2016年01月

2016年01月28日

「日本論語研究会」の予定

「日本論語研究会」の予定
〜日本政策学校後援〜


第122回
1、日 時 1月30日(土)16時30分〜18時
2、場 所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(新宿区市谷八幡町8番地TKP市ヶ谷ビル) 
3、講 師 田村 重信(日本論語研究会代表幹事)
(テーマ、「12年目を迎えた日本論語研究会〜人生を考える〜」)


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第123回
1、日 時 2月27日(土)16時30分〜18時
2、場 所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(新宿区市谷八幡町8番地TKP市ヶ谷ビル) 
3、講 師 田中 明子(株・グリーン・シップ 代表取締役社長)
(テーマ、「世論調査が社会を変える」)

第124回
1、日 時 3月26日(土)16時30分〜18時
2、場 所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(新宿区市谷八幡町8番地TKP市ヶ谷ビル) 
3、講 師 上田 博和(日本政策学校田村塾講師、2010 年度日本青年会議所 専務理事、夕張再生の会代表理事)
(テーマ、「起業、JC活動、夕張支援、そして日本を変える」)

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〇参加費 無料です。
〇問い合せ先  田村重信(代表幹事)
 Eメールstamura@hq.jimin.or.jp へ連絡下さい。
電話―3581−6211(職場) 
(参考)日本論語研究会の講演日程等は、日本論語研究会のホームページhttp://www.rongoken.com/と代表幹事のブログhttp://tamtam.livedoor.biz/archives/cat_50011952.htmlに掲載しています。



2016年01月22日

中国の党と政府のメディアがSMAP解散騒動を報道!(遠藤誉氏)

【防人の道NEXT】なぜ必要なのか?平和安全法制の真実−田村重信氏に聞く[桜H27/11/5] 僕は6分から登場します。
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僕の本『平和安全法制の真実』(内外出版)と『運命を変える』(坂本博之、川崎タツキ、田村重信著、内外出版)が発売されました。http://www.naigai-group.co.jp/_2015/10/post-45.html


 SMAPの解散と撤回発言に関して、中国共産党の機関紙や中国政府通信社などのウェブサイトが言及し、中央テレビ局CCTVも放映。温家宝元首相が日中和解の手段に使ったほど中国の若者のSMAP人気は高いが、あの反日国家がなぜ?

◆中国共産党機関紙「人民日報」のウェブサイト「人民網」

 まずは中国共産党機関紙「人民日報」のウェブサイト「人民網」が書いた記事。

 1月20日08:11に、「人民網」が「日本のSMAP、5人揃って謝罪 結局解散しないことに」という見出しで記事を掲載。そこには日本のメディアの「生放送」という文字付の画面が二つ、大きく貼り付けてある。

 一つは5人が揃って生番組で謝罪する場面で、もう一つは木村拓哉が一人大写しになっている画面だ。

 おおむね以下のように解説している。

――日本の報道によれば、分裂騒ぎを起こしたSMAPの5人が、1月18日に放送する《SMAP × SMAP》という番組の中で、ナマ出演し、解散に関して説明をした。SMAPは今後も存在すると表明し、木村拓哉がファンに心配をかけたことを詫びた。そしてこれからもともに前に向かって進んでいくと言った。

 記事は続けてメンバー一人一人の発言を紹介しているが、日本で報道されたままなので省略する。

 この記事を書いた記者の筆名が「小新」。これは「クレヨンしんちゃん」の「しんちゃん」を表す中国語だ。「チャン」に相当する言葉はないので、一般に前に「小」という文字を付けて表す。

 日本のアニメを見て育った、「80后(バーリンホウ)」(1980年以降に生まれた世代)以降の生まれであることが、この筆名からわかる。

◆中国政府の通信社「新華社」のウェブサイト「新華網」

 つぎに1月21日10:31:20に公開された「新華網」の場合を見てみよう。見出しは「SMAPは謝罪会見したあとも紛争が絶えない 木村拓哉と4人の関係が悪化」である。

