2014年05月

2014年05月30日

第一次世界大戦の教訓から今を読む(ワシントン報告、横江公美氏)

いよいよ明日です!
ポスター
 「集団的自衛権と日本の安全保障」
(防衛法学会 2014年度春季研究大会公開シンポジウム)
―に、僕も報告者で参加します!
 
 日時:5月31日(土)13:00〜16:00
 会場:拓殖大学・文京キャンバス

 報告者:森本 敏(前防衛大臣)
     西  修(駒澤大学名誉教授)
     西元徹也(元統合幕僚会議議長)
     田村重信(自民党政調会調査役)
司会・進行 高井 晉(防衛法学会理事長)

参加費:1000円(学生500円)

0どなたでもご参加いただけます。(要事前申込)
0定員に達し次第、締め切りとさせていただきます。

 お申し込み、お問い合わせは・・・
  防衛法学会 事務局(内外出版(株)内)
 E−Mail:jpnsdl@gmail.com 電話.03−3712−0141

 参加される方はお早めにお申し込みください。

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 川北義則氏の新刊『男の成熟』(東洋経済新報社)を読み、また、元気になりました。
 精神・心の元気には、川北本が一番です。
...
「あなたのいうことは百パーセント正しい。だが、あなたがいうから私は反対する」
 これが世の常、人の常なのである。どんなに正当であっても、やたらに批判してはいけない。「寸鉄、人を刺す」ような言葉は聞いて痛快だが、世の中の事柄は、正解が一つということはない。こちらが正しくても、相手が間違っているともいえない。
「自分は若いとき、正しいと思うことをよく口にした。だが、共感を呼ばなかった。少し控えめにいうようになったら、みんな賛成してくれるようになった」(フランクリン)
 大人の振る舞いとしては、これが正解なのである。成熟した大人は、こうでなくてはいけない。

―川北本いいですね。


 ヘリテージ財団、アジア研究センター、2014年5月29日


 第一次世界大戦の教訓から今を読む


 今月のヘリテージ財団は「プロテクト・アメリカ」月間であり、安全保障に関するフォーラムが目白押しである。

 昨日は、「100 Years later: The U.S. Still Needs to Provide for the Common Defense」というタイトルで、下院の軍事委員会の副委員長を務めるマク・ソーンベリ下院議員が基調講演を行い、その後、ヘリテージ財団の国際政治の要であるキム・ホルムスとForeign Policy Initiativeのロバート・ザラティがパネルを行った。

 ソーンベリ下院議員は、「共和党は強いアメリカであるべき」と主張し、オバマ大統領の一連のオバマ大統領の取り組みを批判した。批判のポイントは3つである。

 1つ目は、先週末のメモリアル・デーのスピーチで発表した2016年までにアフガニスタンからの米軍撤退、

 2つ目はシリアに対しての対応、

 3つ目はウクライナに対する対応である。

 ソーンベリ議員は、必ずしも軍事行動を実際に行うかどうかがポイントではなく、「強い軍事力のアメリカ」を保持することの重要性を訴えた。その際には、レーガン大統領がメモリアルデーに行ったの有名な演説で登場したフレーズ「力がなければ平和を保てない。力こそが平和を保つ」を紹介した。

 質問タイムでは、「共和党は強いアメリカであるべきと考えていることはわかりますが、同時に最近の共和党は予算の削減に関心が集中していますね。実際、強い軍事力よりも予算削減を重要視する議員も増えています。さらに、予算は削減されています。今の状況で強いアメリカをどのように達成するのでしょうか」が最初の質問だった。

 ソーンベリ議員は、効率的に軍事戦略を立てる必要性と、それが可能であることを主張した。

 次に「最近のアジアは中国のふるまいのために不安定な状況だが、そこで果たすアメリカの役割は?」との問いにしては、「同盟国である日本、韓国と協力してアジア地域の安定させるべきである」と答え、同盟国との連携強化を主張していた。

