2016年03月

2016年03月28日

習近平国家主席と李克強首相の仲(遠藤誉氏)

【防人の道NEXT】なぜ必要なのか?平和安全法制の真実−田村重信氏に聞く[桜H27/11/5] 僕は6分から登場します。
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 日本では習主席と李首相の仲が悪いと言いたがる人が多い。
 全人代で政府活動報告を終えた直後の画像や李首相の汗、あるいは3月25日の政治局会議に李首相が欠席したことなどを理由に挙げている。客観的事実を読み解く。

◆全人代の場面

 今年3月5日に全人代(全国人民代表大会)が開幕し、李克強首相(国務院総理)が政府活動報告を行なった。報告を終えた李克強首相が席に戻るときに、習近平国家主席は最初、前方を向いてニコリともしなかったのは確かだ。しかし張徳江・全人代常務委員会委員長が午前中の閉会の辞を述べ終えて全員が会場を出るために立ち上がったとき、習近平国家主席は、ふと我に返ったように李克強首相の方を見て話しかけ、冒頭の写真にあるように二人は仲良く談笑している。「習近平は李克強と目も合わさなかった」ゆえに二人の仲がいかに悪いかを主張する人々は、習近平国家主席がしっかり李克強首相の顔を見て、ここまで親しげに笑いかけている表情を、どう説明するのだろうか。

 こちらの場面は完全に無視して、座席に戻った瞬間の二人の表情だけから「二人の仲」を推測し、「いかに仲が悪いか」と結論づけるのは早計だろう。

 そういう人たちは、政府活動報告書に習近平を礼賛する言葉がやや少なめであったことを、「習近平が不機嫌だった理由」とし、「李克強が習近平に敵対心を持っている証拠」としているが、3月14日付の本コラム「全人代政府活動報告は誰が書くのか?――習近平は事前にチェックしている」にも書いたように、習近平国家主席は何度も報告書に目を通しており、最後にチェックしたのは習近平国家主席自身だ。


 ただ、たしかに李克強首相が政府活動報告をしている間、習近平国家主席の表情は固かった。

 それは前日の3月4日に、新疆ウィグル自治区の中国共産党委員会が参画している「無界新聞」が「習近平は辞任せよ」という公開状を出したことが理由なのではないだろうか? 

 その証拠に、3月3日の全国政協会議開幕式に入場するときの習近平の表情をご覧いただきたい。やや微笑みを浮かべ、晴れやかだ。ひな壇の主席団の方にも目をやり、ゆとりがある。

 ところが、3月5日の全人代のときの入場場面では微笑みも晴れやかさも消え、主席団の方に目をやるゆとりも見られず、視線は下に落としている。

 当然だろう。その前日に「習近平はすべての党の指導的職位を辞任せよ」などという公開状が党のおひざ元のウェブサイトに現れ、しばらく全世界に露出していたのだから。これに関しては本コラム欄でも何度も取り上げたので、ここではくり返さない。

 もし、李克強首相が席に戻ろうとしたときの習近平国家主席の表情のみを理由に挙げて二人の仲が悪いと断言するとすれば、今回のコラムの冒頭に挙げた写真の説明はつかなくなる。また習近平の心理を読み取ろうとするのなら、3月4日に起きた前代未聞の出来事が、どれだけ習近平国家主席に大きな衝撃を与えたかに関して十分な分析を加えなければなるまい。

◆李克強首相の汗

 李克強首相は、若いころから汗っかきだ。特に壇上で直立不動の姿勢でスピーチするときには激しい汗をかく。手の中は汗でびっしょりになることで有名である。

 約2時間も全世界の目が注がれている中、直立不動で国策を決定する演説を続ければ、額に汗くらいかくだろう。

 この汗を、習近平国家主席に追い詰められている証拠としてあげつらうなど、笑止千万。

 もし追い詰められているとすれば、彼はなぜ3月16日の記者会見においては、あんなに身振り手振りで、にこやかだったのか?

 直立不動ではないからだ。

 これは北京大学に在籍し、共青団の仕事に関わるようになってからの、彼の特徴なのである。質疑応答には軽妙に回答できる。特に座っている場合は手振りも豊かにサービス精神満点だ。ところが、直立不動で演説をするとなると、マイクを持たなければならない場面などでは、マイクが手から滑り落ちてしまうほど汗をかく。昔からの体質だ。

◆3月25日の中共中央政治局会議を欠席したことに関して

 3月25日、習近平は中共中央総書記として中共中央政治局会議を開催した。テーマは「経済建設と国防建設」および「長江経済発展計画」だった。経済関係なのに李克強首相がこの政治局会議に参加していなかったとして、「李克強外し」のような論調を掲げる一部の日本メディアを目にして、驚いた。

 李克強首相は3月24日から海南省の博鰲(ボアオ)で開催されているボアオ・アジアフォーラム2016年度年次総会に出席し、基調講演を行なっていた。おまけに23日には海南省の三亜で初めての「瀾滄江−メコン川協力」首脳会議を、李克強首相は主宰しなければならなかった。会議の共同議長国であるタイのプラユット首相をはじめ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムなどの国の指導者も出席している。アセアン諸国を掌握するために、外すわけにはいかない。

 それにボアオ会議は、もともと基本的に国務院総理(首相)が出るものであって、よほど時間があるとか何かほかの特殊な事情でもない限り、国家主席が出ることはあまりない。

 一方、習近平国家主席は3月28日から30日までチェコを公式訪問し、チェコのゼマン大統領と会談することになっている。31日からワシントンで開催される核サミットに出席し、オバマ大統領と会談しなければならない。

 習李両人とも、日程的にはギリギリの綱渡りだ。

◆「太子党」は蔑称であって、「党」ではない

 日本のメディアで散見されるのは、習近平国家主席が「太子党」として共青団派の李克強首相を追い落とそうとしているという分析だ。これなどはもう批判することさえ値しないほど現実離れをしている。筆者は『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』で、たしかに「太子党を例にとって党内の権力闘争を描いた。しかしそれは胡錦濤政権のときの話であり、かつ「太子党」という「党」はない。これは「紅二代」(革命第一世代の子供たち)への蔑称であり、「党」ではない。ネットで政府のためのコメントを書く連中を「五毛党」という蔑称で呼ぶのと同じような意味の「党」という漢字に過ぎない。「奴ら」とか「やから」という意味だ。

 日本でも二世議員はいるが、日本共産党の議員と自民党の議員の子供(二世)同士が徒党を組むことはないのと同じように、革命第一世代は「殺し殺される仲」であったことを忘れないようにしてほしい。「自分こそはトップに上り詰めてやる」と思っているが故に、ほとんどが敵同士だ。

