2014年12月

2014年12月28日

来年は安保法制が国会で審議、「田村塾」が開講。

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僕の本『安倍政権と安保法制』(田村重信著、内外出版)が発売されました。早くも3刷定できました。是非、お読みください。分かりやすいですよ!紀伊国屋書店、池袋ジュンク堂には重点的に配本されます。出版社から送料無料で購入できます。内外出版HPよりアマゾンでもどうぞ!

 今年も、過ぎてしまえば、あっ!という間でした。
 来年はいよいよ安保法制が通常国会で審議されます。
 そのための分かりやすい資料(本か?)を作ります。

 先ほど、中谷 元防衛大臣とお会いましたが、大臣からは「田村さんの本を読んで勉強しています」と『安倍政権と安保法制』(内外出版)を高く評価していただいています。

 今、本屋では集団的自衛権が行使されると大変なことになるといった本があふれています。
実際はそんなことにはなりません。

 集団的自衛権の限定行使と安保法制(閣議決定)を正しく理解する意味で、まだ読んでいない方は、是非とも正月に僕の『安倍政権と安保法制』を読まれますようお願いします。

 さて、予想もしなかった解散・総選挙で僕の年末・年始の日程が予定していたことから当初予定していたスケジュールを大きく変更せざるを得なくなりました。
 これも、仕事の関係だから仕方ありません。


 今年は、総選挙中以外は、あまり熱心にブログを書きませんでしたが、来年は少し真面目に皆様に情報提供すべく頑張ります。


 来年は、日本政策学校で「田村塾」が開講されます。


 以下、日本政策学校のHPより
 日本政策学校で2月より自民党政務調査会 調査役 田村重信氏を塾長に
お迎えし、日本政策学校 田村塾を開講いたしますーとんことです。
(全て僕が責任担当です)

 参加ご希望の方はお早めにお願いします。...


・2月27日(金) 19:00〜20:30
    『開講式 政治リーダーについて(大学、論語より)』
・3月27日(金) 19:00〜20:30 
    『偉人伝(吉田松陰、西郷隆盛)』
・4月24日(金) 19:00〜20:30 
    『偉人伝(渋沢栄一、聖徳太子)』
・5月29日(金) 19:00〜20:30  
    『憲法改正』
・6月26日(金) 19:00〜20:30 
    『安全保障 法制』
・7月31日(金) 19:00〜20:30 
    『孫子』
・9月25日(金) 19:00〜20:30 
『ブームの起し方 魚を食べると頭が良くなるはこうしてブームにした!』
・10月30日(金) 19:00〜20:30
    『意見発表(1)』
・11月27日(金) 19:00〜20:30 
    『意見発表(2)』
・12月18日(金) 19:00〜20:30
    『意見発表⇒修了式』 


なお、1月28日(水)日本政策学校 田村塾 プレ開講 
「政治家の心構えとその表現方法」
があります。

2014年12月25日

基本方針(12月24日閣議決定)

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 平成26年12月24日(閣議決定)

 我々が進める改革は、いまだ道半ばである。しかし、「この道しかない」との強い確信を持って取り組んできた。そして、この度の総選挙において、国民の皆様から大きな支持を頂くことができた。

 大きな政策推進力を得て、いかに困難な道のりであろうとも、戦後以来の大改革を、内閣が一丸となって、さらに大胆に、さらにスピード感を持って、推進していかなければならない。我々が為すべきは、総選挙で国民の皆様に約束した政策を、一つひとつ、確実に実現していくことである。

 これまで以上に身を引き締めて政権運営に当たり、この道を、国民の皆様と共に、ぶれることなく、真っ直ぐに進んで行く。その決意のもと、頑張った人が報われる、「誇りある日本」を取り戻すため、内閣の総力を挙げて、以下の施策を推し進める。


1.復興の加速化
 まず何よりも、「閣僚全員が復興大臣である」との意識を共有し、省庁の縦割りを厳に排し、現場主義を徹底することにより、被災者の心に寄り添いながら、東日本大震災からの復興、そして福島の再生を、更に加速していく。

2.経済の再生
 強い経済は、日本の国力の源泉である。強い経済の再生なくして、安定した社会保障も、財政の再建もない。
 デフレからの脱却を確かなものとするため、消費税率10%への引き上げを延期する。平成29年4月からは確実に引き上げ、経済再生と財政再建の同時実現を目指すとともに、世界に誇る社会保障を次の世代に引き渡す責任を果たす。
経済の再生を引き続き内閣の最優先課題と位置づけ、成長戦略を一層力強く、実行を加速していく。高齢者も若者も、難病や障害を抱える人も、「誰にでもチャンスあふれる日本」を創り上げる。
地方や中小・小規模事業者など、多様な声に耳を澄まし、きめ細かく対応しながら、「三本の矢」の経済政策を更に強化し、雇用の改善や賃金アップによる「経済の好循環」を継続していくことにより、景気回復の実感を、必ずや全国津々浦々にまで届ける。

3.地方の創生
 若者が、将来に夢や希望を持つことができる、魅力あふれる「まちづくり、ひとづくり、しごとづくり」を進めることにより、元気で豊かな地方の創生に全力を挙げる。
 そのため、家族や地域の「絆」の再生に取り組むとともに、人口減少や過疎化といった地方が抱える構造的な課題にも、真正面から取り組み、その克服を目指す。

4.「女性が輝く社会」の実現
 すべての女性が、生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会を創り上げる。そのため、社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上にするとの目標の確実な実現に全力を挙げる。また、家事や育児に専念してきた女性が、その経験も活かしながら活躍できる環境を整える。

5.教育の再生
 日本の将来を担う子どもたちは、国の一番の宝である。すべての子どもたちが、笑顔で暮らし、その無限の可能性を開花することができる日本を、取り戻さなければならない。
 多様な価値に対応できるよう複線的な教育制度へと改革を進めるとともに、家庭の経済事情に左右されることなく誰もが希望する教育を受けられるよう、一層、教育の再生を力強く推進する。

6.暮らしの安心確保
 消費税率10%の実現は平成29年4月となるが、子育て支援、医療、介護など社会保障の充実については、可能な限り、予定通り実施する。誰もが安心できる持続可能な社会保障制度の確立を目指し、引き続き、その改革に取り組む。
 さらに、平成26年8月豪雨や御嶽山噴火をはじめ、大雨や大雪など自然災害によって、全国各地で甚大な被害が発生したことを踏まえ、引き続き高い緊張感を持って、大規模な災害やテロなどへの危機管理対応にも万全を期すとともに、これまでの災害を教訓に、制度改正なども含めた、事前防災のための国土強靭化を推進する。

