2007年09月10日

テロ特措法に関するQ&A

今国会の最大の焦点がテロ特措法がどうなるかです。
そこで今回は、「テロ特措法に関するQ&A」を作成しました。

最初に「小沢代表がテロ特措法について反対する理由」の要約を作って見ました。

●アフガン戦争は、米国が『自衛戦争だ』と言って、国際社会のコンセンサス(意見の一致)を待たずに始めた。
(民主党が重視する)国連安保理決議に基づく活動とは全く性格が違う。

●国連安全保障理事会が直接、認めたのはISAF(国際治安支援部隊)だけだ。
注:日本が参加しているのはISAFではなく、OEF−MIO(海上阻止活動)

 
●国連ではっきりとオーソライズされた活動以外には(自衛隊は)参加できない。

●アフガニスタンでの掃討作戦(OEF)、海上阻止活動(OEF−MIO)の効果が不明。また、海自の活動について、その実績や具体的成果についての情報開示が不十分である。


次ぎに【Q&A】です。

Q.民主党の小沢代表は、テロとの闘いは「米国のはじめた戦争だ」とし、「国連の安保理決議もない」とも言っています。海上自衛隊がインド洋で実施している活動は、国連のお墨付きもない、米国の戦争を助けるための活動なのですか?

A.小沢代表の発言は誤解を招くものです。
「テロとの闘い」は、米国のはじめた戦争を助けるといった性格のものではなく、また、国連安保理決議は、「テロとの闘い」にお墨付きを与えています。

「テロとの闘い」に参加している国は40カ国以上にもなっており、その中には、イラクの作戦に参加しなかったフランスやドイツなどの国々も含まれているのです。

 また、安保理決議第1368号は、9.11のテロ攻撃を「国際の平和及び安全に対する脅威」と認め、国際社会全体が連帯してテロ行為を防止し抑止するため一層の努力をするよう明確に求めています。また、各種の安保理決議で、「テロとの闘い」について触れています。

(注) 安保理決議第1267号、第1269号、第1333号その他の安保理決議は、国際テロリズムを非難し、加盟国に対してその防止等のために適切な措置をとることを求めている。


Q.しかし、海上自衛隊による支援は、圧倒的に米国に対してしか実施していないのではないのですか?
  
A.いいえ、違います。
 最近では、約70%がパキスタンやフランス、ドイツ、カナダ、イギリス、イタリアに対するものです。確かに、活動を始めた当初は90%以上が米国に対してでしたが、他国に対する支援が徐々に増え、今年について言えば、他の国に対する支援の方が多くなっています。

 このように、国際社会は連帯して「テロとの闘い」に取り組んでおり、我が国も世界と連帯して取り組んでいく必要があります。


Q.海上での活動の効果がよくわかりません。海上自衛隊が220億円をかけて活動していると聞きますが、本当は何も効果がなく、お金の浪費なのではありませんか?

A.多くの成果が得られてきており、お金の無駄遣いではありません。
 インド洋で各国の艦艇が不審船に何をしているかたずねた無線照会件数は、2004年に比べ2006年には、約78%も減少(約4万1千回から約9千回へ減少)しています。これは、アルカーイダ等の移動等が大幅に減少していることを表しており、成果は出ています。

 また、目に見える成果がなくとも、取締りを行う各国がインド洋に存在することが、テロリストや武器・麻薬などの移動に際し、捕まるかもしれないので移動するのを止めようと、相手を思いとどまらせる(相手の行動を抑止する)意味で非常に有益です。海上自衛隊の燃料等の補給は、そうした各国の活動を支えているのです。


Q.なぜ、自衛隊の活動を続けなければならないのですか?もっと、ODAなどの民生支援を行えば良いのではないですか?