 もともとのニュースソースは「騰訊娯楽」だ。

 概ね、以下のことが書いてある。

―― 日本の「天団(トップアイドルグループ)」SMAPの解散騒動に関しては、たしかに一応幕を下ろしたものの、しかし今週月曜日(1月18日)に行った謝罪生放送で紛争が収まったとは言えないようだ。隊長の中井正広と木村拓哉的との仲がさらに悪化したと言われている。ある(日本の)記者は、「もともとは中井に最初に発言させて、喜多川社長に謝罪する機会を作ってくれた木村に感謝の言葉を述べさせることになっていたのに、中井がそれを拒否したので、結果、草なぎ剛が代弁することになったのだ」という。
 おまけに当日、木村だけは一人で一つの控室を使い、他の4人が一緒にもう一つの控室を使ったとのこと。また、一部のファンがネット上で署名活動を呼び掛け、ジャニーズ事務所の喜多川副社長に辞職しろと要求している。
 日本政府はSMAPに国民栄誉賞を与えようとしていたが、解散騒動により取り消したようだ。

 新華網がこのような記事を載せたものだから、他のウェブサイトもつぎつぎに転載し、中国のネット空間は一時炎上した。

◆「人民日報」の姉妹版「環球時報」のウェブサイト「環球網」

 2016年1月21日11:31、環球網は「大騒ぎした後に、結局解散しない」という見出しで報道している。

 「人民網」の姉妹版なので、内容は人民網と同じだ。

◆中共中央機関紙の一つ「光明日報」のウェブサイト「光明網」

 中国には、中華人民共和国が誕生する前の1949年6月16日に創刊された「光明日報」という新聞がある。現在では中国共産党中央委員会(中共中央)の機関紙の一つで、中宣部(中共中央宣伝部)が管轄している。

 そのような新聞のウェブサイト「光明網」までが、SMAP解散劇と謝罪に関して「安心して、smapは解散しないよ」という記事を発表。「蘭州晩報(蘭州夕刊)」の転載だ。

 内容はほぼ同じなうえに長いので省くが、瞬間最高視聴率は37.2%を越えたという、日本の情報を報道している。

◆中央テレビ局CCTVまでが

 中共中央管轄下のウェブサイトがすべて一斉に報道しているので、もちろん同じ管轄下の中央テレビ局CCTVも例外ではない。全国向けの放送の中でSMAP解散劇を扱った。

 直接のURLを示したいのだが、探し出すのが困難だったので、中国のツイッターである「微博(ウェイボー)」の中にある画像をクリックして頂きたい。左上に「CCTV13」という文字があり、真ん中に△が横になった印がある動画があるので、その△をクリックして頂ければCCTV13(新聞チャンネル)を視聴することができる。ベージュ色の服を着た女性が映っている画像だ。

 これにより、中国の党と政府という、国中が国家として報道したということになる。

◆なぜ、国家が?

 日本人としては、「あの反日歴史闘争で先鋭化している中国がなぜ?」という疑問を持ってしまうだろう。

 しかし、冒頭に紹介した「人民網」の記事を書いた記者の筆名「小新」にもある通り、1980年以降に生まれた中国の若者で、日本のアニメや漫画を見ないで育った者はいないと言っても過言ではないほど、日本の動漫(動画+漫画)に魅せられて育っている。

 日本のサブカルチャーへのあこがれは、動漫に留まらず、映画やテレビドラマ、そして何よりも日本のアイドルへの熱気には尋常でないものがあった。

 中でも「天団」という言葉まで生んでしまった日本の「トップアイドルグループ」SMAPへの人気は飛びぬけていた。

 そのため、2010年に尖閣問題ですっかり悪化してしまった日中関係をなんとか打開しようと、2011年5月に日中韓の3か国首脳会議に出席するため訪日していた温家宝(元)首相は、東日本大震災で被災した宮城県と福島県をそれぞれ視察し、都内のホテルでSMAPと会った。そのとき中国語で「世界に一つの花」を歌ったことは有名だ。これも当時、中央テレビ局CCTVで報道されたが、今は中国政府管轄下の香港の「鳳凰チャンネル」の動画しか見つからないので、興味のある方はクリックして見ていただきたい。

 温家宝元首相は、このとき「9月の北京公演を歓迎する」と言ったのだが、それは尖閣問題などでSMAPの初めての上海公演をキャンセルさせた経緯があったからだ。

 2010年、尖閣問題で中国では激しい反日暴動が起きたが、これは中国政府に不満を持つ底辺層の若者たちが主体となって起こしたものである。言うならば「反政府暴動」に等しい。

 その中国政府が日本で大地震があったからと言って、親日的態度を取ったりなどしたら「親日政府」として底辺層の若者たちに罵倒されるのは明らかだ。しかし、中国の若者にも人気のあるSMAPを「使う」のなら、「親日政府」と罵倒されないだろうという計算が、中国政府にはあったのである。

