2015年04月

2015年04月28日

「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)を理解するには、読売、産経の社説が参考になる

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 日米両政府は27日午前、米ニューヨークで外務・防衛担当閣僚会議を開き「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)について18年ぶりの改定に合意した。

 これについて(今日)28日の新聞各紙の社説の論調が大きく違っている。

 憲法や安全保障政策などがテーマだと、大きく割れる。

 今回のガイドラインは、産経新聞が言うように「厳しさを増す安全保障環境に備え、日米同盟を格段に強化し、日本の平和と繁栄を確かなものにするためのもの」
であるのに、

 朝日新聞は、「憲法の制約や日米安保条約の枠組みは、どこかに置き忘れてきたかのようだ。」と批判する。

 毎日新聞は、「自衛隊の海外での活動は飛躍的に拡大し、日米安保体制は極東の範囲を超えて世界に広がる。国会を素通りして日米安保条約の改定に等しい大転換が行われることは同意できない。」と日米安保の拡大に反対の立場。安保関連法案は国会でこれから議論が始まるのに。

 東京新聞は、「日米防衛協力指針の再改定と安全保障法制の整備により、自衛隊が海外で武力の行使をする恐れが高まる。戦後日本の「専守防衛」政策は根本から覆る。」と、専守防衛さえ守れば平和でいられるという立場。

 これらの考え方は、55年体制下で、社会党や共産党が自衛隊は憲法違反、日米安保があると戦争に巻き込まれる、日米安保破棄。反米でソ連・中国支持という主張が、今も朝日、毎日、東京新聞の各紙に残っていて、今回のガイドラインにも反対の立場を取っている。
 冷戦が終結したのに、いまだ時代遅れの主張から脱しきれていない。


 今朝の新聞社説のガイドラインに関するタイトルは、

 読売新聞は、「日米同盟の実効性を高めたい」
 産経新聞は、「平和守る同盟の再構築だ」「対中国」で切れ目ない対応を
と肯定的。

 朝日新聞は、「平和国家の変質を危ぶむ」
 毎日新聞は、「国民不在の「安保改定」」
 東京新聞は、「専守」骨抜きの危うさ
と否定的。

 そこで、ガイドラインを正しくが理解するために、読売、産経新聞両紙の社説を掲載する。
 

 読売新聞社説

 平時から有事まで、切れ目のない自衛隊と米軍の共同対処の大枠が整ったことを評価したい。
 日米両政府は、外務・防衛担当閣僚の安保協議委員会(2プラス2)で、新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)を決定した。
 安保法制の全容が固まったことを踏まえ、集団的自衛権の行使の限定容認に伴う様々な協力が盛り込まれた。海上自衛隊による米軍艦船の防護や、海上交通路(シーレーン)での機雷掃海などだ。
 日本の安全確保にとって、長年の懸案だった自衛隊に対する憲法解釈上の制約の緩和は、米軍との機動的かつ柔軟な協力を大幅に強化する画期的な意味を持つ。
 軍備増強や海洋進出を続ける中国や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への抑止力も強まる。
 有事に至らないグレーゾーン事態でも「アセット(装備品)防護」による米艦防護を可能にする。
 米軍も自衛隊への支援を強化する。南西諸島を念頭に置いた島嶼(とうしょ)防衛の協力は象徴的だ。作戦は自衛隊が主体的に実施し、米軍は支援・補完する立場だが、米軍の関与が明確になることで、他国に対する牽制(けんせい)効果は大きい。
 双方向の協力の拡大で、日米の信頼関係は一層深まるだろう。
 新指針は、自衛隊と米軍の部隊運用に関する日米共同調整所などの「同盟調整メカニズム」を平時から設置する、と明記した。
 1997年策定の現指針は、危機発生後に設置するとしていた。より早い段階から日米が情報を共有し、共同対処することの重要性は、東日本大震災での米軍の「トモダチ作戦」で再認識された。
 日米が効率的に役割分担し、危機の芽を迅速に摘める仕組みとすることが大切である。
 現指針は、朝鮮半島有事を想定した周辺事態での日米協力に力点を置いた。新たな指針は、世界規模の日米同盟を目指し、協力の対象や地理的範囲を拡大する。
 周辺事態を「重要影響事態」に改めるのに伴い、米軍に対する自衛隊の後方支援の地理的な制約を外し、日本周辺以外でも支援できるようにすることは意義深い。
 新指針は、あくまで日米協力の大枠を定めるものだ。自衛隊と米軍の部隊を効果的に動かすには、様々な有事のシナリオを想定した共同計画の策定が欠かせない。
 その計画に基づき、共同訓練を実施する。問題点を検証し、計画の内容を見直す。このプロセスを着実に繰り返すことこそが、日米同盟の実効性を高めよう。



 産経新聞主張

 厳しさを増す安全保障環境に備え、日米同盟を格段に強化し、日本の平和と繁栄を確かなものにするための有効な手立てだ。
 ニューヨークでの日米外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プラス2)で、18年ぶりに改定された日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の意味合いである。
 新指針は、政府与党が今国会で成立を目指す安全保障関連法案とともに、集団的自衛権の限定行使容認など政府の新たな方針を、自衛隊の現実の運用に適用する土台となるものだ。