A.多くの民生支援を実施してきており、海自による支援とあわせて高い評価を得ています。
 我が国は、二度とアフガニスタンをテロの温床としないようにするために、総額12億ドル(約1380億円)に及ぶ復興や人道面での民生支援をこれまで実施しており、こうした協力はもちろん、今後とも積極的に進めていきます。

 一方、1990年の湾岸戦争時、我が国は、約130億ドル(約1兆3千億円)の多国籍軍支援をしました。それにもかかわらず、戦後、クウェート政府が掲載した感謝を表す新聞広告に、我が国の名は挙げられなかったことがありました。

(注)テロ特措法に基づく活動で海上自衛隊がこれまで各国に提供した燃料等に要した経費は約220億円。

 ODAによる民生分野での支援だけでなく、インド洋をテロリストの自由にさせないという抑止の役割を担う各国の活動への海上自衛隊による支援の双方に努力していることが、アフガニスタンの大統領をはじめ、ドイツの首相やフランスの国防大臣など各国から高い評価と感謝が表明されている理由にもなっているのです。


Q.インド洋で海上自衛隊から給油を受けた米国艦船がイラクに派遣されているとの報道があります。海上自衛隊は、イラクでの米国の戦争を加担しているのではありませんか?

A.いいえ、違います。
 我が国が提供した燃料は、国際社会の連帯としての「テロとの闘い」を支援するためのものであり、イラクでの米国の戦争を支援するものではありません。

「米第5艦隊のホームページに、自衛隊の補給艦が米艦に補給した油がイラクの戦争のために使われている」と報道されました。
 このホームページの記述は、「イラクの戦争」のみならず、「テロとの闘い」に関する記述を含むものです。表題に、「国際社会のテロとの闘いに関する有志連合からの貢献」と書かれており、また、この欄には、「イラクの戦争」に参加していないカナダについても記述されていることからもお分かりいただけると思います。
 また、日本の記述についても、「イラクの戦争に用いられている」という記述は全くなされていません。
 米側も、この記述は「イラクの戦争」ではなく、「テロとの闘い」である「不朽の自由作戦」に対する日本の貢献についての記述だと回答しています。

 また、海上自衛隊の他国への補給は、「テロとの闘い」のためであり、「イラクの戦争」のために使用することはないということが、給油対象国との間で交換公文という文書によって約束されており、各国はこのことを十分に了解しています。
 また、海上自衛隊自身、給油等に当たって、相手方の艦艇が「テロとの闘い」に参加している艦艇であるかどうかや、計画を立てる際には、相手方艦艇の運用計画などをきちんと確認し、相手方の活動日数を確認するなどして、実際に給油しています。

 このように、我が国は、支援相手国とのきちんとした国際的な約束に従い、かつ、現場において、丁寧に確認作業もした上で給油等を実施しており、イラクの作戦に使われているということはありません。


【 参 考 】

●(2007年8月8日1時29分 読売新聞)yomiuri online
 民主党の小沢代表は臨時国会召集を受けた7日の記者会見で、11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法を延長する改正案について、「アフガン戦争は、ブッシュ米大統領が国連や国際社会と関係なく、『自衛戦争だ』と言って始めた。(民主党が重視する)国連安保理決議に基づく活動とは全く性格が違う」と述べた。
 米英軍のアフガニスタンでの軍事行動を支援するための同法自体を否定し、与党との修正協議には応じない意向を示したものだ。

●(2007年8月9日 産経新聞朝刊)
(略)小沢氏はシーファー氏に「米国を中心とした作戦への参加はできない」と述べ、活動に対する基本的な認識は食違ったまま。(略)
■会談の要旨
 民主党の小沢一郎代表とシーファー駐日米大使の会談要旨は次の通り。
(略)
小沢氏 われわれの考え方の基盤は憲法だ。9条の解釈から、自衛権行使は日本が攻撃を受けたり、急迫不正の侵害を受けた場合に限る。アフガニスタンでの戦争は米国の(自衛)戦争だとブッシュ大統領は言われた。日本の直接の平和・安全と関係ない所へ部隊を派遣し、米国などと共同の作戦をすることはできない。ISAF(国際治安支援部隊)は国連決議に基づく。(日本は)国連に認められた活動に参加したい。これは米国にマイナスの話ではない。
(略)
小沢氏 テロとの戦いにどう参加するかは国によって違う。私どもの解釈では国連安全保障理事会が直接、認めたのはISAFだけだ。
大使 国連決議の1746号には具体的にアフガンでの「不朽の自由作戦」も言及されている。
小沢氏 大使のご主張は承った。(略)


