2007年03月26日

駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案に対する自民党・河井克行国防部会長の代表質問

ガム
 3月23日(金)、衆議院本会議で、「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案」に関する各党の代表質問が行われました。

その時の自由民主党・河井克行国防部会長の代表質問です。


 自由民主党の河井克行でございます。
 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となりました「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案」について久間章生防衛大臣に質問をいたします。

 初めに、わが国を取り巻く安全保障環境の変化と米軍再編の意義、そしてこの特別措置法案の必要性についてお尋ねいたします。
 
 昨年五月、日米安全保障協議委員会、いわゆる「2+2」において、「再編実施のための日米のロードマップ」が合意されるとともに、日米同盟の重要性について改めて確認がなされました。

 今回の米軍再編について、私は二つの意義を強調したいと存じます。

 第一に、北東アジアの平和と安定を図り、日本の独立と平和を守る安全保障戦略に資すること。
 二つ目は、基地の地元負担の軽減、特に全国の米軍基地の75%が集中する沖縄県民の負担軽減への貢献です。
 
 まず安全保障戦略上の意義ですが、今回の米軍再編は日本米両国が近年の安全保障環境の変化にいかに対応するべきかという問題意識から始まっていると考えます。

 日本周辺・北東アジアの環境はこの数年で激変しました。
 北朝鮮による昨年七月の弾道ミサイル連続発射、昨年十月の核実験実施。透明性が確保されないままで毎年十%以上の割合で増強される中国の国防予算。そして極東ロシア軍も最盛期に比べると大幅に削減された状態にはありますが、近年は訓練活動などに増加の傾向が見られます。一方で米国は、「九・一一同時多発テロ」以降、新たな脅威への対応という観点から世界規模の米軍再配置を行いつつあります。
 
 米軍再編は、こうした安全保障環境の変化に対して、日本の自衛隊と在日米軍がより強固に結びつき、日米安全保障体制を強化する取り組みであります。つまり米軍再編とは、まさにいま私たちが直面している安全保障の諸課題に対して、『答え』を出す動きであると私は評価しております。
 
 米軍再編二つ目の意義は、基地がある地元負担の軽減、特に沖縄県民の負担軽減であります。今年は沖縄が本土に復帰して三十五年、節目の年です。いまこそ目に見えるかたちで沖縄の負担軽減を実現するべきですし、中でも、普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去することが沖縄の皆様の強い強い要望であることを私たちは深く認識しなければなりません。この普天間飛行場の移設について、平成八年、当時の橋本龍太郎内閣総理大臣の強力な指導力により日米間で電撃的な合意がなされてから既に十年余りが過ぎました。第二次橋本内閣の防衛庁長官として、推進に努力された久間大臣におかれては、今度こそ移設を実現させようと並々ならぬ決意をお持ちのことと拝察いたします。この普天間飛行場の移設を一日も早く実現するためには、既に日米間で合意された政府案を実行に移すことが最も現実的な方法であると考えますが、この取り組みへの久間大臣のお考えをお示しください。

 つづいて、再編法案の具体的な点について三つお尋ねいたします。
 
 初めは米軍再編の所要経費です。再編を進めるためにどれくらいの国民負担が生じるのかを明らかにすることによって、米軍再編に対する国民の理解はより深まります。再編経費の見積もりの現状および将来の見通しをお尋ねします。
 
 二番目は、再編交付金についてです。
 この法案には、米軍再編の結果、基地負担が増える自治体に対する新たな交付金制度が設けられております。米軍再編はわが国全体としては基地負担の軽減につながるものです。が、一部の自治体で基地負担が増加してしまうことは避けられない事実なんです。負担が増える自治体のご理解なくして、米軍再編を進めていくことは困難です。
 こうした負担を受け入れていただく自治体はすなわち、日本の平和と安全という国の根幹にかかわる政策にご協力をいただく自治体であり、国として交付金を出すことは、当然なことでしょう。久間大臣、この再編交付金をどのような考え方で、どのような方法で交付するのか、お尋ねいたします。
 また政府は、平成十七年十月のいわゆる「中間報告」の発表以降、米軍再編に対する地元の理解と協力を得るべく、説明に努めていますが、関係する自治体のすべてからご理解をいただいているわけではないのが実情です。地元に対する調整を今後いかに進めていくのかについてもあわせてお尋ねいたします。
 
 三番目は、在沖縄海兵隊のグアム移転についてです。沖縄県から米軍基地の県外移設が求められてきましたが、こうした中、日米間の協議の結果、わが国の平和と安全を損なうことなく、かつ、沖縄の基地負担を軽減させるものとして、沖縄海兵隊のグアムへの移転が合意されたことは、大きな前進であると評価しています。
 先だって私は、山崎拓団長のもと、「与党安全保障プロジェクトチーム」の一員として、グアム島に赴き、この目で米軍基地の施設の現状などを見るとともに、現地の行政関係者や米軍関係者と意見交換を行ってきました。
 
 調査の結論は、一つ、グアム島には十分な土地面積があり、土地の確保については問題がない。二つ、グアム島民は在沖縄海兵隊の移転を歓迎している。三つ、社会基盤の整備が現状では不十分のため、米国も自ら相当規模の投資を行う予定であり、わが国としても応分の貢献を行うことが重要。といったことです。

 また現地を視察した私の率直な感想は、このグアム移転は決して世界規模の米軍再編に日本が渋々お付き合いをするという後ろ向きの考えではなく、日本の国益を追求するために、この好機を積極的に活用するのだという戦略的な発想をむしろもつべきだということです。

 このようなグアムの施設整備に要する経費を日本が分担する理由と、それにより何が達成されるのか、お尋ねいたします。
 
 今回の米軍再編は、両国の安全保障分野において、日米安保条約改定以来最大の事業と言えます。日本と米国が息長くお互いに協力し合って、この大事業を成功させることを心から期待いたし、私の質問を終わります。ありがとうございます。



shige_tamura at 09:45│Comments(0)TrackBack(0)clip!安保・防衛政策 

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