 おまけに今後は(現在8700万人の)党員のほぼ全員が共青団を経験した党員になっていく。共青団を経ずして党員になるケースはもうなくなるし、「紅二代」世代はいなくなるので、その点から考えても現実離れしているのである。

 このような客観的事実を無視し、表面的現象だけを見て、先験的視点で中国分析をしていたら、肝心のことを見失ってしまうだろう。中国の一党支配体制は内部抗争などやっている場合ではないほど危機的な状況にある。
 それでいながら軍事力を高めることに関しては一丸となっていく。それらの現実から、日本人の目をそらせてしまうという危険性を招く。日本国民を「どうせ、権力闘争をやっているのさ。
 中国、恐るるに足らず」といった誤った視点に誘導することに、いかなるメリットがあるのだろうか? そのことを憂慮する。
 (ヤフーより)


遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

2016年03月15日

「国民は2度目は騙されない、だから民進党にも騙されない」

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 iRONNAに僕の論文http://ironna.jp/article/2966?p=1

「国民は2度目は騙されない、だから民進党にも騙されない」が掲載されました。

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 自らの政党も好きになれない人たちに期待はできない。日本を嫌いな人が、日本を良くすることはできないのと同じことだ。

2016年03月14日

最近の日本テレビがおかしい。自民党大会の安倍総裁挨拶(全文)

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 自民党大会の安倍総裁の挨拶を伝える報道で、日本テレビは、3月13日深夜放送の「Going! Sports&News」で、同日昼に放送したニュースで自民党大会について取り上げた際「安倍総理の発言に関する字幕スーパーが誤っていました」と述べ、陳謝した。

 同日午前11時30分の「ストレートニュース」では、自民党大会を現地生中継を交えた際に、「安倍首相"選挙のためだったら何でもする"」と字幕をつけていた。

 安倍首相は党大会の演説では、「選挙のためだった何でもする。誰とも組む。こんな無責任な勢力に私たちは皆さん、負けるわけにはいかないんです」と述べていた。

 これにインターネット上で批判が巻き起こった。

 日本テレビはその後、同じニュースを伝える際、字幕を「"こんな無責任な勢力に負けるわけにいかない"」を追加するなど修正した。

 テレビは、映像が命で、テロップ・字幕の影響が大きい。

 最近、日本テレビは世論調査でも酷い間違いをしている。

 日本テレビの1月の世論調査の質問で、

「去年9月に成立した安全保障に関する法律についてお伺いします。同盟国などが攻撃を受けた場合、日本が攻撃されたことと見なして、反撃することができる集団的自衛権の行使など、自衛隊の活動を広げる安全保障関連法が、3月末までに施行されます。あなたは、この法律を支持しますか、支持しませんか?」について、

(1)支持する  33.1%、
(2)支持しない 53.3%、
(3)わからない、答えない 13.6%。

 これに防衛省は、政治部長宛に文書を送付。

 今回の法制は、「あくまで「限定的な集団的自衛権」の行使を認めたものであり、他国防衛それ自体を目的とするいわゆる集団的自衛権一般の行使を認めたものではありません。」「このような設問は、・・・誤解を国民に与えるものであり、極めて遺憾であります。」「今後慎重かつ適切な報道を強く要望致します。」というもの。

 同じテレビでも、質問内容によっては評価が大きく変わる。

 FNNの世論調査(1月)の設問では、
「集団的自衛権を限定的に容認し、自衛隊の役割を増やした安全保障関連法を評価しますか、評価しませんが。」だと、

 評価する46.5% 
 評価しない46.2%

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 自民党大会の安倍総裁挨拶(全文)

 第83回自由民主党大会にあたり、党総裁としてごあいさつを申し上げます。
 本日、全国各地域にあって、常に自由民主党を力強く支えていただいている皆さまに、大変お忙しい中、こうしてたくさんの皆さまにお集まりをいただきました。まずもって党を代表して、ご参集いだたいた皆さまに、厚く厚く御礼を申し上げます。
 そして、先ほど表彰された皆さま、本当におめでとうございます。皆さまのように、いい時も悪い時も、厳しい時も困難な時も、どんな時も自民党を支え続けていただいた皆さまのお力で、我々は昨年、60年の歴史を刻むことができました。そのことを決して忘れずに、国民の信頼あっての自由民主党であることを胸に刻み、これから謙虚にしっかりと歩みを進めてまいります。
 先ほど、友党公明党の山口那津男代表から温かいごあいさつをいただきました。ありがとうございます。風雪に耐えた自民党公明党の連立政権の基盤の上に、今後も着実に実績を積み重ねてまいります。そして、経済界を代表して今年も経団連の榊原会長から力強いあいさつをいただきました。一昨年、そして昨年に続き、今年も4月の賃上げ、かつみんなが喜ぶような賃上げを、ぜひお願いしたいと思います。本当にありがとうございます。前もって御礼を申し上げたい(会場笑い)、こう思う次第でございます。

 さて、2日前の3月11日は、あの東日本大震災から5年の節目の日でありました。まずもって皆さまとともに、尊い命を落とされたすべての方々に、哀悼の誠をささげたいと思います。あの日は、私たち日本人にとって忘れ得ぬ日となりました。あまたの人々が命を失い、たくさんの人たちが愛する人を失いました。「なんで助けることができなかったのか。そればっかし考えている」と避難所で息子さんの写真を私に見せながら、そう語ったお父さんの言葉が今も耳に残っています。遅々として進まない復興、避難所で苦しむ人たちを前にして、私たちは野党であることの無念さに震える思いでありました。特に被災地の議員たちは、また被災地で落選中だった仲間たちは本当に悔しかったと思う。あの時私たちは、改めて野党となったことを深く深く反省し、そして、政治はリーダーシップを発揮して、復興を成し遂げるためには政権を奪還しなければならない、こう決意を新たにしたところであります。
 私たちは、政権復帰後ただちに、復興大臣のもと、省庁の縦割りを打破し、現場主義を徹底し、復興に取りかかりました。あれから3年。政権復帰後、計画すらなかった高台移転は、すべての工事が着工し、この春には全体の75%、300の地区で造成が完了します。災害公営住宅は、来年の春までに全体の85%、25000戸が完了する見込みであります。農地の75%が作付け可能となり、この春にはほぼすべての漁港が復旧いたします。東北の地においても、次々と新しい産業の芽が生まれはじめています。ふるさと東北を愛する方々の情熱によって、復興は着実に前進しています。しかし同時に、仮設住宅で困難な生活を強いられている方々がたくさんいらっしゃることも事実であります。そして原子力災害によって、ふるさとに戻れない、辛い思いで日々をおくっておられる方々がたくさんおられることも承知しています。愛する家族を、愛する友人を失い、なんで私たちなんだと天を仰いだ、その悲しみはそう簡単に癒えることはないでしょう。被災された皆さんのこの5年間のあゆみは、困難で辛いものだったと思います。その被災者の皆さまの心に寄り添いながら、私たちはこれからも着実に、復興を進めてまいります。住まいの復興、なりわいの復興に力を入れ、心のケア、心身のケアにも全力を尽くしてまいります。 東北の復興なくして日本の再生なし。この5年前の私たちの誓いをあらたにし、その責任を果たしてまいります。

