2009年01月26日
加藤良三氏(日本プロ野球コミッショナー、前駐米大使)の講演、その6

6. 情報の重要性
私の古巣であった外務省には、何人かは素晴らしい人がいて、いろんなことに危機感を持つ。その中の一人が持っていた危機感は情報についてです。日本では、湯水だけでなく、情報もただなんですね。
情報というものは、本来の国家目的のためにどう使われるべきかということを離れて、全然別の目的のために切り売りされているという印象を持ちます。
その私の後輩曰く、日本の情報のシステムはクラゲ型ですね、ぶよぶよとしていて一つ一つの触手は刺すのですが、それらを統合する中央の頭脳(central brain)がないなと。全くその通りです。漏れるべきでない情報が漏れて、伝わるべき情報が総理に伝わらない。
おそらく官民の別なしに、そうだと思います。情報に対する緊張感が薄れているのです。
中国の政治体制、中国の行動をどう評価するかは別にして、中国には情報というものについての緊迫感、緊張感があると思います。日本は情報に対する感覚が弛緩しています。この辺が戦争と絶縁したことが不可避的にもたらした負の面だと思っています。