 そして実際の北京公演では、中国政府系メディアは「中国で最も有名な日本人アーティスト」としてSMAPをほめちぎった。

 このたび中国共産党および中国政府が一斉にSMAP問題を取り上げたのは、過去にこういう経緯があったからだ。中国政府が日中友好への橋梁と認めている「天団」に傷がつくのは困るのだ。「反日政府」と罵倒されないための中国政府の対日強硬策には、実は苦渋が混在していることが、このことからもうかがい知ることができる。

 中国の若者たちの声をご紹介したいが、他の執筆などに追われ、なかなか手が回らない。たいへん申し訳ない。別の機会に譲りたいと思う。

 ただ、ひとことだけでも書いておくと「解散と聞いたときには、あまりのショックで眠れなかった。SMAPは私の青春だ!」「謝罪報道を見たときには、涙があふれてならなかった」という熱狂的なものから、「でもなぁ、もうみんな“おじさん”の齢だよ。そろそろ解散させてあげても、いいんじゃないの?」とか「でも、謝罪会見で、“解散しません”とは言ってないよね? 暗くて、もう私たちに元気をくれた、あのSMAPじゃないみたい」などというのがあった。

 これら若者の声は何百万と書きこまれているので、平等を期して読み込むのにも時間がかかる。

なお、ここでご紹介した党と政府のウェブサイトに若者のコメントが見つからないのは、若者たちがこのようなウェブサイトを見ないためと、中には書き込みを禁じているケースもあるからである。


遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

田村塾第2期開講のお知らせ

◆田村塾第2期開講のお知らせ
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昨年に引き続き、自民党政務調査会調査役 田村重信氏を塾長にお迎えし、
日本政策学校 田村塾の第2期を開講いたします。
1月25日に行われるプレ講義は参加無料ですので、奮ってご参加ください。

◆登壇者
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・塾長:田村 重信氏 
  (自民党政務調査会 調査役)
・顧問:下村 博文氏 
  (自民党衆議院議員 前文科大臣)
・講師:上田 博和氏
  (2010 年度日本青年会議所 専務理事/夕張再生の会 代表理事)
     加藤 和磨氏
  (夕張青年会議所所属、株式会社グリーン・シップ 取締役)

◆講義日程
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プレ講義:2016年1月25日 19:00〜
       :「日本に必要なリーダー論と人間学 〜田村塾の必要性〜」
        田村塾長、上田氏による対談
・第1回:2016年2月15日 19:00〜
       :開講式 「なぜ、政治家になったか」 
        講師 下村顧問 
・第2回:2016年3月14日 19:00〜
       :「政治リーダーについて=大学、論語より」 
        講師 田村塾長
・第3回:2016年4月18日 19:00〜
       :「夕張の現状と日本の将来」 
        講師 上田氏、加藤氏    
・第4回:2016年5月16日 19:00〜
       :「安保法制+憲法改正」 
        講師 田村塾長      
・第5回:2016年6月20日 19:00〜
       :「人間学(運命を変える)と偉人伝(吉田松陰など)」 
        講師 田村塾長
・第6回:2016年7月11日 19:00〜
       :「孫子」 
        講師 田村塾長                   
・第7回:2016年9月12日 19:00〜
       :「見た目が良くなり、スピーチがうまくなるためには」 
        講師 田村塾長
・第8回:2016年10月17日 19:00〜
       :「塾生意見発表」
・第9回:2016年11月21日 19:00〜
       :「塾生意見発表」
・第10回:2016年12月19日 19:00〜
       :塾生意見発表/修了式

◆会場
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TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(JR・地下鉄市ヶ谷駅より徒歩1分) 
東京都新宿区市谷八幡町8番地 TKP市ヶ谷ビル

◆参加費用
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一般:50,000円(消費税別)
日本青年会議所メンバー:30,000円(消費税別)
塾生経験者・学生:30,000円(消費税別)
日本政策学校 本科生:5,000円(テキスト代)(消費税別)

※当日会場にてお支払いください。
※1月25日のプレ講義は参加無料です。

            ▼詳細はこちら▼
    http://m.j-policy.org/link/6a9
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2016年01月20日

株価と油下落の関係(高村 正彦副総裁)

【防人の道NEXT】なぜ必要なのか?平和安全法制の真実−田村重信氏に聞く[桜H27/11/5] 僕は6分から登場します。
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 株価がかなり下がっていますが、いろいろ理由はあるんですけれども、最大の原因は油価が下がってオイルマネーが日本の株式市場から引いていることだと思います。

