2008年10月27日
民主党の様変わり
花岡信昭メールマガジン★★636号[2008・10・25]から、<<民主党の様変わり>>【産経連載コラム「政論探求」21日付・再掲】を掲載します。
野党が政府与党を追い込む手法としては、国会審議のサボタージュが定番だった。いま、民主党はまったく逆である。審議促進に躍起になっている。
補正予算も関連法案も賛成、インド洋での海上自衛隊の給油支援継続も「容認」、空席の日銀副総裁人事も認めるという。
一時は「何でも反対」の旧社会党のようだといわれたのが、「何でも賛成」派に転じたようだ。すべては、衆院の早期解散を引き出すためである。
もっとも、インド洋の給油支援のための新テロ特措法改正案については、衆院可決、参院否決、衆院で3分の2の賛成で再可決という手順をスピーディーに進めることを認めるというもので、法案そのものには「反対」だ。
昨年はこの法案を野党多数の参院で棚上げするという手を使った。このため派遣期限が切れて、自衛隊の補給艦はいったん帰国、再可決に60日間必要であるため、臨時国会が越年となった。
民主党は「インド洋での支援は憲法違反だ」として反対したはずだったのだが、今度は、事実上、容認することになる。憲法違反と断じるほどの重大案件と認識しているのであれば、この変身ぶりをどう見たらいいのか。
民主党は次期総選挙で政権奪取をねらっている。政権の座についたら、補給艦をまた帰国させるのか。「外交・安保は水際まで」というのは、基本的な外交・安保政策ではほとんど同じ土俵に乗ることが政権交代の前提条件、という意味だ。
インド洋の場合、補給艦を出したり引っ込めたりしたら、国際社会の笑いものになるのは必定だ。民主党内にもインド洋での支援に賛成する意見があるのだが、小沢一郎代表の「ツルの一声」で封じられている。
政府提出の予算案への賛否を小沢代表に「一任」したというのも、公党のあり方としては疑問が残る。党内論議を経て党の最高意思決定機関(常任幹事会)で決めるのがスジではないか。
初の本格的な「政権選択選挙」を迎えるに当たって、民主党の「民主度」が気になる。
<<解散は先送りか>>
【時事通信コメントライナー24日付・拙稿】再掲
◆外交日程、次々と
衆院解散をめぐる与野党の攻防は大詰めを迎えているが、ここへきて解散先送りの公算が強まってきた。「11月初めまでの解散、11月30日総選挙」が現時点で残された唯一の解散時期のタイミングのようで、麻生首相としては、これをしのぐと予算の年内編成をタテに解散越年に転じる可能性が濃い。11月15日にワシントンで金融危機打開のためのG20首脳会議の開催が決まったことも大きい。首相はこのほか、11月22−23日・APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議(ペルー)、12月6−7日・日中韓首脳会議(福岡)、12月17日・EAS(東アジア首脳会議、バンコク)など、次々に外交日程を組み込んでいる。
◆民主の審議促進戦術、肩透かしも
これに対して、早期解散を引き出そうとする民主党は、補正予算賛成、インド洋での海上自衛隊の給油支援継続の事実上の容認、日銀副総裁人事承認など、これまでの「何でも反対」を一変させ、国会審議の促進に躍起だ。給油支援継続法(新テロ対策特措法改正案)は昨年は参院でたなざらしにして補給艦の一時帰国を余儀なくさせたのだが、今回は、衆院再可決を早々と認める方針を打ち出し、今月30日に成立する見込みだ。国会審議をスピードアップさせ、解散に応じようとしない首相を追い込もうという作戦だが、解散権は首相の専権事項で、審議促進戦術が功を奏すかどうかは不透明な状況になってきた。
◆自民に厳しい選挙情勢
首相が解散先送りに傾いているのは、選挙情勢調査の結果がどうにも思わしくないためだ。新政権誕生のご祝儀効果が残っているうちに一気に解散・総選挙という当初の構想はすでに破綻した。現状ではあらゆる調査を総合すると、自公与党で過半数確保がやっとという情勢のようで、首相としては敗北の危険を回避、金融危機対応を最大の理由として解散先送りが得策という判断に至ったとされる。民主党側は選挙事務所を設置した候補も多く、「カネが続かない」という悲鳴が現場から噴出しており、資金的には優位にある自民党としては、これも解散先送りの有力な理由となっている。
