2007年03月28日

国家のインテリジェンス(情報)はどうなるか

現在、政府ではインテリジェンス(情報)についての検討が行われています。
そこで、今回は「官邸における情報機能の強化の基本的な考え方の概要」を掲載しました。

平成19年3月28日


1 はじめに

 複雑多様化する国際情勢の下、我が国の国益を守り、国民の安全を確保するためには、政府の情報機能を強化することにより、より多くの質の高い情報を収集し、それらに高度の分析を加え、適正な政策判断を支えていくことが必要である。特に、国家安全保障に関し、官邸司令塔機能の強化に向けた体制の整備が進められる中、官邸における情報機能の強化が急務となっている。

 情報機能強化検討会議では、昨年12月1日に設置されて以来、官邸司令塔機能を支えるため我が国の情報部門として何を成し得るか、政策部門との連接、情報の収集及び情報の集約・分析から成る情報サイクルの構成要素の1つ1つに検討を加えるとともに、情報基盤の整備及び情報の保全の徹底という情報機能のインフラ整備に至るまで密度の濃い検討を集中的に行ってきたところである。その成果として、次のとおり官邸における情報機能強化の基本的な考え方を取りまとめたので、これを我が国情報コミュニティの共有財産とし、本検討会議を中心として一歩一歩着実に実現させてまいりたい。


2 情報機能の強化

(1)政策との連接
  \策と情報の分離
 情報部門においては、政策部門の情報関心に基づいて、情報を収集し、収集された情報の集約・分析を行い、その成果を政策部門に提供する。他方、政策部門は、提供された情報を政策立案及びその実施に活用し、その上で、新たな情報関心を提示する。適正な政策判断を行うためには、収集された情報を政策部門から独立した客観的な視点で評価・分析する別個の部門が必要であることから、官邸における政策部門と情報部門は、官邸首脳の下、別個独立の組織とし、政策と情報の分離を担保する。

 ◆\策と情報の有機的な連接
 政策と情報の分離を前提としつつ、政策判断に資する情報の提供を確保するためには、両者の有機的な連接が必要である。そのため、官邸首脳の指揮の下、官邸の政策部門(国家安全保障会議等)からの情報関心が明確かつタイムリーに情報部門に伝えられ、他方、政府が保有するあらゆる情報手段を活用した総合的な分析(オール・ソース・アナリシス)によりその価値が最大化された情報が政策部門(国家安全保障会議等)に提供されるよう、内閣情報会議、内閣情報官及び各情報機関が連携して機能する。

 ○ 内閣情報会議
 内閣情報会議を官邸の政策部門からの参加も得る形に再編し、同会議において官邸の政策部門の中長期的な情報関心を情報部門に対して提示するとともに、その情報関心に適切に応えるオール・ソース・アナリシスの成果を報告する。

 ○ 内閣情報官
 内閣情報官は、官邸首脳への定期的なブリーフィング等の機会を通じて、時々刻々変動する官邸首脳の情報関心の機動的な提示を受けるとともに、オール・ソース・アナリシスの成果を官邸首脳に報告する。また、内閣情報官は、官邸の政策部門に対して、オール・ソース・アナリシスに基づく情報をタイムリーに提供するものとし、そのため、官邸首脳の指示を受けて、官邸の政策部門の重要会議に出席する。さらに、これらの情報関心の提示、情報提供等について、情報コミュニティ内で共有することにより、政策と情報の日常的な結節点として機能する。

 ○ 各情報機関
 各情報機関から官邸首脳への直接報告のルートも確保し、その際には、各情報機関は、内閣情報官との間で、官邸首脳に情報が適切に提供されることを確保するために必要な連絡を行うものとする。

(2)収集機能の強化
  ‖亞或妖情報収集機能の強化
 今日の国際的な諸課題のうち、国際テロ、大量破壊兵器拡散、北朝鮮等の問題に関する情報は、我が国の安全保障又は国民の安全に直接かかわるところであり、その収集は喫緊の課題であって、これらの国や組織の意図を把握する必要性は増大している。
 現在、在外公館において、広範な人脈の構築を通じて多様な人的情報収集活動が行われているほか、人的体制の強化に向けた取組みが進められており、また、情報関係の各省庁においても、各級職員の海外への派遣等による対外情報の収集が行われているが、上記のような情報収集の対象国や組織は閉鎖的で、その内部情報の入手が困難であることが多く、そうした情報が不足している状況にある。
 この問題に取り組むため、具体的に不足している情報の検討を踏まえて、より専門的かつ組織的な対外人的情報収集の手段、方法及び態勢の在り方を早急に検討し、その実現を図る。
 
