2007年04月26日

集団的自衛権について

 安倍晋三首相が集団的自衛権と憲法との関係の整理につき研究を指示したことで、マスコミもこの問題を大きく取り上げ、僕のところにも新聞記者の皆さんが取材に来るようになりました。
 そこで、集団的自衛権について正しい理解が得られるよう、今回は、記者さんたちが参考にしている拙著『防衛法制の解説』(内外出版)から集団的自衛権についての部分を引用しました。
 役立ちますよ。


 集団的自衛権(17項〜18項)

 国際法上、国家は、集団的自衛権、つまり、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」を有している。

 我が国は、主権国家である以上、当然に集団的自衛権を有しているが、これを行使して、我が国が直接攻撃されていないにもかかわらず、日本以外の国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することは、憲法第9条の下で許容される実力の行使の範囲を超えるものであり、許されないと考えている。

 すなわち、自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権の行使は、これを超えるものであって、憲法上許されないとするのが政府の解釈である。

 国際法上において集団的自衛権は、国連憲章第51条で認められており、対日平和条約第5条(C)と日米安保条約の前文でも、わが国がこの権利を有することが確認されている。
 
 これに対して、政府は「わが国は国際法上、集団的自衛権は保有するが、行使することは憲法上許されない」としている。
 そこで読売新聞社の憲法問題調査会は、「行使できない権利とは、論理矛盾で、一切行使できないとする政府解釈は誤りである。現在の高度に発達した軍事技術水準からすれば、一国で自衛しようとすれば大量の報復・抑止能力を持つ必要があり、かえって世界の平和を脅かすことになる」と指摘している。

 集団的自衛権の行使を、安全保障基本法で制定するなど憲法解釈で可能とするか、あるいは解釈上で疑義がないよう憲法改正でスッキリとするかが議論となる。今後の憲法問題の最大テーマが第9条問題であるが、国連憲章と憲法、冷戦後の安全保障政策を考えるうえで、集団的自衛権が大きな論点となる。


(参考、「提言・新しい日本の防衛政策(2004年3月30日)」自民党政務調査会国防部会・防衛政策検討小委員会より)
 
 しかしながら、このような解釈は、日米同盟の「抑止力」を減退させる危険性をはらんでいるのみならず、アジアにおける集団的な安全保障協力を効果的に推進する上での障害となっている。
 本件については、「我々は自然権としての自衛権を持っている以上、自衛権を個別的自衛権と集団的自衛権に区分することがそもそも問題だ」とする意見もあり、集団的自衛権の行使を可能と(あるいは明確化)するためには、〃法改正、∪府の解釈の変更、新たな法律の制定による合憲の範囲の明確化、す餡颪侶莎帖△覆匹考えられる。 
 いずれにせよ、わが国の平和と安全の確保をより万全なものとするといった観点のみならず、日米安保体制の実効的対応の確保や国連の集団安全保障への参加など、さらに広範な国際協力の途を切り開くことが、国際社会において、わが国がその責務を果たし、名誉ある地位を占めるために必要となってきており、集団的自衛権の行使を可能としなければならない状況にきている。 
 特に「武力行使との一体化論」は、国際社会における「武力の行使」に関する概念と異なるものであり、国際的にも理解を得られにくいものである。さらに、これがPKO活動や厳しい環境下での人道復興支援活動などの国際活動における自衛隊員の安全確保や治安維持的な任務を行う場合に必要となる武器使用権限の国際基準化を図る上で問題(これは、「武力行使との一体化論」につながるものとのされ、そのために自衛隊の活動の範囲が抑制的なものとなっている)を生じさせており、これらを解決するためにも、今後の憲法改正論議を見据えつつ、その方向性を明確化していく必要がある。
 わが党としては、引き続き積極的にこの集団的自衛権の問題解決のために取り組んでいく。


(参考 国連憲章(第51条)

 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

(参考 日米安保条約(前文))

 日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的な安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、両国が国際連合憲章に定める個別的または集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、 両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よって、次のとおり協定する。


shige_tamura at 10:43│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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