 抑止力の実効性高めよ

 政府は関連法案の早期成立に加え、新指針に基づく日米間の調整を急ぎ、実効性のある抑止力の強化を実現してもらいたい。
 新指針の最大の特徴は、日米による「切れ目のない」協力にあるといえよう。
 平時の警戒・監視活動に始まり、離島占拠など「有事」には至らないグレーゾーン事態、国際紛争に対処する米国など他国軍への後方支援、集団的自衛権の行使を含む有事まで、緊張の度合いに応じて協力する態勢を整える。
1997年に策定された指針は、日本有事における協力に加え、主に朝鮮半島有事を念頭に、周辺事態での米軍への後方支援に重点を置いていた。
 だが、周辺事態では米軍が危機に陥っても、自衛隊が武力を行使して助けることを認めていなかった。後方支援の活動範囲も日本の領域と「非戦闘地域」に限られ、十分とはいえなかった。
 北朝鮮の核・弾道ミサイルの脅威には今も警戒すべきだが、深刻さの度合いを増しているのは中国の軍事的台頭である。
 世界第2位の経済大国になった中国は対外的に強気の姿勢をとるようになった。軍拡に走り、尖閣諸島(沖縄県)を隙あらば奪おうとしている。南シナ海では東南アジア各国と支配を争う岩礁を勝手に埋め立て、飛行場など軍事施設を建設中だ。
 力による現状変更をはかる中国の傍若無人な海洋進出を押さえ込まなければならない。その際、いきなり武力行使には至らないものでも、相手の多様な出方に対応できなければ、日本の主権、領土を守ることは困難となる。切れ目のない日米の安保協力が重要だ。
 宇宙・サイバーなど、新しい戦略分野での協力も急がなければなるまい。
 もう一つの特徴は、日本が新指針と安保法制を通じて自衛隊の役割を広げ、米国と手を携えながら、国際社会での平和構築に力を尽くそうとしていることだ。
 オバマ大統領は中東政策をめぐって、米国がもはや「世界の警察官」ではないと表明した。米国防費削減の流れの背景にも、米国民の内向き志向がみてとれる。

 自衛隊の新たな役割も

 オバマ政権の国際秩序維持の決意が揺らいでいるようにもみえるが、それでも米軍は依然として最強であり、世界の自由と秩序を根底から支える存在だ。
 アジア太平洋重視という、米国のリバランス政策をより確実なものにするため、日本は平和への役割分担を強め、米国をアジア太平洋地域の安全保障につなぎとめる必要性が出てきた。米軍側からは、南シナ海での自衛隊の監視活動を期待する声もある。これにどう応えるかも課題となろう。
米国の強いコミットメント(関与)を地域で保つことは、日本単独で守りを固めるよりも合理的な選択肢といえるだろう。
 こうした方針は一部で批判のある「戦争協力への道」とはまったく異なる。平和への役割分担のために、どのような方策をとるかの政策判断である。
 自衛隊と米軍の関係にとどまらない。オーストラリアなど自由と民主主義の価値観を共有する友好的な第三国とも、協力を推進していくことが有効だ。
 新指針は新しい安保協力の出発点にすぎない。車の両輪となる安保法制の整備を今国会で確実に実現し、同盟の再構築につなげなければならない。
 日米の調整機関の常設や共同作戦計画、訓練の進展も重要な課題だ。同時に、海外派遣など役割の拡充に応じ、自衛隊の編成、装備、人員の充実が不可欠だ。
 この大きな政策転換について、安倍晋三首相が国民への説明に尽力すべきはもちろんである。

2015年04月27日

歴史認識、米高官要請の背景――中韓ロビー花盛りの米政界(遠藤誉氏)

「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)4月24日(金)深夜1:25〜4:25
「激論!憲法9条と日本の平和」出演しました。
 なんとか、眠気に打ち勝ち、討論できました。
 「朝生」で発言するのって、結構、大変です。

 多くの方からご支援いただきありがとうございました。

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 4月23日、マイク・ホンダを中心とした超党派議員25人が安倍首相訪米に際し歴史認識に関する書簡を出し、翌24日にはローズ大統領副補佐官までが同様の主旨の要請を安倍首相に対して表明した。その背景には何があるのか?

◆政界に食い込む中韓ロビー

 今ではチャイナ・ロビーの牙城となっている「世界抗日戦争史実維護聯合会」(抗日戦争の史実を守り伝えていく世界聯合会。略称:史維会。拠点:カリフォルニア)は、もともと1989年6月4日の天安門事件を糾弾する反中反共の民主活動家がコアメンバーとなっていた。
 誕生当時は、創始者たちは中国大陸の土を踏むことさえ許されず、訪中ビザが下りなかったほどだ。

 それが一気に「反日」のみで意思統一された裏には、台湾問題がある。

 2000年に国民党政権が破れて台湾独立を唱える民進党が政権を握ると、慌てた中国は「世界華僑華人中国平和統一促進会」(略称:和統会)を設立。海外の華僑華人が積極的に創設したとしているが、実際は中国政府(国務院台湾弁公室)が音頭を取ったものと思われる。

 史維会のメンバーのほとんどは、アメリカに来て初めて日中戦争時の史実を知った台湾人が多く、いかに台湾では反日教育をしていなかったかをうかがわせるのだが、それはともかく、まるでいま目の前で日中戦争が行われているようなショックを受けている者が多い。
 だから反日感情が尋常ではない。

 自分たちの子供がこのまま日中戦争における史実を知らないまま大人になったのでは大変だと、独自の教科書を作成したりしている。

 その在米台湾人たちは、和統会の誕生によって「祖国」への復帰を唱えるようになり、台湾と大陸の両岸統一に関しても燃え上がるようになった。

 こうして反共反中が親中になり、当然、中国政府からも歓迎されるように至ったわけである。

 江沢民政権時代の終わりに駐米中国大使だった李肇星(り・ちょうせい)などは、この史維会を「反日チャイナ・ロビー」に育て上げた「功労者」のひとりだ。

 在米中国人の数は数百万人を越え、そのほとんどはカリフォルニアかニューヨークにいる。

 アジア系アメリカ人というくくりで言うならば、2010年統計で1800万人もおり、中国系の次に多いのが韓国系である。

 世界各地にチャイナ・タウンやコリアン・タウンがあることからご想像いただけると思うが、中国系や韓国系は、ひと塊になって居住する傾向を持つ。やがて市民権を得たアジア系住民は、特定の選挙区において票田となり得るので、非常に大きな政治的力を発揮するようになった。

