2007年03月29日

ヒゲの隊長・佐藤正久氏講演(その3)

ヒゲの佐藤

第二五回日本論語研究会

日時 平成一九年三月一七日(土)一六時三〇分〜一八時
場所 慶應義塾大学第一校舎一階一〇二教室
講師 佐藤正久(元陸上自衛隊イラク先遣隊長「ヒゲの隊長」)
演題 「自衛隊と国際貢献」

(三)協力者を増やす

 私たちは先遣隊として初めて行きました。情報がありませんでした。
 なぜかと言うと、従来の平和維持活動と比べ、とにかく治安が悪い。奥(克彦)大使や井ノ上(正盛)一等書記官も亡くなりました。
 
 ですから事前に日本政府の役人も入れないんです。従来ですと、日本政府の役人が入って、その後で自衛隊が入る。それができない。
 だから先遣隊長が行って、現地を見て、調整をして、情報を取りなさいと。先遣隊が集めた情報によって本隊を派遣するかどうかを決めると。
 つまり情報を集めないと本隊の派遣につながらないんです。
 隊員は「怖い」と言います。住民の真ん中に行っても、誰が敵で誰が味方か分からない。全員が全員、自衛隊を好意的には思っていませんから。
 「どうせお前らはアメリカから言われて来たんだろう」と思っている人もいます。
 向こうに行く時、隊員とその家族を交えた昼食会がありました。その時、ある隊員のお子さんが、彼の足元でジャレ付いていました。その脇では奥さんが泣いていました。
 
 当時は戦地に行くかの如く報道するメディアもありましたから、その奥さんは「生きて帰って来ることができるんだろうか」と思っていたのでしょう。そういう光景を見る度に、「何としても隊員を奥さんの元に帰さないといけない」と思いました。
 そして市谷台から成田空港に皆さんに送られる中、出発しました。特に女性の方の多くが泣いておられました。
 私の家族ですら妻と娘は泣いていました。そういう姿を見て、「絶対に帰って来よう」と誓いました。
 恐らく男性の方は、私と同じ立場であれば、皆さんそう思うでしょう。
しかし、仕事の場所は住民の真ん中です。情報がなければ動けません。最初から情報のネットワークがあれば動けます。それがない。
 まず地域の安全化を図るために協力者が必要です。彼らは、地元の人間で自衛隊に好意を持っている人、持っていない人が分かります。
 そういう協力者をいかに見付け、いかに増やすか。そういう人たちが多ければ多いほど安全が担保できるんです。
 敵対する人間に囲まれれば情報が入らない。そうなるとテロリストの犠牲になる。それが現実です。
 協力者を増やすことが大きなポイントなんです。そして住民の信頼を得る。これに勝る安全確保はないと思います。
 でも信頼を得るのは簡単なものではありません。人間関係もできていないのに信頼関係などできません。
 そこでいろんなことをやりました。

 一つ目は溶け込む努力。
 二つ目は住民の要望に応える。
 三つ目は情報のネットワークの構築と情報発信。
 四つ目は私たちの組織文化を変える。
 
一つずつお話します。


shige_tamura at 07:18│Comments(0)TrackBack(0)clip!日本論語研究会 

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