2009年05月21日

民主党のいい加減な財源確保を批判(塩川元財務相)

「民主党は、行政の無駄遣いを減らせば10兆円程度の財源を確保できるとしているようだが、このような無責任ででたらめな知識で政権運営をされたら大変な国家になる。」というのが塩川元財務相の主張。

 以下、今朝(5.21)の産経新聞【塩爺のよく聞いてください】元財務相・塩川正十郎氏の論文を掲載します。


 ■「鳩山さん、精進で蹊を成せ」

 「瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず」「李下(りか)に冠を正さず」という言葉がある。若い読者にはなじみが薄いかもしれないのであえて解説すると、いずれも他人に疑われるような行いは避けた方がいいという意味だ。政治家が最も肝に銘じなければいけない格言だが、最近、この言葉に反する出来事が多い。

 民主党代表を辞任した小沢一郎氏にかかわる巨額献金事件もそのひとつである。「政治には金が必要だ」「金集めは当然だ」と思っているのかもしれないが、そもそも何億円という金がどうして必要なのか不思議だ。政治資金をもらうことを当然と思う特権意識を持っているのではないか。

 おおむね政治家は政治資金の内容や収支計算に無頓着すぎる。政治資金規正法違反が発覚しても、形式犯と受け止めているから、倫理的責任を感じず、「献金を返還すればいい」「報告書を修正すればいい」と考えている。

 過去にはそれでも通用したが、現在は違う。情報公開が求められる時代になり、収支報告書に虚偽や不正があれば形式にかかわらず道徳犯になる。食品の原産地や賞味期限の偽装表示を行った企業が法的にも社会的にも厳しく指弾される時代だ。

 より高い倫理観を求められる政治家が虚偽報告をしていながら、形式犯では済まされない。だから、小沢氏が代表を辞するのは当然と思っていた。

 しかし、民主党代表選では、鳩山由紀夫代表も岡田克也幹事長も、小沢氏の功績と政権交代だけを訴えてあっけなく終わった。巨額献金事件で失った国民の信頼を回復するため、時間をかけて民主党の価値と政策を知ってもらえばよかったのに国民も党員も無視した短期間のドタバタ選挙で絶好の機会を逃したのは残念だ。

 代表選に時間をかけると、小沢氏の影響が薄くなると心配したのだろう。その結果、民主党は小沢氏の影にすがりつく格好になり、事件によるマイナスイメージの払拭(ふっしょく)にも、党の清新さをアピールすることにも失敗した。

 新代表の鳩山さんは人格高潔、学識豊富で、政治家としての鍛錬も十分だ。しかしながら、「愛のある政治」などの政治スローガンは聞こえてくるが、どういう政策を掲げ、どういう国家を造るのかという具体像が見えない。中曽根康弘元首相の「ソフトクリーム」という人物評に対し、鳩山さんは「芯(しん)があるアイスキャンディー」と言ったそうだが、今の日本に言葉遊びをしている余裕はない。

 今、わが国で最も重要なのは、財政を崩壊させることなく政府主導で経済を活性化させることだ。民主党は、行政の無駄遣いを減らせば10兆円程度の財源を確保できるとしているようだが、このような無責任ででたらめな知識で政権運営をされたら大変な国家になる。

 国民は二大政党による政権交代で、政権党が新鮮で強力な推進力を発揮することを望んでいる。麻生太郎首相も懸命に努力しているので、鳩山さんにもスローガンだけでなく一層のご精進をお願いしたい。「桃李言わざれども下自(おのずか)ら蹊(みち)を成す」。徳のある人物の下には、何も言わなくても、自然に人が集まり、道ができるものである。

shige_tamura at 09:58│Comments(0)TrackBack(0)clip!民主党 | 鳩山由紀夫

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