 それをうまく利用したのが、日系三世で知られる民主党下院議員のマイク・ホンダだ。

 票田や政治資金源となっている中国系および韓国系アメリカ人に迎合するため、2007年1月、米下院議員との共同署名で下院に慰安婦問題に対する日本政府の謝罪要求決議案を提出。2007年6月26日、米下院外交委員会は決議案を可決し、同年7月30日に下院本会議で決議案が採決された。

 韓国系アメリカ人が結束し始めたのは、むしろこの頃からで、慰安婦問題をコアにして中韓系アメリカ人の票田を固めることに力を注ぐ議員が多くなり始めた。

 史維会は主として南京事件をテーマにしていたのだが、2007年以降は慰安婦問題にも焦点を当てるようになり、中韓ロビーが強くなる結果を招いている。

 筆者が2000年初頭に日中韓の若者の意識調査を実行した時には、中国側教育機関担当者は、韓国側から提案された「慰安婦問題」に関して、「慰安婦なんて、中国の若者は知らないし、説明するのも何だから、この項目は削除してほしい」と言っていたほどなのだが、今では中国もこの問題に焦点の一つを当てるようになった。


◆2013年に変化が

 実は2013年にカリフォルニアの選挙区で、ロー・カンナというインド系アメリカ人(37歳)が立候補し、マイク・ホンダの対抗馬となった。ロー・カンナはスタンフォード大学で教鞭を執ったこともある弁護士で、シリコンバレーに食い込んでいた。
 その彼が立候補に当たって、選挙運動の焦点に絞ったのは尖閣問題。このころは尖閣の領有権問題が大きな関心になっていたからだ。そこに絞って中国系アメリカ人の票を得ようとした。

 ところが2014年11月の地方選挙で、ロー・カンナはマイク・ホンダに僅差で敗北。

「慰安婦問題が尖閣領有権問題を上回った」ということになろうか。

 それ以降、マイク・ホンダは、いっそう政治家としての公約を慰安婦問題に絞って、中韓両系列の有権者の票を集めるようになった。

 今年4月23日に、マイク・ホンダは、エド・ロイス外交委員長(共和党)らを含む超党派議員25人の署名を集めて安倍首相が訪米中に歴史問題に言及することを要求する書簡を佐々江賢一郎駐米大使に送付した。
 慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話、過去の「植民地支配」や「侵略」 を謝罪した村山富市首相談話を尊重するよう、安倍首相に促している。

 闘争の焦点をここに当てておけば、中韓両系列の有権者の心をつかむことができるという計算だ。


◆大統領副補佐官までが

 翌4月24日、ベン・ローズ大統領副補佐官(戦略広報担当)が電話で記者会見をした。この中でローズ氏は、歴史認識問題について「われわれは安倍首相に過去の談話と合致する形で建設的に対処し、緊張を和らげるよう働きかけている」と述べ、安倍首相は村山談話や河野談話など、過去の内閣の立場を引き継ぐべきだとの立場を明確にした。

 一方、メデイロス国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長も「歴史問題は最終解決に達するようなやり方で対処することが重要だ」と強調している。 

 中国国営の中央テレビ局CCTVは、まるで呼応しているかのように、「アメリカ各界は安倍に歴史を正視するよう促している」というタイトルで特集番組を組み、中国共産党系列および中国政府系列の新聞やウェブサイトも、一斉に同じテーマで報道した。

 アメリカ政府としては、未だ首脳会談が進んでいない日韓関係への懸念を表したものと思われる。

 安倍首相は4月29日にアメリカ議会で演説するとされている。

 この演説の内容が、「歴史認識」に関して中韓を刺激することがないように、大統領府は心配しているのだろう。アメリカのアジア回帰(リバランス)を、より困難にされるのは困るという、アメリカ側の計算がある。


◆安倍首相訪米に合わせて反日デモを計画

 4月17日、史維会の賀英明会長は、安倍首相訪米に合わせ、全米各地で反日デモを行う計画をしていることを明らかにした。

 また、安倍首相の米議会演説当日には、全米各地にある日本在外公館前で抗議活動も行うと宣言している。

 理事の李競芬女史(台湾系)は、筆者がサンフランシスコでインタビューした2000年初頭では和統会に燃えていたが、最近では対日抗議活動に燃えている。彼女は全米の華僑華人に安倍首相訪米に合わせた抗議活動への参加を呼びかけており、「軍国主義の復活をもたらす安倍の訪米を歓迎しない」と、サンフランシスコからのCCメールに明記している。


◆チャイナ・ロビーの土壌を強化させる在米留学生

 2014年の在米留学生の総数は88万6千人(正確には886,052人)に達しているが、その31%は、中国人によって占められている。それも多くが博士課程に在籍しており、日本人留学生の多くが語学研修に留まっているのと大きな違いだ(中国人留学生の次に多いのが韓国人留学生)。

 中国人留学生は博士学位を取得すると、アメリカで創業したり大企業に就職したりして、やがて市民権を得る者が多い。

 最近では「投資移民」の数が急増し、渡米した中国人富豪が豪邸を購入したり起業したりして、アメリカ国籍を得ているケースが増えている。住宅購入だけでも、年間で220億ドルもの金をアメリカ市場に落としているのだから、アメリカにとって中国人は良い「お得意さん」だ。

 中韓ロビーがアメリカの政界に食い込んでいるだけでなく、市場にも大きな影響を与えている現状がある。それはある意味、チャイナ・マネーが形を変えながら、アメリカでも人心を買っていることを物語ってはいないだろうか?

