2009年01月06日

日本でいちばん大切にしたい会社(坂本光司著、あさ出版)(その2)

日本日本でいちばん大切にしたい会社について、
この個所を読んで泣けました。

 障害者の方々がほめられ、役立ち、必要とされる場をつくりたい
 日本理化学工業株式会社

 五〇年前に知的障害をもつ二人の少女を、「私たちみんなでカバーしますから」という社員たちのたっての願いで採用した日本理化学工業。今、この会社の障害者雇用率は、社員の七割に及んでいます。
会社は、売上げを上げるために、利益を上げるために存在しているのではありません。
 本当に人々に必要きれ、社員たちも誇りをもって働くことができる、その結果、みんなが幸福を感じることができる、そんな会社になるために存在しているのです。

 社員の七割が障害者の会社

 従業員約五〇名のうち、およそ七割が知的障音をもった方々で占められている神奈川県川崎市のその会社は、多摩川が近くに流れる、静かな環境のなかにあります。
 この会社こそ、日本でいちばん大切にしたい会社の一つです。昭和十二年(一九三七)に設立された「日本理化学工業」は、主にダストレスチョーク(粉の飛ばないチョーク)を製造しており、五〇年ほど前から障害者の雇用を行っています。
 そもそものはじまりは、近くにある養護学校の先生の訪問でした。昭和三十四年(一九五九)のある日、一人の女性が、当時東京都大田区にあった日本理化学工業を訪ねてきたそうです。
 「私は養護学校の教諭をやっている者です。むずかしいことはわかっておりますが、今度卒業予定の子どもを、ぜひあなたの会社で採用していただけないでしょうか。大きな会社で障害者雇用の枠を設けているところもあると聞いていますが、ぜひこちらにお願いしたいのです」
 障害をもつ二人の少女を、採用してほしいとの依頼でした。
 社長である大山泰弘さん(当時は専務)は悩みに悩んだといいます。
 その子たちを雇うのであれば、その一生を幸せにしてあげないといけない。しかし果たして今のこの会社に、それだけのことができるかどうか・・・。そう考えると自信がなかったのです。
 結局、「お気持ちはわかりますが、うちでは無理です。申し訳ございませんが・・・」
 しかしその先生はあきらめず、またやって来ます。また断ります。またやって来ます。
 それでも断ります。
 三回目の訪問のとき、大山さんを悩ませ、苦しませていることに、その先生も耐えられなくなったのでしょう、ついにあきらめたそうです。しかしそのとき、「せめてお願いを一つだけ」ということで、こんな申し出をしたそうです。
 「大山さん、もう採用してくれとはお願いしません。でも、就職が無理なら、せめてあの子たちに働く体験だけでもさせてくれませんか?そうでないとこの子たちは、働く喜び、働く幸せを知らないまま施設で死ぬまで暮らすことになってしまいます。私たち健常者よりは、平均的にはるかに寿命が短いんです」
 頭を地面にこすりつけるようにお願いしている先生の姿に、大山さんは心を打たれました。「一週間だけ」ということで、障害をもつ二人の少女に就業体験をさせてあげることになったのです。

 「私たちが面倒をみますから」

 就業体験の話が決まると、喜んだのは子どもたちだけではありません。先生方はもちろん、ご父兄たちまでたいそう喜んだそうです。
 会社は午前八時から午後五時まで。しかし、その子たちは雨の降る日も風の強い日も、毎日朝の七時に玄関に来ていたそうです。
 お父さん、お母さん、さらには心配して先生までいっしょに送ってきたといいます。親御さんたちは夕方の三時くらいになると「倒れていないか」「何か迷惑をかけていないか」と、遠くから見守っていたそうです。
 そうして一週間が過ぎ、就業体験が終わろうとしている前日のことです。
 「お話があります」と、十数人の社員全員が大山さんを取り囲みました。
 「あの子たち、明日で就業体験が終わってしまいます。どうか、大山さん、来年の 四月一日から、あの子たちを正規の社員として採用してあげてください。あの二人の少女を、これっきりにするのではなくて、正社員として採用してください。もし、あの子たちにできないことがあるなら、私たちがみんなでカバーします。だから、どうか採用してあげてください」
 これが私たちみんなのお願い、つまり、総意だと言います。
 社員みんなの心を動かすほど、その子たちは朝から終業時間まで、何しろ一生懸命働いていたのです。
 仕事は簡単なラベル貼りでしたが、十時の休み時間、お昼休み、三時の休み時間にも、仕事に没頭して、手を休めようとしません。毎日背中を叩いて、「もう、お昼休みだよ」「もう今日は終わりだよ」と言われるまで一心不乱だったそうです。
 ほんとうに幸せそうな顔をして、一生懸命仕事をしていたそうです。

