2008年08月07日
転進 瀬島龍三の「遺言」(新井喜美夫著 講談社)
転進 瀬島龍三の「遺言」(新井喜美夫著 講談社)が出版された。 本の帯には、−昭和史が変わる歴史的証言!
海軍が隠蔽していた重大事実とは何か!?−
という衝撃的なものだ。
それとは、別に本の中には、
瀬島は(略)自分の意思を完全に殺すこともできない。ぎりぎりのところまで抵抗を試み、これ以上はまずいと思えば引くという身の処し方をしているうちに、考えずとも、引きどころと押しどころを察知する嗅覚が身に付いたのではないか。
そのことと関係があるのかどうかわからないが、瀬島は名コピーライターだった。
「転進」−これは瀬島が考案した言葉だ。
日本陸軍は「退却」を極度に嫌った。好戦的な辻政信などは、何があっても「前進」で、みすみすやられるとわかっていても、退却は許さなかった。
ただ猪突猛進するだけでは、戦いに勝てるはずがない。兵をみすみす殺すだけだ。そこで瀬島は、ガダルカナル撤退作戦に際し、辻に、「転進させましょう」と進言した。
「転進とは何か」と聞く辻に、「回って進むことです」と答えた。すると、辻は「進むのならいい」といったという。
自分の考えを通すために、瀬島は転進という言葉をひねり出したのだった。
日本人の特徴は、「先住民族を虐殺して、自分の国にしてしまったアメリカ人などと比べれば、はるかに優っている。文明では西洋に劣るが、人間的には優れている」というのが、瀬島の持論だった。
瀬島の思い描いた古き佳き日本人は、戦後教育の中で消滅しようとしている。瀬島には、「将来にわたって日本が一等国として存続するためには、人づくりこそが鍵を握っている。日本人の本来持っている美風を取り戻さなければならない」との思いが強くあったようである。
瀬島はどのような人づくりを理想としていたか。
「人づくりの目標は『立派な人』『立派な日本人』『立派な国際人』をつくることです。立派な人とは、道徳、知識、体力、情操、すなわち徳智体情を兼ね備えている人だと思います。立派な日本人とは、この国の歴史、伝統、文化をよくわきまえ、常に自分は日本人だと自覚している人だと思う。立派な国際人とは、その上に立ち、世界の中の日本という認識を踏まえて、外国と付き合える人です」
ーといった指摘がある。
これが瀬島氏の「遺言」であろう。
昔、大学時代に「和敬塾」という学生寮の講演会で瀬島氏から話を聴く機会があった。実に話が明快でわかりやすかった。それは、瀬島氏の話の進め方にある。
瀬島氏は、講演のはじめに、「これから3つのことについて話します。と言って、1つ・・・・2つ・・・と話を始め、具体的な内容について話を進める。
そして、最後に、「今日の話の内容は、1つ・・、2つ・・でした」と締めくくられた。
その情景が、目を閉じると、「和敬塾」の演壇で、1つ・・・という、瀬島氏の明快な話が、今でも鮮明に蘇ってくる。