 以上を受けたパネルでは、第一次世界大戦から現在の国際政治は何を学ぶべきかという手法で議論が行われた。

 ヨーロッパの歴史で博士号を取得するホルムスは、第一次世界大戦がおきた理由は2つで、

 1つは、各国の世界情勢の読み誤り、

 2つ目は、ドイツの拡張主義であると、語った。

 ホルムスはまさにこの2つの要因が今の国際政治を取り巻く環境であるとし、国際情勢の読み誤まらないことの重要性を指摘した。

 そして、ホルムは今の国際政治ではドイツのような拡張主義をとる国は二か国、つまりロシアと中国があり、現在の国際情勢が危険な状態であることを懸念した。

 ホルムスは、違法な手段でクリミアを編入させ、東ウクライナまで広がる紛争地域をロシアは拡大政策をとる、と語る。

 また中国の南シナ海、東シナ海における最近のふるまいは中国の拡張主義を裏付けていると語った。

 ホルムスは、ドイツの拡張主義は、驕りから導かれていた語り、最近のロシアと中国のふるまいは、まさに悲惨なる世界第二次世界大戦へと続く第二次世界大戦を引き起こしたドイツの状況に類似していると、と分析した。

 ザラティは、ホルムスの分析をうけ、アメリカは世界の情勢に準備するべきである、と語った。



 キャピトルの丘

 昨年4月にヘリテージ財団の所長に就任したジム・デミント元上院議員と1972年にヘリテージ財団を設立してから所長に就任していたエド・フルナー前所長が、5月中旬2週間アジアを訪れた。

 一貫してアジアにコミットしてきたフルナー前所長がデミント新所長を関係が深いアジアの国々に紹介することが目的であり、台湾、日本、韓国、香港と歴訪した。

 私も3日間の東京滞在に同行した。

 今回のアジア訪問はデミントにとって初めての経験だった。デミントは、下院議員時代、上院議員時代、一貫して国内政治に精通した上院議員だったが、今回の訪問を通じて日本、そしてアジアへのコミットメントの重要さを改めて痛感していた。

 首相官邸を訪れ、安倍首相と面会した時には、デミントは「日韓関係の改善と、日米議員交流でヘリテージは貢献できる」と語っていた。

 ちょうどその日は、前日、集団的自衛権の議論を開始する宣言をした安倍首相は、集団的自衛権の必要性とアベノミクスの効果について話された。

 そして最後には、私がヘリテージ財団で研究員をしていることについて過大なるお言葉を頂きました。お時間をいただきありがとうございました。

 そして、産業界、マスコミ界のトップの方々にもお会い頂き、ヘリテージ財団では「最高の東京訪問だった」と認識されています。

関係者の皆様、本当にありがとうございました。



 横江 公美、 客員上級研究員、アジア研究センター
松下政経塾15期生、プリンストン客員研究員などを経て2011年7月からヘリテージ財団の客員上級研究員。著書に、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文芸春秋)」「判断力はどうすれば身につくのか(PHP)」「キャリアウーマンルールズ(K.Kベストセラーズ)」「日本にオバマは生まれるか(PHP)」などがある。


2014年05月28日

中国軍機の異常接近に対する抗議決議(自由民主党外交部会・国防部会)

ウイル現在発売中の月刊『ウイル・7月号』に森本敏、遠藤誉、田村重信の特別座談会が掲載されています。

「WiLL編集部」のツイッター
【好評発売中】WiLL7月号、遠藤誉先生、森本敏前防衛大臣、田村重信自民党政務調査会調査役(@shigenobutamura)による大激論「日本はアメリカを説得せよ!」。日中関係、日米関係を軸に、スペシャリストによる分析が光る鼎談です。
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 今朝の自由民主党政務調査会の外交部会・国防部会合同会議での「中国軍機の異常接近に対する抗議決議」(全文)です。

平成26年5月28日(水) 
自由民主党外交部会・国防部会


 去る5月24日午前11頃及び12時頃、東シナ海の公海上空において、海上自衛隊のOP−3C及び航空自衛隊のYS−11EBが、それぞれ中国軍の戦闘機Su−27二機から50メートルと30メートルまで異常接近を受けるという事案が発生した。

 二機の自衛隊航空機は、いずれも平素から行っている警戒監視活動に従事していたものであり、こうした活動は国際法上及び国際慣習法上何ら問題のない正当な行為であって、中国側が指摘するような危険な行為や演習の妨害は一切行っていない。