7.外交・安全保障の立て直し
 強固な日米同盟を基軸に、「地球儀を俯瞰する外交」を一層強力に推進する。国家安全保障戦略のもと、「積極的平和主義」の旗を掲げて、世界の平和と繁栄に、これまで以上に貢献していく。
 その上で、いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしを守り抜いていく。そのために、先般閣議決定された基本方針に基づき、国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備を進める。
 在日米軍再編にあたり、普天間飛行場の固定化は絶対にあってはならない。抑止力の維持を図るとともに、沖縄の基地負担の軽減を、目に見える形で実現するため、本土における努力を十二分に行うべく、政府を挙げて取り組む。

 最後に、各府省の公務員諸君には、行政のプロとしての誇りを胸に、その持てる力を存分に発揮するよう期待する。常に、国民の目線を忘れることなく、その心に寄り添いながら、政策立案に当たっては積極的に提案し、現場にあっては果敢に行動してもらいたい。

shige_tamura at 10:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!安倍晋三 

安倍内閣総理大臣記者会見(第3次安倍内閣発足)

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【安倍総理冒頭発言】

 本日、国会で首班指名を受け、引き続き内閣総理大臣の重責を担うこととなりました。よろしくお願いいたします。 先の総選挙において、私たち連立与党を御支持くださった国民の皆様に改めて厚く御礼を申し上げる次第であります。今後とも自由民主党と公明党の、強固な、安定した基盤の上に立って政策を前に進めてまいります。

 なすべきことは明確であります。安倍内閣の総力を挙げて、この総選挙で国民の皆様に公約した政策を一つ一つ確実に実現していくこと。それに尽きると考えています。
 デフレからの脱却を確かなものとするため、来年10月に予定されていた消費税の引上げを18か月延期いたします。そうした中でも、待機児童をなくし、子育て世帯を応援する新制度を来年4月から開始いたします。そして、医療や介護など、社会保障の充実を可能な限り予定どおり実施してまいります。関連法案と来年度予算の準備を急ぎ、次期通常国会で野党の皆さんにも御協力いただき、速やかな成立を目指してまいります。アベノミクスの成功、それを確かなものとしていくこと。これが最大の課題であります。

 選挙期間中、1万4,000キロ全国を駆け巡り、中小・小規模事業の皆さん、地方にお住まいの皆さんを始め、様々な声を直接耳にすることができました。そうした多様な声にもきめ細かく応えることにより、アベノミクスを更に進化させていきたいと考えています。

 今週、経済対策を取りまとめます。寒冷地における灯油の支援、燃料や資材の高騰に苦しむ中小・小規模事業の皆さんへの支援、子育ての支援など、地域それぞれの事情に応じた支援をしっかりと行います。同時に、省エネルギーや水素社会に向けたインフラの整備、災害に強い国づくりなど、次世代への投資もしっかりと行っていく考えであります。

 先週の政労使会議では、経済界が、今年に引き続き来年の賃上げにも最大限の努力を行うことを約束してくれました。賃上げの流れを再来年の春も、そのまた翌年の春も継続させ、雇用の更なる改善を図るため、三本の矢の経済政策を更に大胆に、更にスピード感を持って実施してまいります。民間の活力を阻む規制について、抜本的な改革を断行いたします。そして、必ずや、景気回復の実感を全国津々浦々へとお届けしてまいります。

 地方がそれぞれの個性をいかし、自らの情熱で新たな地平を切り開いていく、意欲あふれる地方の皆さんを応援するための総合戦略を今週、閣議決定いたします。新たな戦略の下、地方で育ち、学び、働ける環境を整え、小さくても便利なまちづくりを進め、そして、若い世代の結婚、出産、子育ての希望がかなえられる社会の構築に向けて一歩一歩進んでまいります。来年の通常国会では、必要となる予算と法律案を実現させ、地方創生への取組を本格化させてまいります。

 女性が輝く社会の実現もまた、引き続き安倍内閣にとって最大のチャレンジであります。残念ながら、先の臨時国会で廃案となった女性活躍推進法案について、次期通常国会において、早期の成立を目指してまいります。

 今回の総選挙では、外交・安全保障政策についても大きな争点となりました。地球儀を俯瞰する外交を進め、国益を確保する。そして、国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜く。その決意に揺らぎはありません。

 現在、7月に閣議決定した基本方針に基づき、来年の通常国会に向けて、切れ目のない安全保障法制の準備を進めています。その担当大臣には経験豊かな江渡さんにお願いをしてまいりました。しかし、今回の組閣に先立ち、江渡大臣から、法案審議に遅滞をもたらすことのないようにと強い辞意があり、誠に残念ではありますが、その意思を尊重することといたしました。

 新たに就任いただいた中谷大臣は、長年安全保障政策に携わってきた知識と経験に加え、自衛隊の現場にも精通しておられます。今回の閣議決定でも、与党協議の際に重要な役割を果たしていただきました。今後、中谷大臣の下で万全の法案準備を進め、国民の更なる御理解を得る努力を続けながら、来年の通常国会における成立を図ってまいります。

 政権発足以来、東日本大震災からの復興、教育の再生、そうした重要課題にも全力で取り組んでまいりました。一層加速してまいります。

 デフレ脱却、社会保障改革、外交・安全保障の立て直し。どれも困難な道のりであります。私は全身全霊を傾けて、戦後以来の大改革を進めています。すべからく新たな挑戦であります。当然、賛否は大きく分かれ、激しい抵抗もあります。

 しかし、今回の総選挙で、引き続きこの道を真っすぐに進んでいけと国民の皆様から力強く背中を押していただきました。信任という大きな力を得て、内閣が一丸となって有言実行、政策実現に邁進していく。その決意であります。

 これまで以上に緊張感を持ち、そして、謙虚に、政権運営に当たってまいります。
 今年もいよいよ残すところ1週間となりました。安倍内閣へのこの1年間の心温まる御理解と御支援に、改めて感謝を申し上げます。そして、少し早いですけれども、来年、皆様にとりまして、すばらしい1年となりますことを祈念しております。
 私からは以上であります。

【質疑応答】
(記者)
 幹事社の西日本新聞です。
 本日、第3次安倍内閣が発足して、総理が先ほどおっしゃったように江渡防衛大臣を交代させて、中谷元防衛庁長官を充てるという人事を行われましたが、その他の閣僚は全員留任させました。この閣僚交代を最小限に絞った今回の人事の狙いについて、先ず一点お聞かせください。
 それから、今回の衆院選の勝利によって長期政権への足場を固めたという見方もかなりありますが、こうした中で、総理が政治家としての歴史的使命と位置付けられている憲法改正について、今後どう取り組まれるのでしょうか。特に、2016年の参院選と同時に国民投票を目指す動きもありますが、こうしたスケジュール感も含めてどうお考えか、お聞かせください。