 日米同盟を強化し、日米ガイドラインを見直す一方で、否定しがたい現実が横たわっている。


遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士






2015年04月24日

朝まで生テレビに出演します。

 今日深夜の「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)
 出演することになりました。
4月24日(金)深夜1:25〜4:25

「激論!憲法9条と日本の平和」です。

激論!憲法9条と日本の平和
戦後70年の憲法記念日を前に
いま、改めて問う“日本の平和主義”
 
私たちはどんな国を目指すのか?!
日本は戦争に巻き込まれるのか?!
 
積極的平和主義とは?!
集団的自衛権 安保法制 日米安保 自衛隊…

ド〜する?!ド〜なる?!憲法改正
ド〜する?!ド〜なる?!憲法9条
…等々を気鋭の論客で徹底討論!

番 組 進 行:渡辺 宜嗣(テレビ朝日キャスター)
村上 祐子(テレビ朝日アナウンサー)

司   会:田原 総一朗パネリスト:

平沢勝栄(自民党・衆議院議員)

小西洋之(民主党・参議院議員)
柿沢未途(維新の党・衆議院議員)
 
岩田温(政治学者、拓殖大学日本文化研究所客員研究員)
小林節(慶応大学名誉教授、国民安保法制懇委員)
谷口真由美(全日本おばちゃん党代表代行、大阪国際大学准教授)

田村重信(自民党政務調査会調査役)
孫崎享(東アジア共同体研究所所長、元外務省国際情報局長)
三浦瑠麗(国際政治学者、東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員)
森本敏(拓殖大学教授、元防衛大臣)
渡部恒雄(東京財団上席研究員)


前回、2007年5月25日(金)テーマ「激論”日本国憲法”」以来、2回目です。


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2015年04月23日

習近平はなぜ日中首脳会談に応じたのか?――中国の建前と本音(遠藤誉氏)

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 22日午後7時、日中首脳が会談した。
 安倍首相の演説には「謝罪」はなかったが、中国メディアにさんざん批判させながら、習近平国家主席は会談に応じた。
 本当は彼こそ逆に、首脳会談を望んでいたのではないのか? 

◆安倍首相の演説を中国はどう見たか

 安倍首相が22日にインドネシアのジャカルタで開催されたバンドン会議で行った演説に関しては、日本の各メディアが報じているので、くり返しを避ける。ここでは中国がどう見ているかに関して、考察してみよう。

 本コラムでもすでに書いたように、中国の関心は「侵略」「反省」「謝罪=お詫び」のキーワードが演説に入っているか否かだった。

 安倍首相はバンドン会議の平和10原則の中の第二条を例に挙げながら一般的な事象として「侵略」を使い、「反省」に関しては「日本は、先の戦争の深い反省とともに」と言っただけで、やはり「謝罪」の言葉は入っていなかったと、中国メディアは一斉に批判報道。

 バンドン会議50周年記念の時は、(靖国神社参拝をやめなかった、あの)小泉首相さえ、きちんと1995年の村山談話を踏襲して「植民地統治と侵略」に対して「痛切な反省と心からのお詫び」と言っているのに、安倍政権は歴史認識に対して後退していると、中国メディアは軒並み批判的だ。

 特に「安倍は、謝罪を省いた談話を90ヶ国の前で発表することにより、国際社会の反応を観測して、それに基づいて戦後70年の安倍談話の内容を決めるつもりでいるのだ」と、深く掘り下げている分析も目立つ。

◆それでも日中首脳会談に応じたのは、なぜか?

 日中首脳会談の話に入る前に、まず開幕に当たり各国代表が記念撮影をした時の日中首脳の対応を見てみよう。

 インドネシアのジョコ大統領と先に並んだ安倍首相の前を、習近平国家主席が通ったとき、安倍首相が手を差し出し、二人は握手した。このとき安倍首相はジョコ大統領の向かって右側に並んでいた。習近平主席は右側から進んできたので、握手する以外になかっただろうが、顔をそらして、(にこやかに習近平主席の顔をのぞきこむ)安倍首相を見ていない。そのあとジョコ大統領の左側に立つと、安倍首相はジョコ大統領と直接言葉を交わした(英語を使ったものと推測される)。すると習近平主席はそれを無視するように不愉快な表情を露わにした。

 それでも日中首脳会談に応じたのは、中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)の問題があるからだ。

 おまけに昨年の日中首脳会談のときの、あの非礼極まりない表情ではなく、習近平主席の顔には心なしか笑顔さえ浮かんでいる。記念撮影のときは昨年と同じ「あの非礼な」表情に近かったのに、表情まで変えたのだ。

 それくらい彼は日中首脳会談を望んでいたのではないのか――?

 中国はAIIB創設に当たって、つねに「どの国に対しても開放的だ」と言ってきた。 その中国が、安倍演説に「謝罪」の言葉がなかったからと言って、首脳会談を行わないというわけにはいかないにちがいない。

 それに中国は実は、国際金融運営に関して経験があるわけではないし、また資金も多ければ多いほどありがたい。

 日本はAIIBと全く同じ目的を持つアジア開発銀行の歴代の総裁を担ってきた。ノウハウもあれば、2010年に中国に追い越されたとはいえ、世界3番目の経済大国だ。

 日本がアメリカと緊密に連携し合って、アジア開発銀行の方により多く投資し、融資の基準を少し緩めるなどのことをすれば、AIIBと対抗する存在にならないとも限らない。

 だから中国としては「どうかアジア開発銀行に注ぐ資金があるのなら、どうかAIIBに加盟して、AIIBに投資してくれ」と思っているのが本音だ。環境保護のための技術だって、日本は際立って高い。国際金融センターになるには環境保護は欠かせない。

 21日夜、王毅外相は「日本がどうしても会ってくれと希望している」という趣旨のことを言っている。「会いたかったら正しい歴史認識を持て」と言わんばかりに上から目線だ。