 それにも拘わらず、中国軍機は、通常のスクランブル発進であれば行われるべき 無線による接触等も行わず、空対空ミサイルを積み、自衛隊機を追い抜く形で異常 接近した。

 幸いにも今回、自衛隊機及び隊員への被害は生じなかったものの、こうした行為は、我が国周辺海空域における偶発的事故を招きかねない極めて危険な行為であり、常軌を逸していると言わざるを得ない。

 また、中国は関連する国際法に従って、公海上空における飛行の自由を不当に侵害すべきではない。

 我が党は、中国が設定した「東アジア防空識別区」の撤回を引き続き求めると共に、今回の中国軍機による自衛隊機への異常接近を断じて許容することは出来ないとして中国に対して厳重に抗議し、国際法に従った自制的な行動を求めるものである。

 また、我が党は政府に対し、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くため、我が国周辺海空域における警戒監視活動に万全を期すよう、強く求める。

2014年05月26日

AKB48は今回の事件を乗り越えて頑張ってもらいたい。

ウイル今日発売の月刊『ウイル・7月号』に森本敏、遠藤誉、田村重信の特別座談会が掲載されています。
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 AKB48の川栄李奈(かわえいりな)さん(19)と入山杏奈(いりやまあんな)さん(18)と会場整理の男性スタッフ1人が、25日、岩手県滝沢市の握手会で、ノコギリで切り付けられて頭や手などにけがをして病院に運ばれた。
極めて痛ましい事件である。

 AKB48は、東日本大震災後、震災に会った人々を癒し、少しでも元気になればとの思いで、何度も何度もコツコツと震災地域に足を運んでいた。

 今回もその一環だったようだ。

 被災地という安心感から、それだけ警備についても他地域で行うイベントよりは万全でなかったようだ。

 これをきっかけに握手会を中止するとの動きもあるが、僕は警備に万全を期して継続してもらいたい。

 フアンとの直接の触れ合いが、どれだけ、人々に夢を与えるか?である。


 政治の政界でも、総理や閣僚・党役員幹部には警備が厳重になる。厳重になればなるほど、国民との距離は開くことになる。

 遊説などで国民との直接、握手するといった触れ合いをどうするかがいつも課題となる。

 遊説で、警備が過剰だと国民との触れ合いの機会は減少することになる。



 昨日、僕の関係する会合があった。

 1部は講演会、2部はカラオケ。2部は、僕が歌をうたい、その後参加者から歌を歌ってもらうというもの。

 会場が豪華だったせいで、なかなか歌ってもらえなかった。

 ところが、ある男性がAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を歌い出したら、女性が飛び入りで、ステージに上がって一緒に歌い出したのだ。

 ビックリしたが、それだけAKB48は、国民的スターになっているんだなと実感した。


 48は、今、大阪、名古屋、福岡にもあり、これからも各地に広がっていく。

 さらに、海外ではジャカルタ48があり、アジアにも広がっていく。


 これからも48が、日本のクールジャパン・新しい日本のソフト文化として、世界に進出いくだろう。


 AKB48は、今回の事件を乗り越えて、今後も社会貢献、クールジャパンへの貢献など、頑張ってもらいたい。

2014年05月21日

安保法制懇の報告を受けて、高村正彦記者懇冒頭発言

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 「集団的自衛権と日本の安全保障」
(防衛法学会 2014年度春季研究大会公開シンポジウム)
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 日時:5月31日(土)13:00〜16:00
 会場:拓殖大学・文京キャンバス

 報告者:森本 敏(前防衛大臣)
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     西元徹也(元統合幕僚会議議長)
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司会・進行 高井 晉(防衛法学会理事長)

参加費:1000円(学生500円)

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 安保法制懇の報告を受けての安倍総理の記者会見ですが、集団的自衛権の問題に限って言いますと、安保関係者の一部の方が信奉している芦田修正論は取らない。

 そして、国の存立、国民の命と暮らしを守る必要最小限度の部分に限って、集団的自衛権も認められるということを検討したいということをおっしゃったんだと思います。

 これはまさに今までの政府解釈の法理の部分、国の平和と安全を維持しその存立を全うするための必要な自衛のための措置をとりうるという部分をそのまま踏襲し、その法理をあてはめる場合において、個別的自衛権はいいけど集団的自衛権は一切がっさいだめだというところを、今の国際環境においては一部集団的自衛権の中にも必要最小限度のものがあるのではないかということを検討しようといったわけで、今までの政府の解釈と継続性もあるいは整合性も十分ある中での解釈変更であると思います。