(安倍総理)
 先ず、9月に内閣の改造を行ったばかりであり、まだ3か月しかたっていないわけでありまして、ですから、そもそも3か月ぐらいしかたっていないのに全面的な改造という考え方自体が私は間違っているのだろうと、このように思います。
 3か月しかたっていないわけでありますが、今のメンバー、臨時国会をともに乗り切ってまいりました。そうした経験をいかして、しっかりと、実行実現内閣として、来年の通常国会において予算、そして法案の審議成立に向けてともに努力をしていきたいし、それぞれの役職においてしっかりと実績を残していただきたい、そう期待をしております。腰を据えて内外の諸課題に、政策課題に全力で取り組んでいただきたいと思っています。

 そして、憲法改正でありますが、憲法改正については、そもそも自由民主党の結党以来の大きな目標と言ってもいいと思います。自民党を結党した際、しっかりとした経済的な基盤をつくって国民生活を豊かにするということと同時に憲法を改正していく、これが2つの大きな目標であったわけであります。その意味においては、今回の公約においても憲法改正に取り組んでいくことを明記しているところであります。
 私自身にとっては、幹事長の際に憲法改正草案をつくっていく、その作業をスタートしました。そして、第1次安倍政権において国民投票法を成立させ、第2次安倍政権がスタートし、改正し、投票の要件を18歳に引き下げました。いわば宿題であった投票の年齢について、決定することができました。
 これから憲法改正、これは歴史的なチャレンジと言ってもいいと思います。しかし、それはそう簡単なことではありません。先ず3分の2の多数を衆議院、参議院でそれぞれ構成していく必要があります。その努力を進めていくこと。同時に、大切なことは、発議された後、国民投票を行うわけであって、国民投票において過半数の支持を得なければいけません。ここが正に正念場であり、これこそが憲法改正の一番の大切なポイント、舞台と言ってもいいと思います。つまり、そこで国民的な支持を得なければいけません。どういう条文から国民投票を行うのかどうか、また、その必要性等について、国民的な理解を先ずは深める努力をしていきたいと考えています。

(記者)
 NHKの岩田です。
 安倍総理は、これまで地球儀俯瞰外交を展開し、会見でもこうした外交を進めることで国益を確保していく考えを示されましたけれども、今後も外交課題は山積していると思います。ある意味、来年は正念場とも言えると思うのですけれども、そこでお伺いいたします。
 先月、中国の習近平国家主席と首脳会談が実現しましたが、日本、中国、韓国の首脳会談の前提となる外相会談が年内にまだ実現をしていません。今後、中国、韓国との関係改善、どのように取り組んでいくお考えでしょうか。
 そして、ウクライナ情勢を抱えるロシアについてですが、平和条約交渉をどのように進めていかれるお考えでしょうか。お願いいたします。

(安倍総理)
 中国の習近平主席とは、北京におけるAPECにおいて日中首脳会談を行うことができました。その際、戦略的互恵関係の考えに立って関係を改善していくことで一致いたしました。引き続き、戦略的互恵関係の考えの下に、大局的な観点から様々なレベルで対話を積み重ね、両国の関係を発展させていきたい、こう考えています。
 良好な日中関係は両国の国益にとって間違いなくプラスであるという認識を一致させることができたのではないかと思うわけでありますし、両国がお互いに努力をして友好な関係を作っていくこと、これは国際社会が望んでいることでもあると思います。
 韓国の朴槿恵大統領とも、APECの夕食会で率直に様々な話題についてお話をいたしました。朴大統領からは、その後、日中韓の外相会合を早期に開催し、首脳会合に繋げていきたいとの考えが表明されたわけでありますが、日本としても、私としても協力をしていきたいと考えているところでございます。
 そして、隣国ゆえに様々な課題があるわけでありますが、課題があるからこそ首脳会談を行い、率直に胸襟を開いてお互いに自分たちの考えを述べていくことが大切ではないのか。意見交換を行っていくことが極めて重要ではないか。課題があるからこそ、問題があるからこそ首脳会談を行うべきだ。問題があるから、課題があるから首脳会談を行わないというのは逆であって、課題があるからこそ首脳会談を行っていく、行っていくべきだ。日本は常に対話のドアはオープンにしています。
 ロシアのプーチン大統領とも、北京APECの際に会談を行いました。明年の適切な時期にプーチン大統領の訪日を実現すべく、具体的な準備を開始することとなりました。プーチン大統領との個人的な信頼関係を基礎に、協力の幅を広げながら、国益にかなうよう、日露関係を進めつつ、北方領土の問題の解決と平和条約締結に向けて粘り強く交渉を続けていく考えであります。
 また、ウクライナ問題についても、平和的解決に向けてロシアが建設的な役割を果たしていくよう働きかけを続けていく考えであります。そのためにも、対話はしっかり継続していく必要があると考えております。

(記者)
 AP通信の山口と申します。よろしくお願いします。
 今後の政策課題についてお尋ねしたいと思います。
 選挙では、総理は経済再生を最優先とされ、また、今回は防衛大臣に政策に精通していらっしゃる中谷さんを起用されるなど、安全保障の取組でも基盤が固まったように思われます。他には憲法改正、教育問題、歴史問題など様々な課題がある中、長期安定政権となることが予想される今回の第3次安倍内閣で、総理が力を入れたいと思われる経済以外の課題をお聞かせいただければと思います。例えば、戦後70年の節目もあるこの数年間は、やはり戦後レジームからの脱却というような取組を念頭に置かれているでしょうか。よろしくお願いします。

(安倍総理)
 私は、経済最優先で取り組んでいく、選挙においてもこう申し上げてきました。そもそも政権を奪還した際、強い経済を取り戻す、このようにお約束をしたわけでございます。
 なぜ経済最優先か。それは正に日本が15年以上にわたってデフレ経済の下に低迷をしてきた。そして、その結果、国際社会においても日本の存在感は低下し、そして外交・安全保障の分野においても日本の姿はだんだん希薄になってきたのは事実であります。経済最優先というのは、先ずは国民の多くがこの経済の低迷から脱出をしてもらいたい。デフレから脱却して強い経済を取り戻してもらいたい。そして、景気回復の実感を1日も早く全国津々浦々に届けてもらいたい。この国民の声に応えていくためであり、強い経済を手に入れなければ、社会保障においてしっかりとした財政基盤をつくることはできません。
 そして、例えば、教育においても財源が必要であります。その財源を手に入れるためには強い経済が必要です。そして、強い経済があってこそはじめて、強力な外交を展開することができます。外交と安全保障というのは表裏一体であります。だからこそ私は先ず経済最優先でいくと、このようにお約束をしたところであります。もちろん経済以外にも今、申し上げました社会保障、教育あるいはまた復興。復興を進めていくためには強い経済を手に入れる必要があります。そうした様々な課題に取り組んでいきたいと思います。
 もちろん、最初に申し上げましたように憲法の改正。これは21世紀にふさわしい、どのような憲法をつくっていくか。国民みんなで考えていくことこそ新しい日本を切り開いていくことにつながっていく。こう信じるからでもあります。そうした様々な課題に取り組んでいくことは当然でありますが、先ず、その基礎となる強い経済を我々は取り戻さなければならない。今はまだその道半ばであると思っています。

