2009年06月10日

自民党・防衛政策検討小委員会の提言(その3)

6、防衛力整備と財政
(1) 防衛力整備に長期間が必要との特性
 /雄牋蘋
 自衛隊は、長期にわたる人材運用が可能な人的基盤があって、初めてキャリアとして充当できる時間と適任の人材を選択することができることから、人の確保は必須の要件である。
現在、政府全体の人件費削減を狙いとする行政改革推進法を一律に特別職たる自衛隊員にも適用していることが、必要な人的防衛力の確保を難しくし、人材育成面においても支障をきたしており、その見直しが必要である。
 第一線部隊を指揮できる大隊長・艦長・飛行隊司令等や射撃・情報・通信・指揮統制・整備・補給等の専門性の高い職種・職域のプロを育成するには20年以上必要であり、将来の大きな情勢変化に対応する人的柔軟性を確保するためにも適切な人員の確保は必要である。
◆〜備の研究開発・生産・維持
 昭和45年に示された「装備の自主的な開発・国産を推進する」という考え方に関する基本方針に基づく防衛生産・技術基盤の育成・維持は、防衛力整備や作戦運用を支える役割を果たしてきている。しかし、防衛生産・技術基盤を巡る今後の厳しい環境(主要装備品は数千社の企業と20年〜30年の開発・維持期間が必要であるが、今後の防衛生産・技術の縮小、更には撤退、企業倒産等の傾向)からは、政府としての検討を行い、長期に安定した活動を確保することが必要である。
(参考1) 昭和45年7月16日 中曽根防衛庁長官決定(同日事務次官通達)
「防衛の本質からみて、国を守るべき装備はわが国の国情に適したものを自ら整えるべきものであるので、装備の自主的な開発・国産を推進する」
 部隊の練成のための人材の育成・装備の維持・練成訓練の積上げ
 防衛力は、装備の戦力化が整えられて初めてその役割を果たすことが出来ることから、部隊の練成環境、特に練成機会と練成場所の確保と装備の維持機能の確保が重要である。現在、地方自治体の理解と協力を得て使用している訓練場・演習場・射撃場等を引き続き円滑に使用するための施策は重要である。
 また、長期にわたり運用する装備の維持のため必要な生産・技術基盤を確保するとともに装備品の更新・換装に対応する練度の維持のための練成訓練を積上げられる訓練環境の確保が必要である。

(2) 防衛力の特性に適合した中長期の財源確保
 長期的な施策である防衛力整備に関しては、防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画により、整備目標が示されている。その達成に必要な財源の見積り、執行に当たっては中期防衛力整備計画策定時、中期財源充当見積を連接させ、年度毎に防衛力の役割等を評価し、必要な経費を配分する特別枠方式等について、政府として検討すべきである。

7、基本的な自衛隊体制(配置・編成)の在り方
(1) 国内運用(域内運用と全国運用)と国外運用指針の確立
 々馥皹人僂蓮域内の国民の安全・安心を確保しつつ全国運用することを基本とし、陸上自衛隊における運用統括機能:陸上総隊により方面隊等の運用を容易にすることが必要である。
◆々餝葦人僂蓮国内運用、即ち国家の安全や国民の安全・安心を確保しつつ行うことを基本とする。現行運用はPKO法において、2,000名が上限とされ各特措法では、その時々の状況に応じて定められるが、実効性ある活動を継続するに当たっては、国土防衛分野への影響が懸念されていることにも考慮すべきである。
 将来は、国際平和協力活動の一般法制定にあわせて海外運用の基本方針を示すことが必要である。

(2) 地方自治体や国民の安全・安心への影響
 〜換颪坊笋里覆ご霖蓮γ麁崔呂稜枌屬砲茲蝓即応性をもって事態に対処する。
◆|亙自治体が主体となって担任する災害対応・感染症対応等自治体の能力を自衛隊が補完すべき分野の確保を前提に、各種職種・職域部隊配置を基本とする。
 地域配置部隊を掌理する中間司令部が、自衛隊が補完すべき分野を域内運用で補うか、必要により全国運用で補うかなどを地方自治体と連携して調整する。
ぁ’枌屐κ埓の見直しに当たっては、地域の安全と安定や地域経済及び地域社会へ及ぼす影響などにも十分考慮し、地域の要望にも十分配慮して検討することが必要である。この際、創隊以来の各地域で自衛隊が運用している防衛財産の有効活用についての検討も必要である。

8、情報体制の強化
(1) 内閣の情報集約・総合分析・総合調整機能の強化
 ‐霾麝弋瓩鯏切に提示できる閣僚級の「情報会議(仮称)」設置
◆‘盂嫋霾鶸韻粒幣紊欧罰鴇閉の総理への情報報告への関与
 現在の内閣情報分析官の体制を強化するとともに、内閣情報官を委員会議長とする情報委員会(仮称)を運営し各省庁の情報を集約化し、国家情報としての評価を行い、重要情報を迅速かつ正確に総理へ報告できる体制を確立する。
ぁ‐霾鵐灰潺絅縫謄による情報活動を内閣情報官の下で調整し、内閣情報官が保有する情報のアクセス権や各省庁の情報関連予算の重複を調整する権限を付与する。