 そうであるから、必然的にどこの国にも認められている集団的自衛権をまるまる認めるのではなく、憲法9条2項の制約のもとに必要最小限度のものしか認められないという規範性もそのまま残っているということだと思います。


 それから、内閣が変わるたびに憲法解釈がコロコロ変わったら法的安定性を害するのではないかということがありますが、それはその通りなんですが、内閣が変わるたびに解釈がコロコロ変わることなどということは現実問題としてあり得ないことであります。

 1999年に周辺事態安全確保法が成立するときに、周辺事態において日米安保条約に基づいて警戒行動している米艦船に対して後方支援だけできるようにしたわけですが、「それだけで良いのか。憲法解釈を変えてまでも、もう少しできることをやった方がいいのではないか」という議論が、その当時も安保関係者の間でもありました。

 そして第一次安倍内閣の時にそういう問題意識を持って、変えられないかどうか検討に入り既に7年が経ち、やっとこういうことに内閣として具体的に検討するということになったわけです。


 今までの解釈と整合性があって一定の規範性も残し、必要最小限度のものについて認めるといういわゆる限定容認論ですらこれだけ抵抗があるということは、内閣が変わるたびにコロコロと解釈が変わるということは百に一つも無い荒唐無稽の話だと思っております。


 世界中の法学会の中で、日本のような硬性憲法、憲法改正がものすごく難しい憲法を持っている国であれば、憲法の変遷ということが広く認められているところでありますが、憲法の変遷を広く認めるにしても、内閣が変わるたびにコロコロと解釈が変わってしまうということがあったという話は、私は聞いたことがありません。

2014年05月16日

安倍内閣総理大臣記者会見(集団的自衛権報告を受けて)

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 「集団的自衛権と日本の安全保障」
(防衛法学会 2014年度春季研究大会公開シンポジウム)
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 日時:5月31日(土)13:00〜16:00
 会場:拓殖大学・文京キャンバス

 報告者:森本 敏(前防衛大臣)
     西  修(駒澤大学名誉教授)
     西元徹也(元統合幕僚会議議長)
     田村重信(自民党政調会調査役)
司会・進行 高井 晉(防衛法学会理事長)

参加費:1000円(学生500円)

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 安倍内閣総理大臣記者会見(集団的自衛権報告を受けて)

【安倍総理冒頭発言】

 本日「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から報告書が提出されました。外交・安全保障、そして法律の専門家の皆さんが約2年半検討を、そして議論を重ねてきた結果です。まず、冒頭、柳井座長、北岡座長代理を始め、委員の方々の高い見識と貢献に心から感謝御礼申し上げたいと思います。本日は、この報告書を受けて今後どのように検討していくか、その基本的方向性について、国民の皆様に私から直接御説明させていただきたいと思います。

 この報告書を受けて考えるべきこと、それは私たちの命を守り、私たちの平和な暮らしを守るため、私たちは何をなすべきか、ということであります。具体的な例で御説明をしたいと思います。

 今や海外に住む日本人は150万人、さらに年間1,800万人の日本人が海外に出かけていく時代です。その場所で突然紛争が起こることも考えられます。そこから逃げようとする日本人を、同盟国であり、能力を有する米国が救助、輸送しているとき、日本近海で攻撃があるかもしれない。このような場合でも日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることができない、これが憲法の現在の解釈です。

 昨年11月、カンボジアの平和のため活動中に命を落とした中田厚仁さん、そして高田晴行警視の慰霊碑に手を合わせました。あの悲しい出来事から20年余りがたち、現在、アジアで、アフリカで、たくさんの若者たちがボランティアなどの形で地域の平和や発展のために活動をしています。この若者のように医療活動に従事をしている人たちもいますし、近くで協力してPKO活動をしている国連のPKO要員もいると思います。しかし、彼らが突然武装集団に襲われたとしても、この地域やこの国において活動している日本の自衛隊は彼らを救うことができません。一緒に平和構築のために汗を流している、自衛隊とともに汗を流している他国の部隊から救助してもらいたいと連絡を受けても、日本の自衛隊は彼らを見捨てるしかないのです。これが現実なのです。