 世界経済が不透明さを増しています。世界的なリスク回避の動きによって日本市場も大きく変動しています。ここぞとばかりに「アベノミクスは失敗した」こう野党が批判をしています。皆さん果たしてそうでしょうか。それが間違っていることは、事実が、数字が証明しています。2012年の政権奪還総選挙、私は国民の皆さまにこうお約束をしました。デフレ不況によって失われた国民総所得50兆円を、私たちは取り戻します。もうすでに、40兆円奪還しました。本年中に50兆円取り戻すことができる見込みになっています。経済において、政治にまず求められることは働く場、雇用を作ることであります。 我々が政権をとって、110万人以上雇用は増えました。中小企業、小規模事業者を中心に企業の倒産件数は、民主党政権時代よりも約3割減少したんです。有効求人倍率は、24年ぶりの高い水準になっている。これは大都市を中心としているのではないんです。 全国で有効求人倍率1以上、つまり1人の求職者に対し1人分以上の職がある状況、この有効求人倍率1以上だった都道府県は、民主党政権時代は8つだった。今はどうなっているか。36の都道府県で、皆さん、1を超えたんです。そして、沖縄は残念ながらまだ0点99でありますが、過去最高であります。必ず1になる日を、我々も目指していきたい、こう考えています。宿題であった正規雇用についても、8年ぶりに増加に転じ、26万人正規雇用が増えました。実はこの3年間、15歳から64歳までの生産年齢人口は、335万人減少しました。335万人生産人口が減る中で、私たちは26万人正規雇用を増やすことができたんです。昨年は正規雇用の方が非正規よりも増えている、これは何と21年ぶりのことであります。この4月、高校を卒業し就職する皆さんの内定率は、25年ぶりの高水準、大卒者は8年ぶりの高い水準になっています。最低賃金は3年連続、大幅にあがり、その結果パートで働いている皆さんの時給は、過去最高になっています。
 アベノミクスとはなにか。それは雇用を増やし、収入を増やしていくことであります。私たちの進めてきた経済政策は、間違いなく結果を出しています。これからはさらに若い皆さんも、高齢者の皆さんも、女性も男性、難病のある方もあるいは障害を持った方々も、1度2度3度失敗した人たちも、みんなが活躍できる一億総活躍社会を作り、そして成長と分配の好循環をまわしながら、名目GDP600兆円に向かって歩みを進めていく考えであります。

 先ほど、ノーベル賞を受賞された梶田先生から示唆に富むスピーチをいただきました。御礼を申し上げたいと思います。これからも研究環境、特に基礎研究について、しっかり応援していかなければいけない、このようにあらたに思いをいたしたところでございます。日本人の勤勉さが、世界的な大発見につながった、日本人として本当に誇りに思います。梶田先生は埼玉県ご出身で、埼玉大学のご出身であります。同時期にノーベル賞を受賞された大村先生は、山梨大学のご出身です。埼玉県の皆さま、山梨県の皆さまおめでとうございます。来年はぜひ、私の地元山口大学にも頑張っていただきたい、そう思っているんです。お2人に限らず、日本のノーベル賞受賞者は、地方大学の出身者が多い。これは皆さん、日本の特徴なんです。この地域にある知の拠点をもっともっといかして、新たな価値を作り出して、イノベーションを起こしていきたいと思っています。
 私達が進めている地方創生は、この地方の可能性を、地方の皆さんが主役となって開花させていく、これを国が応援をしていくという新しいチャレンジであります。地方にはまだまだ多くの可能性が眠っています。3年連続、海外からの旅行者の数は過去最高となり、たった3年で倍以上に増えました。佐賀では、ドラマや映画で紹介されたこともあり、2年でタイからの宿泊者が10倍になったそうであります。岡山では、商店街に免税カウンターを作った結果、毎日外国人が訪問している、なぜがボールペンが大変な人気だそうでございます。我々は規制改革を進め、免税店の数を3倍、3万店に増やしました。地方にもどんどん免税店ができています。1年間に3兆円を使う外国人観光客の増加は、地方にとっても間違いなく、大きなチャンスであります。

 特に地方には、世界に誇るべき農林水産物があります。3年前、この党大会で私は、TPP交渉参加するにあたって、日本の農林水産業を守ります、こうお約束をしました。このお約束は、必ず果たしてまいります。毎日土や海や森と向き合い、地域を守り、美しい田園風景を守り、伝統は文化、美しい日本を守ってきたのは、地方にあって農林水産業に従事する皆さんです。農は国のもとい。しかし、戦後1600万人おられた農業従事者は現在200万人、平均年齢は66歳を超えています。大切な農業を守っていくためには、私たちは農政の改革を進めなければなりません。この農政の改革を、農業の改革を進める中で、直近で40歳代以下の新規就農者は2万人以上になった。これはこの8年間でもっとも多い数であります。また、3年連続農林水産物の輸出は過去最高となり7000億円を超えました。
 3年前に私は、日本の農林水産物の輸出を2020年までに1兆円にします、こう宣言したとき、一部マスコミや野党は、そんなことは絶対できない、こう批判しました。最初から諦めていては、批判ばかりしていては、皆さん、何も生み出すことは、何も成し遂げることはできません。この1兆円目標を、2020年を前倒しして、達成してまいります。若い皆さんが農業に夢や希望をたくせる農業新時代を、皆さまとともに作りあげてまいります。

【安保法制・自公対民共】

 昨年は敗戦から70年の節目の年でありました。先の大戦では、祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、300万余の日本人が尊い犠牲となりました。この尊い犠牲の上に、現在の私たちの平和と繁栄があります。この重さをかみしめながら、私たちは日本人の命と幸せな暮らしを、日本の領土と領空、そして美しい海を守り抜いていくという大きな責任があります。そのための平和安全法制でありました。安全保障の議論は常に、国論を二分します。日米安保条約改定時、またPKO法の制定時、昨年の平和安全法制制定時と同じように、日本は戦争に巻き込まれる、徴兵制が始まる、無責任な批判が展開されました。しかし私たちの先輩たちは、それにたじろぐことなく毅然として決断をしてきました。
 その決断が正しかったことは、すでに歴史が証明しています。平和安全法制もそうであります。先般、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、日米は従来よりも増して緊密にしっかりと連携して対応することができました。日本を守るために、お互いが助け合うことができる、同盟はその絆を間違いなく強くしたんです。この平和安全法制を、民主党は共産党ととともに廃止しようとしています。皆さまご承知のとおり、共産党の目標というのは自衛隊の解散、日米安保条約の廃棄であります。その共産党と手を組んで、民主党が平和安全法制を廃止したら、せっかく国民を守るために強化されたこの日米同盟の絆は、大きく損なわれてしまうんです。損なわれた後、抑止力が大切だとは知らなかった、とそう言ってもそれは後の祭りであります。あの時よりも、はるかにはるかにはるかに大きなダメージを受けることになります。

