2009年06月10日

自民党・防衛政策検討小委員会の提言(その4)

11、情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動時の安全確保、領域警備、航空警備の法制化
(1) 法整備により、平時から多様な事態への移行を抑止又は阻止するため平時から有事まで、時間的・空間的に間隙のない(平時から有事の不安定な状態をなくした)対処を可能とし、国家の安全と国民の安全・安心を確保する。
(2) ISR活動時の安全確保
平時、領海・領空及び公海・公海上空で、情報収集・警戒監視・偵察活動中における自衛隊艦船・航空機に対する不法行動に対して、武器を使用して、その行動を抑止或いは対処することが必要である。
(3) 領域警備
平時(防衛出動や治安出動・・海上警備行動には至らない)に、日本の領域内で、武装工作員、武装工作船等による不法活動に対処するため、警察機能を補完する形で対処することが重要である。
国境離島については「国境離島新法」の推進と併行して領域警備の体制を確立することが必要である。
(4) 航空警備
平時(防衛出動や治安出動発令には至らない)に、領空及び公海上空で、国際民間航空条約等の国際法規に違反した不法行動に対して、空の警察機能を行使することが必要である。

12、武器輸出3原則等の見直し
(1) 新しい武器関連技術に関する輸出管理原則
 輸出禁止対象国としては、テロ支援国、国連決議対象国、国際紛争当事国、輸出貿易管理の不十分な国とし、それ以外の国・地域を対象とする武器輸出については、許可に係る判断基準「武器及び武器関連技術に関する輸出管理の指針」を定め、厳正に武器等の輸出を管理した上で、個別に輸出の可否を決定する仕組みを構築する。
(2) 政府統一見解(三木内閣)等の見直し
 武器輸出3原則等運用においては、昭和58年の米国への武器技術輸出、平成17年のBMD共同開発移行等に際して安全保障環境の変化に対応して逐次緩和してきているが、今後は国際的に主流となる多国間による装備の共同開発への参加スキームが構築されることから、国際的な技術レベルを維持するとともに他国との技術交流を維持するため、米国以外との企業との共同研究・開発、生産、や「武器」の定義の緩和等、更なる3原則の見直しが必要である。
(参考3)昭和51年2月27日武器輸出に関する政府統一見解(三木総理大臣)
○ 政府の方針
 「武器」の輸出については、平和国家としてのわが国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針(。蓋饗対象地域には武器の輸出を認めない。対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり武器の輸出を慎むものとする。I雋鐇渋ご慙∪瀏の輸出については武器に準じて取り扱うものとする。)により処理するものとし、その輸出を促進することはしない。

13、防衛分野の宇宙利用(積極的な宇宙利用と柔軟な打上げシステム)
(1) 情報収集・偵察・早期警戒・測位・通信・電波観測衛星等の研究・開発
(2) 各種打上げシステムの確保、特に即応性の高いシステムの確保
 現在の打上げシステムは、運用期日・打上げ方向に制約があり、即応性に欠けるため、制約のない新規射場等の整備を考慮すべきである。
(3) 緊急事態における即応型情報収集システムの確保
 中小企業支援策で推進する超小型衛星群の開発結果を活用して、超小型衛星群を即応型情報収集衛星群として活用する方向で中小企業での開発状況をフォローすることが必要である。

14、防衛生産・技術基盤の維持
(1) オンリーワン中小零細企業への補助金交付等
 防衛産業(生産・技術)政策を立案・策定するための政府としての検討枠組みを設置し、企業リスクの大きな中小企業、特に緊要な技術・生産を担っている企業を維持させるため補助金等の交付について検討を行う。
 また、インセンティブの向上、防衛技術管理(調査・分析・整理)、国内調達の健全性確保等の施策も積極的に推進することが必要である。
(2) 必要な税制面の優遇措置(研究開発促進税等)
 将来の装備は高度な科学技術の応用が必要で、民間技術・生産に依存する分野は大きく、装備の効率的な開発・調達のために官・民のデュアルユースの装備の同時開発が期待されるため、民の技術・生産の一層の活用を促進するため税制面の優遇措置等の施策を積極的に推進することが必要である。特に、宇宙分野の技術・生産における衛星・通信システム、打上げシステムは官・民のデュアルユースの装備として検討すべきである。