(記者)
 日本経済新聞の中山と申します。
 衆院選に掲げられたアベノミクスについて御質問させていただきます。
 冒頭にも発言された規制改革ですけれども、労働や農業といった岩盤規制の見直しには、党内や関係業界からも非常に反対が強いと思われます。総理としましては、選挙の勝利を受けて、こうした反対派を抑え込んででも早期に実現するというおつもりなのか、今後どのように取り組んでいくかという姿勢をお聞かせください。

(安倍総理)
 この選挙戦を通じて、三本の矢の施策、アベノミクスを進めていくのか、後退させるのか、それを問う選挙であると訴え続けてまいりました。今回の選挙の結果は、正にしっかりとこの政策を進め、景気の実感を全国隅々まで届けていかなければならないということではなかったかと思います。 農業やエネルギー、雇用、医療といった分野で大胆な規制改革を断行していきます。改革が後退したり骨抜きになることは決してありません。年明けの通常国会に農業やエネルギー、医療、雇用といった分野、規制改革について関連法案を提出してまいります。残念ながら先の臨時国会で廃案となった国家戦略特区法の改正案も一層大胆なメニューを加え、次期通常国会に提出をする考えであります。
 また、日本の企業の競争力を高め、雇用を確保し、国民生活の向上につながっていくという観点から、法人税を成長志向型に変える改革も行っていきます。財源を確保した上で、数年で実効税率を20%台に引き下げることを目指し、来年度から引下げを開始いたします。この方針に沿って、現在、与党の税制調査会において議論が行われておりますが、年内に改正案を取りまとめるよう指示をしております。改革の初年度にふさわしい改正にしたいと思います。

shige_tamura at 10:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!安倍晋三 

2014年12月24日

胡錦濤の元側近、令計画失脚――習近平の「虎狩り」、共青団でもお構いなし(遠藤誉氏)

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 胡錦濤の元側近、令計画失脚――習近平の「虎狩り」、共青団でもお構いなし


 12月22日夜、胡錦濤の元側近で、全国政協副主席および中央統一戦線部部長だった令計画(共青団)の取り調べが始まった。息子の自動車事故をもみ消したことで有名だが、山西閥がつぎつぎに失脚している訳は?

 ◆令計画の息子の不祥事

 2012年3月、令計画(1956年〜)の息子がフェラーリに女友達を乗せたまま事故を起こして死亡した。2人乗りの車には3人乗っており、3人ともほぼ裸だった。

 このとき中共中央弁公庁の主任として、長年にわたり胡錦濤・前国家主席の秘書をしていた令計画は、ただちに中共中央弁公庁の警衛局に現場を封鎖させ、全ての証拠物件を持ちさらさせ、メディアに箝口令を命じた。

 しかし、現場を封鎖する前の状況を目撃した複数の者により、この情報は海外の中文メディアにリークされて、世界を唖然とさせたものだ。特に中共中央弁公庁の最高幹部で、胡錦濤の大番頭と称され、次期中共中央政治局入りが噂されていた人物の家族が、このような派手で不適切な生活を送っていたことと、その事故を自らの特権を乱用して封殺したことに対する非難は、胡錦濤政権を脅かすことになる。

 そこで胡錦濤はすぐさま令計画を中共中央庁から追い出し、閑職である中共中央統一戦線部の部長に降格させた。これにより次期政権(習近平政権)における政治局入りはなくなったのだが、胡錦濤のメンツを考え、2013年に、全国政協(中国人民政治協商会議全国委員会)副主席に就かせた。全国政協の主席はチャイナ・セブンの党内序列ナンバー4の兪正声だが、この全国政協自身が全人代(全国人民代表大会)のような立法機関ではなく、決議権を持っていないので、その副主席となると、やはり閑職と言える。

 この令計画、事件のもみ消しには、元チャイナ・ナインのナンバー9だった周永康の力も借りたと言われ、背後の腐敗関係が問題視されていた。

 というのは、周永康の腹心ですでに逮捕され党籍も剥奪されている蒋潔敏が、事件後、死傷した2名の女性の家族の銀行口座に数千万元を振り込んでいるからだ。


◆山西閥と電力閥と共青団と…

 その一方で注目されるのは、山西閥との関係である。

 山西省は石炭の町。今では電力閥が跋扈している。それも李鵬元首相の息子・李小鵬が山西省の省長をしていることから、李鵬ファミリーが独占している電力閥を追い落とすためとみすべきだろう。

 令計画は山西省生まれで、1979年から山西省の共青団(中国共産主義青年団)として政治活動を始めた。85年からは中央に上り、共青団中央宣伝部を地盤として活躍するようになり、そのとき共青団中央書記処第一書記をしていた胡錦濤(前国家主席)と接触を持つ。2002年に胡錦濤が中共中央総書記に、2003年に国家主席になると、胡錦濤の秘書として仕事をするようになった。

 令計画の兄・令政策(1952年、山西省生まれ)は、ひたすら山西省で政治活動に従事し、2008年から山西省政治協商会議の副主席を務めていた。しかし今年6月に失脚し、党紀律違反で中央紀律検査委員会の取り調べを受けている。

 その2カ月前の4月には華潤グループ(電力会社)の宋林・董事長が巨額の汚職の疑いで捕まったが、この宋林は、李鵬の息子の李小鵬と緊密な仲だ。父親の元首相・李鵬や妹の李小琳とともに、中国の電力界をほぼ独占している「李鵬ファミリー」の一人である。

 また今年の9月には山西省の党書記(中国共産党山西小委員会書記。山西省のトップ)であった袁純清が解任されている。

 令計画も袁純清も、生粋の共青団員だ。

 つまり、山西省関係で電力閥は、共青団であろうと何派であろうとお構いなしに、つぎつぎと習近平政権の「虎退治」の対象になっているということなのである。

 令計画が取り調べを受けることが公表された12月22日、2月に取り調べを受けていた元山西省党委副書記・金道銘(1953年〜)の党籍が剥奪され、司法に回された。

 このことからも習近平の虎退治(反腐敗運動)は、決して特別の派閥に対して向けられたものではなく、あくまでも国有企業の巨大な独占的利益集団に斬りこんでいることが分かる。

