2008年03月26日

防衛大学校卒業式における内閣総理大臣訓示

防衛大1 伝統ある防衛大学校の卒業式に当たり、卒業生諸君に心からお祝いを申し上げます。 
 皆さんの規律正しく、凛々しい勇姿に接し、自衛隊の最高指揮官として、心強く、頼もしく思います。
 また、学生の教育に尽力された五百籏頭大学校長をはじめとする教職員の方々に敬意を表するとともに、日頃から防衛大学校にご理解とご協力を頂いている御来賓の皆様に感謝申し上げます。
 本日は、卒業生諸君が巣立ち、新たな任務につく、よい機会ですので、私の思うところを述べたいと思います。

 戦後、わが国は、自由な民主社会を築くとともに、経済成長を実現し、世界の先進国として国際社会の信頼を得るに至りました。
 その基盤となったのは、何よりもまず、わが国の平和と独立です。 これを守るために、自衛隊が、変化する安全保障環境の中で、半世紀にわたり果たしてきた役割には、極めて大きなものがあり、国民も自衛隊に信頼を寄せてきました。

 昨今、世界は、テロとの闘いや大量破壊兵器の拡散阻止をはじめとする安全保障上の新たな課題を抱えています。
 成熟した先進国であるわが国にとって、平和で安定した国際社会はかけがえのない財産であり、その中で、できる限りの役割を果たしていかなければなりません。
 日米同盟と国際協調を基本に、世界の平和と安定、そして発展に貢献する「平和協力国家」として、わが国は、地域や世界の共通利益のために汗をかく、魅力に満ち、志のある国をめざしています。
 今も、自衛隊が、インド洋における補給支援活動、イラク及びクウェートにおける人道復興支援活動、ゴラン高原やネパールにおける国際平和協力業務を実施し、国際社会で高く評価されていることは、私の誇りです。
 今後、自衛隊は、諸君の参加も得て、わが国の防衛はもとより、国際社会においても一層大きな役割を果たしていくことを確信しています。

 しかし、そのために、防衛省、自衛隊がしっかりと取り組まなくてはならない喫緊の課題があります。 それは、国民の信頼を取り戻すことです。

 先般のイージス艦の衝突事故、昨年来のさまざまな問題により、長年培われてきた防衛省、自衛隊に対する国民の信頼は大きく損なわれました。いかなる状況にあっても、ひと時もゆるがせにできないのが国の防衛であり、それだけに国民は、今、信頼できる防衛省、自衛隊を強く望んでいます。
 私は、この国民の期待の重みをしっかりと受け止め、防衛大臣と共に、問題点や原因を明らかにし、全力を挙げて、防衛省、自衛隊の改革を実行する決意です。
 卒業生諸君は、この大切な時期に自衛隊幹部への道を歩もうとしていますが、国民の信頼あっての自衛隊であるということを常に忘れずにいただきたい。
 そして、今変わらんとする自衛隊の新たな息吹となってほしいと思います。
 その際、今後、諸君の基礎体力となるのは本校で受けた教育ではないでしょうか。 初代防衛大学校長であった槇智雄さんは、戦前の士官教育の反省に立ち、本校を「人間をつくる教育」の場と位置づけ、広く深い学問と「厳正な規律」の実践による人格育成を重んじられましたが、諸君は、この教えを実践し、幹部として成長されることを期待してやみません。
 
 卒業生諸君、わが国が国際社会の中で永く平和と繁栄を享受できるように、その礎となり、常に国民と共にあり、国民を守り続けていくという使命を確認し、新たな任務に精励されることを切望します。
 諸外国からの留学生の皆さん、本校留学を通じて育まれた友情の絆を大切にし、祖国と国際社会のために御活躍されることを期待します。

 結びに、諸君の今後のご活躍と防衛大学校のますますの発展を祈念し、私の訓示とします。
 皆さん、卒業おめでとう。

    平成二十年三月二十三日
              内閣総理大臣 福田 康夫

shige_tamura at 17:31│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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