2008年07月04日

マイケル・グリーン氏の講演録(その7、終わり)

田村  去る6月11日、「日米同盟について」というテーマで、マイケル・グリーン氏・米国CSIS(戦略国際問題研究所)日本部長、元NSC上級補佐官が、自民党本部で講演した。
 以下、講義録(その7、終わり)を記載する。


 この原因はどこにあるかというと簡単なんです。
 僕は福田総理もだいぶ前から知っていてとても尊敬していますけれども、ブッシュ大統領も今でもすごく支持していますけれど、客観的にみれば、低支持率等にみられるように、両国の政権の弱さが問題の原因じゃないかと思うのです。
 
 日本はねじれ国会、米国もある意味でねじれ議会、民主党は過半数をもっているし、民主党の中の、米国の民主党、まあ、日本の民主党もそうですけど、米国の民主党内の調整もうまくいきません。
 ですから私はこれが短期的な脅威だと思うんですが、次期政権、オバマ政権になってもブッシュ政権になっても、日本は中谷政権(隣に中谷元議員がいたため)になっても、どの政権になってもですね、何らかの形で”Yes, We Can”と言える日本を作らなければいけないのですよ。

 ”Yes, We Can”の日米関係。
 オバマさんのキャンペーンスローガンは”Yes, We Can”だから、マケインの支持者としては引用してはいけないかも知れないですけど、”Yes, We Can”「できますよ」という日米安保、日本側が「何でもできますよ」と言うのでなくて、一緒に「できますよ」と言う前向きなアジェンダを考えるべきと思います。

 今回来日して皆さんの意見やいろいろな話を聞いて、このアジェンダに何が入るかを考えてみましたが、例えば地球の温暖化問題で中国とインドの架け橋外交をやるとか、国際システムの構造(「アーキテクチャ」)を編成すべきです。
 マケインは「ロシアは民主主義でないから、G8からロシアを排除すべき」と言っていますが、これは難しいかも知れない。しかし他にもいろいろな考え方があって、G8にBRICsを入れるという案もあります。
 30年前にG6ができたときには、経済大国イコール民主主義国家でしたが、現在はそうではなくて、ロシアや中国があり、経済大国は独裁国でもありますから、選択しなければなりません。

 私が最近考えているのは、個人的意見ですが、G8を拡大してBRICsを入れて、経済システムの遅れの調整などをテーマとしてやる。又別の場で、民主主義国家の調整、日本、EUを中心として会議を持つ。
 とにかく構造(「アーキテクチャ」)の編成が必要です。
 これは法案でなくても、ねじれ国会でも外国に貢献できる手段だと思います。

 また、開発援助は、日本にも米国でもあまり人気はないですが、これから開発援助の戦略性も考えなければならない。
 なぜかというと国民の支持はうすく、対して中ロは条件なく、民主主義国家でなくても開発援助を出しています。民主主義側は、開発援助に対する自国民の支持、開発途上国の安定、発展などを考えて、新しい開発援助の哲学が必要だろうと思います。

 ヨーロッパは、例えばブレア首相やサルコジ大統領は開発援助を倍増する、といった「夢」を語っていますが、そうでなくて中身を再検討すべきです。
 日米が中心となる開発援助の新しい枠組みを考えるのが一つの良いアジェンダかも知れません。

 最後は自衛隊、日米安保ですが、20年前この部屋に座って、スパイ防止法についての議員の皆様の話を聞いて、20年経った現在、まだスパイ防止法はまだできていないようですが、情報保全のための法律は、日本の国益、日米安保に資するというのが一つ。

 それから、「一般法」があればいいのですが、政治的には1、2年間は非現実的かも知れませんが、どこかで自衛隊の「旗」を立てることが必要です。
 非現実的かも知れませんが、例えば、アフガンのPRTに日本が参加する、本当は自衛隊だけでなくJICAとかNGOの民間人も参加しなければならないですが。
 今は100人ぐらい日本の民間人が活躍していますが。

 あるいは、例えばC-130は今イラクで活躍しているが、政治的に可能であれば、自衛隊の存在を見せる必要があります。
 今、自衛隊はPKOで約30人ぐらいが海外に行っているんですよね。
 中国は2,000人ぐらいです。もう少し日本の自衛隊の存在そのものを見せる必要があると思います。

 いくつかの例があると思いますが、ここで終わらせていただきたいと思いますが、このようなアジェンダセッティングは新政権が始まる前に議員の皆さんにお願いして、お互いに考えなければならないと思うのです。
 今のねじれ国会で非現実的ならばそう言ってもらいたいです。
 現実的な戦略を考えなければならない、”Yes,We Can”の日米関係を考えねばならない、という前向きな姿勢を取らなければならないと思います。

 どうもありがとうございました。

shige_tamura at 09:23│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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