2009年01月30日

尾辻秀久参議院議員の代表質問全文(その2)

(外交問題)

 次に、外交問題について伺います。
 昨年末から、イスラエルによるガザ空爆・侵攻などが行われ、双方合わせて千三百名以上の犠牲者が出ております。
パレスチナ問題は、宗教や民族の問題を根源に持つだけに、その解決は極めて難しい課題であります。

 当事者双方は、各々停戦表明を行っておりますが、これ以上犠牲を拡大させないために、関係各国に、より一層働きかけを強めるよう要請いたします。
今後の国際情勢については、世界の多極化が進み、中国やインド、ロシアなどが力を増していく中、米国の影響力が低下するとの見方があります。

 こうした中、アメリカでは、大統領選挙で「チェンジ」を掲げたオバマ氏が、第四十四代アメリカ大統領に就任を致しました。
 今後の日米関係については、まだ不透明でありますが、はっきりしていますのは、ヒラリー新国務長官が、一昨年の外交論文の中で、「二十一世紀における最も重要な二国間関係」は米中関係と、明記していることであります。
加えて、オバマ新政権には、中国重視の姿勢を示したクリントン大統領時代のメンバーが多く登用されています。

 こうしたことから新政権が、中国重視の姿勢に傾くと見る向きもあります。
 拉致問題など様々な問題を抱える北朝鮮を隣国にする我が国として、オバマ政権が過度に対北朝鮮融和に傾かないよう、日本の立場を理解してもらう必要もあります。
総理にオバマ新政権の米国との関係構築に向けたご所見について伺います。

 また、オバマ大統領は、イラクからアフガニスタンへと兵力を移行する考えであります。我が国に対しても、アフガニスタン本土への自衛隊派遣を含む人的支援を積極的に求めてくると考えますが、この点についてのご所見を伺います。
 米国の優位性が低下していく中、軍事費が二十年連続で二桁増の伸びを示し、航空母艦の建造も検討している中国の軍事拡張の動きは、大きな脅威になりかねません。中国は、昨年の日中合意にも関わらず樫ガス田の単独開発を継続するなど、東シナ海における海洋権益を拡大する姿勢も変わっておりません。

 中国をはじめ近隣諸国と友好な関係の維持・発展に努めることは重要でありますが、自由や民主主義といった価値観を共有するインドなどとの関係強化も同時に図っていかねばならないと考えます。外務大臣時代、「自由と繁栄の弧」という極めて戦略的な外交方針を示された麻生総理の外交手腕に期待しております。
 総理に対アジア外交の基本方針を伺います。

(吉田訓示)
 私はかつて防衛大学校に籍をおきました。大江健三郎氏に防大生は日本の若い世代の恥辱だと言われた頃であります。その時に初代校長、槇校長は武士の道として服従の誇りを説きました。「校長は軍人ではなく、民間人から選ぶ」という時の吉田茂首相の方針で任命された校長でした。

 その吉田首相は、卒業式で「諸君は自衛隊在職中、決して国民から感謝されることも、歓迎されることもなく、自衛隊を去ることになるかも知れない。あるいは非難と誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労なことだと思う。
 しかし、自衛隊が国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されての国家存亡の時や、災害派遣の時など、国民が困窮し国家が混乱に直面する時だけである。
 言葉をかえれば、君達が日陰者である時の方が、国民や日本が幸せなのだ。耐えてもらいたい。
 自衛隊の将来は君達の双肩にかかっている。しっかり頼むよ」と訓示をされました。
 田母神論文が物議を醸し、シビリアン・コントロールの在り方について、改めて議論がなされる今日、吉田首相のお孫さんである総理が、今、防大生に訓示をなされるとすれば、どのような訓示をされるか、是非お聞きをしてみたいと存じます。

(ソマリア海賊対策)
 次に、ソマリア海賊対策について伺います。
 昨年のソマリア沖における海賊事件は、百十一件起きており、前年比約二・五倍と急増しています。
 現在、二十近くの国・機関が、軍艦等を派遣して哨戒活動・護衛を実施しておりますが、国際社会に責任を有する我が国として、また自国の船を守るためにも、手を拱いているわけには参りません。
 海上警備行動は本来、海上保安庁が対処できない危機の際に、海上自衛隊に出動を命じる措置であります。
 海上警備行動が発令された場合、自衛官の武器の使用は、警察官職務執行法の範囲内で行うとされています。
 人に危害を与えることが許される武器使用については、「正当防衛」が求められるのですが、それで対応できるか心配をします。
 海賊は自動小銃、機関銃、ロケット砲で重武装し、複数の高速艇で襲いかかっております。
 そこに「行け」というのであれば、国際基準に則った適切な武器使用を認めるべきではないでしょうか。そうでなければ、「国際社会の一員として、他国と連携して頑張ってこい」とは言えませんし、派遣される隊員の安全も確保されません。総理の御所見を伺います。