 皆さんが、あるいは皆さんのお子さんやお孫さんたちがその場所にいるかもしれない。その命を守るべき責任を負っている私や日本政府は、本当に何もできないということでいいのでしょうか。内閣総理大臣である私は、いかなる事態にあっても、国民の命を守る責任があるはずです。そして、人々の幸せを願ってつくられた日本国憲法が、こうした事態にあって国民の命を守る責任を放棄せよと言っているとは私にはどうしても考えられません。

 こうした事態は机上の空論ではありません。連日、ニュースで報じられているように、南シナ海では、この瞬間も力を背景とした一方的な行為によって国家間の対立が続いています。これは人ごとではありません。東シナ海でも日本の領海への侵入が相次ぎ、海上保安庁や自衛隊の諸君が高い緊張感を持って24時間体制で警備を続けています。

 北朝鮮のミサイルは、日本の大部分を射程に入れています。東京も、大阪も、皆さんの町も例外ではありません。そして、核兵器の開発を続けています。片や、サイバー攻撃など脅威は瞬時に国境を越えていきます。これは私たちに限ったことではありません。もはやどの国も一国のみで平和を守ることはできない、これは世界の共通認識であります。だからこそ私は積極的平和主義の旗を掲げて、国際社会と協調しながら世界の平和と安定、航空・航海の自由といった基本的価値を守るために、これまで以上に貢献するとの立場を明確にし、取り組んできました。

 積極的平和主義の考え方は、同盟国である米国はもちろん、先週まで訪問していた欧州各国からも、そしてASEANの国々を始めとするアジアの友人たちからも高い支持をいただきました。世界が日本の役割に大きく期待をしています。いかなる事態においても、国民の命と暮らしは断固として守り抜く。本日の報告書ではそうした観点から提言が行われました。

 今後、政府与党において具体的な事例に即してさらなる検討を深め、国民の命と暮らしを守るために切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備します。これまでの憲法解釈のもとでも可能な立法措置を検討します。例えば武力攻撃に至らない侵害、漁民を装った武装集団が我が国の離島に上陸してくるかもしれない。こうしたいわゆるグレーゾーン事態への対処を一層強化します。さらに、PKOや後方支援など、国際社会の平和と安定に一層貢献していきます。その上でなお現実に起こり得る事態に対して、万全の備えがなければなりません。国民の命と暮らしを守るための法整備がこれまでの憲法解釈のままで十分にできるのか、さらなる検討が必要です。

 こうした検討については、日本が再び戦争をする国になるといった誤解があります。しかし、そんなことは断じてあり得ない。日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも守り抜いていきます。このことは明確に申し上げておきたいと思います。むしろ、あらゆる事態に対処できるからこそ、そして、対処できる法整備によってこそ抑止力が高まり、紛争が回避され、我が国が戦争に巻き込まれることがなくなると考えます。

 今回の報告書では、二つの異なる考え方を示していただきました。

 一つは、個別的か、集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法な活動には憲法上の制約はないとするものです。しかし、これはこれまでの政府の憲法解釈とは論理的に整合しない。私は憲法がこうした活動の全てを許しているとは考えません。したがって、この考え方、いわゆる芦田修正論は政府として採用できません。自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません。

 もう一つの考え方は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方です。生命、自由、幸福追求に対する国民の権利を政府は最大限尊重しなければならない。憲法前文、そして憲法13条の趣旨を踏まえれば、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることは禁じられていない。そのための必要最小限度の武力の行使は許容される、こうした従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方です。政府としてはこの考え方について、今後さらに研究を進めていきたいと思います。

 切れ目のない対応を可能とする国内法整備の作業を進めるに当たり、従来の憲法解釈のままで必要な立法が可能なのか、それとも一部の立法に当たって憲法解釈を変更せざるを得ないとすれば、いかなる憲法解釈が適切なのか。今後、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての検討を進めるとともに、与党協議に入りたいと思います。与党協議の結果に基づき、憲法解釈の変更が必要と判断されれば、この点を含めて改正すべき法制の基本的方向を、国民の命と暮らしを守るため、閣議決定してまいります。

