2008年09月09日

小沢代表3選に対する新聞各紙の批判

小沢1 小沢代表3選について新聞各紙が批判している。
 特に、バラマキ政策に対する財源問題、外交安保政策への不安などである。
 以下、今朝(9日)社説を掲載する。


小沢民主党―政策づくりで結束を示せ(朝日新聞) 

(略)自民党政権への不満はあっても、では民主党でいいのか。民主党政権で大丈夫なのか。国民の不安に応えられる現実的で説得力のある政策と、それを実現させる覚悟を示せるかどうかだ。
 その意味で、小沢氏が発表した政策案は期待はずれだった。農業者や漁業者への所得補償など多額の財政支出を伴う政策を並べたのに、相変わらずその財源の輪郭さえはっきりしない。
 政治と行政の仕組みそのものをつくり替えれば、財源は十分あると小沢氏はいう。だが、それでは有権者に白紙委任を求めるのに等しい。きちんと全体像を描き、政権についたあと2〜3年間に何をどう実現していくのか、工程表くらいは示すべきだ。


小沢代表3選 マニフェストで覚悟を示せ(毎日新聞)

(略)重要なのはマニフェストだ。小沢氏は年金、医療制度の一元化など生活重視を掲げた基本政策を発表、記者会見では自公政権との違いとして官僚主導の打破を強調した。
 各種政策の財源について消費税を増税しなくても政府の無駄一掃で捻出(ねんしゅつ)は可能と改めて説明した。ならば、どんな政治主導の統治機構をイメージしているのか。必要な財源規模と積算根拠をどう見積もっているのか。より具体的で説得力のある説明を欠いたままでは、政権担当能力の証明には不十分だ。(略)


【主張】小沢氏3選 政権担うには説得力欠く(産経新聞)

 民主党代表に無投票で3選された小沢一郎代表が発表した政権構想の骨格は、説得力があるとは言い難い。具体的政策は政権奪取後に練り上げるという趣旨の説明では疑問点は解明されない。
 本来ならこうした疑問は代表選を通じた政策論争を深める中で解決の道筋が示されていくが、代表選が実施されなかったことでその機会が失われた。きわめて残念だ。民主党が政権を担える政党であるかどうかが引き続き問われる。小沢氏は21日の臨時党大会で骨格を肉付けした政権構想を示すが、日本をどうするかをもっと具体的に説明してほしい。
(略)
 問題は、農業、漁業者への所得補償制度創設や子供1人当たり月額2万6000円の手当支給などの財源である。小沢氏は「税金の無駄い根絶」を挙げ、「無用の予算がある。財源がないという議論は官僚の言い分を認めているだけだ」などと主張した。「行革ですべては賄えない」などは党内からも指摘されている。民主党政権にすべてを一任せよというだけでは国民は理解できまい。

 外交・安全保障では「強固で対等な日米関係」「国連の平和活動に積極的参加」を打ち出した。焦点は、インド洋での海上自衛隊による給油支援など、テロとの戦いに日本がどう関与するかだ。
 小沢氏は昨秋、給油支援は「憲法違反」と断じる一方、アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)参加を実現したいと月刊誌に寄稿した。だが、民主党が国会に提出したアフガン支援法案は停戦合意か治安の安定を前提としており、現実的ではない。小沢氏の主張は民主党内でどう整理されたのか、はっきりみえない。

 民主党は基本政策をめぐる論争を封じているのではないか。党内合意作りが難しいからだろう。
 先の国会での対決一辺倒の政局至上主義は国政の停滞と混乱を招き、党内からも異論が唱えられた。小沢代表の任期は2年間だ。政権交代を自己目的化するのではなく、国益や国民の利益をどう実現するかを明確に語るべきだ。


小沢代表3選 政権公約に説得力を持たせよ(読売新聞)

 小沢民主党に今、求められているのは、説得力のある次期衆院選の政権公約(マニフェスト)づくりである。
 そのためには、代表選では“封印”された本格的な党内論議を再び避けてはなるまい。民主党の小沢代表が無投票で3選された。複数の候補による政策論争がなかったのは残念だ。
 投票できなかった26万人超の党員・サポーターだけでなく、国民も、開かれた代表選を通じて、民主党の「首相候補」の政見や基本政策を聞きたかっただろう。
 民主党も、代表選の論争を通じて、政権公約の質を高めるとともに、国民の関心を集めることができたはずだ。
 党内では、世間の注目が自民党総裁選に集中し、自らの存在が埋没しかねない、との危機感が出ている。衆院選を前に党内に亀裂が残るとして、代表選を回避したことのツケとも言えよう。
 小沢代表が発表した政権構想は、税方式による最低保障年金制度、子ども手当、農家の戸別所得補償などが柱だ。昨夏の参院選公約とほとんど変わらない。
 小沢代表は「変わったらおかしい」と言うが、党内でも「政権をとった際、確実に実現できるよう、公約をしっかりさせることが必要だ」との意見が少なくない。
 参院選での民主党の大勝は、民主党の公約への積極的な支持よりも、年金記録漏れなど自民党の失策によるところが大きい、との見方が一般的だ。
 公約への信頼性を高めるには、財源の裏打ちが不可欠である。
 小沢代表の政権構想では、15・3兆円分の参院選公約に、2・6兆円を要するガソリン税の暫定税率廃止などが加わっている。
 「官僚が作った予算には、特別会計、道路財源など、目的外や不要なものがいっぱいある」という小沢代表の抽象的な説明だけでは、国民は十分納得すまい。財源の具体的な内訳を示すべきだ。
 政権構想は外交面で、「強固で対等な日米関係を築く」と強調した。インド洋にもイラクにも自衛隊を派遣しない党の方針と、果たしてどう両立させるのか。
 小沢代表は、インド洋での給油活動を「憲法違反」と決めつけるが、民主党内でも、その論理に賛成できない議員の方が多い。
 そうした党内の矛盾に加え、早期の衆院解散を視野に入れ、今後も党内論議を避ける力学が働く可能性は否定できない。だが、その問題を克服してこそ、国民に政権担当能力を示すことになる。


小沢氏も政策論争に参戦を(日経新聞)

(略)すべての年金制度の一元化や月額2万6000円の子ども手当の支給などを盛り込んだ基本政策案は、昨年7月の参院選の政権公約を基本的に踏襲したものだ。ガソリンと軽油にかかる暫定税率の廃止や、漁業者向けの所得補償制度の検討などの新たな施策も打ち出した。
 小沢氏は記者会見で「不要、無用の予算はいっぱいある」と述べ、財源の確保に自信をのぞかせたが、政策論争を深めるためにも、具体的な数字の裏づけのある財源を早急に示してもらいたい。昨年の参院選では子ども手当などの新規施策の実現に必要な財源を15兆3000億円と見積もっていたが、この額がさらに膨らむのは確実である。
 次期臨時国会での衆院解散の可能性が高まり、衆院選後に民主党を中心とする政権が誕生すれば、直ちに来年度の予算編成に臨まねばならない。説得力のある財源を示せるかどうかは、民主党の政権担当能力を占う試金石である。
 外交政策では「強固で対等な日米関係を築く」との表現を盛り込んだ。民主党はインド洋上での給油活動を延長する法案に反対する方針だが、日米関係への影響をどう考えているのだろうか。給油活動に代わる国際貢献策などについても小沢氏の対案を聞きたい。
 自民党総裁選では経済政策が大きな争点になる見通しだが、小沢氏の基本政策案では税制改革のビジョンなどが欠けている。今後の政権公約づくりの大きな課題である。

shige_tamura at 10:54│Comments(0)TrackBack(0)clip!小沢一郎 

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