 今年は戦後70周年記念。中国は「反ファシズム戦勝70周年記念式典」と「抗日戦争戦勝70周年記念式典」を大々的に開催することに変わりはない。その意味での対日強硬路線が変わることはあり得ないと断言できる。

 しかしその一方で、本当は日本のノウハウと資金、そして技術を欲しがっているのではないのか。

 中国の中央テレビ局CCTVは長い時間を割いてバンドン会議における習近平国家主席の行動を大々的に報道した。その中で目立ったのは「AIIBと一帯一路」に関する話で、安倍首相にも「AIIBと一帯一路は、世界の多くの国に歓迎されている」と強調し、その流れの中で、日本がアジアの平和と安定に貢献するように言ったとしている。

 日本の報道からは出て来ないが、日中首脳会談で「AIIBと一帯一路」に触れたのは確かだろう。

 CCTVの報道は、習近平国家主席が安倍首相に「互いに脅威にならないように」と「歴史認識が根幹だ」とクギを刺したという、強い語調の導入で始まったが、最後は「AIIBと一帯一路」で締め括っている。

 ここに中国の建前と本音がにじみ出ていると、筆者には見えた。


遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士



2015年04月21日

バンドン会議、日中首脳会談のゆくえ――李克強首相が河野代表らに会った理由(遠藤誉氏)

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 22日から始まるバンドン会議で日中首脳会談の有無が注目されている。
 14日に李克強首相が河野代表ら訪中団と会った裏には、同会議における安倍首相の講演内容を牽制し、首脳会談の可否を決める中国側の腹がある。

◆中国にとってのバンドン会議の大きさ

 4月22日〜23日、インドネシアのジャカルタでアジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年を記念する首脳会議が開かれる。

 バンドン会議は1954年に中華人民共和国(中国)の周恩来首相とインドのネール首相が中印会議を開いたことに端を発し、1955年に「中国、インド、エジプト、インドネシア、パキスタン、スリランカ、ビルマ」を中心に開かれた「アジア・アフリカ会議」で、最初にインドネシアのバンドンで開催されたことからバンドン会議という。

 当時、国連に加盟しておらず、国際社会から国家として承認されていなかった中国としては、何としても国際社会における横のつながりが欲しかった。だから中国にとって、バンドン会議は唯一の拠り所であったと言っても過言ではない。

 そのため中国は早くから「アジア・アフリカ研究所」や「アジア・アフリカ局」を至る所に設立し、大学の中にも各政府部門の中にも深く根を下ろしていた。筆者はしばらくの間、北京大学アジア・アフリカ研究所にいたことがあるので、その重きの置き方を実感している。

 習近平政権が、今年、アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立に向けて急激に動き始めたのも、時期としてはバンドン会議60周年記念という節目に合わせている側面もある。

 4月16日付本コラム「中国金融大動脈――AIIBと一帯一路」でも記したように、中国の一帯一路構想をAIIBに結び付けて紹介するときに、中国ではよくインドネシアが例に挙げられることからも、そのことが窺(うかが)われる。

◆日中首脳会談に対する中国の姿勢

 河野洋平元衆議院議長が会長を務める国際貿易促進会一行が、4月14日、李克強首相と会談した。ここのところ汪洋副首相(中共中央政治局委員)が対応していたのに、今年はランクが上がって、李克強というチャイナ・セブン(中共中央政治局常務委員会委員)の党内序列ナンバー2が会談したということは、日中関係緩和の兆しかという憶測もあった。

 しかし、そういうことではない。

 中国としては、今年戦後70周年に当たり安倍首相が新たに談話を出すことに関して、「歴史認識を忘れるなよ」、ということを警告し、牽制することが目的であった。

 なぜなら河野氏は、いわゆる「河野談話」を出しており、「村山談話」に関しても否定する考えを持っていないことを中国は知り尽くしているからだ。だから河野氏を「政治家として素晴らしい勇気と覚悟を持っている」と持ち上げて安倍政権および安倍首相が出すであろう戦後70年談話を牽制したのである。

 村山談話には「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」、「痛切な反省」と「心からのお詫びの気持ちを表明」などの言葉がある。

 このうちの「植民地支配と侵略」「反省」「お詫び」といったキーワードが安倍談話にあるか否かが、中国の関心事だ。それを踏まえて、李克強首相は会談の冒頭、「歴史問題を正しく認識する原則精神」を強調し釘を刺した。

 見落としてならないのは、それはただ単に戦後70年談話に対する牽制だけでなく、実は近くはバンドン会議で話す機会を得るであろう安倍総理のスピーチ内容に対する牽制でもあった、ということである。

 だからこそ、汪洋副首相ではなく、李克強首相という、党内序列の高い人物を当ててきた。牽制する力が、汪洋よりは大きくなるだろうとの、中国側の計算があったからだ。

 バンドン会議における安倍首相のスピーチを戦後70年談話の原型と、中国はみなしている。だからそこに中国が「歴史問題を正しく認識する原則精神」とみなすキーワードがあるか否かが、大きな関心事なのである。

 安倍首相はあくまでも戦後70年談話を「未来志向」のものとしたい考えを貫いており、過去の言葉をそのまま踏襲するとは限らないと言明している。

 中国では安倍首相のスピーチには「謝罪」の言葉がないのではないかと危惧している。つまり、「反省」はあっても、「戦後平和を守り、国際貢献をしてきた」という、安倍晋三型「未来志向」に留まるのではないかという憶測が中国では飛んでいる。

