2008年05月26日

防衛省改革、防衛省の組織改革案

部会部会2











防衛省から防衛省改革の組織改革案が5月21日の第9回の防衛省改革会議で示されたした。
以下、掲載します。(写真は、21日開催の自民党国防三部会のもの)


1 一連の事案の問題
(1)一連の事案の発生
防衛省・自衛隊において、給油量取り違え事案、情報流出事案、山田洋行関連事案などの一連の不祥事案が起き、さらに今年に入り、いわゆる「あたご」事案が起きたことは、安全保障を担う防衛省・自衛隊に対する国民の信頼や期待を著しく損なうこととなった。

(2)一連の事案の問題
これら一連の事案については、以下のような問題があると整理される。

 ゝ詭量取り違え事案
国会や国民に対して誤った情報が発信されたことは、防衛庁長官(当時)に対する補佐の在り方や対外対応の点で、防衛庁(当時)内の事務処理が適切に行われなかったことを示すものである。

◆‐霾麥出事案
自衛隊の任務遂行にとって「情報保全」は最も基本的な事項の一つであるが、自衛隊の任務の拡大に伴う業務量の増大等を背景として、部隊におけるきめ細かい指導力の低下等も要因となっていると考えられる。

 山田洋行関連事案
a 山田洋行の不正行為を見過ごすなど、装備品の取得手続全体が不透明で、チェックシステムも十分でない。
b 前事務次官による装備品の選定や調達手続への関与が指摘されている。

ぁ 屬△燭粥廚函崟尭全檗廚両彳融案
a 「あたご」の対応は、衝突直前の回避措置や自衛隊員の規律維持の観点からみても、十分なものではなかった可能性が高い。
b 事故発生後の初動対応については、総理大臣や防衛大臣への報告が遅れたことなど、報告通報体制に問題があり(その後、通達を改正済み)、事故後の対外対応についても、統一的に行われなかった、二転三転したなどとの厳しい指摘を受けている。

(3)一連の事案の背景となる組織上の問題
 一連の事案については、その背景に、組織上の問題、自衛隊員の倫理上の問題、教育上の問題、部隊における上司の部下に対する統率上の問題など、幾つかの構造的な問題があるものと考えられる。
 そのうち、組織上の問題については、現在の中央組織は、主として「文官」で構成される内部部局と、主として「制服」で構成される統合幕僚監部・陸・海・空幕僚監部(以下各幕という)から成り、内部部局と各幕がそれぞれ防衛大臣を補佐するという構造になっていることから、以下のような構造的な問題を抱えていると考えられる。

 仝限(責任)が不明確
法令上、内部部局は、防衛省の所掌事務、例えば「防衛及び警備に関すること」や「自衛隊の行動に関すること」のうち「基本に関すること」を所掌しているが、実際の業務においては、内部部局と各幕の業務は重複するところが多く、権限(責任)が不明確となっており、その連携も十分に確保されない場合がある。


◆)姫丗膺辰鯤篋瓦垢覦媼韻簗簑螳媼韻緑離
内部部局(官房長及び局長)は、自衛隊等に対する各般の方針及び基本的な実施計画の作成について防衛大臣の行う幕僚長に対する指示などについて防衛大臣を補佐するという構造になっており、また、防衛庁設置以前から、内部部局(官房及び各局)が基本的に国会や他省庁との連絡調整を行っていることから、内部部局と各幕では、防衛大臣を補佐する意識や、対外的な業務に関する問題意識に乖離がみられる。

 効率的な業務の実施が困難
  内部部局と各幕では、業務に重複している面があり、また、相互の調整に多大な時間と労力を要する場合があり、効率的な業務を行うことが容易でない側面がある。特に、緊急事態等においては、その初動から業務に混乱が生じやすい体制となっていることは否めない。

ぁ〃鎧専門的な知識を必要とする場面の増大
  近年、防衛省は自衛隊の運用に関する様々な事案に対応しており、国会等において、部隊運用、部隊の編成、具体的な装備品の機能・性能など、軍事専門的な知識を必要とする場面がこれまで以上に増大している。
 
ァ\鞍部門と調達部門との間で権限(責任)が不明確
装備品選定等に関する意思決定から実際の調達に至るプロセスにおいて、防衛サイドを中心とする整備部門と装備サイドを中心とする調達部門との間で権限(責任)が不明確である