四、今後整備すべき防衛力
1、自衛隊の態勢・防衛力整備の重点
(1) 自衛隊の基地・駐屯地等の意義
 (浸・有事を通じた陸・海・空自衛隊活動の基盤
 地政学的な戦略的な脅威(三正面+シーレーン)の抑止・対処を基本とした全国隙のない配置が必要である。
◆ ̄藹場、訓練空域・海域は練度維持・向上のための道場、研究開発の実験場
 部隊の配置・編成の見直しに当たっては、自衛隊創隊以来各地域で運用(教育訓練)している演習場等の防衛財産の有効活用についても考慮が必要である。
 地方自治体にとっては雇用・経済と住民の安全・安心を付与する基盤
 地方自治体の特性と陸海空自衛隊の運用上の特性を整合した配置を基本として、検討するが、政経中枢や経済活動の中心である都市部は、テロ・ゲリラ、BM攻撃、感染症、大規模災害等に脆弱であり考慮が必要である。
ぁ_畫族宗高齢化の進む地方や雇用情勢の悪化が著しい地方においては、若者の雇用及び教育の場としての有効性を考慮して、その配置を検討することが必要である。

(2)必要な人員・予算確保
)姫厠呂量魍筺扮人僉砲鳳ずる人員確保
 任務遂行に必要な人員確保の必要性を要望しているが、行政改革推進法を自衛隊員へ適用していることは防衛力整備の特性を考慮しているとは認めがたく、その適用を見直し、その改正が必要である。
 自衛隊の現状は、総人件費改革等により、充足率が約90%台前半に抑制され、部隊での「実員」不足が常態化し、一人二役・三役のやりくりも限界にきて、人材育成にも支障が生じている。
 適切な自衛官定数の長期確保と自衛官充足率を向上させることにより、「定員」と「実員」の乖離をなくし、常続的な部隊の実効性を維持・向上するとともに適切な人事・階級構成を維持して将来の戦略の振れ幅に対し柔軟に対応できる人的基盤を確立すべきである。この際、部隊の中核的人材育成・確保のための自衛隊生徒制度の再考を要望する。 
中長期的財源確保
 「骨太の方針:ゼロベース」の見直しが必要である。
 07年の防衛費は、世界5位の規模であるが、その内訳は人件・糧食費で半分近くを占めているのが現状である。
 防衛力整備は長期的な施策として人的・物的両面のバランスをとることが必要であり、中長期の財源確保が必要である。
 宇宙の防衛利用、米軍再編経費は防衛費の枠外として、その特性を考慮した財源確保策を講じるべきである。特に07年で中国の国防費が世界3位となっており、わが国との乖離が一層増大していることに注意が必要である。
     
(3) 統合運用
  ̄人儡覯莇匹鯒兒澆慧合幕僚監部に機能移管し、運用機能を一元化
 運用企画局の廃止に関し、これまでの同局が果たしていた役割を陸海空幕僚長、統幕長、防衛政策局長との間で適切に果たしていくため、組織改革にあたっては、自衛官と文官の有機的な協働の体制確保が必要である。
 また、各種事態に迅速・的確に対応するために運用・管理に関する大臣補佐機能を統幕長に一本化するとともに、統幕長による自衛隊に対する一元的な指揮命令の実効性を確保することが必要である。
◆‥合運用ニーズを反映した防衛力整備
 防衛力整備部門の一元化にあたっては、防衛力の整備・運用・管理について各幕僚監部の意見や現場部隊のニーズが的確に反映できるとともに統合運用ニーズとの整合を図り、効果的・効率的な防衛力整備が推進できる組織改革が必要である。
 この際、自衛官と文官の有機的な協働の体制確保が必要である。
 統合運用の態勢強化
 官邸の機能強化と併行して迅速・正確な意思決定・情報提供を可能にする防衛省・自衛隊の体制整備として、統合運用と自衛隊の情報機能の一元化を併せて推進することが必要である。
 実効性ある統合運用を推進するため、陸自の運用統括機能としての陸上総隊創設、宇宙利用を含む統合指揮通信機能強化、迅速な的確に各種事態の対処に任ずる統合司令部や地域司令部の常設により、各級・各種部隊レベルまで整合ある統合対処計画の策定及び統合部隊練成等を実施させることが必要であるとともに陸・海・空の輸送力を強化して、統合運用の実効性を向上させるべき。
( 平成20年4月24日「提言・防衛省改革」、平成20年7月15日「防衛省改革会議・報告書」参照)