 中国共産党幹部の腐敗は、救いようがないほど蔓延し、このままでは中国が滅ぶからであって、中国にはいま権力闘争をしているゆとりなどない。権力闘争だと言いたがる人たちは、中国にはまだ、そんなことをするゆとりがあると思い、中国を高く評価しているということが言えよう。

 共青団であろうとも捕える。

 これまで江沢民派が多かったのは、石油閥をまず退治しようとしていたからだ。

「山西閥=電力閥」が、石油閥の次のターゲットになっていることから、次は李鵬系列ということになってしまうが、人物を相手にしているのではなく、巨大な利益集団を退治したあと、国有企業の構造改革に手をつけようとしている。それをしない限り、中国の経済発展は虚構に過ぎないからだ。中国のこの弱点を正確に見ない限り、中国の真の姿は見えないし、未来予測もできない。
(ヤフーより)

遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士



2014年12月22日

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習近平、マカオへ――香港とマカオの民主への温度差はどこから?(遠藤誉氏)

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 習近平はなぜ独裁色を強めているのか?
 それは、そうでもしなければ一党支配体制が崩壊するのを知っているからだ。
 ソ連を崩壊させたゴルバチョフになりたくない。

 しかし「皇帝」と呼ばれる習近平は「ラスト・エンペラー」になるかもしれない。 次期国家主席候補の胡春華時代に入れば、そこで中国は終わる可能性が大きい。

 習近平国家主席がマカオの中国返還15周年記念祝賀式典のためにマカオ入りした。 返還後最も厳しい警備の中での訪問だったが、同じ中国の特別行政区なのに、なぜ香港とマカオでは民主化要求への度合いが異なるのか?
 その温度差の原因と現状を考察する。

◆厳戒態勢の中のマカオ入り

 11月19日、習近平夫妻は専用機でマカオに到着した。
 花束と五星紅旗を掲げて「熱烈歓迎!」と声を張り上げて繰り返す少年少女に迎えられながらタラップを降りると、習近平は「一国二制度」と「マカオ特別行政区基本法」があってこそ、マカオはますます発展していくのだと、その場で短いスピーチをした。

 その間の警護が凄い。

 さながら映画のシーンかと思われるほどの鋭い目つきをしたSP(Security Police)たちが、習近平の周りを囲み、360度、あらゆる方角からの万一の攻撃に備えて警護している。

「この基本法があれば、マカオはますます安定し良くなっていく…」というショート・スピーチの内容と、なんと裏腹な雰囲気だろう。

 習近平が乗った車が走り出すときも、十名ほどのSPが車を背中にしてグルリと車を囲み、何かあれば瞬時にピストルで撃てる腕の構えと鋭い眼光が印象的だった。

 それもそのはず、香港デモに参加した学生や香港の民主派政党の党員たちが、この日に合わせてフェリーでマカオに行き、習近平主席に「民主的な普通選挙の実施」を直訴すると言っていたからだ。

 彼らはもちろん、水際で入境を阻止された。

 20日は盛大な式典とともに、「ぜいたく禁止令」に反するのではないかと思われるような派手な花火の打ち上げがいつまでも夜空を染め、まさに「チャイナ・マネーがマカオを買っている」のを象徴しているように見えた。

 マカオでも抗議デモがないわけではないが、それは香港が要求する「民主への渇望」と微妙に異なり、どちらかというと、5月1日のメーデーの日に労働者(工人)が賃上げ要求をする性格のものが多い。

 そのため中国中央は、マカオ政府を通して「派銭(パイ・チェン)」(金を直接渡す。ばらまき)という行動に出て、まさにストレートに「チャイナ・マネーで人心を買い」、不満を解消させようとしてきた。

 その金の出所は、カジノで儲けたあぶく銭から来ている。

 マカオ財政の70%ほどは、賭博による収入だ。特に中国大陸から、おびただしい人数が賭博をするためにマカオにやってくる。


◆マカオのカジノ文化とチャイナ・マネー

 かつて海洋大国として覇権を誇っていたポルトガルは、1513年にマカオに進出し明王朝と交易を始めた。1842年、アヘン戦争でイギリスが清王朝に圧勝して香港を植民地化すると、ポルトガルもマカオを植民地化したのだが、そのころ繁栄を極めた「大英帝国」には勝てず、ポルトガルは凋落していった。

 特に清王朝が欧米諸国に広州を開放して広東(カントン)貿易を始めると、マカオ貿易の価値は急落。むしろマカオは、広東貿易に従事する欧米人の「娯楽の地」としての役割を果たすようになり、カジノ化していったのである。
 イタリアから発生したカジノは、当時ヨーロッパ諸国が好む娯楽となっていた。

 清王朝が終焉を迎え「中華民国」になっても、ポルトガルは中華民国と国交を結んで中立の立場を続け、娯楽の地としてのビジネスを維持した。

 第二次世界大戦後、国民党と共産党の内戦である国共内戦が始まると、戦乱を逃れるために大陸からの難民がマカオに殺到したが、何といっても決定的だったのは、共産党軍が勝利して中華人民共和国(現在の中国)が誕生したあとに起きた文化大革命(1966年〜76年)時に起きた「一二・三事件」だろう。

 マカオに流れ込んでいた中共系市民が、中共系の小学校を創設すべく、マカオの歴史上最大の暴動を起こしたのである。66年12月3日のことだ。このとき国力がすでに衰退していたポルトガル政府は、中国の人民解放軍に威嚇されて中国に全面的に譲歩している。

 以来、マカオの「中国化」は実際上進んでいたのである。

 中国が改革開放を始めると、ポルトガル政府は、既に国連に加盟していた中華人民共和国と国交を結び、台湾政府(中華民国)との国交を断絶した。

 そして、国力が弱り統治能力も失っていたポルトガル政府は、むしろ積極的にマカオの中国返還を申し出たのである。「ちょっと待ってくれ」と言ったのは中国の方だった。

 返還交渉はイギリスとほぼ同じ時期に始まり、イギリスよりも3年ほど遅く(1987年に)、中国とポルトガルとの共同声明を発表し、マカオは香港よりも2年遅く(1999年に)中国に返還された。

 66年の「一二・三事件」以降、実際上中国化が進んでいたマカオの場合は、香港と違って、中国返還への抵抗は少なかった。

 返還後もカジノとしての役割は変わらず、いやポルトガル植民地時代よりもいっそう盛んになり、中国共産党幹部(虎?)や、その周りを飛び交う悪徳商人(ハエ?)などの不正チャイナ・マネーの「取引場」と成り果て、今ではラスベガスを越える世界一のカジノ都市となっている。そのためマカオ市民の一人あたりの収入は高い。