 油価下落は日本経済全体から言えば、実体経済について言えば、大変良い影響を与える。


 日銀の物価目標の達成については悪い影響を与えるとか、各セクター別に言えば打撃を受けるところもありますけれども、実体経済全体からいえば、まさに天佑神助ともいうべき、すごく良い結果をもたらすわけでありまして、少し長い目で見れば、実体経済についてそんなに心配することはないのではないかと思います。


 日本の実体経済に影響する中国の実体経済もなかなか厳しいようでありますが、これも油価下落はいい方向に働くわけで、中長期的に見れば、実体経済の良さは必ず株価にも反映される。

 もちろん株価が実体経済に影響する部分はあるけれども、実体経済が株価に反映される方が大きい。

 そういう意味で、あまりあたふたする必要はないのではないか。

 注意深く見ていく必要はあるけれども、直ちに株価対策云々というような話ではないと思います。


shige_tamura at 17:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 

2016年01月13日

中国は北朝鮮をめぐり、どう動くのか?(遠藤 誉氏)

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 北朝鮮が水爆実験とする核実験を行って以来、中韓首脳間の電話会談は行われていない。昨年末の日韓外相会談が影響しているからだ。中国は日米韓ブロックに対して今後どう動くのか?中朝間ジレンマを含めて考察する。

◆中韓蜜月関係は終わった

 習近平政権誕生以来、習近平国家主席はパククネ大統領を抱え込もうと、中韓蜜月関係に向かって邁進してきた。特に北朝鮮訪問前に韓国を訪問したのは、中華人民共和国建国以来、初めてのことだ。

 しかし、そこまでした中韓接近は、昨年末の日韓首脳会談で終わってしまった。

 昨年12月28日付の本コラム「日韓外相会談により中国の慰安婦問題は困難に――今後の日中関係にも影響」にも書いたように、日韓の間で慰安婦問題に関して一応の「決着」を見たことによって、中国としては韓国とともに対日歴史共闘を戦えなくなってしまったからだ。

 中国としては、この時点で「韓国は、結局は日米側を選ぶのか」という不快感を強く抱いている。

 中国政府系香港メディアの鳳凰網は、日韓外相会談の翌日にすぐに(大陸の)ネット上の民意調査を始めた。

 それによれば、「日韓が仲直りしたが、中日も同じように仲直りすべきか?」という質問を投げかけている。

 この質問に対して90.26%のネットユーザーが「アメリカは日韓関係改善を促進させることによって中国を孤立させようとしているが、中日が仲直りすることは困難だ」としている。

 このことからも推測できるように、日韓関係改善は「中国を孤立させる役割を果たした」と中国側は思っているのである。アメリカに言われれば、結局は「日本になびく韓国、パククネ大統領」に中国は苦々しい思いをしている。

 韓国側としても、中国が北朝鮮に「影響力を持っているはずだから、核実験の抑止力として働くだろう」という期待を中国に抱き、また「いざ北朝鮮からミサイル攻撃をされたら、助けてくれるのは、すぐ隣にいる中国にちがいない」と期待していたにちがいない。

 しかし中国は北朝鮮の核化に関して、いかなる抑止力も発揮できなかったことが判明した。

 韓国としては、中国に頼っていてもしょうがないと思ったに違いない。

 その微妙な心理を読みこんだのか、アメリカのB25爆撃機が、韓国上空を低空飛行した。米韓の戦闘機も随行。これはアメリカが「いざとなったときに韓国を守るのは、中国ではなくてアメリカだ」ということを、韓国に思い知らせたシグナルとして中国の目には映った。韓国の戦闘機も随行したことは、中国にとっては決定的だっただろう。

 中韓蜜月は、夢のごとく消え去っていったのである。

◆中国は今後どうするのか?

 では中国は「日米韓」というブロックおよび北朝鮮と、どのような距離を取っていくのだろうか?