●(2007年8月8日20時53分 読売新聞)yomiuri online
 民主党の小沢代表は8日、党本部で米国のシーファー駐日大使と初めて会談した。大使は、インド洋で海上自衛隊が米英などの艦船に行っている給油活動の根拠となるテロ対策特別措置法の期限延長に理解を求めたが、小沢氏は応じなかった。
 会談は約45分間行われ、小沢氏の意向により記者団に公開された。大使は「(米英軍などは)テロに反対する国際的な活動部隊であり、日本の貢献は非常に重要だ。日本が燃料提供をやめたら、英国やパキスタンは参加できなくなる」と述べ、11月1日に期限が切れる同法を延長する必要があると主張した。さらに、「(米軍に関する)機密情報も提供する準備がある」と語った。
 これに対して、小沢氏は「アフガン戦争はブッシュ米大統領が『アメリカの戦争だ』と言って、国際社会のコンセンサス(意見の一致)を待たずに始めた。日本と直接関係ないところで、米国あるいは他国と共同作戦はできない」と述べ、海自の支援活動は認められないとの立場を示した。
 大使は「今年3月に採択されたアフガニスタンに関する国連安保理決議に、(活動部隊は)言及されている」と指摘したが、小沢氏は「米軍中心の活動を、直接的に規定する国連安保理決議はない」と反論し、平行線をたどった。


●(2007年8月30日12時36分 読売新聞)yomiuri online
 民主党の小沢代表は30日午前、メルケル独首相と都内ホテルで会談した。
 メルケル首相は、11月1日で期限が切れるテロ対策特別措置法の延長を念頭に、「できるだけ多くの国が国際テロの問題に関与すべきだ。日本が国際社会でさらに活動しようということなら、より重い責任を負わなければいけない」と述べた。ドイツはアフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)に軍隊を派遣している。
 小沢氏はこれに対し、「全面的に賛成する」と応じた。ただし、「自衛隊派遣の原則をはっきりさせなければいけない。国連が権威付けしたものには積極的に関与すべきだ。インド洋の問題もそういう観点から考える」と述べた。ISAFの活動を間接支援する海上自衛隊のインド洋での給油活動は、明確な国連決議に基づかないとの立場から、同法延長に反対する考えを示したものだ。
 小沢氏は、ISAFについて「内容は賛成ではないが、(国連決議に基づく)ものがあれば、積極的に参加すべきだ」と述べ、現状ではISAFへの支援は難しいとの考えを示した。


●(2007年9月4日 読売新聞朝刊)
 民主党の小沢代表は3日、テロ対策特別措置法の延長に絡み、政府・自民党内で海上自衛隊のインド洋での給油活動を継続するための新法検討を求める声が出ていることについて「我々の主張は、国連の平和活動、国連ではっきりとオーソライズされた活動以外には(自衛隊は)参加できない」と述べ、新法に否定的な見解を示した。長野県軽井沢町で記者団に語った。
 民主党の鳩山幹事長も同日、福岡市内で新法に応じることは難しいとの考えを示した。


shige_tamura at 11:51│Comments(1)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by keizainanmin   2007年10月11日 06:59
田村重信様 詳しい議論ありがとうございます。
気になる点を2点
1.海上活動
 公海上で国旗を掲げた艦船を取り締まれるのは旗国のみです。 つまり怪しいと思ってもイラク、やイランの船を取り締まることは不可能です、無線での問い合わせでは知らぬぞんぜぬで終わりです。 臨検ができない現状ではまったく無意味と思われます。 実際に摘発したのは年2件程度です。
2.米国の意図
 多くのアフガニスタン国民が死傷し、難民が大量発生しています。 さらに拷問などの人権問題も生じています。 今アフガニスタンではこの戦争の為むしろテロリストが活気付いています。米国はカスピ海からのパイプラインの敷設が終わればそれで良いのでしょうか?

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
ランキング一覧

人気blogランキング

人気blogランキングに参加しました。
応援よろしくお願いします。
月別アーカイブ
最新コメント