 ◆,修梁召両霾鷦集機能の強化
 その他の政府における既存の情報収集手段についても、その能力の維持・拡充を図る。

(3)集約・分析・共有機能の強化
  ―弧鵝κ析・共有の必要性
 適正な政策判断に資する情報が確実に情報部門から政策部門に対して提供されるには、政策との有機的な連接の確保及び収集機能の強化に加えて、政府として高度の分析を行うための集約・分析機能を強化するとともに、政府全体の分析能力の向上を図るための情報共有の促進が重要である。そのため、現在の合同情報会議の機能を発展させ、情報コミュニティの英知を結集する場とし、情報コミュニティは、同会議等において、官邸首脳及び官邸の政策部門の情報関心に基づくオール・ソース・アナリシスを行うとともに、情報の共有を促進する。

 ◆ヽ搬臂霾鵐灰潺絅縫謄の設置
 政府が保有するあらゆる情報手段を活用するため、内閣情報調査室、警察庁、公安調査庁、外務省及び防衛省のコアメンバーから構成される情報コミュニティのほか、関係省庁からなる拡大情報コミュニティを設け、個別の情勢分析の必要性に応じて合同情報会議等への出席を求めるとともに、オール・ソース・アナリシスの成果についても共有する。

  情報の集約
 内閣情報官は、合同情報会議等を活用して、官邸首脳及び官邸の政策部門の情報関心を伝え、情報コミュニティ内で認識を共有するとともに、それに対応するオール・ソース・アナリシスに必要な情報集約のための優先順位及び各情報機関の役割分担等の調整を行う。

 また、情報コミュニティ(拡大情報コミュニティを含む。)メンバーは、合同情報会議等の事務遂行に資するため、各々連絡責任者及び連絡担当官を指名するとともに、連絡担当官を必要に応じ内閣情報調査室に常駐させ、又は派遣する。また、連絡担当官が同室において各省庁端末を利用できるよう基盤整備を促進する。

 ぁ‐霾鵑諒析
 合同情報会議等におけるオール・ソース・アナリシスのため、内閣情報調査室に高度の分析能力を有する専門家(内閣情報分析官(仮称))を置いて情報評価書の原案を作成することとし、これを同会議等に諮ることにより、情報コミュニティ全体の英知を結集した分析内容とする。内閣情報分析官(仮称)については、その高度の専門性を確保するため、長期間の在職が可能となるような処遇とする。
 
 ァ‐霾鵑龍ν
 情報コミュニティ内の各情報機関における多角的な分析を可能とし、政府全体の分析能力の向上が図られるよう、合同情報会議等の場を活用するなどして、情報の共有を促進する。また、日常の情報共有に関しては、上記連絡責任者を活用するとともに、「(4)基盤整備」で述べるシステムの整備も推進する。
 また、情報評価書等のオール・ソース・アナリシスの成果については、官邸首脳及び官邸の政策部門への報告等に併せて、情報コミュニティ内で共有する。

(4)基盤整備
  ‐霾鵑龍νのための基盤整備
 情報コミュニティにおける情報の共有化を進めるため、情報コミュニティ共通のデータベースの整備、秘密情報伝達用のイントラネットの拡大整備、ハードウェアの連結等の具体的な措置を検討し、その実現を図る。

 ◆/妖基盤整備
 情報コミュニティの機能強化・連携に役立つ人材を育成するため、その具体的な必要性や方法を十分検討した上で、人事交流や合同研修等を推進する。また、情報コミュニティ内における上級幹部への登用に当たっては、他の情報機関での勤務経験を考慮する。

3 情報の保全の徹底

  \府統一基準の策定
 情報の集約・共有及び基盤整備の前提として、セキュリティクリアランス制度を含む政府統一基準を定めるなどの情報保全措置が採られることが重要であり、カウンターインテリジェンス推進会議において、カウンターインテリジェンス・ポリシーの策定に向けた具体的な検討を行う。

 ◆々眦戮糧詭を保全するための措置
 情報コミュニティ内においては、より高度な秘密を保全するための措置が必要であるところ、その秘密の範囲を明らかにし、電磁波漏えい防止、盗聴防止等の物理的な措置を含めて具体的な措置を検討し、速やかにその実現を図る。

  秘密保全に関する法制の在り方
 現在の我が国の秘密保全に関する法令は、個別法によって差異が大きく、国家公務員法等の守秘義務規定に係る罰則の懲役刑は1年以下とされておりその抑止力が必ずしも十分でないなどの問題があり、それを解消するため、新たな法制の在り方についても検討が必要である。

4 実現への道のり

 以上の基本的な考え方を踏まえて本検討会議において更に検討を進め、半年以内を目途に、官邸における情報機能を強化するための具体的な施策を取りまとめ、政府としての意思決定を経て着実に実行に移すこととする。



shige_tamura at 11:40│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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