2007年07月02日
党首討論 安倍首相VS小沢代表
21世紀臨調主催の「第3回・政権公約(マニフェスト)検証大会」の第2部で、「党首討論」(7月1日(日)午後4時15分〜)が行われました。
主催者は、「大会の服装は地球環境に配慮しクールビズとします」とのご協力とお願いをしていました。
でも、安倍晋三首相はクールビズでしたが、
小沢一郎代表はネクタイ姿でした。
写真のとおり、安倍晋三首相は、ノー原稿。小沢一郎代表は、原稿を読み上げていました。
以下、スピーチ全文を掲載します。
■スピーチ
◎安倍総理
本日、こうして民主党の小沢代表とじっくりと討論する機会を与えていただきましたことに対して、まずは御礼を申し上げたいと、このように思います。
昨年9月、私は総理に就任して、『子どもたちがこの日本という国に生まれたことに誇りを持てる、そういう日本を作っていく、美しい日本を作っていく』、このように宣言をいたしました。そのためには、どんな困難や課題であろうとも、勇気を持って、今後とも果敢に取り組んでまいります。
私が優先すべきと考えている三つの政策についてお話いたします。
まず第一番目の政策は、『信頼できる年金制度の構築』であります。そのためにも、年金の記録問題は解決をしなければなりません。この問題について、国民の皆様は強いお怒りをもっておられると思います。私も、『社会保険庁はいったい何をやっているんだ!』、そういう気持ちでありますが、私は行政の最高責任者として、一番大きな責任があります。
まず、国民の皆様にお詫びを申し上げたい、このように思います。そして私は、この問題を、必ず解決をしてまいります。この問題は、10年前に基礎年金番号に統合されて以来、社会保険庁において先送りされてきた課題でありますが、私の内閣でしっかりと、全て解決をしてまいります。
そのためには、私には2つ使命があります。まず第1番目の使命は、最後のお一人にいたるまで、年金の記録を全てチェックをし、そして真面目に年金を支払ってこられた、年金の保険料を支払ってこられた方々に、年金をお支払いをすることを保障することであります。
2つ目は、この問題が起こった原因を、責任を、徹底的に究明することであります。そのために、検証委員会を作りました。責任を明らかにし、けじめをつけて参ります。もちろん、社会保険庁は廃止をし、解体をし、そして国民の皆様から信頼できる、新しい組織に変えてまいります。そのための法律も成立いたしました。
この問題、社会保険庁の体質に大きな原因がありました。
『親方日の丸』体質、窓口での不親切な対応、なるべく仕事をしないという悪しき労働慣行、そして労使の癒着。こうしたことはまさに、戦後積み上がってきた悪しき体質でもあります。こういうものを打ち壊していく、そして新しい仕組みを作っていくことこそが、私が申し上げている戦後レジームからの脱却であります。私はこうしたものを一掃していく、ということをお約束を申し上げる次第でございます。
かつて、国鉄をJRに変えました。民営化して、会社は一変しました。そして私たちは社会保険庁を日本年金機構に変えます。日本年金機構には、やる気のある人しか残ることができません。そして民間の活力と、そして知恵を導入してまいります。今の社会保険庁を見ておりますと、年金の納付率が向上しないのも無理はない、そう思います。しかし、国鉄がJRになって経営が改善をし、そしてサービスが一新をしたように、民間の知恵と活力、そしてやる気のある人たちによって必ず納付率は向上し、そして年金財政は改善してまいります。
年金財政を改善させれば、これは給付の安定化にもつながっていくわけであります。年金財政の改善のためには、さらに、少子化対策と同時に、経済の成長も必要であります。この数年間、平成15年、16年、17年、この3年間、景気が回復したことによって、当初の予測よりも、年金財政は、皆さん、12兆円も改善をしたんです。私の内閣ができてまだ9ヶ月でありますが、この9ヶ月間に、4兆円、年金の運用はプラスになりました。
そのことは少し自慢させていただきたい、このように思うわけでありますが、まさに皆さん、経済成長は、年金の給付に直結をしていくということであります。だからこそ、人口の減少局面においても、成長していく、イノベーションとオープンの力で成長していく新経済成長を推し進め、そして年金財政を安定化させてまいります。