 となれば、バンドン会議における日中首脳会談の可能性も危うくなってくると、中国メディアは報道している。

 習近平国家主席は、安倍首相のスピーチの内容によって、会談を行うか否か、また行うとしても、どのような接触の仕方になるかを決める可能性は大きい。

 ただ思うに、このような「踏み絵」のような外交は本来あってはならない。

 日本の代表が、訪中した際に中国のどの序列の人物と「会ったか」という事実を、「誰が会ってくれたか」という形でとらえる(自慢する?)日本側関係者がいることも、逆にその傾向を増幅させてはいないか。朝貢外交ではないのだから、日本の成すべきことを堂々と成したうえで、「誰と会った」という対等の立場でなければならないはずだ。
(ヤフーより)

遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

2015年04月20日

G7会談でなぜ海洋安全問題共同声明?――中国、日本を批判(遠藤誉氏)

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 4月16日、ドイツで開かれたG7外相会談で、東シナ海や南シナ海に関する共同声明を出した事に対して、中国が「経済金融を討議するG7が海洋安全に関する共同声明を出したのは40年来の歴史で初めてだ。日本の秘かな策略」と非難。

◆G7外相会談共同声明

 4月16日(現地時間15日)、ドイツのリューベックでG7先進7カ国の外相会談が開かれた。日本からは岸田外務大臣が出席し、東シナ海や南シナ海で中国が海洋進出の動きを活発化させていることなどを踏まえ、「現状変更や緊張を高める一方的な行動を懸念し、力などによるいかなる試みにも強く反対する」などとした共同声明を発表した。

 それによれば、「大規模な埋め立てを含め、現状を変更し、緊張を高める、あらゆる一方的な行動を懸念し、力などによるいかなる試みにも強く反対する」としている。

 AIIB(アジアインフラ投資銀行)に関しては共同声明には盛り込まず、「公正な統治の確保が重要」「情報の共有などで連携」といった共通認識を持つことに留めている。

 会談に参加した岸田外務大臣は、厳しさを増すアジアの安全保障環境について自ら議論をリードしたとして、「存在感を示すことができた」と記者団に語っているが、中国はむしろこの点を取り上げて、激しく日本批判を展開している。

◆新華網が「日本の策略によりG7にゴリ押し声明」

 中国政府の通信社である新華社のウェブサイト「新華網」は、4月17日、強推七国集団声明 日本暗蔵心機(日本の秘かな策略により、G7にごり押し声明を出させる)という見出しで、日本を批判する記事を出している。その内容に沿って、中央テレビ局CCTVでも、全く同じタイトルの番組を特集し、17日に報道した。

 その概要をご紹介する(用語は中国の報道に準じる)。

――周知のように、G7は主として経済問題を討議するクラブである。だというのにドイツのリューベックで開催されたG7外相会議は、なんと東シナ海や南シナ海に触れた「海洋安全問題」に関する共同声明を出したのだ。これは40年来の歴史の中でも、初めてのことである。

 これを言い出したのは日本で、そのために日本は大量の裏工作をしていることを、新華社の記者は発見した。日本はなぜ、そのようなことをする必要があるのか?その政治的外交的手段の裏に隠れている狙いを見てみよう。

 日本の某外務省高官が明かしたところによれば、「日本はG7の中の唯一のアジアのメンバーだ。もし日本が言い出さなかったら、いったいどの国が海洋安全問題に関して文書を出すことを、G7国に対して説得できるだろうか?」とのこと。

 なぜG7が海洋安全問題を議題として討論しなければならなかったかに関して、議長国ドイツのシュタインマイヤー外相は記者会見で「来年のG7サミットの議長国として、日本は今後数年内の議事日程にこの議題を出すことに対して非常な関心を持っているからだろう」と述べた。

 なぜ日本がこんなにまで海洋安全問題を気にしているかに関する解答を見つけるには、まずは「海洋安全に関する声明」を読んでみなければならない。

 すると海上通商とか密輸密入国あるいは海賊、生物多様性などという、わざわざ声明を出すには及ばない内容以外に、「われわれは継続して東シナ海や南シナ海の情勢、特に大規模な埋め立てなどによる緊張の増加や一方的な現状変更の試みに注意を払う。威嚇や脅迫、および武力による領土あるいは海洋の拡張に対しては、断固として反対する」とある。

 そして今年の終わりごろに海洋安全問題に関するG7ハイレベル会議を開くと謳っている。

 これは明らかに日本がG7を引きずり込んで中国に圧力を加えようとしていることが見て取れる。G7の力を使えば、中国にかける圧力が大きくなると、日本は思っているのだ。

 しかし残念ながら、G7の影響力は近年ますます下がっており、特に最近では、G7はすでに一枚岩ではない。同盟国としてのメンツを配慮し、海賊退治などの内容があるので日本に同調する形を取りバランスを考慮しているが、(日米以外は)日本のために東シナ海や南シナ界における立場を鮮明にしたくないのがG7諸国の本音だ。どの国も日本の権威を認めてはいない。

◆AIIBに加盟しているのだから、とまでは言わないが…

「なぜなら、G7諸国の多くは中国が主導するAIIBに加盟しているのだから」とまでは、さすがに書いてないが、行間を読めば明らかに「G7という虎の威を借りようたって、そうはいかない。今はもう通用しないんだよ。日本の味方をする国は(アメリカ以外)、もういない」と中国は言いたいのだということが伝わってくる。

 記事もテレビも、「日本の安倍首相は至るところで中国を悪しざまに言って、あたかも日本が被害者であるようなことを言い、日本は国際法と国際規則を守っている国であるかのように宣伝している」としている。まるで、「もうどの国も、日本ではなく、中国を高く買っている」と言わんばかりだ。

 AIIB加盟国の多さを盾に、今後もこの手の視点からの日本批判が続くことが予測される。日本はそれを踏まえて、国益を損なわない外交戦略を練っていくことが求められる。
(ヤフーより)

遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士



中国への主導権移行防げず――G20でアメリカの弱体化顕著(遠藤誉氏)