 選挙のためだったら何でもする、誰とも組む、こんな無責任な勢力に、私たちは皆さん、負けるわけにはいかないんです。今年の戦いは。政治に国民に、責任を持つ自民党公明党連立政権対、こうした民主党共産党、民共の勢力との戦いになります。

 3年前、日本の政治は迷走し、そして経済は低迷し、日本を重く暗い空気が覆っていました。さらにねじれ国会に陥り、あの時代に戻してはなりません。ことし、18歳、19歳の若い皆さんが、初めて1票を投じます。この若い皆さんたちに、若い人たちの未来に責任を持つことができるのは、皆さん、私たち自由民主党であります。皆さん、まず北海道5区の補欠選挙、そして夏の参議員選挙、万端を期して、この若い皆さんの未来のために、日本のために、戦い抜いていこうではありませんか。そして輝く日本を作っていこうではありませんか。ともに頑張りましょう。ありがとうございました。

(了)


shige_tamura at 16:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!安倍晋三 

2016年03月11日

朝韓間の経済交流即時無効を北朝鮮が――中国新華社が速報(遠藤誉氏)

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 3月10日午前10時40分、新華社からの速報が入った。北朝鮮と韓国のあらゆる経済交流協定がこの時点から完全に無効になると。中国は北朝鮮からの石炭輸入を3月1日から停止させた。中国政府とネットユーザーの声を拾ってみよう。

◆北朝鮮の報道官の発言を伝える新華社の速報

 3月10日午前10時40分、新華社からの速報が入った。見れば「北朝鮮と韓国の間のすべての経済協力協定は、ただいま即刻、完全に無効になる」という知らせだ。北朝鮮のメディアが伝えたのだという。朝鮮祖国統一和平委員会の報道官が伝えた、とだけしか書いていない。

 ただ、ここから分かるのは、中国政府にとって、いかに朝鮮半島問題が切実かという事実だ。

 動きを追わなければと思っているまもなく、その7分後の10時47分、中央テレビ局CCTVのネットにある「中央電視台新聞センター官報微博(ウェイボー、Weibo)」から、たくさんのネットユーザーのコメントが、筆者の携帯に飛びこんできた。(このページは、もしかしたらアクセスできないかもしれない。その節はお許しいただきたい。)

 時々刻々増えていくので、すべてをフォローはできないが(最初に入って来た時点と、本コラムの読者の方々がクリックなさる時点では、状況は異なっていると思うが)、以下のようなコメントが気になった。( )内は筆者。

●誰を脅しているつもりなんだい? 地縁があるからといって恥知らずにも強引に中国を道連れにして(1950年に金日成が強引に中国を朝鮮戦争に巻き込んだことを指す)、我が国の利益を侵害しておきながら、さらに恥知らずにもあれを打ちのめしてやる、これを発射してやると叫びまくる。穴だらけのボロボロの鉄で、何ができると思ってるんだい?(中略)朝鮮半島の長年の平和は、(朝鮮戦争のときの)中国人民志願軍の鮮血と命で得たものじゃないか!こんな奴に壊されてたまるか!このろくでなしは、一度、痛い目に遭わせてやらなきゃ!

●ならず者、国家!

●中国は、主人に咬みつく犬を養ってしまったようだ。

●(中国は)さっさと出兵して、この妖怪(悪党)をやっつけなきゃ。(中国東北の)吉林省が管轄すればいいんだよ。

●あいつ、なに様だ! 失うものがないから、怖いもの知らずなんだろう。

◆韓国の報道官の発言を続報で伝える新華社

3月10日、13:59になると、また新華社からの速報が飛びこみ、今度は韓国メディアの情報が伝えられた。それは午前の北朝鮮メディアの速報を補う以下のような内容だった。

――北朝鮮の祖国平和統一委員会のスポークスマンは「ただいま即刻、北朝鮮と韓国間のすべての経済協力交流プロジェクトが無効になる」と発表した。さらにスポークスマンは「韓国が一方的に金剛山観光プロジェクトとケソン工業園区運転を全面的に大使するという決定を一方的に行なったので、(北)朝鮮は徹底的に挑戦領内における全ての韓国側の財産を一掃することにした。朴槿惠政権に対して、政治・軍事・経済などあらゆる方面において致命的な打撃を与え、韓国が悲惨な末日を一刻も早く迎えるために、(北)朝鮮は引き続きあらゆる措置を取り続ける。(北)朝鮮は、韓国に対して先制攻撃をするための最終司令を待っているだけだ。

 この内容は「中華網・軍事」など、多くのウェブサイトが転載している。

◆中国外交部、韓国を牽制するシグナルも

 中国の外交部の洪磊(こうらい)報道官は、3月9日の記者会見で「韓国は対北朝鮮独自制裁で中国の正当な利益を損ねるべきではない」と回答したと、新華社が伝えた。

 洪磊報道官は「独自制裁は問題を解決する方法ではない。また独自制裁は中国の正当な利益を損なうべきではない。朝鮮半島が複雑でデリケートな形成にある中、関係各方面は、新潮に冷静に対応すべきで、局面の緊張を高めるような行動を撮るべきではない」と述べたとのこと。この発言から、洪磊報道官が言うところの独自制裁は、米韓合同軍事演習のことを指しているものと考えられる。

 以下に記者会見における記者の質問と、洪磊報道官の回答を略記する。

記者:報道によれば、一層の北朝鮮から来た貨物船が、山東省の日照港で進入を禁止されているとのことですが、中国は国連安保理における対北朝鮮決議を執行しようとしているのですか?

