2008年08月15日

小宮 隆太郎氏の「経済教室」

獅子写真は、スイス・ルツェンのライオン記念碑(フランス革命で戦死したスイス人傭兵を悼む記念碑)
 これは1792年8月10日、フランス革命の折、ルイ16世を守るため、チュイルリー宮で全滅したスイス人傭兵786人を悼んで天然の砂岩に刻まれた記念碑。(写真を拡大してみてください)


 日本経済新聞の「経済教室」60周年企画の「近未来を探る」は大いに勉強になった。その中で、8月14日の「経済教室」 小宮 隆太郎 日本学士院会員
―人口減・政府債務歯止めを―

から、これはという部分を紹介する。
 

 世界で起きる「悪いこと」は、たいていサッチャー元英首相、レーガン元米大統領と、その亜流の小泉純一郎元首相の「新自由主義」のせいだという。その片棒を近代経済学者が担いでいるといったたぐいの記述も見かける。
 
 私が調べた限り、「新自由主義」という言葉は、その本国であるはずの英国ではほとんど使われていない。ブレア前首相は、サッチャー改革をほとんどそっくり継承し、自らは「センターの左」の社会民主主義者だといって、優れた政策を様々に行った。その結果英国病から完全に脱却し経済は繁栄し、その所得水準は日独仏伊を追い越した。
(中略)
 サッチャーとブレアの下で英国経済がなぜ繁栄したのか、という三つの質問を呈したい。
(中略)
 国際機関が悪者なら、なぜ途上国の加入が増え、脱退は皆無なのか。


 昨今、独占資本を悪者にすることはやらない。そこで「新自由主義」や「市場原理主義」という新しい悪者の「わら人形」が仕立てあげられたのではないか。


 私は(中略)ただし多くの「小さな政府」論者と違い、社会保障に関する政府の役割は増大せざるを得ないと考えた。過大なのは、公共投資や「官産複合体」と私が名付けた第三セクター、天下りなどに象徴される、政府周辺の「金食い虫」「税食い虫」であった。
(中略)日本の現状には「亡国の兆し」が表れ始めたと思うようになりつつある。

 まず10年間に、日本の出生率は一段と下がったが、人口減少への危機意識は広がっていない。人口減少自体はそれほど深刻なことではないが、その速度があまり速いと、年金制度が破綻するだけでなく、財政一般、ことに「社会的基礎資本」の維持が困難になる。最近、過疎地で「限界集落」と呼ばれる現象がみられるが、これが中小都市を含む全国に広がるであろう。
 
 政府債務の面では状況は悪化し、官産複合体のスリム化はほとんど進んでいない。
 日本国債の格付けが下がってその金利上昇し、日本企業の借入金利も上がれば、日本の一流企業は欧米所在の子会社を本社にして、日本の本社のほうはその子会社になり、米ドルやユーロが主な取引通貨になるかもしれない。日本のトップクラスの学者や若者が外国に脱出し、日本の大学や研究所は「もぬけの殻」になる可能性がある。

 ところが、日本の政治家や政党は、政権(首相の座)に就くことだけに力を注ぎ、中長期的視野で日本の根本問題に取り組んでいるようには見えない。英国でサッチャー、メージャー、ブレアの三人が首相を務めた二十八年間に、日本の首相は実に十五人を数えた。サッチャーやブレアのような名宰相が日本にも現れて、日本の経済社会を蘇生させてくれないだろうか。


ーーということで、大いに参考になった。詳細は、新聞をお読みください。

「日本の政治家や政党は、政権(首相の座)に就くことだけに力を注ぎ、中長期的視野で日本の根本問題に取り組んでいるようには見えない。」が問題であり、政権交代をして何をするかが明確でないのが問題である。

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