2009年02月18日

与党海賊対策等プロジェクトチーム海外調査団報告(その1)

先週、与党海賊対策等プロジェクトチーム
英国・エチオピア・ジブチ・バーレーン・ドバイ調査団に事務局として参加しました。以下が報告書です。2回に分けて掲載します。


1.目 的
 昨今のソマリア沖・アデン湾における海賊事案の急増・多発が、我が国国民の生命及び財産並びに海上交通の安全に対する深刻な脅威となっている。
こうした現状にかんがみ、与党海賊対策等プロジェクトチームは、海賊対策の新法制定及び新法制定までの間に現行法制下で何ができるのかについて検討し、「中間とりまとめ」を行い、さらに「海賊行為への対処等に関する法律(案)(仮称)」等の検討も進めている。
 今回の調査は、英国及び現場に関係するジブチ、バーレーンを直接訪問・調査することで、現在、PTで行っている我が国が行う海賊行為への対応の検討に役立てることを目的とする。

2.団編成
団長 中谷 元 衆議院議員(与党海賊対策等プロジェクトチーム座長、自由民主党)
佐藤茂樹 衆議院議員(与党海賊対策等プロジェクトチーム座長、公明党)
浅野勝人 参議院議員(  同上プロジェクトチーム・メンバー、自由民主党)
 
(事務局・随 行) 田村重信(自民党政調首席専門員・安保担当)

3.日 程
2月8日(日)〜2月13日(金) 英国・エチオピア・ジブチ・バーレーン・ドバイ

  9日(月) IMO(国際海事機関)における意見交換(英国)
        EU NAVFOR(EU海上部隊)作戦司令部視察
 10日(火) メレス首相表敬(エチオピア)
        在ジブチ邦人代表との懇談(ジプチ)
 11日(水) ゲレ大統領、ユスフ外相、アルナウド国民議会議長(ジプチ)
        在ジプチ仏軍基地及び米軍基地視察
        在エチオピア邦人代表との懇談(エチオピア)
 12日(木) ハリーファ国防軍総司令官、サルマン皇太子、ハーリド外相
        (バーレーン)
        CMF(連合海上部隊司令部)視察(バーレーン)
        UK MTO(英海軍・海運情報集約センター)との意見交換(ドバイ)
        インド洋補給支援活動実施部隊司令等を激励

4.調査・意見交換の概要(海賊対策を中心にまとめた)
(1)国際海事機関(IMO)関水海上安全部長他との意見交換
○ 国際海事機関(IMO)はロンドンに事務局を置き、海上の安全を含む海事問題に関する国連の専門機関。1月26日〜29日にはソマリア沖海賊問題に関するジブチ会合を主催。

○ IMOの実質上の癸欧任△覺愎絣ぞ絨汰管長と意見交換を実施し、ソマリア沖海賊問題に係るIMOの取り組みを聴取。具体的には、
・ジブチ会合の結果、合意された海賊情報共有センター(イエメン、ケニア、タンザニアの3ヶ所)及び訓練センター(ジブチ)の設置。情報共有センターは、アジアのReCAAP(アジア海賊対策地域協力協定)をモデルにしている。

・国連決議に基づくソマリア沖海賊に関するコンタクトグループの動向(4つの作業部会のうち、地域調整に関する第一作業部会をIMOにおいて今月24、25日、海運業界の意識・能力の向上に関する第三作業部会は26、27日に開催予定であり、同グループが検討している調整機能(海賊対策地域調整センター)と海賊情報共有センターの役割分担の明確化が課題等であること。
○当方から、わが国の海賊対策に関する取り組み、検討状況について説明。新法の検討について、先方から、各国にとって良きモデルとなるとの期待が表明された。

(2)EU NAVFOR(EU海上部隊)司令部視察
(ファーリンドン参謀長(英海軍大佐)他との意見交換)
○ EU NAVFORはEU理事会において昨年10月採択されたソマリア沖の海賊行為に対するEU軍事作戦に関する共同行動として12月から活動を開始したEUのアタランタ作戦を実施する部隊。司令部は英国ノースウッドに所在。
○ファーリンドン参謀長(英海軍大佐)他からブリーフィングを受けた上で、意見交換を実施。具体的には、
・EU NAVFOR として国連、関係各国等と協力しつつ約2ヶ月間、活動を実施。作戦司令部には海運会社の専門家も受け入れ。
・)姪譴離皀鵐后璽鵑砲茲覦天候、⊂αイ亮己防衛措置、9餾歇匆颪療慘呂砲茲蟆善はしているが、なお予断は許さない状況。また、より根本的な海賊問題の解決にはソマリア情勢の改善による自立的国家の成立が必要不可欠とのこと。
・EU NAVFORの任務は4つ。第1はWFP(世界食糧計画)の援助食糧を運搬する船舶、第2はリスク評価を行った上でリスクが高いと判断された船舶(特定の国の船舶やEU関連の船舶が優先される訳ではない。)、第3は海賊哨戒、海賊の抑止、拿捕及び司法手続きが整った国への引渡し(ケニアと協議中)。第4は情報の共有。業界と共有して、軍民共同して安全を守ること。

・同盟国等との間では秘匿度の高いシステムによる情報共有が可能。ロシア、中国等との情報共有につき要検討。また、軍と民間を通じた情報共有のため、アカウントの登録とパスワードの取得によりアクセス可能なウェブサイトを運営。
・海賊の脅威については、「海賊からの脅威の評価は、非常に低い。まず、海賊が船員や船舶に危害を加える可能性は低い。身代金が下がるからである。また、仮に、軍艦と戦闘行為に臨んだ場合、圧倒的に負ける。従って、海賊は軍艦とは戦闘しない。」等をコメント。