洪磊:私は具体的な状況に関しては了解していません。但し、中国はまさに、国連2270号決議を、全面的かつ厳格に執行しています。安保理第2270号決議は、ただ単に北抽選への制裁を含むだけでなく、6カ国会談という対話による問題解決の道を再び模索し朝鮮半島の平和と安定を図るという内容を含んでいます。関係各方面は、バランスを以てこの決議を執行するように望みます。(中略)中国の合理的で正当な安全戦略と利益は不当に損なわれてはなりません。

◆北朝鮮からの石炭輸入停止は3月1日から実行

3月3日付の「環球外匯(外国為替)」あるいは3月4日の「国際煤炭(石炭)網」は、「中国政府は業界関係者に、3月1日から、北朝鮮からの石炭と鉄鉱石の輸入を停止するよう命令した。日用品と食品の貿易に関しては、まだその指令を出していない」と報道している。

北朝鮮の現場報告として、高英起氏が「中国が石炭輸入を停止、北朝鮮国内に困惑広がる…制裁が本格化」と書いておられる。この記事により立証されているように、中国が3月2日の国連安保理決議2270号が議決される前日の3月1日から、実際上、独自制裁で北朝鮮からの石炭と鉄鉱石の輸入禁止を実行していたというのは、注目に値する。

中国では政府の無償支援としては、すでに2年前から石油の輸出をストップしているとのこと。中朝辺境貿易地区で民間企業を通して、改革開放を促すための貿易としてまだ石油の輸出を許していた。

しかし今年2月になって、「韓国メディアによると」という形の報道だが、中国では今年2月の時点で、すでに中朝貿易の50%を停止しており、北朝鮮の銀行に対する凍結も50%実施していたという報道がある。

 日本の研究者の中には、「中朝蜜月」とみなす人がまだいるようだが、中朝関係はどこから見ても、「蜜月」などという情況は皆無だ。

 ネットユーザーの90%以上が、北朝鮮を嫌悪し、金正恩のことを「金三胖(ジン・サン・パン)」と呼ぶのはまだいい方だ。「金三胖」とは、「金ファミリー三代目のデブ」という意味だ。「金猪(ジン・ズー)」(猪:豚の意味)という呼び方もある。

 中国政府高官が金日恩を指すときには「小○子(シャオ・ホーズ)(○は人偏に火)」(あの若い奴)としか言わない。名前などで呼んだことさえない。

 それくらい、中国政府も庶民も北朝鮮を嫌い、金日恩を危険視しているということだ。

 今回の速報は、その危険視している「ならず者」の国家の一挙一動が、中国の安全・利害に影響してくることへの警戒感を示していると見ることができよう。


遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

2016年03月09日

中国は座視しない!――朝鮮半島問題で王毅外相(遠藤誉氏)

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 3月8日、全人代の外交部記者会見で王毅外相は北朝鮮問題に関して「中国は絶対に座視しない」と強い口調で断言。せっかく対北朝鮮制裁決議に賛同したのに、戦争を誘発する米韓合同軍事演習を行っていると暗示した格好だ。

◆全人代の記者会見における王毅外相発言

 全人代は初日午前中の全体会議における政府活動報告が終わると、各行政区分に分かれて分科会を開催し政府活動報告に関する審議をそれぞれ行うが、対外的には毎日のようにテーマ別に記者会見を開いて、現状を説明する。内外記者からの質疑応答にも応じるので、なかなかの見ものである。記者の質問は予め指名されていることが多いようだが、それでもこの質疑応答はおもしろい。

 今回は3月8日午前、中国の外交政策と外交関係問題に関する記者会見で、王毅外相(外交部部長)は韓国のテレビ局記者の質問に答えた。強い語調と厳しい表情だった。この様子は中央テレビ局CCTVでも伝えられたが、中国共産党機関紙のウェブサイト「人民網」が文字化した内容を伝えているので、それを引用したい(リンク先は「人民網」の「両会(全人代と全国政治協商会議)(lianghui)に関する「決勝開局」というページである)。

 以下は質問と応答の概要だ。

 質問(韓国テレビ局記者):中国は歴史上最も厳しいとされている対北朝鮮の安保理決議に賛同しました。ただし問題はどのように執行するかです。中国外交部はたしかに(制裁を)厳守すると承諾しましたが、有効的に履行するために中国はどのような努力をするのか、ということが問題となります。安保理決議では、北朝鮮が鉱物を輸出することを禁止していますが、しかし民生に必要な物資は例外とされています。中国政府は民生と非民生物資を、どのようにして区別しておられるのでしょうか?

 回答(王毅外相):中国は安保理常任理事国として責任があると同時に執行能力も持っています。民生の概念に関してですが、これは誰もが認識を共有しているものだと思います。中国は安保理決議を執行するに当たり、当然のことながら客観的かつ公正な態度で臨み、必要な評価と認定と監督を行ないます。(国連安保理)2270号決議は制裁を含んでいるだけでなく、六カ国協議を再び申し込むことを含んでいるという事実を忘れてはなりません。関係各方面が、朝鮮半島の緊張を高めるような、いかなる行動をも避けるよう私はここに強く要求します。対話こそが問題を根本的に解決する道なのです。

 だというのに、朝鮮半島情勢は目下、一触即発の局面にあり、戦火の敵意に満ち満ちています。もし、この緊張状況が増し、コントロールを失ったとすれば、全ての関係者には災難が降りかかってくるでしょう。

 朝鮮半島の最大の隣国として、中国は朝鮮半島の安定が根本的に破壊されるのを座視するわけにはいかないのです。中国の安全と利益がいわれなく損なわれるのを、中国が座視することは絶対にない!

 われわれは各方面の関係者が理性的に抑制し、矛盾を激化させないことを望む!

◆「戦争になったら、アメリカのせいだ」――環球時報が北朝鮮の声を

「環球時報・軍事」が、「米韓が30万規模のかつてない軍事演習

 北朝鮮:もし戦争になったら全てアメリカのせいだ」という見出しの記事を、3月7日に報道した。

「環球時報・軍事」は、自分自身の報道として、まず次のように書いている。

――米韓はこれまでにない規模の合同軍事演習を韓国で行い、韓国軍は全体で65万人しかいない中、米軍1.5万人、韓国軍30万人以上を動員している。「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」と銘打つ軍事演習が始まったのは、まさに北朝鮮の核実験や長距離弾道ミサイル発射などによって朝鮮半島の緊張が絶え間なく高まっていた時期だ。アメリカの原子力潜水艦、原子力空母、ステルス戦闘機などを演習に参加させている。さらに凶悪なのは、この米韓合同軍事演習は「先制攻撃」「平壌を占領せよ」「斬首作戦」などを含んでいるということである。

 その上で、3月6日付の北朝鮮の「労働新聞」の以下のような報道を転載している(朝鮮は北朝鮮のこと。ママで翻訳する)。

――「勝敗を決する最後の決戦が、いよいよ到来した」。4日、朝鮮最高指導者はその国の軍隊にいつでも核爆弾を発射できる準備をせよと命令した。疑いもなく、誰一人として朝鮮半島で戦争が爆発することを望んではいない。しかし現在、双方は互いに真正面から突き進み、退く意思を見せていない。