社会保険庁の問題、これは悪しき公務員制度の体質の象徴ではありますが、社会保険庁だけではありません。公務員制度全体に、多かれ少なかれ、こうした体質が残っています。だからこそ、公務員制度を改革しなければなりません。談合の温床となっていた、押し付け的な天下りを根絶をしていきます。そして、ぬるま湯的な年功序列、実績に関係なく渡っていって、数億円の退職金をもらうというような、そういう今までの仕組みを変えて、実績主義・能力主義の公務員制度に改革をしてまいります。
もう1つの政策課題は、教育の再生であります。いじめの問題、その中で子どもたちは命を断ちました。胸が痛みます。しかしこの問題の深刻さは、こうしたいじめの問題を見て見ぬ振りをしてきた教室、学校、そして教育委員会にあるはずであります。それはまさに、皆さん、教育の根本にさかのぼって改革をしなければ、変わってはいけない。だからこそ私は、60年振りに教育基本法を改正いたしました。
道徳教育、そしてまた公共の精神、自立の精神、命の大切さ、そして生まれ育った地域や国を愛する心、そうしたものを、しっかりと書き込んで、教育基本法…再生教育基本法が…改正教育基本法が成立したわけであります。この改正教育基本法に則って、教育再生のための法律、この国会に提出をし、成立をいたしました。教員免許の更新制度、あるいは教育委員会の目的・義務をしっかりと書き込んだ法律が成立をしたわけです。
そして私は、教育現場を一新していきたい、こう考えています。道徳の教科化、授業の充実、そして大学・大学院の改革によって、国際競争力を向上させてまいります。全ての子どもたちに、高い水準の学力と規範意識を身につける機会を保障していくことこそが、私の教育再生であります。そして私の教育再生は、誰一人、子どもたちを後ろにおいていくということはありません。
そして、3つ目の政策は、主張する外交であります。主張する外交とは、やみくもに国益を声高に主張する、そういう外交ではありません。世界のために、日本は何をすべきと考えているか。そのビジョンを、理想を堂々と主張する。これが私の『主張する外交』であります。
さきのハイゲンダムサミットにおきまして、この世界の大きな課題である地球温暖化対策について、『美しい星50』という日本の提案を提示いたしました。2050年までに排出量を50%削減をする。そして、そのためにも、主要排出国が参加する枠組みを作っていく、さらに経済と環境を両立させるという、そういう枠組みを、骨組みを説明し、そしてその結果、日本の提案が、G8の文書の中にしっかりと書き込まれたわけであります。
来年北海道の洞爺湖サミットを控え、この環境問題において、日本が世界においてリーダーシップを発揮していくことこそが、私の『主張する外交』であります。
拉致問題についても、今まで70回、私は首脳会談を行ってまいりました。毎回、拉致問題について、説明をしてまいりました。そして日本のこの主張に対して、拉致問題の深刻さについて、理解を得、支持をうることができました。横田めぐみさんを始め、拉致された方々全ての皆さんの帰国を目指して、鉄の意志をもってこの問題に取り組んでまいります。
主張する外交、そしてまた、公務員制度の改革、教育の再生、社会保障制度の確立、どれも新しい国づくりには欠かせないことであります。私は勇気を持って、果敢に取り組んでまいりますことを、誓いをいたします。
◎小沢代表
民主党の小沢一郎でございます。今日は、21世紀臨調にお招きいただきまして、総理とこのような機会を作っていただきましたことを、まず心から御礼を申し上げます。限られた時間でありますので、簡潔に私の考え方を申し上げます。
まず、今度の参議院選挙の意味について申し上げたいと思いますが、あえて象徴的に申し上げれば、『年金に信任選挙』であると、私は思っております。日本という国、今の政府は、国民にとって信じるに足りるのであるか、足りるのであろうか。とりわけ、国が強制的に加入させて納付を確約、給付を確約している年金制度は、信じられるのかどうか。今、政権を預かっている与党が、そのことを問われている選挙だと思います。
その政府が信じられない場合は、国民はどうしたらいいのか?それは、政権を変える以外にありません。そのためには、いつでも政権交代が可能な2大政党制が機能していなければなりません。その意味においては、2大政党制が、日本に、この選挙を機会に定着するかどうか、それが問われている選挙でもあると思います。
私がそう考える、なぜそう考えるかを申し上げます。私は、『政治とは生活である』と信じまして、今まで政治活動を続けて参りました。どんなに立派なことを言っていても、どんなに大きな事業を行っても、国民の生活が向上しないのであれば、よい政治とは言えません。
日本書紀によりますと、仁徳天皇は、皇居の高殿に登って、民のかまどから煙が上がっているかどうかをご覧になって、租税の減免を判断したとされていますが、政治の役割は結局、民のかまどを豊かにし、国民が安心して暮らせるようにすることに尽きると思います。