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 ワシントンで開かれていたG20財務相・中央銀行総裁会議は、世界の主導権が米国から中国に移りつつあることを否応(いやおう)なく示した。
 中国主導のAIIB参加国が多勢を占める中、IMFの改革を進めない米国への批判が高まった。

◆AIIB秘書長の記者発表と朱光耀財政次官の講演

 4月15日、アジアインフラ投資銀行AIIBの総裁と目されている金立群・現AIIB秘書長は、この日を以てAIIB参加国が57ヶ国になったことを宣言した。
 同氏によれば、アジア域内参加国の出資比率を75%とし、西側先進国などの域外参加国の出資比率を25%に抑えるとのこと。また各域内外の参加国の出資額は、当該国のGDP比率によって決めるとした。

となれば、おのずと最大出資国は中国となる。

 その上で「発言権は出資額に比例する」としたのである。

 中国は、初期投資は1000億ドルではあるものの、いずれアジアインフラ建設の10年間のニーズに当たる8兆ドルのうちの30%〜40%に相当する、約4兆ドルは中国が出すことになるだろうとしている。

 6月までには理事会や取締役会などの定款を作成し、あくまでも新興国の発言権を保障しながら各国の利益を図るもようだ。今後参加する国は「創設国」ではなく、「一般国」扱いとなる。本部を北京に置くことも、すでに参加国の間で承認された。

 ここまでの準備をした上で、中国は財務相・中央銀行総裁関連の人物を、G20に参加するためワシントンに送った。

 日米を除き、G20参加国のほとんどはAIIB参加国である。

 それだけですでに圧巻だが、アメリカの影の薄さが際立っている。
 というのも、中国がAIIBを設立せざるを得ない背景の一つに、アメリカ主導のIMF(国際通貨基金)や世界銀行の硬直性があるからだ。

 4月17日、中国の朱光耀・財政部副部長(日本の財務次官に相当)は、ワシントンにあるアメリカのシンクタンク大西洋理事会の招聘を受けて講演を行った。

 演題は「中国から見たアジア太平洋の繁栄」で、話のテーマは「アジアインフラ投資銀行(AIIB)と世界銀行は補てん関係にある」と「米議会が一刻も早くIMFの出資比率に関する改革案を通すことを促す」だ。以下、中国大陸のメディアから、朱光耀財務次官の講演概要を記す。

――70年の歳月が過ぎた。しかしブレトン・ウッズ体制(1944年7月に第二次世界大戦以降の国際金融を考えて決められた国際通貨体制。金ドル本位制)は今もなお、IMFと世界銀行という二大国際金融機関を通して作用を発揮している。
 1980年代に中国はIMFと世界銀行に加入したが、中国はいまやこの二大金融機構の非常に重要なメンバー国となっている。
 中国はIMFや世界銀行の能力を高めようと惜しみない努力をしてきた。同時に(中国を含めた)発展途上国の出資比率を増加させ発言権を強める方向での機構改革を求めてきた。

 その結果アメリカは2010年に改善することを約束しながら、5年経った今もなお実行していない。

 だから中国はAIIB創設を提案せざるを得ないのであり、アジア諸国の「要想富、先修路(富みたいと思えば、まずはインフラを整えよ)」という思いを一つにしようとしているのである。

 われわれは決して既存の金融機構を壊そうというものではない。あくまでも補てんするだけである。AIIB創設に当たっては、提案する前からアメリカに話をして協力を求めた。アメリカ議会がIMFの出資比率に関して改善を決議することを期待する。

◆IMFのラガルト専務理事もアメリカに不満

 現在IMFの専務理事であるフランスのクリスティーヌ・ラガルド女士は、2014年6月6日、「なんなら、IMFの本部を、たとえば北京に移すことだってあり得る」と言ったことがある。
 ブルームバーグの“Beijing-Based IMF? Lagarde Ponders China Gaining on U.S. Economy”が伝えている。

 IMFは歴代専務理事を主としてヨーロッパ諸国から出しており、本来ヨーロッパ主導で管理運営されてきたが、出資比率に関してアメリカがダントツに多く(17%)、単独で拒否権を発動できる権限を持っている。
 そのことにヨーロッパも面白くないと思っているのだ。
 中国はここをしっかりつかんでいて、フランスやドイツと蜜月を続けてきた。

 今般のG20が開幕する前の4月16日、アジア、アフリカおよび中南米の24の開発途上国の金融・財務関係者から成るG24がワシントンで会合を開き、AIIBを支持する共同声明を発表している。
 それは明らかにアメリカ主導型の既存の国際金融機構への不満の表れだ。

◆焦る米国にIMF委員会が追い打ち声明

 これらの動きを受けて、オバマ大統領は日本にTPP(環太平洋経済連携協定)締結を急がせている。「われわれがルールを作れない場合、中国が自国に有利なルールを作るだろう」と、4月17日、危機感をあらわにしている。  

 前回の本コラムで中国金融大動脈――AIIBと一帯一路という、中国の世界戦略を述べた。「紅い皇帝」習近平のしたたかな世界戦略が現実味を帯び、アジア回帰しようとするアメリカを追いこんでいる。この趨勢をとめられるのか? 

 まるで最後の追い打ちをかけるように、4月18日、ワシントンで開催されたIMF委員会は「アメリカの改革の遅れに失望している」という声明を出した。
 あの知的で美しいラガルド専務理事の銀髪と毅然とした目つきが、キラリと光った。

 時代が変わりつつあることだけは否めない。
(ヤフーより)

遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士



2015年04月16日

中国金融大動脈――AIIBと一帯一路(遠藤誉氏)

今日(16日)の読売新聞(都内版)に、ボクシング元太平洋王者・坂本博之さんの記事「福岡市・ハングリー精神の原点」が大きく載っていました。
是非、お読みください。

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 4月14日、中国中央テレビ局CCTVは、「中国金融大動脈」と題して、アジアインフラ投資銀行AIIBと中国の国家戦略「一帯一路」(陸と海の新シルクロード経済構想)が、いかに緊密に結びついているかを特集した。
 その真意を追う。

◆AIIBは「一帯一路」構想完遂のためにあるのか?