・武器使用基準については、国ごとに異なるが、正当防衛と言っても、海賊から現実の脅威を受けている船舶を守るため、致死的な武器を含む必要最小限の武器の使用が認められる。乗船検査に際し相手方が逃走を企図した場合には、航行不能化射撃も可能。海賊の疑いがあるだけではミサイル等の致死的な武器の使用は出来ないが、抵抗されればその程度に応じて武器使用も正当化される。

・艦船の補給等の拠点はジブチを使用しているがかなりキャパシティが一杯の状況であり調整が必要との認識。

○当方から、わが国の海賊対処の検討状況を説明したのに対し、任務に制約があろうとも、自衛隊による海賊対処は時宜に適ったものであり、国際社会に対する強いメッセージとなる、無論、新法による任務拡大も歓迎する、との応え。

(3)エチオピア メレス首相との会談
○海賊の背景としてのソマリア情勢について、ソマリアの脆弱性、海賊が有力な資金源となり、若い世代にとっても他に職がない状況等について説明があり、海賊に対処する上で、.愁泪螢△琉堕蝓↓⊆禺圓悗竜_颪猟鷆 ↓3ぢ厩坩戮離螢好を高め、実入りを悪くすることが必要との認識。

○ソマリアの安定の観点から、エチオピアとしてもイスラム穏健派を中心に暫定政権を支援する考え。また、AMISOM(アフリカ連合ソマリア・ミッション)の維持・強化やソマリアの警察・治安部隊育成のため国連や関係各国の支援が重要。

○わが国の海賊対策に係る検討状況について説明したところ、日本のような国によるアフリカの安全保障面への貢献は重要としつつ、エチオピアは沿岸国ではなく可能な支援も限られるが、日本のアデン湾における活動を最大限支持する考えを表明。

(4)ジブチ政府要人との会談
○ユスフ外務・国際協力大臣
・ジブチにとって第一のパートナーである日本の海賊対策への取り組みについて強い支援の意思が表明され、大統領の指示により日本がこの地域において実施する任務に対し可能な限り全ての施設・便宜を提供することとされており、専門的な事項については政府調査団と関係省庁との間でつめることとしたい旨表明。
(より具体的には、港湾については1週間前に新しい港湾施設が運用を始めており、古い方の施設を海賊対処関係に当てることを想定、空港についても駐機場、格納庫等に必要な空間の提供を検討する用意がある。これらを踏まえ、自衛隊の法的地位の確保を含め、両国政府間で具体的協力のあり方についての協議を行う用意がある旨を確認)

・他方、ジブチ自身の沿岸警備能力の向上も重要であり、沿岸警備隊や哨戒機も保有していない状況の中で日本に対する期待感が示された。
・ソマリア情勢については、今日か明日にも新首相が任命され、その後、組閣が行われる見通しであること、現状では比較的安定しているが、こうした政治プロセスの進展がなければ海賊問題の根絶は不可能であり、これに対する日本の支援も期待したいこと等について説明。

・また、日本からの経済支援に感謝の意が示されるとともに、今後の課題として、水不足に対処するためのダム建設、地方における風力発電と太陽光発電プロジェクトに言及。

○ゲレ大統領
・ジブチ独立以来、日本とジブチは常に友好的な協力関係にあり、今後もかかる関係を強化する考え。
・国際的な海賊対処への日本の参加を歓迎。全ての施設を日本に提供するようにとの考えを確認。政府調査団に施設が適当であるか否か確認頂き、能力向上の必要があれば施設整備への参加・協力をご検討頂きたい。
・昨年のTICAD(アフリカ開発会議)で表明された日本の支援に対する期待を表明するとともに、エネルギー及び水不足の問題に言及。
・ソマリア情勢について、新首相の任命、組閣を巡る動きを説明の上、海賊対策については海賊が沿岸から外に出ないようにすることが鍵であり、ジブチとソマリアの共同の沿岸警備隊を含め、沿岸警備能力の保有の意義を強調。
・国連安保理非常任理事国議長となる日本に対する期待として、エリトリアとの国境を巡る情勢について5週間以内の撤兵を求める安保理決議に言及しつつ、エリトリアが右決議を遵守するよう国連事務総長等への働きかけについて期待を表明。

○アルナウド国民議会議長
・ジブチと日本は地理的には遠いが二国間の関係には近いものがある。
・ジブチ側の議会の状況説明。
(女性議員の比率の増加(9→14%)等)について説明があるとともに、ジブチ側として二国間の議員交流を深めるとの観点から、ジブチ側の議連メンバーの案の提示があり、中谷団長が日本に議連を作ることを約束。)

shige_tamura at 13:30│Comments(1)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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この記事へのコメント

1. Posted by 前春誠次   2009年02月20日 00:24
3 かつて民王党は、与党の政策に対して、「きちんと対案を示す」対案路線を取り、安全保障の問題では、党内で分裂騒ぎを引き起こしながらも、対案を提出していました。しかし、小択代表は、党内で波風を立てないよう、大安路線を取り、与党の政策にとりあえず何でも反対しています。
そこで今度、与党が提出する海賊対策の法案は、民王党が反対しやすいように、武器使用基準について、「海賊の根拠地を壊滅させるため、艦砲射撃やミサイル攻撃を行える」、「特警隊を根拠地に上陸させ、人質の奪還作戦が行える」という項目を加えておいて下さい。武器使用基準が「現行と変わらず」では、どう反対したら良いか、困りますので。

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