2009年07月03日
民主党の長寿医療制度廃止の矛盾
◎知っておきたい民主党政策3『自由民主、7月7日号』より
長寿医療制度廃止の矛盾
昔は賛成、今では反対、将来?
民主党は長寿医療制度(後期高齢者医療制度)を廃止し、以前の老人保健制度(老健制度)に戻すと主張している。もし、民主党政権ができれば、真っ先に実施されることになるのだろう。しかし、それは国民にとって望ましいことだろうか。
まず、お年寄りにとっては、長寿医療制度導入によって保険料が安くなった75%の世帯で保険料は上昇することになる。保険料の地域間格差も改革によって2倍以内になったが、再び5倍に戻る。
現役世代にとっても影響は大きい。そもそも、長寿医療制度は高齢者医療への現役世代の負担に一定の歯止めをかけるために導入されたものだ。これが廃止されれば、現役世代の負担が再び増加し、組合健保などの被用者保険の保険料引き上げなどの事態が生ずるのは当然の結果といえる。
また、高齢者の多い地域の国民健康保険(国保)財政が立ち行かなくなる可能性も高い。そうなれば、その加入者は現役世代も含め、医療保険が使えなくなってしまう。国保を預かる市町村長がこぞって反対する理由もここにある。
さらに、制度を元に戻すには多額の行政経費が必要となる。せっかく設立した広域連合も解散しなくてはならず、長寿医療制度に合わせて開発したコンピューターシステムは廃棄され、改めてシステムの再構築しなければならない。こうした経費は決して小さなものではない。
実は、民主党は平成12年11月、参院の国民福祉委員会(当時)で共産党を除く各党とともに、老人保健制度に代わる新たな高齢者医療制度の創設を早急に検討し、「平成14年度に必ず実施する」との附帯決議に賛成していた。また、同年1月の「民主党選挙政策『新しい政府』を実現するために」では、「現行の老人保健制度を廃止し、新たな高齢者医療保険制度を創設します」と明記している。当時の鳩山由紀夫代表が座長として取りまとめたものだ。
さらに、岡田克也幹事長が代表だった平成17年のマニフェストには「透明で、独立性の高い、新たな高齢者医療制度の創設を含む医療・医療保険制度の改革に取り組みます」と書かれている。長寿医療制度と同様の「独立型」の高齢者医療制度を目指していたといっていい。
ところが、今は制度そのものに対して口を極めて批判している。いったい、民主党はいつ、どのような理由で政策転換したのか。その説明は一切ない。
同党は老健制度に戻した後、被用者保険と国民健康保険を順次統合し、将来的に「医療保険の一元化」を実現するという。しかし、沿革や歴史が異なる各保険を統合するのは容易ではない。そのハードルを乗り越えるためには、10、20年単位の期間が必要だろう。だとすれば、本格化する高齢社会には間に合わない。
一方、同党は「一元化」までの間、国保の財政基盤強化などの対策を行うというが、その多くは税金投入に頼らざるをえない。どの程度の財源が必要となるのか。また、改革を先延ばしして投入するこうした支出は、同党がこだわる「賢い支出」といえるのか。
はたして民主党はこうした疑問に答えられるか。同党の政権担当能力の試金石といえる。
長寿医療制度廃止の矛盾
昔は賛成、今では反対、将来?
民主党は長寿医療制度(後期高齢者医療制度)を廃止し、以前の老人保健制度(老健制度)に戻すと主張している。もし、民主党政権ができれば、真っ先に実施されることになるのだろう。しかし、それは国民にとって望ましいことだろうか。
まず、お年寄りにとっては、長寿医療制度導入によって保険料が安くなった75%の世帯で保険料は上昇することになる。保険料の地域間格差も改革によって2倍以内になったが、再び5倍に戻る。
現役世代にとっても影響は大きい。そもそも、長寿医療制度は高齢者医療への現役世代の負担に一定の歯止めをかけるために導入されたものだ。これが廃止されれば、現役世代の負担が再び増加し、組合健保などの被用者保険の保険料引き上げなどの事態が生ずるのは当然の結果といえる。
また、高齢者の多い地域の国民健康保険(国保)財政が立ち行かなくなる可能性も高い。そうなれば、その加入者は現役世代も含め、医療保険が使えなくなってしまう。国保を預かる市町村長がこぞって反対する理由もここにある。
さらに、制度を元に戻すには多額の行政経費が必要となる。せっかく設立した広域連合も解散しなくてはならず、長寿医療制度に合わせて開発したコンピューターシステムは廃棄され、改めてシステムの再構築しなければならない。こうした経費は決して小さなものではない。
実は、民主党は平成12年11月、参院の国民福祉委員会(当時)で共産党を除く各党とともに、老人保健制度に代わる新たな高齢者医療制度の創設を早急に検討し、「平成14年度に必ず実施する」との附帯決議に賛成していた。また、同年1月の「民主党選挙政策『新しい政府』を実現するために」では、「現行の老人保健制度を廃止し、新たな高齢者医療保険制度を創設します」と明記している。当時の鳩山由紀夫代表が座長として取りまとめたものだ。
さらに、岡田克也幹事長が代表だった平成17年のマニフェストには「透明で、独立性の高い、新たな高齢者医療制度の創設を含む医療・医療保険制度の改革に取り組みます」と書かれている。長寿医療制度と同様の「独立型」の高齢者医療制度を目指していたといっていい。
ところが、今は制度そのものに対して口を極めて批判している。いったい、民主党はいつ、どのような理由で政策転換したのか。その説明は一切ない。
同党は老健制度に戻した後、被用者保険と国民健康保険を順次統合し、将来的に「医療保険の一元化」を実現するという。しかし、沿革や歴史が異なる各保険を統合するのは容易ではない。そのハードルを乗り越えるためには、10、20年単位の期間が必要だろう。だとすれば、本格化する高齢社会には間に合わない。
一方、同党は「一元化」までの間、国保の財政基盤強化などの対策を行うというが、その多くは税金投入に頼らざるをえない。どの程度の財源が必要となるのか。また、改革を先延ばしして投入するこうした支出は、同党がこだわる「賢い支出」といえるのか。
はたして民主党はこうした疑問に答えられるか。同党の政権担当能力の試金石といえる。
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この記事へのコメント
1. Posted by 直人 2009年08月11日 22:56
民主党は”後期高齢者制度廃止”と言ってますが、何か代わりになる制度があるんでしょうか?
今までの国保を含む健康保険でさまざまな”格差の”問題があってそれを解決すべく始まった”後期高齢者医療制度”なのに具体的な代替案を示すこともなく廃止と訴えるのは無責任に見えます。
今までの国保を含む健康保険でさまざまな”格差の”問題があってそれを解決すべく始まった”後期高齢者医療制度”なのに具体的な代替案を示すこともなく廃止と訴えるのは無責任に見えます。