 今後、国会においても議論を進め、国民の皆様の理解を得る努力を継続していきます。十分な検討を行い、準備ができ次第、必要な法案を国会にお諮りしたいと思います。

 日本は戦後70年近く、一貫して平和国家としての道を歩んできました。これからもこの歩みが変わることはありません。しかし、平和国家であると口で唱えるだけで私たちの平和な暮らしを守ることはできません。私たちの平和な暮らしも突然の危機に直面するかもしれない。そんなことはないと誰が言い切れるでしょうか。テロリストが潜む世界の現状に目を向けたとき、そんな保障はどこにもありません。政府は、私たちは、この現実に真正面から向き合うべきだと私は考えます。

 私たちの命を守り、私たちの平和な暮らしを守る、そのためにはいかなる事態にも対応できるよう、常日頃から隙のない備えをするとともに、各国と協力を深めていかなければなりません。それによって抑止力が高まり、我が国が戦争に巻き込まれることがなくなると考えます。先ほど申し上げたような事態においても、しっかりと日本人の命を守ることこそが総理大臣である私の責任であると確信します。

 今後、検討を進めるに当たり、国民の皆様の御理解を心からお願い申し上げる次第であります。私からも引き続き、あらゆる機会を通して、丁寧に説明をしていきたいと思います。

 再度申し上げますが、まさに紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さんや、おじいさんやおばあさん、子供たちかもしれない。彼らが乗っている米国の船を今、私たちは守ることができない。そして、世界の平和のためにまさに一生懸命汗を流している若い皆さん、日本人を、私たちは自衛隊という能力を持った諸君がいても、守ることができない。そして、一緒に汗を流している他国の部隊、もし逆であったら、彼らは救援に訪れる。しかし、私たちはそれを断らなければならない、見捨てなければならない。おそらく、世界は驚くことでしょう。

 こうした課題に、日本人の命に対して守らなければいけないその責任を有する私は、総理大臣は、日本国政府は、検討をしていく責務があると私は考えます。

 私からは以上であります。

集団的自衛権、高村正彦副総裁 ぶら下がり

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 日時:5月31日(土)13:00〜16:00
 会場:拓殖大学・文京キャンバス

 報告者:森本 敏(前防衛大臣)
     西  修(駒澤大学名誉教授)
     西元徹也(元統合幕僚会議議長)
     田村重信(自民党政調会調査役)
司会・進行 高井 晉(防衛法学会理事長)

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 高村正彦副総裁 ぶら下がり

(平成26年5月15日(木)18:30〜18:37 於:党本部4階エレベーターホール)

Q:(代表質問)NHKの有吉です。安保法制懇の報告書が提出されまして、総理が会見されました。これから与党協議に入っていくと思いますが、責任者として今、どう受け止めておられますか。


A:総理の会見を聞いて、日本人の命と暮らしを守るのだ、そのために抑止力をしっかりするための法整備をするのだと、こういう気迫が伝わってきたと思います。

 そして一方では、法制懇の中にあった集団的自衛権を丸々認めるような考え方は、これは取らないとはっきり言っていますから、一部の人が言うような外国に行って戦争ができる国になるのだという考えは取らない、こういうことがはっきりしております。

 国連の集団安全保障についても、他国籍軍に入って自ら武力行使をするようなことはしない、できないのだと、こういうこともはっきり言っておられるわけですね。

 一部の人の誤解・曲解はなくなるのではないか。

 要するに、今までの解釈、日本の平和と安全を維持し、国の存立を全うするために、必要最小限度の自衛の措置は取り得るという法理に反しない範囲で、今までの解釈のままで良いのかどうかということを検討してくださいということでありますから、与党としてもこれからしっかり検討してまいります。


Q:(代表質問)NHKの有吉です。憲法解釈の変更が必要かどうか、与党協議に委ねるというような内容だと思うのですが、今現時点で憲法解釈の必要性について、どのようにお考えですか。


A:私個人は、前から言っていますように、国の存立を全うするために、必要最小限度のものであれば、これは集団的自衛権と名が付いても良いのではないかという考えを持っていますけれども、公明党の方たちは、私たちがやろうとしていることを、個別的自衛権もしくは警察権でできるのではないかという考えを持っているようなので、お互いこれからしっかり詰めてまいります。


Q:(代表質問)NHKの有吉です。公明党は集団的自衛権の行使に関しては非常に慎重だと思うのですが、副総裁のご所見をお聞かせください。


A:私も慎重ですよ。慎重に、一生懸命、ずっと長く検討した結果、慎重に、慎重に、これから公明党と協議して、日本人の命と暮らしを守るための必要最小限度のものに、もし集団的自衛権と名が付くものがあれば、それを認めるようにしようと。