「環球時報・軍事」は、さらに韓国、ロシア、アメリカおよびイギリスなど各国メディアの報道を引用した上で、「労働新聞」の以下の報道をさらに転載している。

――米韓は再び朝鮮の最低ラインに挑戦しようとしている。先頭に立って対朝“制裁決議”に挑んだだけでなく、朝鮮に対する前代未聞の規模の侵略的な「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」という合同軍事演習を強行している。これは対朝鮮の“経済制裁”を軍事攻撃に転換したことを意味し、最終的には朝鮮を侵略する非常に危険な戦争への朝鮮である。(中略)アメリカはたえまなく朝鮮半島で大規模軍事演習をし続けているが、これは朝鮮を襲撃する機会を狙っているものと言える。アメリカはあらゆる種類の武器を朝鮮半島の南側の土地の上に配備しているが、これは朝鮮への先制攻撃を意図していることを、遺憾なく暴露している。

 おおむね以上のような引用だが、これは実は中国自身の考えであり、かつ3月8日の王毅外相の発言と深く関連していることがわかる記事がある。

◆王毅外相発言と北朝鮮発言を一つにした報道

 その記事とは、中国ネット空間のポータルサイトSohuの軍事ページの報道である。タイトルは「王毅、朝鮮半島の一触即発状態に応答:中国は座視しない」だ。このページでは、王毅外相の声を聴くこともできれば、表情を観ることもできる。そこには「人民網」に載っている王毅外相の記者会見における回答とともに、「環球時報・軍事」の記事を載せ、組み合わせて報道している。

 ということは「中国は座視しない」のは、「もし戦争になったら全てアメリカのせいだ」から、ということになる。北朝鮮の「労働新聞」の言葉を借りてはいるが、中国もまた米韓合同軍事演習を、韓国にTHAADを配備すると同じくらいに、「中国に対する挑戦でもある」とみなしていることになろう。

 中国は、アメリカとともに国連安保理常任理事国として対北朝鮮制裁決議に賛同しているために、なかなかアメリカに対して米韓合同軍事演習をやめろとは言いにくい立場にある。アメリカが、これは北朝鮮に対する牽制以外の何ものでもないと弁護するのを知っているからだ。中国が米韓を批難すれば、アメリカから「やっぱり中国は北朝鮮の味方をする気か」と言い返されるのを中国は知っている。

 冒頭にご紹介した王毅外相の発言を注意深くご覧いただくと、そこには「アメリカ」という言葉はなく、「関係各方面(各方面の関係者)」という言葉を慎重に選んでいることに、お気づきになるだろう。

 しかし、万一にも本当に朝鮮半島が戦火に見舞われることがあったら、中国は中朝同盟に沿って北朝鮮側に付かなければならないことになる。

 それだけは「ごめんだ!」と中国は思っている。アメリカとは戦いたくない。

 それならいっそのこと「自ら北朝鮮に攻め込み中朝戦争を起こした方がましだ」とさえ思っているくらいだ。

 その中国のジレンマが、王毅外相の「中国は絶対に座視しない」という言葉として現れたと解釈すべきだろう。王毅外相が記者会見場で「アメリカ」という言葉を使わなかった細心の配慮は逆に、そのジレンマがいかに激しいものであるかを物語っていると、筆者には見える。


遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

2016年03月08日

台湾問題で習近平が激しい警告――全人代の上海市代表団分科会で(遠藤誉氏)

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 3月5日午後、全人代全体会議のあとに習近平国家主席は上海代表団の分科会に参加し、台湾問題に関して厳しい講話を行なった。中央テレビ局CCTVが大きく扱い、台湾のきたるべき蔡英文政権に対して警鐘を鳴らした。

◆上海市代表団審議会で警鐘

 全人代(全国人民代表大会)が開幕した3月5日、午前中は李克強首相の政府活動報告に全ての時間を使ったが、午後は、中国全土の省・自治区および直轄市という行政区分に分けた分科会の代表団が政府活動報告の審議に入る。

 習近平国家主席は上海市代表団の分科会に参加し、講演を行なった。

 その中で注目されたのは台湾問題に関する発言である。

 おおむね以下のような講話内容だ(講和の中に出てくる「九二コンセンサス」とは、「一つの中国を互いに認め合うという、一九九二年に中台間で交わされた共通認識」のことである。台湾が独立しないことを意味する。両岸は中台の意味)。

――台湾に対する大政方針は明らかで、一貫している。台湾の政局に変化があったからと言って変わることは絶対にない。われわれは「九二コンセンサス」を政治の基礎として、継続的に両岸関係の平和的な発展を推進する。そのために「九二コンセンサス」という線引きを我慢強く堅持していくことが肝心だ。「九二コンセンサス」の歴史的事実を承認し、その核心的含意に対する共通認識を持ちさえすれば、両岸双方は政治的基礎を共有し良性の訴いうご作用を保つことができる。今後も引き続き両岸の交流協力を推進し、両岸経済の融合発展を深め、同胞肉親としての福祉を増進させ、同胞としての心の距離を縮め、運命共同体としての認識を強めることができる。

 我々は、いかなる形における「台独(台湾独立)」に向かう分裂行動に対しても断固として抑え込み、国家主権と領土保全を守り抜き、国家分裂という歴史的悲劇を絶対に再演させない。

 これは中華民族の共同の願いであり確固たる意志だ。歴史と人民に対する厳正なる認識と責任でもある。

 両岸環形と平和的発展の成果は、両岸同胞がともに維持していかなければならず、美しい未来を切り開いていくには両岸の同胞の共同の努力が必要であり、中華民族の偉大なる復興は、両岸同胞が手を携え、心を一つにしてこそ実現されるものである。

 これは明らかに今年5月からスタートする、独立傾向の強い蔡英文・民進党政権に対する強烈なシグナルである。

 言葉は美しいかもしれないが、もし独立へと動く言動を示せば、直ちに「国家分裂法」が火を噴くぞ、という強烈な警告である。

 昨年9月3日に行われた軍事パレードも、昨年末から今年初めに実施された、中国建国以来の軍事大改革の目的の一つも、ここにある。

 これに対し、CCTVでは大陸側の絶賛を伝えるとともに、台湾の国民党議員や民進党の若者の声も伝えた。民進党の若者は、蔡英文・次期総統が「九二コンセンサス」に対して「明確な意思表示をしていない」などと、大陸側が言わせたい声を伝えた。

◆新五カ年計画に中台結ぶ高速鉄道

 3月5日午前の政府活動報告で李克強首相が新五カ年計画(2016年〜2020年)を発表したあと、その詳細に関して多くの情報が出ている。

 その中の一つに中国と台湾を結ぶ「中台高速鉄道建設」計画がある。

 8万字から成る新五カ年計画なので、筆者も実物の全文に全て目を通しているわけではないが、たとえば「中華論壇」やその他多くのウェブサイトなどが「京台(北京‐台北)鉄道」計画が新五か年計画に記入されたと報じている。

 もともと福建省福州と台湾の台北をつなぐ高速鉄道に関しては、馬英九氏が総統に当選した2008年から提案され、「九二コンセンサス」の象徴として中台間で話し合われてきた。

