2009年07月17日

麻生内閣不信任決議案反対討論 自由民主党幹事長 細田博之

 今回の麻生内閣不信任決議案反対討論(自由民主党幹事長 細田博之氏)は好評でした。有名ブログ「ねずきちの ひとりごと」にも載っていました。
 これを参考に作成しました。


 私は自由民主党を代表し、ただいま議題となりました麻生内閣不信任決議案に対しまして、断固反対の討論を行うべきものであります。

 麻生内閣は昨年9月に発足以来、内外に重要問題が山積するなか、国民生活の安定や国益の実現、国際社会への貢献に全力を尽くし、短期間で多くの成果をあげながら、責任ある政治の遂行に心血を注いでまいりました。
 世界的金融危機では、2回に渡る20カ国首脳会談やイタリア・サミットなどを通じて、世界的な不況を脱出するための貢献を図り、世界各国から評価されております。

 本年度総予算、3度の補正予算、また関連法案を成立に導き、企業の資金繰り支援、雇用の創出、高速道路料金引き下げ、出産や子育て支援など、的確で切れ目のない対策を断行し、景気が底を打って、明るい兆しが見え始めたところであります。
 景気回復のための「税制改正法」を成立させるとともに、持続可能な社会保障の安定財源に対する道筋を示しました。
 景気対策、「さすがは麻生!」と、私は自民党幹事長として、素晴らしい成果を挙げていると考えております。

 年金につきましては、給付と負担の均衡を図るため、国庫負担を引き上げる「国民年金法」を成立させ、また社会保障費抑制を撤回することで、より充実した社会保障を目指す体制を整えました。
 何故、基礎年金の負担をですね、国庫負担を上げることに、民主党その他の政党が反対されたのか、よく理解が出来ません!

 温室効果ガスの削減につきましては、現実的かつ思い切った目標を示し、日本のリーダーシップと国際的公平性を内外に示しました。

 国際社会に責務を果たし、国家と国民の安全を守るため、インド洋上の補給支援を、支援を継続し、海賊対策に取り組み、提示された全ての条約を承認に導きました。

 民主党その他の政党は、補給支援についても海賊対策についても、国民の安全を守り、世界の秩序を守ることにも反対をされている。
 このことは全く理解に苦しむわけでございます。

 さらに、前内閣から引き継いだ「消費者庁設置法」、「憲法審査会規定」にも結論を出し、空席が続いていた日銀副総裁など主要な同意人事も決定してまいりました。

 しかるに、なぜ野党の諸君は「北朝鮮貨物検査法案」など重要法案の審議を放棄してまで、このタイミングで、不信任決議案を提出されるのでしょうか?

 北朝鮮貨物検査法案、反対なんですね!!

 特に、民主党は、小沢前代表の違法献金事件や、鳩山代表の政治資金報告書虚偽記載に関する疑惑を隠そうとの意図が見え見えであります。
 まさに今回の不信任決議案の提出は、「鳩山偽装献金隠し決議案提出」とも言えるものであります。
 また、国連安保理決議を受けた「北朝鮮貨物検査法案」が、結果として参議院で廃案となれば、インド洋での給油活動や、ソマリア沖での海賊対処法に反対したのと同様、口では国際貢献を言いながら、その実、「何もする必要がない」との民主党の、「反国際協調主義的」体質を明らかにするものと言わざるを得ません。

 民主党は、任期途中での代表辞任が、実は5代も連続しております。西松建設からの違法献金事件では、検察の対応を国策捜査との筋違いの批判をして、説明責任を果たさないまま小沢代表が辞任致しました。

 民主党が選定した第3者委員会がまとめた報告書では、検察が論告で、「小沢事務所が『天の声』を出していた」「法の趣旨を踏みにじる極めて悪質な行為である」と述べたほどの疑惑に対して、究明するどころか、司法の独立を侵し不当な政治介入を許しかねない指揮権発動に言及するなど、あまりにも非常識なものでありました。

 さらには、代表を辞めた人が、すぐに代表代行に就任して、選挙の指揮を執るという、全く自浄能力に欠けた人事も、実に驚くべきものでありました。

 さらに、鳩山代表の資金管理団体の個人献金の偽装は、政治資金規正法を根底から覆す前代未聞の重大な問題であります。
 亡くなられた方や身に覚えのない方からの献金が収支報告書に記載されていることが続々と判明しました。

 鳩山代表は会見で虚偽記載を認めて、収支報告書を大幅に修正されたということでございますが、驚くことに8割近くが偽装であったというわけであります。
しかも、これすらほんの一部分であり、6年間で2億7000万円に上る5万円以下の匿名献金については、実態が判明しておりません。
 さらに、献金の実態がないのに寄付金控除を受けた不正還付による脱税の疑惑まで持ち上がっております。