2 組織改革に関する基本的な方向性
一連の事案の再発を防止し、防衛省・自衛隊が国民の理解と支持に応えてその任務を全うしていくためには、1に述べたような問題を解決していくことが必要であるが、組織上の問題への対応については、以下のような抜本的な改革を行い、防衛省・自衛隊に関する種々の課題・懸案に対して的確に対処していくための体制を整えることが必要である。

(1) 官邸の司令塔機能の強化
 自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣を補佐する官邸の司令塔機能を強化する。

(2) 防衛大臣の補佐体制の強化
 形骸化している防衛参事官制度を廃止し、いわゆる政治任用の「防衛大臣補佐官」を新たに置くとともに、防衛省・自衛隊に関する重要な事項については、防衛会議で議論・検討する仕組みを設けるなど、防衛大臣の補佐体制を強化する。
  
(3)各種事態に迅速かつ実効的に対応し得る運用体制の構築
自衛隊を抑制的に管理し、防衛力整備を重視する時代から、大規模災害、不審船等各種事態への対処、国際平和協力活動の実施など、多様な機能を果たす自衛隊をより的確に運用する時代へと変化し、我が国を取り巻く安全保障環境の変化や危機管理意識の高まり等もある今日、防衛省の中央組織が一体となって防衛大臣を補佐し、各種事態に迅速かつ実効的に対応し得る運用体制を構築する。

(4)防衛省として全体的に最適化された防衛力を整備し得る体制の構築
 陸・海・空自衛隊の防衛力整備については、各自衛隊毎の予算の枠内で陸・海・空幕僚監部がそれぞれ装備品等に関する整備事業の具体的な計画と優先順位等を定め、陸・海・空自衛隊それぞれにとって適切な防衛力の整備を行う傾向が顕著(部分最適)であるが、今後は、予算全体と自衛隊の整備事業全体を一元的に取り扱い、従来実施することが困難であった特定の事業への集中的な予算の配分など、自衛隊全体で最適化(全体最適)された防衛力整備を行う体制を構築する。

3 組織改革の具体的な方向性
 以上述べたような、基本的な方向性にしたがい、組織改革の具体的な方向性を示せば、以下のとおりである。

(1)安全保障政策機能及び防衛政策機能の強化・連携
 文民統制の充実の観点から内閣官房における安全保障政策の企画立案機能の強化を図りつつ、これに対応して防衛省の政策企画立案・発信機能を強化する。

(2)防衛大臣の補佐体制の強化
  )姫丗膺段篋幹韻寮瀉
文民統制の徹底の観点から、形骸化している防衛参事官制度は廃止し、防衛大臣が部外の有識者等を対象として自ら選任し、原則として防衛大臣の任期期間において防衛大臣を直接補佐する、いわゆる政治任用の「防衛大臣補佐官」を設置する。なお、「防衛大臣補佐官」は官房長や局長には充てないこととする。
 ◆/靴燭碧姫匆餤弔寮瀉
現在の防衛会議は省内の訓令に基づき設置され、防衛大臣、防衛副大臣、事務次官、統合幕僚長、陸・海・空幕僚長等をメンバーとし、自衛隊の運用に関して、防衛大臣を補佐するものであり、開催回数も少ない。
このため、文民統制の徹底を図るため、これを抜本的に見直し、政治任用の防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官及び「防衛大臣補佐官」、事務次官や制服・文官のトップクラスを中心メンバーとした会議に改め、運用をはじめとする防衛省・自衛隊に関する幅広い事項について防衛大臣を補佐するための新たな防衛会議を設置する。

(3)防衛省・自衛隊の中央組織の主要業務を3つの機能に集約
  々駝韻悗寮睫誓嫻い鮹瓦Δ海箸覆匹鮗膣磴箸垢訖靴燭福崟策企画立案・発信部門」を設置する(文官中心の文官・制服混合組織)。
 ◆‥合幕僚監部と運用企画局を統合して、新たな「運用部門」を創設する(制服中心の制服・文官混合組織)。
「運用部門」は、現在の統幕が所掌している「運用」に加えて、「あたご」事案のような緊急事態等の処理も担当するとともに、「整備部門」に対して、防衛力整備に関する意見も述べることができるようにする。
  防衛政策局の防衛計画課、経理装備局、陸・海・空幕僚監部の防衛力整備部門を統合して、戦車、護衛艦、戦闘機など主要な整備事業等を一元的に取り扱う、新たな「整備部門」を創設する(文官・制服混合組織)。
  