(4) 陸上自衛隊
 [自の運用統括機能としての陸上総隊の創設
◆|亙司令部としての方面隊の維持(平時からの地域・関係機関との連携)
 三正面(北方、西北、南西)の抑止・対処能力維持
ぁ‘端貮隊からの政経中枢、重要施設等の防護能力向上
ァ々餝闇ぬ蛎弍能力の強化
Α々駝韻琉汰粥Π多干諒欒萋亜並腟模災害、国民保護、感染症等)強化
А.泪鵐僖錙爾粒諒
防衛力におけるマンパワーは、国家の防衛意思の表明そのものであり、また、実効性のある対処として国民の期待に応えるためには、的確な対処に必要な人的規模を確保する必要がある。
常備自衛官の充実については、最低限現状維持から増員の幅で検討することが必要であり、予備自衛官の充実については、各種予備自衛官制度を拡充してその勢力維持を図ることが必要である。
テロ・ゲリラ対処、大規模災害、国際平和協力活動等の各種活動の基礎は人であり、消防団員の減少・高齢化や長期・機動的運用に弱点を有する地方自治体の能力補完も人が主体であることからマンパワーの確保は重要である。
  
(5) 海上自衛隊
 ー辺海域の防衛に加えて海上交通の安全確保態勢の強化(ISR含む)
◆ー辺海域における海洋秩序の維持・強化(不審船対処、機雷除去、邦人輸送)
 国際安全保障環境改善のための態勢強化(外交的ツール)
ぁ|篤札潺汽ぅ訛仆莇化(イージス艦へのSM−3搭載のための改修の推進、実弾射撃訓練の実施、策源地攻撃のための海上発射型巡航ミサイル導入について他の手段と連接して検討が必要である。)
ァ‖仞戦機能強化(潜水艦整備とP−1)
Α〕両綮抉臟塾篭化(補給艦、指揮統制)
А/妖基盤の強化
従前の物先行型から人・物均衡型の海上防衛力に転換し、海上防衛力の多様な役割を的確に遂行する態勢を確立するため、〜備と人のバランスのとれた体制として、護衛艦部隊の充足率向上・定員の考え方の見直し等を、▲廛蹈侫Д轡腑淵詬楡態勢の再構築として入隊時教育の充実・艦艇長養成の仕組みの見直し等を、3莎い澆覆る組織の再生としての勤務と休養のバランス確保・処遇の適正化等を推進することが必要である。

(6) 航空自衛隊
 ー存的な抑止・対処能力向上
  (F−Xの第5世代機導入、各種機能のネットワーク化)
◆々餝闇ぬ蛎弍能力強化
(航空機動・海外展開能力向上にC−XとKC−767の組み合わせ、AWACS・E2Cなどによる警戒監視活動や救難機などへのニーズ対応)
 ISR機能強化(宇宙・無人機を含む)
ぁ。贈唯椎塾篭化(PAC−3化・レーダー整備推進、THAAD導入についても検討)
ァヽ房存海隆道襦情報収集能力の強化
Α〜狃勅圓粒諒檗
航空防衛力の根幹である操縦者の現状は、厳しい募集環境(要員確保困難)・課程教育中の罷免増加(他の職域への転換希望)・依願退職増加から、操縦者(人的防衛力)の不足に陥り部隊運用・飛行安全確保に重大な影響を及ぼす危険性が大きくなってきている。
 危機的状況を打開するためには、全省挙げての取組みとして(臀姑楼呂粒搬隋α抜要領の見直しによる人材確保、課程学生入力数の増加・飛行教育体系の・教育要領の見直しによる人材養成、G塾麓腟舛砲茲詒甘А航空手当て制度の改善による官民の給与格差防止・将来に不安を抱かない諸施策による人材管理の改善が必要である。

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