 しかし、習近平政権の反腐敗運動(虎もハエも同時に叩け)により、マネーロンダリング(資金洗浄)の温床を潰そうという動きが今年から出て、逆にカジノ収入が低迷し始めているような現状だ。

 そうした中、中国政府はマカオ入りする中国大陸人の入境審査を厳しくしている。これは一つにはギャンブルを利用してマネーロンダリングを図る腐敗分子の取締りを強化することを目的としているが、もう一つには、雑多な人口が増えることにより、反中国政府的な動きが出ないようにする目的もある。

 この「雑多な人口」の中には、大陸における政府への不満分子がいるかもしれないし、何といっても中国がいま減らそうとしている出稼ぎ流動人口がある。マカオの流動人口(居住権を持たない出稼ぎ労働者)の60%は中国大陸から来ている。

 中国大陸で頻繁に起きる反日デモや年間20万件にも上る大小の暴動の主体は、こういった流動人口だ。反日デモでさえ大多数は中国政府に不満を持つ流動人口により構成されているので、マカオの人口が増えることは「群衆運動」を招く要素が大きくなり、中国政府にとっては好ましいことではない。マカオの不満層が増えず、不正蓄財の温床的要素を減らしていくというのが、中国中央の基本方針だ。


◆香港は、なぜ違うのか?

 香港の場合は、イギリスが返還を嫌がり、返還交渉が難航していた。

 イギリス統治時代の最後の香港総督クリストファー・パッテンは、1992年7月9日から返還前日の97年6月30日までの間、初めて植民地香港における政治の民主化に努めたため、香港には「民主の芽」が芽生えていた。

 当時の中国政府はパッテン元総督を激しく非難し、「千古の罪人」として断罪している。

 しかし5年間も、政治的民主を味わった香港市民は、中国返還を嫌い、社会主義体制による思想弾圧を恐れて、多くが海外に亡命した。亡命先は、かつてイギリス統治下にあったカナダやオーストラリア、ニュージーランドなどである。

 中国に返還される前の、ポルトガルとイギリスの国力の違いによって、マカオと香港の対中視点が異なると同時に、パッテン元総督の最後の民主政治の貢献は大きい。パッテン元総督は、今般の香港デモに関しても、「香港政府および中国中央は、若者の声に耳を傾け、話し合いに応じるべきだ」発言している。


◆香港とマカオの温度差

 香港で毎年市民が集まって中国中央政府に抗議の意思表明をするのは、6月4日の天安門事件の日と7月1日の中国返還の日である。

 それに比べてマカオで、わずかながらも市民の抗議運動が起きるのは、5月1日のメーデーの日(労働者の日)であることからも、その「民主への温度差」が見て取れる。

 ただ、カジノ経済にメスを入れ始め、マカオ経済の多元化を強調した今回の習近平主席によるマカオ返還式典での演説は、マカオにも逆に、中国中央が好まない微妙な変化をもたらす可能性は否めない。

 しかし中国政府にとって、「一国二制度」の最終目標は台湾統一である。

 香港における弾圧を知った台湾の国民は、統一を望まない民進党を選んだ。

 その上、マカオまでが香港のようなことになったら、中国政府の宿願である台湾統一は実現不可能となる。

 華やかな祝典における、あのSPの厳戒態勢は、追い詰められた習近平の苦悩を表しているように筆者には見えた。夜空を染め尽くしたあの花火が、なんとも虚しい。
(ヤフーより)

遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士



2014年12月19日

ラスト・エンペラーになるか、習近平――独裁色を強める理由(遠藤誉氏)

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習近平はなぜ独裁色を強めているのか? それは、そうでもしなければ一党支配体制が崩壊するのを知っているからだ。ソ連を崩壊させたゴルバチョフになりたくない。しかし「皇帝」と呼ばれる習近平は「ラスト・エンペラー」になるかもしれない。次期国家主席候補の胡春華時代に入れば、そこで中国は終わる可能性が大きい。

◆集団指導体制の中で独裁が許されるわけ

 2012年11月の第18回党大会でチャイナ・ナイン(胡錦濤時代の中共中央政治局常務委員9人)がチャイナ・セブン(習近平時代の中共中央政治局常務委員)になったとき、党大会直前に予定メンバーが変わった。

 本来なら共青団(中国共産主義青年団)派の李源潮(現在の国家副主席、政治局委員)や汪洋(現政治局委員)などが入るということで北戴河の秘密会議では調整が成されていたが、党大会直前になって現在のチャイナ・セブンのメンバーにすり替えられた。それは習近平の意思だった。

 李克強以外はすべて元江沢民派。王岐山は中立と言っていいが、習近平を含めて、王岐山もまた、元は江沢民派である。

 習近平の意思が通ったのは、江沢民にとっては自分の派閥が増えるので大変けっこうなことだっただろうし、胡錦濤との間には「腐敗撲滅のためには、これしかない」という了解が得られていたからだ。

 党大会の第一日目に胡錦濤は中共中央総書記として最後の演説をし、大会最終日の翌日には習近平が新しい中共中央総書記として最初の演説をした。

 その二人が異口同音に叫んだのは「腐敗問題を解決しなければ、党が滅び、国が滅ぶ」という言葉だった。

 中国共産党幹部の腐敗は蔓延し過ぎて、もう手が付けられない状況になっている。

 中国の歴代王朝は腐敗で滅びており、蒋介石率いる国民党軍が共産党軍に負けたのも、「中華民国」の官僚が腐敗しきっていたからだ。


 腐敗した方が負ける。

 それは地球上に存在している、ほとんど全ての国家の原則だろう。

 だから、反腐敗運動を展開するために、ほぼ独断で動けるようなチャイナ・セブンの布陣を創り上げたのである。そうしなければ中国が亡ぶからだ。

 党内序列ナンバー3の張徳江は習近平の母親と親しく、ナンバー4の兪正声は、かつて上海市書記になったときに前任の習近平をかばった。ナンバー6の王岐山は、文化大革命(1966年〜76年)時代に同じ陝西省の片田舎に追われ、同志愛を育んでいる。ナンバー7の張高麗は、引退後の習近平の父親を大事にした。まだ習近平が、ほぼ無名のときのことだ。だから習近平はこのメンバーたちを党大会寸前に掬(すく)い上げた。