(2) 内閣直轄の情報機関の設置による対外情報機能の強化
 /靴燭粉躓,箒式劼愨弍する国家情報機能の強化と一体となった国家の情報力を増強する統合的な国家的情報組織、特に対外情報業務に特化した情報機関を新設する。
◆々餡氾情報保全組織と法の整備が必要である。
(例:主要情報の適切な管理に関する法律)
 高度な専門性を有する人材育成、特に対外情報の収集・分析要員を重視すべきである。
(3) 情報共有の促進・情報コミュニティの緊密化と秘密保持
 政府全体での情報共有システムの構築と各省庁共通の情報保全基準を強化する。
(4) 国会への情報委員会の設置
 審議の対象となる秘密を確実に保護するための法律等の所要の措置をとる。
(平成18年6月22日「国家の情報機能強化に関する提言」参照)
(5) 積極的な宇宙利用によるネットワーク化された情報収集態勢の強化
 情勢の変化に対応する衛星による情報収集を行うためには、頻度を高めた収集システムが必須である。そのためには、大型情報収集衛星以外に、小型偵察衛星(低コスト)を複数機運用するとともに、情報要求に基づき情報収集指令のアップリンクや収集した情報のダウンリンクの即応性を確保するための専用通信衛星を組合せ運用できる情報収集態勢を確立することが必要である。
 また、情報要求に応じて迅速かつ確実に情報収集態勢を確立するためには即応性の高い打上げシステムの整備が必要である。

9、日米安保体制の強化
(1) 日米安保条約改訂50周年「新日米安保共同宣言」
 〕菁は、日米安保条約改訂50周年であり、日米両国で、「日米共同宣言」以降の米軍の変革・在日米軍の再編とわが国の新防衛計画の大綱を確実に進展させ、日米同盟及び日米安保体制をさらに強固なものとするため、「新日米安保共同宣言」を締結すべきである。
◆_縄の米軍基地の整理・統合・縮小など、国民の負担軽減に、今日政府が最大限に努力し、国の平和と独立そして国民の安全・安心を確保していることへの国民の理解拡大に努める。

(2) 日米役割分担の柔軟性確保のためのわが国の防衛力の方向性
 周辺国に対する抑止態勢において、打撃力については、米国に大きく依存している。今後は、オバマ政権の米国の拡大抑止戦略やスマートパワー重視政策などを考慮し、米国との役割分担に柔軟性の確保が必要となる。
 また、米国の打撃力に対する自衛隊の支援・補完能力を向上するため、打撃部隊の援護(対艦・対空・対地・対潜攻撃能力)や情報収集支援、後方支援機能の強化が必要である。
 
10、日米安保体制下の敵ミサイル基地攻撃能力の保有
(1) 専守防衛、非核三原則、軍事大国とならないこと、節度ある防衛力の整備といった防衛政策の基本は維持しつつ、強固な日米安保体制を前提とし、「座して自滅を待つ」ことのないよう、弾道ミサイル防衛の一環としての攻撃能力を確保。
弾道ミサイル(BM)による脅威に対し、有効に抑止・対処する手段には弾道ミサイル防衛(BMD)システムによる迎撃と敵ミサイル基地攻撃があり、わが国は、日米安保体制の下での協力により対応しており、現状は、打撃力については米国に依存している。
 今後は、BMの能力向上(質・量)、核弾頭の小型化技術の進展に柔軟かつ迅速に対応するためにも、専守防衛の範囲(予防的先制攻撃は行わない)で、日米の適切な役割を見出し、わが国自身による敵ミサイル基地攻撃能力の保有を検討すべきである。
 その際、BMDにおけるミサイル発射基地・車両等への対処に限定した抑制的な運用要領(使用は国家安全保障会議により決定)と外交等あらゆる手段による抑止活動と連接する枠組みを確立し、ダメージコントロール可能な通常弾頭程度の威力と被害極限を追求できる高精度の弾着と効果確認可能な敵ミサイル基地攻撃能力を保有し、そのためにも、より強固な日米安保体制を堅持することが必要である。

(参考2)昭和31年2月29日衆院・内閣委員会鳩山総理答弁・船田防衛庁長官代読
「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば、誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」

(2) 保有する攻撃能力は、情報体制の強化施策と相まって、わが国の宇宙科学技術力を総合的に結集し、宇宙利用による情報収集衛星と通信衛星システムによる目標情報のダウンリンクと巡航ミサイルや小型固体ロケット技術を組合せた飛翔体(即応性よりも秘匿性を重視した巡航型長射程ミサイル又は迅速な即応性を重視した弾道型長射程固体ロケット)への指令により正確に弾着させる能力の開発を実現可能とすべきである。

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