 台湾人の抵抗勢力の抗議に遭い、なかなか実現されないままになっていたが、新五カ年計画の一環として正式に書きこまれたとなれば、実現に向かって一歩、踏み込んだことになる。

 海底トンネルにするのか橋を架けるのかは、まだ不明だが、中台鉄道は「北京-台北」を結ぶ鉄道として位置づけられているので、これはまさに「中台統一」を鉄道から実現させようという計画だということになろう。

 台湾では「大陸の勝手にはさせない」と厳しい反発の声が広がっており、特に習近平国家主席の上海代表団分科会における講話と絡めて「両岸統一を加速させようとするシグナルだ」として抗議運動が起きている。

◆二つの百年

 習近平政権には「二つの百年」という、壮大な計画がある。

 2020年と2050年が、その二つで、2021年が中国共産党建党100年であることから、キリのいいところで2020年を最初の「百年」にした。これは習近平政権期間内である。

 したがって新五カ年計画は、習近平政権が「一つ目の百年」を輝かしく飾るエポック・メイキングな年とならなければならないはずだ。

 しかし台湾にはまもなく民進党政権が誕生する。それにより、習近平が描く「中国の夢」の一つは、まず台湾問題で挫折しそうだ。

 それを食い止めるために行なったのが上海市代表団分科会における習近平講話とみなすことができる。こういったことは、これまでに見られない異例の現象なので、習近平の心の焦りをうかがい知ることができる。

 ちなみに、もう一つの百年は中国建国100周年記念である2049年を、キリのいいところで切った「2050年」である。2050年までは生きていないだろうから、習近平国家主席としては2020年の一つ目の百年に全てを賭けている。

 習近平政権の焦りは、ここにも表れていると言えよう。



遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

2016年03月03日

党を批判したとして編集担当者を解雇――中国「南方都市報」(遠藤誉氏)

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 2月20日にリベラルな報道で知られる中国の「南方都市報」が党を批判し習主席の重要講話を風刺する見出しを付けたとして、3月1日、編集担当者が解雇され副編集長にも厳重処分が下った。
 言論弾圧を強める中国の実態を追う。

◆抵抗を示した「南方都市報」

 2月25日付の本コラム「メディア管理を強める中国――筆者にも警告メールが」に書いた通り、習近平国家主席は中国共産党の総書記として、2月19日、人民日報社、新華社、中央テレビ局を視察し、「党の新聞世論工作座談会(中国共産党メディア世論活動座談会)を主宰したあと「重要講話」を発表した。

 翌2月20日の中国の新聞は、いっせいに第一面に視察をした時の習近平の写真とともに、この「重要講話」を載せた。

 ところが一つの新聞だけ違っていた。

 それが常にささやかな抵抗を示し、リベラル傾向を持つ「南方都市報」の深セン市版だった。

 そこには以下の見出しがあった。ここでは日本文字で書くが、実際の見出しはウェブサイト「文学城」や「アップル・デイリー」などをご覧いただきたい。


 党和政府主弁的媒体 (党と政府が主宰しているメディアは)

 是宣伝陣地必須姓党 (宣伝の陣地で、党という姓でなければならない)

の下に

魂帰

大海

という文字がある。 

 各行の右端の2文字だけをつなげると「媒体姓党 魂帰大海」と読める。

 つまり「党という名前を持つメディアの魂は死んでしまった」という意味となる。

 おまけにこの見出しの下には、海に散骨している写真がある。これは1月末に99歳で他界した、深セン招商局の元常務副董事長・袁庚の家族が行なった葬式の場面だ。深セン市の新聞が深センの改革開放に貢献した人物の鎮魂の場面を載せるのは、一見自然なように見える。

 最初は誰もこの「風刺」に気がつかなかったのだが、香港の「アップル・デイリー」が「異変」に気がついた。これは南方都市報の抵抗にちがいないと報じたのだ。

 すると当局があわてて反応し、すぐさまウェブサイトにおけるこのページを削除し、「南方都市報」広東省版の第一面に差し替えられた。

◆編集担当者の解雇と副編集長に対する厳重処分

 その結果、3月1日、編集担当者の劉玉霞氏(女性)は解雇処分となり、副編集長の王海軍氏は「大過」という行政処分を彼の履歴の中に記録するという処分を受けた。

「中華人民共和国公務員法」の第五十六条には、行政処分として「警告、記過、記大過、降級、辞職、解雇」がある。

 王海軍・副編集長は見出し決定には(直接的には)関わっておらず、監督不行き届きであったとして「記大過」(大きな過誤を記録する)という処分に留まった。

 しかし直接この「風刺的な見出し」を書いた劉玉霞・編集担当者は、最も重い「解雇」になったのである。

 全世界の中文メディアが一斉にこの事件を報道しているが、たとえばイギリスのBBC中文版は「“重大な事故”を招いたとして編集者を解雇」という見出しでこの事件を報道している。

 これは「事故」なのだ!

 アリババの馬雲氏が買い取った「南早(南華早報)」(早報:朝刊)も、「これは事故だった」と謝罪している南方都市報の謝罪文(南字「2016」5号)を載せている。

 謝罪広告の名義は「中共南方報業傳媒集団委員会(中国共産党南方報道業務メディア・グループ委員会)」だ。

 中国のすべての組織に存在する「中国共産党○○委員会」の中の一つである。

◆文字獄

 大陸のネットには当初、「文字獄」というコメントが数多く見られたが、今ではほぼ削除されている。

 それにしても習近平政権はなぜここまで言論弾圧を強化しているのか?

 それは若者たちのほとんどが中国共産党を信じなくなり、ネット社会の発展に伴い、より多くの交信ツールを使用して自由に意見交換や情報の取得をすることができるようになったからだ。

一定程度の経済力を持ち始めた層も多くなり、権利を主張するようにもなっている。

 2月29日付けの本コラム「中国著名企業家アカウント強制閉鎖――彼は中国共産党員!」に書いたように、「資本翻天派」(企業経営者などとして大量の資本を集めたのちに、その資本を用いて政権に影響を与え、欧米型の「憲政の道」を歩ませようと世論を導いていく一派)という群像も生まれてきている。

「銃とペン」により人民をコントロールしてきた中国共産党政権だったが、「ペン」の力はIT化が進んだ世界では、もはやコントロールはできない。自由と民主を奪われた人々が、その「奪われたもの」を求める渇望は大きい。人は奪われて初めて、その重要性が分かるのではないだろうか。

 中国共産党による一党支配体制は、経済的によりも、「精神的に」限界に来ているのである。



遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

中国東北部の経済発展を阻む北朝鮮――中国の本音(遠藤誉氏)

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 中国東北部の経済成長が滞っているのは、海に抜ける東側を北朝鮮に遮られているからだという不満が中国に渦巻いている。民間貿易は国境付近だけで、それも制限されれば庶民は南下し東北部はさらにさびれるだろう。