 江沢民派の中で、劉雲山だけは習近平自身や習近平の父母との関係を持っていないが、しかし習近平と同じく、元江沢民派ではある。

 政治局常務委員会は多数決議決を鉄則とする集団指導体制を、今も行ってはいる。

 そのためメンバーは奇数だ。偶数にすると意見が半々に割れたときに、最終議決権は総書記が持っているので、総書記の独断となることを防ぐために、奇数にしているのである。

 しかし習近平政権は違う。

 多数決議決は最初から習近平側の圧勝となる構成が、最初からでき上がっているのである。

 仮に李克強と劉雲山が反対したところで「5対2」で、習近平が提出した議題は必ず通る。

 おまけに劉雲山は、元江沢民派なので、元は習近平と同じ派閥にいたことになる。

 違うのは李克強だけと思いきや、なんと李克強は劉雲山の上司である李長春(チャイナ・ナインンおナンバー5)と関係していたことが分かった。

 李長春は江沢民の腹心。

 ということはない、何のことはない、全員が元江沢民派閥であったということになる。

 おまけに李克強は習近平と仲がいい。

 習近平の座を狙おうとした薄熙来失脚に関して、李克強は陰で大きな力を発揮しているからだ。だから習近平は李克強に感謝している。

 この布陣だからこそ、元中央軍事委員会の副主席だった徐才厚や、元チャイナ・ナインの一人であった周永康を逮捕するなど、前代未聞の聖域に斬りこむことができたのである。

 別の言い方をすれば、「独裁」も可能だということである。


◆ラスト・エンペラーとなる可能性が大きい習近平

 その意味で、世界中、習近平の「皇帝論」が花盛りなのだが、しかし、習近平が最後の皇帝、すなわち「ラスト・エンペラー」になる可能性が大きいと筆者は見ている。

 なぜなら、次期国家主席と目されている胡春華では、粒が小さすぎるからだ。

 胡春華は胡錦濤が育て上げてきた共青団の人間で、今は政治局委員として広東省の書記を務めている。胡春華政権時代になると、ほぼ共青団派によってチャイナ・セブンは占められることになる。

 こうなったら、あの大地を治めきれなくなるだろう。中国共産党による一党支配体制が崩壊するか、良くても連邦制になるのがオチだ。

 あの大地には「皇帝」がお似合いなのだが、しかし共青団では「皇帝」になれず、おまけに時代の趨勢は、「皇帝」をすでに許さなくなっているだろう。

 習近平の反腐敗運動に関して権力闘争と見る分析が多いが、もしそうなら、彼の闘争相手は誰になるのか?

 中国のこれまであった権力闘争というのは「自分の派閥を残して、自分の身の安全を守りたい」ということから来ている。

 江沢民が利益集団のドンとなっていて、自分の既得権益を守りたいため(および自分がそれまでにしてきた悪事から自分の身を守りたいため)に、江沢民の腹心を刺客として遣わし、胡錦濤政権時代に、絶えることのない権力闘争を招いていた。それは自分の息子の腐敗を暴かれないようにするためでもあった。

 しかし習近平には「系列」がいない。派閥を形成するような「紅二代(太子党)」の系列は、習近平一代で終わりだ。年齢的にも「紅二代(中華人民共和国を建国するために戦った紅軍の第二代)」は、習近平が最後なのである。

 中国の政治制度は、ひとたび総書記&国家主席になったら、10年間は絶対に変わらないという特徴を持っている。だから習近平の身分は、民主化革命でも起きない限り、第20回党大会が開催される2022年までは絶対に安泰なのである。権力闘争などをする必要がない。

 しかし共産党幹部の腐敗は、中国共産党の一党支配を崩壊させるところまで来ている。

 それを食い止め、自分が(ソ連を崩壊させた)ゴルバチョフにならないようにするために、習近平は必死なのである。

 胡錦濤もゴルバチョフになりたくないと逃げてきた。

 しかし江沢民などの利益集団に阻まれて「反腐敗」を叫んだが、わずかしか実行できなかった。そのツケは、習近平に残された。

 だから習近平は権力を一極集中化させて、皇帝になる以外にない。

 そうしなければ一党支配体制は崩壊するからだ。

 習近平自身は「ゴルバチョフ」にならなくてすむだろう。そのために「紅い皇帝」になった。習近平の時代には中国は崩壊しないだろう。

 しかし2022年には、習近平は後継者なしに王座を去る。

 年齢的に李克強は残るが、一期(5年間)だけしか残れない。

 したがって2022年の第20回党大会では胡春華が党内序列ナンバー1になり、李克強はナンバー2か3くらいになって、一期だけ胡春華を補佐するだろうが、二期目2027年には李克強も年齢的に去る。

 李克強にはカリスマ性はないので、2022年からは中国は「皇帝」を失うのである。

 つまり、習近平はたしかにカリスマ性を持った「皇帝」となっているが、胡春華政権時代の後半には、中国共産党一党支配は終わりを告げるだろうと筆者は見ている。

 それゆえに、習近平は「ラスト・エンペラー」となる可能性は、極めて高い。

 おまけに習近平は、必要以上に「皇帝色」を強めすぎている。その意味でも彼は「ラスト・エンペラー」となる可能性を自ら高めているということが言える。彼自身には、それが見えなくなっているとすれば、この可能性は高まるばかりだ。

遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

2014年12月18日

世界は「習近平皇帝論」で花盛り――米誌『タイム』、仏RFI、香港誌『開放』(遠藤誉氏)

昨日の日本政策学校の衆議院選挙総括「公開講座」には多くの方からご参加いただき心から感謝申し上げます。
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 今年11月の米誌『タイム』のカバーには“Emperor Xi”(皇帝・習)とあり、フランス中文サイトRFIも「双面皇帝・習近平」を掲載。12月には香港誌『開放』が「習近平皇帝」を論述。世界中、「習近平皇帝論」が花盛りだ。

◆米誌『タイム』:習近平主席とオバマ大統領のAPEC「散歩」密談

 米誌『タイム』2014年11月17日号の表紙を飾ったのは大写しにした習近平国家主席の顔で、そこにはEmperor Xiとある。Xiというのは「習近平」の中国語読み 「Xi Jin-ping(シー・ジンピン)」の「習」を指す。「皇帝・習」という意味だ。

 習近平主席は2013年6月にオバマ大統領がカリフォルニアのアネンバーグ邸で(通訳以外)二人だけの密談散歩をしたことへのお返しに、今年11月10日の北京APEC首脳会談ではオバマ大統領を中南海に招待し、二人だけの「散歩」を演出した。

 お散歩密談は夕食も含めて5時間にも及んだとのこと(6時半から夜中の11時まで)。

 習近平はそこで清王朝の康熙帝や光緒帝を取り上げて「帝王学」を話し、それはまるで三国志の曹操と劉備が英雄に関して酒談義をしたことを彷彿(ほうふつ)とさせたという。

 11月14日の中国共産党機関紙「人民日報」の電子版「人民網」(網:ネット)は、習近平主席は「中国の歴代王朝の歴史談義」をしたと紹介し、それに対してオバマ大統領は「西側諸国の者がめったに入れない中南海に入って、その広さと歴史に圧倒された」という趣旨の感想を述べたとしている。