 これは現時点ではまだ私の考えでありますが、公明党としっかりその点をすり合わせをしていきたいと考えております。


Q:(代表質問)NHKの有吉です。協議は難航するのではないかとも見られているのですけれども、どのように進めていかれるおつもりですか。


A:そう簡単ではないですよね。そう簡単ではないでしょうが、最初から悲観していたら協議なんかしませんから。まぁ簡単ではないですが、それなりの希望を持ってやりたいと思っております。


Q:産経新聞の水内です。改めて、与党協議会のメンバーは、今、決まっているところでお話いただけますか。


A:自民党側は、私、石破幹事長、中谷元・特命担当副幹事長、岩屋毅衆議院議員、それから参議院から山本順三幹事長代理と聞いています。公明党の方は、それなりに聞いておりますが、月曜日に正式に決めると聞いております。


Q:NHKの有吉です。憲法解釈変更の時期については、いつ頃までに決めたいとお考えですか。


A:それは、できれば秋の日米ガイドライン、これを協議するまでに、その準備の期間も含めて間に合うようにやれれば良いなと思っていますが、自公の協議が整うことが必要条件でありますから、私たちが思っている通りにいくかどうかは、これからの協議次第ということになります。


Q:産経新聞の水内です。今日の会見では、総理が2枚パネルを示して、かなり具体的な事例に踏み込みながら、熱を込めて語ったところがあると思いますが、総理の会見で示した思いについて、どのようにご覧になりましたか。


A:ですから冒頭言いましたように、日本人の命と暮らしをどうしても守るのだ、そのための抑止力のための法整備をするのだ、こういう強い思いがあって、その二つの事例、一つは日本人の避難民を米艦が日本に送ってくれる、そういう状況の時、守らないで良いはずがないのですよね。

 それから、もう一つは、多国籍軍で武力行使するという話ではなくて、PKOなどで、駆けつけ警護、昔から言われていて、これ日本だけできないのは恥ずかしいねという話があったわけで、これについては、与党間の協議も、それなりにスムーズに行くのではないかと期待しているところであります。

2014年05月14日

高村正彦副総裁記者懇冒頭発言(安保法制懇の報告と与党協議について)

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 「集団的自衛権と日本の安全保障」
(防衛法学会 2014年度春季研究大会公開シンポジウム)
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 日時:5月31日(土)13:00〜16:00
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 報告者:森本 敏(前防衛大臣)
     西  修(駒澤大学名誉教授)
     西元徹也(元統合幕僚会議議長)
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 高村正彦副総裁記者懇冒頭発言より


 明日安保法制懇の報告が出て、その後、大相撲が終わった頃に、安倍総理の方から考え方が示されます。

 その考え方というのは、法制懇から報告されたものを政府として積極的に検討するもの、とりあえず現時点で検討しないものに仕分けし、そういうことが示されるのだろうと私は理解しています。

 そして政府として検討するものについては当然与党として検討するのであって、与党で検討するための与党内組織を立ち上げる第一回目が、来週の火曜日の午前中になるということです。

 メンバーは、まだ最終的に決定していませんが、新聞辞令になって出ており必ずしもそうなるかわかりませんが、私、石破幹事長、中谷さん、政調から岩屋さん、参議院からもう一人、これは調整中です。

 自民党5人に対して、公明党は5人にするのか4人にするのか調整中だそうですが、私の聞いている範囲では北側さん、井上幹事長、上田さん、参議院の西田さんかな。はっきり分かりませんが、私の聞いている範囲ではそういうことで、公明党から聞いてもらった方がよいかと思います。公明党は、来週月曜日に、4人にするのか5人にするのかも含めて正式決定すると聞いております。

 安保法制懇でいくつかの事例が出て、その事例に従って検討することになっておりますが、その検討する事例の順番は、幸か不幸かグレーゾーンだそうであります。

2014年05月13日

憲法9条改正の真の目的(田村重信)

ポスター
 「集団的自衛権と日本の安全保障」
(防衛法学会 2014年度春季研究大会公開シンポジウム)
―に、僕も報告者で参加します!
 
