2008年12月22日

世界恐慌の襲来(高橋乗宣著、東洋経済新報社)

高橋 この本は、日本及び世界経済のことを分かりやすく説明した良い本だ。
 経済が悪くなる話が多いなかで、日本の将来の明るさを述べている最後の箇所を引用したい。


世界一の独創性で日本は輝き続ける

 かつては、海外から日本企業に対して「他国のサルマネをするばかり」「加工するのはうまいが独創性がない」などの批判がされていた。外国人だけでなく、日本人の間でもそうした説が信じられていた。それが悪質な偏見にすぎなかったことは歴史が証明した。
 身近な例として挙げられるのがゲームメーカーの任天堂だ。若者の男性が大半を占めていたゲーム市場に、女性や高齢者も含めて家族全員が楽しめる携帯型ゲームの「ニンテンドーDS」や据え置き型ゲームの「Wii(ウイー)」を開発、投入して全世界でヒットさせた。
 テレビゲームを世界で初めて作ったのは任天堂ではない。しかし、既存ユーザーのニーズに応じた製品開発から一歩進んで、いままでだれも思いつかなかったゲームの遊び方を生み出し、まったく新た市場を開拓した。これが独走性でなくて何だろうか。
 文化や感性という点では、アニメーションやマンガの世界への浸透はすっかり有名になった。マンガ好きを公言して人気を集めた首相まで誕生したほどだ。ほかにもニコリが作っているパズルの「数独」は世界的な愛好者がいるなど、日本発の感性も大きな市場価値を持っている。

 日本のサービスに関する質の高さの証明として、いま「OMOTENASHI(おもてなし)」という言葉が世界共通語になろうとしている。
 ほかにも世界這多い。環境やナノテクノロジー、エネルギー、ものづくり(製造技術)、社会基盤関連の各分野での日本の特許登録件数は米国や欧州を抑えて世界一となっている。
 エネルギ一分野で研究が進んでいるのがメタンハイドレートに関する研究だ。天然ガスの主成分であるメタンと水分子が結びついて固体化したもので、「燃える永」と呼ばれる。
 主に海底に存在し、なかでも日本近海は、日本の天然ガス消費量100年分に相当する世界有数の埋蔵量を誇ると言われている。開発、実用化に成功すれば、日本は一躍エネルギー大国に変身する可能性があるのだ。
 静脈や指紋による生体認証の研究も日本が最先端だ。変わったところでは日本が発祥で世界に広がったカラオケについても音響や選曲に関する技術の研究が行われている。

 環境ビジネスで注目されているのは太陽電池や燃料電池などで、これはエネルギー問題にも密接に関係するだけに、日本としては負けられない分野だ。
 医療の分野で最も注目さているのが、京都大学の山中伸弥教授のグループが手がけるiPS細胞(人工多能性幹細胞)だ。将来的に再生医療への応用のほか、これまで治療法のなかった難病のメカニズムを解明する際にも役立つと期待されている。
 諸外国に比べて遅れていると思われがちな日本の農業も、大きなチャンスを秘めている。

 品種改良や栽培技術でおいしい果物や野菜、米を作る技術は世界トップクラスだ。技術、ノウハウや、付加価値の高い商品の輸出で新たな市場を開拓する可能性もある。
 日本のものづくりを支えているのはトヨタ自動車やパナソニックなど大企業だけではない。中小企業の技術が土台になっているのだ。
 英国の高級車ジャガーや米アップル、日本のシャープやソニーなどの製品ロゴを手がける「テフコ青森」は青森県弘前市に、光ディスクの修復装置で世界シェアをほぼ独占している「エルム」は鹿児島県南さつま市に、自動車用ガラス研磨機で世界シェアトップの「坂東機工」は徳島市にある。ほかにも世界市場をリードする中小企業は枚挙にいとまがないほどだ。


貿易立国日本にとっての最悪のシナリオ

 ただ、欧米に比べ、技術力やソフトカで優位に立っているからこそ、日本は積極的に門戸を開いてゆくべきだ。外に向かって日本が開かれている限りにおいては大丈夫だろうが、逆に、みずから自分で門戸を閉ざしてしまった場合は、苦境に陥るのは間違いない。製造業による輸出主導型の日本は、他国と貿易しないことには生きてゆけない。自由貿易を進めれば進めるほど、日本だけでなく貿易の相手国にとってもメリットが大きくなる。

 日本にとって、一番怖いシナリオは、貿易立国である日本が、世界の主要な通商ブロックから締め出されてしまうことだ。
 米国の力が後退しグローバル経済が終焉することになった場合、世界の貿易システムが、いくつかの主要な通商ブロックに別れる状況はたぶんに予想できる。その際、中国やロシアといった強国から日本が締め出されてしまうこと、これが考えられうる最悪のシナリオだろう。円が事実上、他国通貨との交換性を失ってしまうためだ。
 世界経済が危機に直面し、自国本位の方向へ向かうことが懸念される時代にあって、日本が果たせる役割は何か。それは一にも二にも、各国の通商ブロック化や貿易に関する規制を排除し、自由貿易システムの堅持に尽力することだ。これはもちろん日本のためにもなるし、ひいては世界の経済を発展させることになる。

 日本は遣隋使の時代から他国との貿易で国を栄えさせてきた。これだけ国家間の相互依存が進んだ現在では、江戸時代のように鎖国をして持ちこたえられる状況ではなくなっている。金融恐慌で世界全体が信用収縮を起こしている時代だからこそ、日本は自由で開かれた国際社会のためにリーダーシップを発揮しなければならないのである。

shige_tamura at 09:39 │Comments(1)TrackBack(0)clip!本の紹介 

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この記事へのコメント

1. Posted by d.o    2008年12月22日 22:34
ブログの記事の趣旨と異なる書き込みで大変申し訳ありませんが、1人でも多くの人に知っていただきたいことがあります。

先日国会で成立した改正国籍法についてご存じでしょうか?
日本国民のアイデンティティとも言える国籍を信じられないほど軽んじるとんでもない法です。
しかも、国民がほとんど知らないうちにこっそりと。
今まで、政治に興味のなかった私が、最近知って本当に驚いてしまいました。
この法の日本という国、国民、社会、生活を根本から変えかねない危険性、問題点については国籍法で検索すればすぐ分かります。

日本国籍を不正に取得した偽装日本人が数年で激増し、このままではおおげさでなく日本が滅びます。

ふつうの日本人なら激怒するはずです。
私は心の平静が吹っ飛んでしまい、不安で不安で仕方ありません。
なんとか皆さんに知っていただくために失礼を承知のうえで書き込みさせていただきました。
参考
国籍法wiki  http://www14.atwiki.jp/shinkokuseki/

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