 人民網によれば、習近平主席が案内した場所は、清王朝の乾隆帝(けんりゅうてい)が「得一日之清閑」(ゆっくりできる一日を得るために)と書いたことがある中南海の中の瀛台(えいだい)涵元殿(かんげんでん)というところだ。

 瀛台は明王朝時代に建立され、清王朝時代は皇帝が下知(げじ。げち、とも)を下したり、宴客をもてなしたりする場所であった。

 習近平主席はオバマ大統領に「清朝の康熙帝(こうきてい)は、かつてここで内乱を平定するための下知を下したこともあり、台湾を取り戻す国家戦略を練ったこともある。光緒帝(こうちょてい)のときに国家が衰退したため百日維新(戊戌の政変)を試みたが失敗して、光緒帝は慈禧(じき)太后(西太后)によって、ここに軟禁されたこともある」などと語った。

 それに対してオバマ大統領は「米中間の歴史も似ている。また改革は必ず障害を伴うもので、それに対してわれわれは勇気を出さなければならない」と受け答えたとのこと。

 オバマ大統領との散歩に、この瀛台を選んだのは、帝王学を語ることによって、「今ここにいるのは、この私だ」ということを見せたかったのと、もう一つは、毛沢東もここに住んでいて、かつてはニクソン大統領と会い、米中国交正常化を成し遂げたことを示唆したかったのではないかと筆者は思っている。

 それは11月14日付の本コラムにも書いたが、習近平は「自分は毛沢東を越えた」と印象付けたかったのではないかと思う。


◆フランスの中文ウェブサイトRFI:「双面(そうめん)皇帝・習近平」

 同じく11月9日付のフランスの中文ウェブサイト“RFI(Radio France International)”には、「双面皇帝・習近平」に関する文章が載っている。

 これはフランスの『新観察家(L’OBS))』という雑誌の2名の記者(URSULA GAUTHIER氏とMEHDI BENYEZZAR氏)が書いたもので、「威張っていず、おとなしく見える習近平が、実は強烈なリーダーで、歴史に名を残そうとしている」と書いている。

 そして「習近平は大改革者なのか、それとも非情なる暴君なのか?」「彼はいったい、どこに向かおうとしているのか?」という疑問を投げかけ、習近平を「双面皇帝」と名付けている。「二つの顔を持った皇帝」という意味だ。

 つまり、習近平は中国共産党の一党支配が崩壊するのを防ぐことに責任を感じており、21世紀のトウ小平として毛沢東を越えるのか、それともソ連を崩壊に導いたゴルバチョフになるのかと、2名の記者は問うているのである。この二つの側面があるという意味でも、「双面」を用いたようだ。

 また、『新観察家(L’OBS)』は、「誰も習近平が本当はどういう男なのかを知らない。われわれが知っているのはただ、江沢民が習近平を国家の後継者に選んだのだということと、その江沢民と対立していた者たちも、習近平を威嚇性がなくおとなしい後継者として受け入れたことだけだ」と述べている。

「しかし見誤ってはいけない。習近平のその風貌の下には、鋼(はがね)のような性格が隠されており、トップリーダーになってから何カ月もしないで、彼は中国の国家権力のほぼ全てを掌握してしまった」と続く。

 おまけに中国政府メディアは、習近平がトップ・リーダーになった後の18カ月間の間に、なんと4188回も習近平の名前を出しているそうだ。これを数えたのは香港大学の学者だという。この数値は胡錦濤の2倍を超え、毛沢東の記録さえも超えているとのこと。

 習近平の父親・習仲勲は、毛沢東の権力の乱用に反対し、トウ小平が天安門広場の学生を武力鎮圧したことにも抗議した。だから習近平はその息子として、民主の側に立つのかと言ったら、まったくそうではない。

 不幸なことに、その逆だ。

 人権主義弁護士や少数民族の学者を逮捕投獄するなど、激しい言論弾圧を行っている。これはただ単に、人民を説得して何としても共産党の一党支配を持続させたいためだけだろうか?

 中国共産党の幹部は、腐敗の限界にまで達し、蛆(うじ)がわいていて、すでに後戻りのできないところにまで来ている。

 共産党員自身が共産党を信じていない。

 だから習近平はトウ小平を乗り越えるか、あるいは世界最大の共産主義国家だったソ連を崩壊させたゴルバチョフになるか、どちらかしかないと、2人の記者は文章を結んでいる。

 この雑誌が出たのが今年の11月9日で、拙著『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』が日本の書店に並んだのが11月7日。拙著では米誌『タイム』が注目した帝王学と三国志にも触れているが、フランスの『新観察家(L’OBS))』の視点とも、ほぼ100%に近いくらい一致している。筆者はさらに、2人の記者が提起している「この男、何者か?」を本書の中で執拗に追いかけた。いま必要とされているのは、「この男、何者か?」を明らかにすることだと思っているからだ。

 それにしても、これら“Emperor Xi”や「双面皇帝」と「紅い皇帝」が、かくも同じ視点で、同時期に、アメリカ、フランスと日本で出ていることに、驚きを禁じ得ない。

◆香港誌『開放』:習大大(シー・ダーダ)は皇帝になることに病みつき

 香港誌の『開放』は、今月の第336期を以て、暫時、発行停止になる。文字通り、まさに「開放的な」雑誌なので、言論の取締りが厳しくなったためだろう。

 何と言っても今月号の表紙は台湾民進党の党首、蔡英文(女性)で、未来の台湾総統と大書している。「中華民国」ではなく、「台湾」と書いてあることに、慎重さが見られるものの、もう、これだけでアウトだ。

『開放』は香港デモのオキュパイ・セントラルを提案した3名の学者(と牧師)を、「占中三子」として批判的に描いている。学生を「金融街を占拠せよ」運動に巻き込みながら、さっさと学生を見捨てたからというのが理由のようだ。これが香港リベラル派の視点の一つなのだろう。

 さて、「習大大(習おじさん)が皇帝になることに病みつきだ」という論評だが、そこには12月10日付の本コラム「習近平への個人崇拝が始まった」に書いた替え歌がこまかく書いてあるので、詳細は省くこととする。同じように替え歌を列挙して「習近平皇帝論」を展開しているとは、やはり驚きだ。

 発表された順番に書けば、日本、フランス、アメリカ、香港となるが、習近平を「皇帝」に見立てた論考が世界を賑わしていることは、実に興味深い。まったく互いに独立して、ほぼ同時に発表しているので、これはある意味、時代の趨勢であり、真実に近いということではないだろうか。
(ヤフーより)

遠藤誉
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士



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