 まず確実に言えるのは、国連安保理などで北朝鮮制裁を決議するときには、拒否権を行使しないだろうということだ。

 国連安保理で最も大きな力を持っているのはアメリカで、安保理常任理事国間で決議するときも、最も大きな存在感を持っているのはアメリカである。

 となると、中国は韓国と距離を置き、日本とも自ら関係改善に動こうとはしない状態で国連において協力的であろうとすれば、アメリカと接近するしかない。

 その意味で、1月7日付の本コラム「北朝鮮核実験と中国のジレンマ――中国は事前に予感していた」に書いたように、北朝鮮の「水爆実験」(と北朝鮮が主張する核実験)によって、米中間の距離が縮まるだろうことが考えられる。

 それが軍事的協力にまで行くか否かは大きな分岐点となるが、米中の接近は北朝鮮にとっては一番大きな「屈辱」であり、脅威となることを、中国は計算している。

◆中朝関係は50年代からギクシャクしている

 中朝関係は1950年6月に起きた朝鮮戦争時代から、本当はギクシャクしている。朝鮮戦争は北朝鮮の最高指導者・金日成(キム・イルソン)が旧ソ連のスターリンと示し合わせて発動したものである。
 建国の父・毛沢東は金日成とスターリンの策略に嵌(は)められ、やむなく参戦した。1949年10月に建国したばかりの中国は、体力を消耗しているのに中国人民志願軍を編成して北朝鮮を応援した。
 毛沢東は自分の息子である毛岸英を北朝鮮の戦場で戦死により失っている。
 にもかかわらず、朝鮮戦争が1953年7月に休戦すると、金日成は自分の権威を高めるために、まるで「朝鮮戦争を休戦に持っていき、敗戦しなかったのは自分の手柄だ」とばかりに中国人民志願軍の死の貢献を高くは評価しなかった。
 自分の息子を北朝鮮のために失った毛沢東としては、「耐え難い」思いをしたにちがいない。

 そればかりか、60年代から中ソ対立が始まると、北朝鮮はソ連と中国の両方に等距離関係を保ち、漁夫の利を得ようとしていた。旧ソ連から豊かな原油をもらい潤った北朝鮮は、64年に核実験に成功した中国に核実験のノウハウを求めた。

 しかし、あの戦略家の毛沢東が北朝鮮を警戒しないはずがない。核の技術は伝授しなかったが、経済支援と軍事同盟を約束している。

 このときに毛沢東が使った言葉が「唇亡歯寒(唇なくば、歯寒し)」という中国の故事成句だ。

 かつてはソ連とのパワーバランスにおいて、そして今はアメリカとのパワーバランスにおいて、「俺様がいなければ、お前は困るんだろう?」と中国の足元を見ては「やりたい放題」をする北朝鮮。中国の怒りとジレンマがいかほどのものか、想像できるだろう。

◆中国の責任を詰め寄るアメリカ

 その中国を「北朝鮮を説得できるのは中国だけだ」として、中国が十分な抑止力を発揮していないことを、アメリカは非難している。

 中国外交部の報道官は、「関係国全員の責任ではないのか?なぜ中国にだけ責任を押し付けるのか?関係国は自分の胸に手を当てて自問自答するがいい」と抗議した。

 事実、1992年の中韓国交正常化で最悪の仲となった中朝関係は、1994年にアメリカと北朝鮮の間に米朝枠組み合意(2002年に完全崩壊)が出来上がると一変し、改善の兆しを見せた。中国の北朝鮮への経済支援を担保にした上だったが。

 米朝合意が崩壊した翌年である2003年から、中国は六カ国会談を提案して北京で何度か朝鮮半島の非核化に向けて北朝鮮を交えて努力してきた。

 しかし今さら、六カ国会談など、もう夢のまた夢だ。

 朝鮮半島の非核化は、遠のくばかりなのである。

 その責任はすべて中国にあると言っていいだろうか?

 中国は北朝鮮の改革開放を目指して、中朝貿易をも盛んにさせてきた。それを率先して動かしてきた張成沢(チャン・ソンテク)氏が公開処刑されてからは、もう朝鮮半島の非核化など、元に戻せるはずがない。

 かといって、アメリカもまた今さら米朝合意のようなことはできまいし、今になってそれをやれば、北朝鮮の脅しという瀬戸際外交に負けたことになってしまう。

 中国が「唇」を無くすことを恐れず、陸続きで米軍が駐在していることを容認できるのなら、北朝鮮への支援(の抜け穴)を本気で断(た)ってしまえば済むことではある。

 その可能性を模索するためには、70年代のキッシンジャーによる忍者外交のような米中の接近が必要となってくる。

 今はロシアが、それを許さないだろう。

 出口のないトンネルのようだが、このジレンマは中国だけのものではないことにも、目を向ける必要があるかもしれない。(ヤフーより)


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