野党が政府与党を追い込む手法としては、国会審議のサボタージュが定番だった。いま、民主党はまったく逆である。審議促進に躍起になっている。
補正予算も関連法案も賛成、インド洋での海上自衛隊の給油支援継続も「容認」、空席の日銀副総裁人事も認めるという。
一時は「何でも反対」の旧社会党のようだといわれたのが、「何でも賛成」派に転じたようだ。すべては、衆院の早期解散を引き出すためである。
もっとも、インド洋の給油支援のための新テロ特措法改正案については、衆院可決、参院否決、衆院で3分の2の賛成で再可決という手順をスピーディーに進めることを認めるというもので、法案そのものには「反対」だ。
昨年はこの法案を野党多数の参院で棚上げするという手を使った。このため派遣期限が切れて、自衛隊の補給艦はいったん帰国、再可決に60日間必要であるため、臨時国会が越年となった。
民主党は「インド洋での支援は憲法違反だ」として反対したはずだったのだが、今度は、事実上、容認することになる。憲法違反と断じるほどの重大案件と認識しているのであれば、この変身ぶりをどう見たらいいのか。
民主党は次期総選挙で政権奪取をねらっている。政権の座についたら、補給艦をまた帰国させるのか。「外交・安保は水際まで」というのは、基本的な外交・安保政策ではほとんど同じ土俵に乗ることが政権交代の前提条件、という意味だ。
インド洋の場合、補給艦を出したり引っ込めたりしたら、国際社会の笑いものになるのは必定だ。民主党内にもインド洋での支援に賛成する意見があるのだが、小沢一郎代表の「ツルの一声」で封じられている。
政府提出の予算案への賛否を小沢代表に「一任」したというのも、公党のあり方としては疑問が残る。党内論議を経て党の最高意思決定機関(常任幹事会)で決めるのがスジではないか。
初の本格的な「政権選択選挙」を迎えるに当たって、民主党の「民主度」が気になる。
<<解散は先送りか>>
【時事通信コメントライナー24日付・拙稿】再掲
◆外交日程、次々と
衆院解散をめぐる与野党の攻防は大詰めを迎えているが、ここへきて解散先送りの公算が強まってきた。「11月初めまでの解散、11月30日総選挙」が現時点で残された唯一の解散時期のタイミングのようで、麻生首相としては、これをしのぐと予算の年内編成をタテに解散越年に転じる可能性が濃い。11月15日にワシントンで金融危機打開のためのG20首脳会議の開催が決まったことも大きい。首相はこのほか、11月22−23日・APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議(ペルー)、12月6−7日・日中韓首脳会議(福岡)、12月17日・EAS(東アジア首脳会議、バンコク)など、次々に外交日程を組み込んでいる。
◆民主の審議促進戦術、肩透かしも
これに対して、早期解散を引き出そうとする民主党は、補正予算賛成、インド洋での海上自衛隊の給油支援継続の事実上の容認、日銀副総裁人事承認など、これまでの「何でも反対」を一変させ、国会審議の促進に躍起だ。給油支援継続法(新テロ対策特措法改正案)は昨年は参院でたなざらしにして補給艦の一時帰国を余儀なくさせたのだが、今回は、衆院再可決を早々と認める方針を打ち出し、今月30日に成立する見込みだ。国会審議をスピードアップさせ、解散に応じようとしない首相を追い込もうという作戦だが、解散権は首相の専権事項で、審議促進戦術が功を奏すかどうかは不透明な状況になってきた。
◆自民に厳しい選挙情勢
首相が解散先送りに傾いているのは、選挙情勢調査の結果がどうにも思わしくないためだ。新政権誕生のご祝儀効果が残っているうちに一気に解散・総選挙という当初の構想はすでに破綻した。現状ではあらゆる調査を総合すると、自公与党で過半数確保がやっとという情勢のようで、首相としては敗北の危険を回避、金融危機対応を最大の理由として解散先送りが得策という判断に至ったとされる。民主党側は選挙事務所を設置した候補も多く、「カネが続かない」という悲鳴が現場から噴出しており、資金的には優位にある自民党としては、これも解散先送りの有力な理由となっている。