 誰でも何かの役に立ちたい

 社員みんなの心に応えて、大山さんは少女たちを正社員として採用することにしました。
 一人だけ採用というのはかわいそうだし、何よりも職場で一人ぼっちになってしまいやすいのではないか、二人ならお互い助け合えるだろうということで、とりあえず二人に働いてもらうことになりました。
 それ以来、障害者を少しずつ採用するようになっていきましたが、大山さんには、一つだけわからないことがありました。どう考えても、会社で毎日働くよりも施設でゆっくりのんびり暮らしたほうが幸せなのではないかと思えたのです。
 なかなか言うことを聞いてくれず、ミスをしたときなどに「施設に帰すよ」と言うと、泣きながらいやがる障害者の気持ちが、はじめはわからなかったのです。
 そんなとき、ある法事の席で一緒になった禅寺のお坊さんにその疑問を尋ねてみたそうです。

 するとお坊さんは
「そんなことは当たり前でしょう。幸福とは、/佑飽Δ気譴襪海函↓⊃佑砲曚瓩蕕譴襪海函↓人の役に立つこと、た佑防要とされることです。そのうちの⊃佑砲曚瓩蕕譴襪海函↓人の役に立つこと、そしてた佑防要とされることは、施設では得られないでしょう。この三つの幸福は、働くことによって得られるのです」
と教えてくれたそうです。
 「その四つの幸せのなかの三つは、働くことを通じて実現できる幸せなんです。だから、どんな障害者の方でも、働きたいという気持ちがあるんですよ。施設のなかでのんびり楽しく、自宅でのんびり楽しく、テレビだけ見るのが幸せではないんです。真の幸せは働くことなんです」
 普通に働いてきた大山さんにとって、それは目からウロコが落ちるような考え方でした。
 これは、働いている多くの人たちも忘れていることかもしれません。それを障害者の方によって教えられたのです。
 それとほぼ同時期のこと。テレビを見ていた大山さんの目に、「カバ園長」と親しまれていた上野動物園の西山登志雄さんの姿が飛び込んできました。そのとき西山さんはこんな話をしていたそうです。
 「最近の動物園の動物は、自分の子どもを育てないのです。どうしてだろうと考えてみたのですが、どうやらオリの中でエサを与えられていると、子どもを育てるという本能を見失ってしまうようです」
 つまり、それは、「なんのために生きているのか」を見失っているのと同じことではないか?そう思いあたり、大山さんは衝撃を受けました。

 この二つの言葉によって、大山さんは「人間にとって“生きる”とは、必要とされて働き、それによって自分で稼いで自立することなんだ」ということに気づいたそうです。
 「それなら、そういう場を提供することこそ、会社にできることなのではないか。企業の存在価値であり社会的使命なのではないか」
 それをきっかけに、以来五〇年間、日本理化学工業は積極的に障害者を雇用し続けることになったのです。

(略)
 能力に合わせて作業を考え、その人に向いている仕事を与えれば、その人の能力を最大限に発揮させることができ、決して健常者に劣らない仕事ができることがわかったそうです。そうやって創意工夫を繰り返していきながら知的障害のある人を採用し続け、それが五〇年にもなったのです。
 採用の基準は、自分の身の回りのことができること、返事ができること、一生懸命仕事をし、まわりに迷惑をかけないこと。
 そんな子どもたちは親切な子が多いそうです。そこで、ある程度のレベルに達したらリーダーにすることで、それぞれのモチベーションが高まるといいます。

(*本当にためになり良い本です。)

shige_tamura at 12:04│Comments(2)TrackBack(0)clip!本の紹介 

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この記事へのコメント

1. Posted by 株式会社 ブログウォッチャー   2010年11月10日 13:59
突然の御連絡、失礼いたします。
(株)ブログウォッチャー編集部の馬場と申します。

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弊社は株式会社リクルートのグループ会社でして、ブロガー様とのご連絡を代行させて頂いております。また、ブログなどの口コミを活用したwebサイト制作を行っています。

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株式会社 ブログウォッチャー
編集部 馬場  bizravel@blogwatcher.co.jp



2. Posted by shige_tamura   2010年11月10日 15:36
> 突然の御連絡、失礼いたします。
> (株)ブログウォッチャー編集部の馬場と申します。
>
> 急な御案内で恐縮ですが、
> 「日本でいちばん大切にしたい会社」の書評ブログ記事を株式会社リクルートエージェントの公式コミュニティサイト「BizRavel」http://bizravel.r-agent.co.jp/
> に掲載させて頂きたく、御連絡差し上げています。
> 弊社は株式会社リクルートのグループ会社でして、ブロガー様とのご連絡を代行させて頂いております。また、ブログなどの口コミを活用したwebサイト制作を行っています。

どうぞ掲載してください。
田 村 重 信
>
> ブログ更新、投稿義務などブロガー様への御負担は一切ございません。
> この掲載が貴方殿のブログへの集客口として貢献できれば幸いだと考えております。
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> 2010年11月12日(金)までに
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>
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