
日本の「底力」が発揮され、すべての人に魅力ある国へ。
自民党には、それを実現する『責任』があります。
自由民主党総裁 麻生太郎
[P18]政策実施、その具体的な道のり。(略)
景気回復をより確かに
これまで
4度の経済対策による景気の底割れ回避
2010年度後半
本格的な景気回復で経済成長率2%実現
*世界的経済不況前(2007年)の経済状態へ戻す。
2011年度以降
安定的な経済成長へ
本冊子は、自民党 政権公約の「要約版」です。詳細については、同「詳細版」あるいは自民党ホームページをご覧ください。