 代表と幹事長は「説明責任は果たしている」とおっしゃいますが、担当した弁護士自身は調査の途中としており、いまだ国民も私たちも疑念を払拭するに至っておりません。
 なお、市民団体が鳩山代表自身を東京地検に告発し、既に受理されたと報道されております。
 この問題の解明は、実効性のある政治資金透明化のシステム構築に不可欠であります。

 北海道議会からも、偽装献金の全容解明と説明を求める意見書が、衆参両院議長に対して出されております。

 予算委員会や倫選特で何度もお呼び出しをしても、出てこようとはされません。
是非とも国会の場で堂々と、鳩山代表本人から明確に説明をして頂きたいものであります。
 本日、不信任案が否決されれば、審議は開始できるわけでございますから、今週。そこにどうぞ、お出かけ頂けますよう、ご説明頂けますよう、お願い申し上げます。

 鳩山代表は、事務担当の秘書のせいにして、自身も会計責任者も知らなかったと弁明しております。
 しかし、もし政治団体の代表者が、職務を行わない会計責任者を選任し、その監督を怠ったのであれば、公民権停止や議員失職も有り得るほどの重い罪であります。

 鳩山代表はかねて、閣僚や与党議員の管理体制の甘さを繰り返し厳しく糾弾してきましたが、自らに向けられた疑惑に対する明快な説明は無く、
 また、この度の個人献金の偽装は、民主党が提出した、企業団体献金を廃止して個人献金を推進する「政治資金規制法案」の立法精神とも著しく矛盾しており、いまや批判の先は鳩山代表自身に向いていることを、強く自覚すべきであります。

 民主党の政治姿勢は、責任政党とは程遠く、絶えず疑念と懸念が付きまといます。
マルチ、マルチ業界に深く関わっていた議員や、障害者団体向けの郵便割引悪用事件に絡んでいたとされる議員もあります。
 ツケは国民に回されるのであります。さらに党の幹部が、「教育の政治的中立はありり得ない」と、発言したとの報道もあり、事実とすれば、「教育基本法」や「教育公務員特例法」を真っ向から否定するばかりではなく、かつて民主党が提出した「日本国教育基本法」の理念とも合致しない訳であります。

 また、国家公務員、地方公務員の信頼を回復するために、我々与党は「ヤミ専従撲滅法案」を提出しましたが、成立できない状況です。
 これは民主党など野党が、官公労・自治労・日教組などの公務員労組に強力に支援されているからであり、これらの政党では決して公務員改革はできない。
 公務員改革はできない政党だ、そう思っております。
 20%賃金をカットされると仰ってるなら、ちゃんとやれますか?
 20%カット、しないばかりか、役所や学校現場で労働組合活動が大手を振って行われる、憂慮すべき事態に陥ることになります。

 さらに、民主党の党大会では、国旗が掲げてない。
 えー、「民主党党大会は国旗を掲げておりませんか?」だと言われております。
 平成11年の、国旗及び国歌法案の採決で、民主党は賛成45/反対46でありました。
 このことと関係があるんでしょうか?

 このような政党が、日本国を代表して日の丸君が代を堂々と掲げ、歌い、世界各国と渡り合えると言えるんですか?
 甚だ疑念であります。

 「ねじれ国会」のもとで、参議院で第1党を占める民主党は、議会の生命線である合意形成を拒み、政策よりも政局を優先することで、国益や国民生活に深刻な混乱をもたらしてきました。
 党利党略で審議を引き延ばしたり、促進したりのご都合主義は、ときに他の野党からも厳しい批判を受けてきたところであります。

 民主党はかつて「給付付き税額控除」を提案しながら、定額給付金には反対いたしました。しかし、いざ定額給付金が支給されてみると、そのことに歓迎するニュースが多く現れると、戸惑いを感じられたのではないでしょうか?

 外交や安保の根幹にかかわる「補給支援法」「グアム移転協定」「海賊行為対処法」などの法案にはことごとく反対し、また、小沢前代表の「アメリカは第7艦隊さえ居ればいい」という、「第7艦隊発言」は、日米の安保体制を揺るがしかねないほどの波紋を投げかけました。
 これでは、国民の安心と安全を託すことは出来ません。

 外交・安保について、公約について全然聞いてませんがね。
 他のことばっかり出ていますが、外交・安保を明確にして下さい。

 憲法審査会規定では、極めて長期に、放置をしてきたということを申し上げておきたいと思います。
「憲法審査会規程」では2年にわたる立法府の不作為を放置し、国会同意人事は政治的な駆け引きに利用してきました。政権交代を標榜する政党が、どんな憲法を構想しているのか提示しようとせず、また行きすぎた同意人事の否決は、広く有能な人材を登用する機会をいたずらに奪ってしまったのであります。