 っ△掘◆岷人冑門」と「整備部門」の組織の在り方については、
a 内部部局への一元化を重視して官房・各局として置く案
b 業務・組織の完結性を重視して特別の機関として置く案
の両案があり得る。
 ゾ綉2案に関する長所等を挙げれば、以下のとおりである。 
a:内部部局が自衛隊の運用と防衛力整備を一元的に所掌することとなり、権限(責任)が明確となる一方、現在の統合幕僚長が内部部局の局長となる可能性があり、自衛官の最高位という位置づけとの関係で検討を要する。
b:現在の統合幕僚長は「運用部門」の長として、同様の位置づけで自衛隊の運用に関する防衛大臣の補佐を一元的に行うこととなる一方、「運用部門」・「整備部門」と内部部局との関係で検討を要する。

(4)各自衛隊の隊務運営機能の持ち方
  仝什漾⇔ΑΤぁΧ自衛隊の隊務については、陸・海・空幕僚監部がその運営を行っているが、上記(3)に述べる3つの機能の集約後においても、各自衛隊の隊務運営機能は引き続き必要である。
 
 ◆ヽ銅衛隊の隊務運営機能の組織については、以下の3つの案が考えられる。
a 内部部局への一元化を重視して、官房・各局に集約する案
(この場合、陸・海・空幕僚長は、それぞれの自衛隊の隊務に関する防衛大臣の最高の専門的助言者としての役割を果たす)
b 現在の陸・海・空幕僚監部が果たしているスタッフ機能とライン機能に着目し、これらのスタッフ機能とライン機能の分離を重視して、スタッフ機能は内部部局、ライン機能は陸・海・空自衛隊の「総監部」が所掌する案
(この場合、陸・海・空幕僚長は、それぞれの自衛隊の隊務に関する
防衛大臣の最高の専門的助言者としての役割を果たす)
c 現在と同様、陸・海・空幕僚監部が隊務運営機能を所掌する案
  
  上記3案に関する長所等を挙げれば、以下のとおりである。
a:内部部局が隊務運営機能を一元的に所掌することとなり、権限(責任)が明確になるとともに、業務が効率化される一方、陸・海・空幕僚長の位置づけや自衛隊毎の隊務運営をとりまとめる機能の在り方については検討を要する。
b:隊務運営機能に関するライン機能とスタッフ機能を分離することにより、防衛大臣が両機能を使い分け、適切な指揮監督を行い易い体制が整備される一方、内部部局と「総監部」の関係、幕僚長と「総監」の関係については検討を要する。
c:現在と同様、陸・海・空幕僚監部が隊務運営機能を所掌し、幕僚長の位置づけも変わらない一方、内部部局と陸・海・空幕僚監部の権限(責任)の明確化、全体最適の在り方等については検討を要する。

4 更に検討を要する主要な論点
以上述べたような、組織改革の具体的な方向性については、以下のような主要な論点について、更に深く検討を行うことが必要である。
  ^汰簡歉秬策の企画立案に係る官邸(内閣官房)と防衛省との関係
  (安全保障政策の企画立案における内閣官房と防衛省の機能・業務の分担をいかにするか。)
 ◆嵋姫丗膺段篋幹院廚虜澆衒
  (防衛大臣政務官等との関係をどうするのか。)
 「整備部門」の業務
  (「整備部門」に防衛力整備のすべてを担当させるのか。一部は隊務運営機能に包含させるのか。)

 ぁ〜備品選定における「整備部門」と調達部門の業務の仕切り
 (調達方式の透明性を拡大するとの観点から、装備品の選定に当たっては、「整備部門」は要求性能の策定までを行い、爾後の選定等は装備施設本部が実施するという考え方を装備品すべてについて当てはめることが妥当か。)
 ァ々餡饌弍の体制  
(「運用部門」や「整備部門」の業務に係る国会答弁などの対外説明機能はどこが担当すべきか。)など

shige_tamura at 11:49│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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