 14日のCCTVは「一帯一路建設は資金の融通性と切り離すことができない」として、「中国金融大動脈」というタイトルで、「一帯一路」という中国の国家戦略は、AIIBという国際金融融資組織があってこそ真の大動脈となり得ることを強調した。

 一帯一路というのは、前にも本コラムで解説したが、「陸と海の新シルクロード構想」という、中国の国家戦略を指している。

「一帯」は中国をスタート地点として、早くから経済協力していた新疆ウィグル自治区の西側を囲んでいる中央アジア五ヵ国との新シルクロード経済圏を、さらに西へ西へと延ばして、終点をEUとする「新シルクロード経済ベルト(帯)」を指す。

「一路」は中国の東海岸にある福建省や広西チワン族自治区をスタート地点として、東シナ海、南シナ海、インド洋を通って、中東やアフリカをかすめながら、やはり終点をEUに置く、新シルクロード海路のことである。

 この一帯一路沿線上の国々のインフラ建設に関して、中国の生産能力過剰となっているインフラ関係の企業を進出させ、それとともに中国の金融サービス機関も同時に海外進出させて、これをAIIB構想と連携していくというのが、中国の大戦略である。

 たとえば、中国のセメント工場が海外進出をする場合、中国銀行も共に海外進出して、これからの3年間で1000億ドルの融資をして一帯一路沿線上の国々の産業を支えていく。

 建設銀行も2000億元(現在、1元は19.26円)の「一帯一路資金」を投入して、「融資、信用貸付、資金導入」を実施していくという。

 また国家開発銀行は重点プロジェクトに対して資金をプールし、一帯一路沿線上の64ヶ国の約900項目の大プロジェクトに対して8000億ドルを投入する。工商銀行も協調して、一帯一路沿線国の131項目のプロジェクトに対して1588億ドルを投資する。

 大きなプロジェクトだけでなく、一帯一路沿線国の庶民の日常生活においても中国銀聯カード(チャイナ・ユニオン・ペイ)(中国を中心に拡大しているオンライン決済システムを運営する企業のクレジットカード)を使うことができ、アラブ首長国連邦ではすべての商店で使うことができ、パキスタンでもATMの70%、POSの90%をカバーしている。

 ただし、アジアインフラ整備のニーズにおいては、個別の銀行の対応ではこなしきれず、どうしてもAIIBのような国家間の国際金融サービスが不可欠となる。

 中国はシルクロード基金だけでも、すでに400億米ドルを投資しており、これからはAIIBが一帯一路のインフラ建設を支えていくことになるだろう。

 番組は、基本的にこのような位置づけをした上で、個別の国の例を挙げている。


◆たとえば、インドネシアの場合

 インドネシアのカリマンタン州では、中国の最初のセメント工場が進出した。それにより毎日6000トンのセメント生産が可能となり、地元最大のセメント工場となっている。

 企業責任者は、「これまでは、ここまで大きな資金需要が海外にあるとは思いもよらず、また地元の銀行は中国企業の生産能力がわからず、文化や言語の上でも交流が不便で融資を渋ってきた。だからインフラ関係の中国企業の海外進出を困難にしていた。しかし今はこうして中国国内の銀行が、われわれ企業と共に海外に進出してくれるので、どんなに助かるかしれない」と、金融サービス機関の海外同時進出を歓迎している。

 インドネシア側では大量のセメントを用いて橋や高層道路などのインフラ建設を急ぐ必要があり、セメント生産量を2500万トンまで高めていくことができると、目を輝かしていた。

 それに伴い、中国銀行は一帯一路沿線上で16の支店を建設し、必要資金の90%をカバーするとのこと。


◆ビッグデータが示すAIIBのニーズ

 一方、ビッグデータは、アジアインフラ建設の内、最も必要なのは「高速鉄道と高速道路と地下鉄」だということを示している。そして一帯一路沿線国家が最も望んでいるのは「人民元による国境をまたいだ決済」であり、「人民元の貸し出し」と「人民元の域外投資」であることも、ビッグデータは示しているとのこと。

 一帯一路沿線上の主要国のうち、人民元決済を望んでいる国の割合は60%で、中でもイギリスでは86%の企業が人民元取引を望んでいるという。

 さまざまな形における多くの金融機関の協力は、一帯一路の資金融通の橋梁となり、将来的にはAIIBの始動が、中国金融の大動脈となっていくであろうと、番組は結んでいる。


 以上からまず見えることは、アジアにはたしかに高いインフラニーズがあり、同時に資金の融通が伴っていないと困るということだ。しかしそれ以上に、アジア諸国のインフラ建設のために動き始めるAIIBは、決して「中国以外のアジア諸国のためのもの」ではなく、それもあろうが、結果的にはあくまでも「中国のための一帯一路」という構想をサポートするものであることが鮮明になってくる。

 紅い皇帝は弾薬一つを使うことなく、中国古来の権謀術数によりAIIB参加国を集めるプロセスでひとり勝ちしているが、逆にAIIBは、中国のための一帯一路構想達成においても、紅い皇帝のひとり勝ちを許すことになるという構図が見えてくる。
「したたか」を通り越して、よくぞここまでスケールの大きな計算を「中国」のために練ったものだと感心する。

 と同時に、よくぞここまで正直に「下心」を番組化したものだと、半ば感心し、半ば呆気(あっけ)に取られながら、「中国金融大動脈」を観た。

 AIIBに参加するか否かに関して、日本はまだ迷っているようだが、この側面も、よく見極めておく必要があるだろう。
(ヤフーより)

遠藤誉
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