◆東北部の経済の全国比と衰退する理由

 2015年上半期における中国東北三省のGDP成長率は「吉林省6.1%」、「黒竜江省5.1%」、「遼寧省2.6%」と全国ランキングからいくとそれぞれ最後から1番目、2番目、3番目という、非常に不名誉なものだった。全国平均7%をひとり引き下げているのは東北三省であると中国人は嘆いている。

 2015年上半期における東北三省の財政収入変動に関しても、前年度同期の変動が全国平均6.6%増に対して、

遼寧省  : −22.7%

黒竜江省 : −19%

吉林省  : +0.9%

と、軒並みに異常なほど低い。

個人の平均年収も、全国平均が49,969元であるのに対し

東部地域:64,239元

西部地域:51,204元

中部地域:46,828元

東北地域:46,512元

と低い。失業率も全国平均より2%高く、結果、東北の労働人口は北京、天津、河北省や山東省へと流れていき、東北部の過疎化とともに少子高齢化が極端に進んでいる。

 その原因としては、もともと石炭などの資源地域であったことと、それに伴う重工業が盛んで、改革開放前の「国営企業」の占有率が高かったため、資源の枯渇とともに改革開放を伸びやかに発展させていけないことなどがある。

 それ以上に決定的なのが、北朝鮮の存在だ。

◆改革開放を阻む北朝鮮の「鎖国」

 東北部の経済発展が改革開放に見合って伸びていかないのは、ひとえに岩盤のように立ちはだかっている北朝鮮が鎖国しているからだと、中国庶民の北朝鮮への恨みは大きい。

 もし北朝鮮が改革開放を推進して、南の「深セン」のような役割を果たしてくれれば、東北経済は日中韓貿易の拠点になり、東北地方は一気に大きな経済成長を遂げるだろうと、中国の多くのメディアが北朝鮮への不満をぶちまけている。

 金正恩の父親・金正日は、晩年、中国の呼びかけに応じて改革開放に乗り出そうとしたが、金正恩になってからは閉ざす方向にしか動いていない。

 まず、庶民側の声を見てみよう。

 中国政府寄りの香港メディア「鳳凰網」に「中国はアメリカより先に絶対に(北)朝鮮をやっつければならない」とするブログを載せている(作者:余以為)。

 そこには以下のような激しい言葉が書いてある。

――北朝鮮は東北アジアの中心にあり、日韓が海路を通して中国や世界と交易をできる場所にありながら、中国の東北部は北朝鮮のために、まるで「内陸」のような位置づけになっている。これこそが、東北部に経済不振をもたらしている最大の原因であり、労働人口が(南に)流出する最大の原因だ。北朝鮮問題を解決しない限り、中国がどんなに「東北振興」戦略に金を注いだところで無駄になるだけだ。

――改革開放以来、中国経済が「南強北弱」となっているのは、北朝鮮が鎖国を続けているからに他ならない。そこでブロックされてしまっている。

――ソ連崩壊後、ベトナムは中国を「兄貴分」と思っているが、北朝鮮は中国を兄貴分とは思っていない。核武器を発展させて、「アメリカの弟分になろうとしている」のだ!

――アメリカが北朝鮮をやっつけて「弟分」にさせてしまう前に、中国が一刻も早く北朝鮮をやっつけて、中朝市場の一体化を推進しなければならない。そうすれば韓国だって喜ぶし、東北一帯は朝鮮半島を一体化して一気に経済発展を遂げるだろう。

――日本が東北部に「偽満州国」を樹立していたとき、実は東北部の経済は発展し、日本本国の経済成長をも上回っていた。その理由は決して日本人が優秀だったからではなく、「日韓満」という三つの地域の市場が統一されて相乗効果を上げていたからだ。北朝鮮の鎖国が、がいかに東北経済発展を阻害する岸壁となっているかが分かるだろう。

――だから、アメリカに持っていかれる前に、どんなことがあっても中国は先に北朝鮮の金王朝をやっつけなければならない。(1979年に中越戦争を起こした)トウ小平の勇気に学べ! アメリカが北朝鮮と戦うか否かに関係なく、今こそ北朝鮮(金王朝)をやっつけるチャンスだ。この機を逃すな!

 これほどまでに激しい声が中国庶民の中にはある。

 庶民だけではない。中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」も黙っていない。

◆朝鮮半島で戦争が起きても「抗美援朝」の再演はもうない

「抗美援朝」とは、朝鮮戦争時代に中国が中国人民志願軍を結成して北朝鮮に派兵したときの、「アメリカに抵抗し北朝鮮を支援しよう」という意味のスローガンである。

 環球時報は「朝鮮半島で戦争が起きても“抗美援朝”は再演されない」という労木氏の評論を載せている(2016年2月17日)。それが数多くのウェブサイトに転載されている。

 労木氏は、おおむね以下のようなことを書いている。

1. 北朝鮮の行動は、アメリカが2020年までに兵力の60%をアジア太平洋に配備するという計画を助長し、その時期を早めている。北朝鮮の挙動は中国を威嚇することはあっても、アメリカには利益をもたらしているだけだ。

2. 北朝鮮が中国国境付近に核施設を設置しているのは、実は下心がある。北朝鮮の核施設の性能は低いので核漏洩(放射能汚染)の危険性が大きい。中国東北部には大きな脅威となる。それもあって中国は北朝鮮の非核化を必死になって叫んでいるのだが、北はどうしても言うことを聞かない。もし核開発を続けるというのなら、各施設を平壌付近に移動させてくれ。中国はもうこれ以上、すぐ隣に核の谷を作るような北の核政策を容認することはできない。

3. 中韓関係の離間工作に関して米朝は「同床異夢」ならぬ「異床同夢」を見ているのだ。目的は同じで、手段が違うだけ。アメリカは遥か遠くにいて自分は放射能汚染の危害に合わないので、平気で北朝鮮をけし掛けている。犠牲になるのは中国なのだ。

4. 民意調査を見てみろ。どれだけ多くの人民が北朝鮮を嫌っているか。北朝鮮よ、中国の安全を脅かすのはいい加減にしてくれ。もし朝鮮半島で戦争が起きても、二度と再び「抗美援朝」が再演されるとは思うな。

 おおむね、以上のような論評だ。環球時報が載せたということは、中国共産党がそう考えているという何よりの証拠だ。これが中国政府の本音だろう。

 事実、ネットでは96%のユーザーが北朝鮮を嫌っているというデータもある。

 このたび中国は安保理による北朝鮮制裁決議に賛同の意を表しているが、北朝鮮との間の中朝国境貿易が制限あるいは完全に遮断されたときに何が起き得るのかを、これらの評論は示唆しているように思われる。



遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

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