 日時:5月31日(土)13:00〜16:00
 会場:拓殖大学・文京キャンバス

 報告者:森本 敏(前防衛大臣)
     西  修(駒澤大学名誉教授)
     西元徹也(元統合幕僚会議議長)
     田村重信(自民党政調会調査役)
司会・進行 高井 晉(防衛法学会理事長)

参加費:1000円(学生500円)

0どなたでもご参加いただけます。(要事前申込)
0定員に達し次第、締め切りとさせていただきます。

 お申し込み、お問い合わせは・・・
  防衛法学会 事務局(内外出版(株)内)
 E−Mail:jpnsdl@gmail.com 電話.03−3712−0141

 参加される方はお早めにお申し込みください。

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 5月9日、『世界日報』の「オピニオン」に僕の論文が掲載された。
 これが、大反響!
 新聞社のも、読者から連絡があり、また、僕にも連絡がありました。
 そこで、ブログに掲載します。


 憲法9条改正の真の目的
 独立国の「かたち」整える


 自衛隊は軍隊ではない


「自衛隊は軍隊か?」と問われれば、おそらく多くの人が「イエス」と答えるだろう。
 しかし、正解は「ノー」である。自衛隊が軍隊ならば、憲法第九条改正は不要となる。
 なぜ、こうした誤った考え方が横行するのだろうか。
 その大きな原因は、学校教育の中で憲法と安全保障の基本問題を正確に教えてないからである。
 東京大学法学部出身の防衛省幹部によると「東大では『いかにして自衛隊をなくすか』について教えられた」という。驚くべきことに、これが最高学府の実態なのである。
 憲法第9条では、自分の国を守る権利(自衛権)が認められ、併せて戦争放棄、戦力不保持が規定されている。
 政府の第9条解釈は、「我が国が独立国である以上、憲法第9条は、主権国家としての我が国固有の自衛権を否定するものではない」というものである。
 戦争放棄については、第1項で国際紛争を解決する手段としての戦争、武力による威嚇、武力の行使を放棄するとあり、第2項で、「戦力」の保持を禁止している。
 したがって、日本には戦力である軍隊は存在しないことになっている。
 では一体、自衛隊とは何なのか。言うまでもなく日本は独立国である。独立国には自衛権がある。政府の第9条解釈では、自衛権が否定されない以上、その裏づけとなる「自衛のための必要最小限度の実力」を保持し、武力を行使することは認められている。つまり、自衛隊は「自衛のための必要最小限度」の武力を行使できる組織ということになる。
 憲法第9条では、戦力は持てないことになっている。ここで言う戦力とは軍隊を指す。つまり、自衛隊は、軍隊には当たらないその手前の必要最小限度の実力組織なのである。軍隊でもなければ、憲法第9条で謳われている戦力でもないのである。
 
 最も滑稽で不自然なのが、国内と国外では自衛隊の置かれる立場が異なるという点である。
 例えば、日本の国会で「我が国には、軍隊はあるのか」と問われれば、政府は「ない」と答える。
 昭和42年3月、佐藤栄作首相は「自衛隊を、今後とも軍隊と呼称することはいたしません。はっきり申し上げておきます」と断言している。
 平成2年10月には、中山太郎外務大臣が「自衛隊は、憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の厳しい制約を課せられております。通常の観念で考えられます軍隊ではありませんが、国際法上は軍隊として取り扱われておりまして、自衛官は軍隊の構成員に該当いたします」と述べており、小泉純一郎首相も平成13年10月に同様の答弁をしている。


 二重扱いされる問題点


 自衛隊は、国際法上は軍隊として扱われている一方、日本国内では軍隊ではなく「自衛隊」と呼称されるという二重の扱いがなされているのである。ここが憲法第9条改正の最大のポイントである。 
 憲法第9条改正は日本の軍国主義化を招くと主張しているお隣の韓国や中国でも、当たり前のこととして軍隊が存在し、憲法にも明記されている。日本も同じようにするだけの話である。
 自衛隊を軍隊にしたからと言って、文民統制、あるいは平和主義の原理、戦争放棄の精神は、これまでとまったく変わらない。もちろん「徴兵制」を導入することもない。軍隊は高度な専門性が求められており、どの国も現在の自衛隊と同じように「志願制」に移行しつつある。憲法第9条改正は、あくまで独立国としての「かたち」を整えることが真の目的なのである。

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