しかし昨年、民主党代表に就任して以来、全国をあちこち回ってみて、煙の立ち上らない民のかまどをいたるところで目に致しまして、愕然といたしました。戦後日本は、世界で最も豊かで、最も平等な社会と言われ、それが日本人の誇りでもあったわけです。ところが今や、所得、雇用、教育、医療、介護、さらには地域間の格差に至るまで、あらゆる分野で不合理な格差が広がっております。パート労働・派遣社員などの非正規雇用は、どんなに働いても十分な収入が得られず、教育格差を通じて格差が世代を越えて固定化されようとしているのが現実であります。特に地方の疲弊振りは目を覆うばかりで、若い人たちや子どもたちの姿をほとんど目にすることのない地域も珍しくありません。
もう1つ確かな事実は、税金・社会保険料などの生活負担が増え続けていることであります。小泉・安倍政権の6年間で、国民の負担は9兆円近くになりました。消費税に換算しますと、3%以上になります。
民主党の試算によりますと、東京武蔵野市在住のサラリーマン、年金受給者のモデルケースで6年前と比べてみたところ、税金と保険料の負担だけで年収436万円のサラリーマン世帯では年間約10万円。年収800万円の所帯では24万円。年金額300万円の年金需給所帯では、実に27万円も増えているわけであります。こうした生活負担の増加が、格差拡大の原因となったことは、否定できない事実だと思います。6年間に及ぶ小泉・安倍政権とは、いったい何だったのでしょうか。自由競争、あるいは改革という美名のもとに行ってきた、市場万能主義、結局のところ『強い者が勝ち残ればいい、弱いものは去れ』という強者の論理に終始し、その結果、弱い立場の人たちに負担を押し付けて、格差を一層広げることになったのではないでしょうか。
一方で、『官から民へ』『中央から地方へ』という掛け声とは裏腹に、官僚支配、中央集権の政治構造は、全く変わっておりません。安倍総理は、『成長戦略で経済を底上げすれば、格差問題も解決できる』というようにお考えのようですが、この政治構造と現行制度を変えなければ、経済成長の果実は広く国民に行き渡らず、むしろ格差はますます広がるばかりだと思います。
今ほど、国民の生活と政治とが乖離している状況は、私の今までの政治生活において、見たこともありません。まさにその、この点こそ、日本の政治の危機の本質であると思います。
私たちも、『自由で活力ある開かれた経済社会』を実現するために、自由経済と市場原理は大事なことであり、それを基本といたしますが、それはあくまでも、国民生活や福祉を向上させるための手段であって、自由競争も、国民生活の安定を保証するセーフティネットの確立が大前提であると思います。
またいわゆる『消えた年金』問題は、国家と政治というものへの国民の信頼を根底から覆す、深刻な事態だと思います。国を信じてまじめに年金を納めてきたにも関わらず、全額受け取れないのなら、制度そのものを信じられなくなってしまいます。従って私たちは、政治と国民との信頼を築きなおすところからやり直さなければなりません。だからこそ私たちは、『国民の生活が第一』の理念を掲げて、今度の参議院選挙に臨むことにしました。皆様のお手元にお配りした党の重点政策は、その具体策であります。特に、国民の最大の関心事である消えた年金問題については、国の責任で全て記録を確認し、正しい記録に訂正し、全ての加入者に国の責任で全額支払うようにしなければなりません。また、全ての加入者に年金通帳を交付して、いつどれだけ年金保険料を払ったかを、いつでも確認できる仕組みを作らなければいけないと思います。
もちろんこれも、民主党がかねてから主張している通り、年金制度は一元化して、全ての国民が一つの制度に加入する、安定した公平な仕組みに改めなければなりません。保険料をまともに管理できなかった社会保険庁は解体し、私たちはその業務を、国税庁に統合して、税金と同じように、より厳格に管理するようにしたいと思います。
最後に、もう一度申し上げます。今、政治がなすべきことは、何も特別なことではありません。国民の生活を守る、国民の生活が第一、と考え、当たり前のことを当たり前に行うことであります。それによって、政治に信頼を取り戻すことだと思います。
この参議院選挙において、それを実現するために、私は政治生活の全てを賭ける覚悟でおります。私たち民主党が、力をあわせて、この理念と具体策を、愚直に訴えていけば、国民は必ず理解してくれるものと、確信を致しております。
ご清聴ありがとうございました。