 消費税の議論は、岡田代表の時に主張がありましたが、小沢代表の時に封印をして、鳩山代表は先送りで、未だ主要政策の財源や、制度設計は曖昧のままであります。
 財源問題として、民主党は16兆8000億円を捻出すると言ってますね。
 16.8兆!だんだん20兆から減ってきました。
 20兆→17兆→16.8兆ですから、まもなく14兆→12兆→10兆となるものと私は、予想しております。
 そして、バナナのたたき売りのようになってくると思いますけれども、よく、さらに、勉強して、それを5兆くらいにして下さい。

 報道されている、財源の内容を見ると、公共事業見直しで1.3兆、補助金改革等で6.1兆、公務員人件費削減1.1兆。
 公務員人件費、一人当たりボーナス入れて800万円、2割削減するんですね。大体、160万円くらい全部給与カットですね。

 それから、税制改正で2.7兆円。税制改正で2.7兆っていうのは、配偶者控除とか、扶養者控除の廃止による増税、租税特別措置の廃止、こういうことですね。ええ、これはどうやってやるんでしょうかね?

 公共事業の直轄事業の廃止、あるいは、教育関係の補助金も廃止するんでしょうか。
 そのことを伺いたいと思いますけれども、これは質問しておるだけで御座いまして、答えは要りませんから。

 そして、今の経済危機の状況の中で、そのような民主党の案を実行すれば、景気に多大な影響を与えると云うことは、はっきりしております。
また、無駄遣いの根絶とか、行政改革で財源をひねり出すというのは、立派な、立派なことであります。
 しかし、その立派なことも、荒唐無稽な内容でなく、実現可能な内容を、もっと精査をして欲しいと思います。
 これから、このことについて、選挙に向かいましてね、もう選挙が決まったんですから、これに向かいまして、討論を進めて往きたいと思います。
如何に、非現実的な内容が含まれているか、一部立派なものも含まれてるでしょう、 それは結構です。
 しかし、大半はあまり立派じゃない内容になっておりますので、それを申し上げたい。

 特にですね、高速道路の無料化。
 大体2兆円放棄してしまうわけですね。高速道路無料化。

 農家の個別補償で、土地改良を止めましょうなんて言っていますね。

 それから年金制度一元化、というのも、三年金を一元化できるんですか? できるんですね?
 そういうことの疑問は尽きません。

 さらに、民主党は4年前の郵政解散で、国民の圧倒的多数が支持した郵政民営化について、野党の共闘を優先して、民意をないがしるにする行為を、平然と行っております。

 郵貯銀行・簡保生命の株式100%売却を反故にし、完全民営化を撤回して、国が一定以上の株式を保有し続けるとの合意を、社民党・国民新党と取り交わしております。
 これは、以前の国有公社に戻す、ということでありまして、まさに、けしからん! 逆行であります。裏切りであります。
そして、西川社長を退陣させようという動きも、我々から見れば、真実がはっきり見えてくるわけで御座います。
 そのような政党が、先ほど鳩山代表が言われたように、「我々が政権を担えば、もう見事に全て解決しますよ」などと言っておられますが、
 全て疑問の対象になるわけで御座いまして、申し上げたわけでございます。

 この度の内閣不信任決議案は百害あって一利なしでありまして、真面目な、今後の日本国の動向、そして対応について、機能不全に陥れる可能性のある民主党に、軽々しく、内閣不信任案などと仰って欲しくない。
 この決議案提出の理由を聞いても、国民が納得するようなものは全く見あたりません。

 民主党は、国家運営の明確なビジョンを示しておらず、自らの主張と、野党間で模索する連立政権の基本政策と、いずれを優先させるのか定かでありません。これでは有権者に対して、「白紙委任状に投票しろ」と言っているようなものであります。
国民が心から求めているものは、政権担当能力であります。
 ただ天下りを批判してみたり、自民党と官僚が癒着している、そのことだけを言っていれば票が取れるなどと思っていただいては、大間違いであります。そんな実態は御座いません。そういうことを申し上げたいと思います。
 そして、今後とも我が自由民主党と公明党が、引き続き政権を担当し、そして日本の舵取りを担っていく覚悟であることを、国民の皆様に対してお誓い申し上げます。

 我々は、そのような意味で、理不尽な内閣不信任決議案には、断固反対であり、圧倒的な多数をもって、速やかに否決されるべきであるということを、申し上げて、反対討論を終わります。

shige_tamura at 16:49│Comments(1)TrackBack(0)clip!麻生太郎 | 自由民主党

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この記事へのコメント

6. Posted by 6-4-3   2009年07月18日 09:36
いつも、興味深く読ませて頂いております。
私も、この細田幹事長の演説は素晴らしいと思います。
思い返せば、昨年の所信表明演説の翌日の
代表質問の時の演説もお見事でした。

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