2008年06月27日

マイケル・グリーン氏の講演録(その3)

田村  マイケル・グリーン氏の講演録(その3)
 去る6月11日、「日米同盟について」というテーマで、マイケル・グリーン氏・米国CSIS(戦略国際問題研究所)日本部長、元NSC上級補佐官が、自民党本部で講演した。
 以下、講義録(その3)を記載する。
 

 それから二人とも頭が良くて本当の政策の議論になると思いますが、そこでアジアはどういうふうに議論になるかというテーマに入りますが、実は戦略的に米軍にとってアジアはものすごく重要なのですが、ただ選挙のテーマとしてはあんまり出てないのですね。
 いま経済、それから油の値段、イラク、イランなどが一番のテーマになっていますが、アジア外交は実はオバマさんの考え方とマケインさんの考え方はそれほど変わらないんですよ。

 実はオバマさんのアジアのアドバイザーは、例えば皆さんご存じかもしれませんが、ブルッキングス研究所のベーダーさんとか、優秀な中国の専門家とか、今度皆さんが良く知っているカート・キャンベルさんがヒラリーキャンプから亡命して今度オバマさんの国防のアドバイザーになるのですが、
 ご存じのように日本に詳しい人、アジアの戦略のわかっている人、だいたいブッシュ政権にアーミテージさんがいましたが、彼が中心になった対アジア、対日本外交安保の戦略は、本当はクリントン政権のときの国防総省のいわゆるナイ・イニシアティブ(「ナイ・レポート」東アジア戦略報告)、日米安保の再確認から始まったわけですね。
 ですからアジア外交に関してはそれほど票にならないし、イデオロギー的な対立はないですが、ただそうはいっても差や違いは微妙なところにあるんじゃないかと私は思うんです。

 もちろん私はマケインの支持者だから、「マケインの方がいい」という説明をしますので、客観性があるかは別の判断に任せますが、マケインさんはご存じのようにお父さんが第7艦隊司令官ですが、実はベトナム戦争の時に、パイロットだった彼がベトナム軍に捕らわれた後に、彼のお父さんが司令官になって、ベトナム政府はプロパガンダのためにマケインさんを返すと提案しました。
 マケインは、その場で帰る自由ができたにもかかわらず、「父が第7艦隊の司令官だから返すというならば帰りたくない、残る。私の前に捕虜になった者全員を帰すなら行くが、ベトナム政府がそれをしないならここに残る」と、頑固なプライドの高い立場を取って、拒否したのです。
 今でも腕が不自由なのは、そのとき相当拷問を受けたからです。
 ですから5年間アジアにいたのです。ただ、小さい部屋のなかにしかいなかったのですけれど。

 ただ、父が第7艦隊の司令官、祖父が第二次大戦のときの艦隊司令官と、アジアとの家族の歴史が長いんです。海軍人としてもアジアをよく知っている。
 そして上院議員としてアジア安全保障問題、20年間担当していまして、初めてアジアについて考えているわけではないのです。日米安保の重要性、北朝鮮の危なさなどはよくわかっていると思うんです。

 どこがオバマさんと違ってくるかというと、1つはアジアの安全保障に影響を与えるのですが、イラク政策です。
 外交安保で一番オバマさんとマケインさんの大きな違いはやっぱりイラク。マケインさんは数年前から増兵作戦重視、ブッシュ政権に対してラムズフェルド長官を批判して、「増派が無ければ安定はない、治安は確保できない」と、だいぶ前からマケインさんがほとんど一人でずっと主張していたのですが、今回の公約としても、「イラクから撤退しない、安定がない限り撤退はしない。
 現状で米軍がイラクから撤退すれば、その力の空白にイランやアルカイダが入って、米国の信頼は失われる」という立場です。

 オバマさんは、公約で「数ヶ月以内に無条件でイラクから撤退を始める」という立場です。
 討論会でこれはかなりのテーマになると思います。
 マケインさんの考え方は、本人とも話したことがあるのですけれども、「米軍がイラクから撤退して空白が生じれば、イラン、アルカイダなどがそこに入り込み、これはアジアの安定にもものすごくひどい影響を与える。
 なぜかというと、一つは同盟国である日本や韓国が「難しい状態にぶつかったら撤退する」というアメリカを本当に信頼するかという点、もう一つはイランの力、アルカイダの力が拡大して中近東が不安になると、これは直接日本などのエネルギー資源安定などに悪い影響を与えるという点が挙げられます。

 オバマさんの説明は全く逆で、「米軍がイラクにいる限りアジア、アフリカなどの外交に取り組む余裕ができない」という説なんですが、私はもちろん、全くそれは違うと思っていますが、「中東で撤退するとアジア関係に響くに決まっている」というのがマケインさんの考え方です。

shige_tamura at 09:23│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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