2009年07月27日

人生の師をみつけよう(岬龍一郎著、PHP)

岬 先日、著者の岬龍一郎さんに電話しました。
お元気でした。今度、会うことにしました。
 今回の本も良いです。
 とくに、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』が良かったです。
 以下、静かに、じっくりと読んでみてください。

宮沢賢治の『雨ニモマケズ』

雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫な体を持ち
欲はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
良く見聞きしわかり
そして忘れず
野原の松の林の蔭の
小さな茅葺き小屋にいて
東に病気の子どもあれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行って恐がらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りのときは涙を流し

寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくの坊と呼ばれ
ほめられもせず
苦にもされず
そういう者に
私はなりたい

 ご存知、『雨ニモマケズ』の詩である。平明な表現のなかに、宮沢賢治の無私なる真撃な人柄があふれ、どんなに多くの人がこの詩に励まされ勇気づけられてきたことか。私もその一人で、この詩を読むたびに目頭が熱くなるのを禁じえない。
だが、この詩は、作者の生前、人目にふれることはなかった。没後、遺品の大きなトランクの中にあった手帳から発見されたものだ。作品として書かれたものかどうかもはっきりしないが、書かれた日付だけははっきりしている。昭和六年(一九三一年)十一月三日のことだ。
 賢治はその年の秋、仕事で上京する電車のなかでひいた風邪がもとで結核が再発し、岩手に帰郷して治療生活に入るが、その病床でつづられたのがこの手帳だった。
そして、二年後の昭和八年(一九三三年)、他界するのだ。
 賢治は、三十七年の生涯をかけて、詩、童話、短歌、あるいは天文、地質、農業と多才な才能を発揮するが、生前に発刊されたのは、詩集『春と修羅』と童話集『注文の多い料理店』の二冊だけだった。ほかに『風の又三郎』や『銀河鉄道の夜』など有名なものがあるが、それらは没後のことである。世俗的には恵まれた人生とはいえなかったが、今日、多くの人に愛されていることを思えばもって瞑すべしといえる。多くの人に愛されたということは、賢治が美しい人生の見本を見せてくれたからである。

shige_tamura at 11:08│Comments(0)TrackBack(0)clip!本の紹介 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
ランキング一覧

人気blogランキング

人気blogランキングに参加しました。
応援よろしくお願いします。
月別アーカイブ
最新コメント