 併せて、集団的自衛権の行使について、これを禁じている内閣法制局の憲法解釈をこの際見直すお考えはないか、お尋ね致します。

(年金担当大臣)
 来年度社会保障関係費は約二十四兆八千三百億円で、一般歳出の約半分を占めます。
 これだけ巨額の予算を差配する大臣は厚生労働大臣一人です。
 ここ数年、国民に多大な不安を与えている年金問題に加え、昨年からは経済不況もあり深刻な雇用問題が発生し、難問山積の中、社会保障全般に関する諸問題に対応するのには、無理が生じています。

 国民の皆さんの生活不安を払拭するためにも、年金担当大臣を別に置かれたら如何でしょうか。総理のお考えを伺います。
 この際、社会保障番号に対する総理のお考えもお聞かせ下さい。番号があれば、年金問題の幾つかは、発生しなかったと思いますので、お尋ねを致します。

(国民負担率)
 中期プログラムで、「中福祉・中負担」の社会を目指すとされました。
 この中福祉・中負担の具体的な姿をどう描いておられるのですか。
 総理は「国民に必要な負担を求めます」と断言されました。現在の我が国は中福祉なのか。中負担の国民負担率を、総理は、何パーセントとお考えなのかお答え下さい。

(やねだん)
 総理は「やねだん」と申し上げて、すぐお分かりになりますか。
 おととし、「あしたのまち・くらしづくり活動、内閣総理大臣賞」を受賞していますので、ご存知かもしれませんが、あらためて紹介したいと思います。

 「やねだん」とは私の故郷、鹿児島県柳谷にある小さな集落の通称ですが、十年ほど前までは、人口三百人、その四割が六十五歳以上という高齢化、過疎化した集落でした。
 しかし新しい自治公民館長が就任したのを契機に、集落総出のサツマイモの栽培、土着菌を使った土作り、オリジナル焼酎造りなど、地元の特産品の開発を成功させました。
 その結果、平成十八年には、全世帯に一万円のボーナスを支給できました。
 また、空き家を整備してアーティストを募集し、定住してもらうなど様々な取り組みを成功させてきました。
 地域再生を文化活動にまで高めた結果、Uターンする人も出てきました。また赤ちゃんも生まれました。まさに故郷を再生させたのであります。

 ここまで住民を動かした原動力は、中心になった方の強烈な自立意識であります。数々の感動的な言葉を述べておられます。
「財源を外に頼っていたのでは、特に補助金を頼っていたのでは感動もありません。集落民の企画能力を発揮する場がなくなる」

「過疎地だから、高齢者の集落だから、とあきらめるなんて野暮だよね。生きている以上、魂を使わなきゃ。」
 暗い話ばかりが聞かれる昨今、勇気をもらう気持ちが致します。総理、一度、「やねだん」に来られませんか。これはお誘いであります。
 総理は、我が国の新たな成長戦略の一つに「魅力ある地域」の策定を挙げられました。地域活性化に向けてのご所見を伺います。

(大久保利通)
 昨年の質問で、私はNHKの大河ドラマ「篤姫」について触れました。
篤姫の中でも登場します大久保利通は、参議に就任を致します時に、「此の難を逃げ候こと、本懐にあらず」としたためました。
 国家の為に命を投げ出すことを覚悟したのであります。
 そして、明治十一年、殺害の予告を受けていながらいつもの道を護衛もつけずに従者だけを連れて通り、紀尾井町で果てました。西郷からの手紙を懐にした覚悟の最後であったと言われています。

 明治の志士達の、国の為には、金も名誉も要らない、命も要らない、というひたむきな情熱に感動を覚えます。
 この大久保の血を引いておられる総理の日本国に懸ける思いをお聞きして、私の質問を終わります。

shige_tamura at 13:44│Comments(0)TrackBack(1)clip!自由民主党 

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1. 篤姫VOL..2  [ 篤姫 ]   2009年01月30日 14:33
ブログのランキングサイトなんか調べて見ると、ここにも篤姫について書かれた記事沢...

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