2013年12月

2013年12月05日

ピレー国連人権高等弁務官の記事はこうして作られた!!

日経
 27日の日本経済新聞(3面)に、『改正 日本国憲法』(田村重信著、講談社+a新書)の広告が載っています。
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「何が秘密を構成するのかなど,いくつかの懸念が十分明確になっていない」
「国内外で懸念があるなかで,成立を急ぐべきではない」
「政府が不都合な情報を秘密として認定するものだ」
「日本国憲法や国際人権法で保障されている表現の自由や情報アクセス権への適切な保護措置」
――といった「ピレー国連人権高等弁務官による特定秘密保護法案に関する発言」は酷い。

 氏は、どうしてこんな発言をしたのか。
 それは、日本のマスコミ(記者)が、わざわざ酷い質問したからだ。

 よく、韓国・中国の高官の発言で問題になる手口と今回も同じだ。
 

 ピレー国連人権高等弁務官による発言にかかる経緯及び内容は、こうだ。

 同高等弁務官の記者会見は、12月10日の世界人権デーに先立って12月2日に行われたものであり,過去1年間の人権理事会及び国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の活動,世界各地の人権状況について言及したもの。
 今回の会見では,冒頭,同高等弁務官は,シリアの人権状況及び北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI),スリランカの状況等について取り上げた後,日本のメディアの記者の質問に答える形で今回の発言を行った。


 ピレー人権高等弁務官記者会見概要(12月2日:秘密保護法案関連部分)
(注:本件やりとりは質疑応答部分において邦人プレスの質問に答えて行ったもの。)

(日本経済新聞 原克彦氏)

 最近,複数の特別報告者が(日本の)国会にて現在審議中の新しい秘密保護法案に関して懸念を表明した。貴高等弁務官は,言論の自由に関連し,この懸念を共有しているか伺いたい。

(共同通信ライオネル・ファトン氏)

 原氏の質問に加え,法案が現在既に基本的に策定されていることを踏まえ,日本において情報に関する表現の自由を確保するために法案の修正を求めるかについて質問したい。

(ピレー高等弁務官)

 日本の特定秘密保護法案に関して,日本においては,本件法案が表現の自由と情報へのアクセスに及ぼす影響について議論されており,これらは自分のマンデートに含まれる重要な事項であることから,状況を注視している。そして,何が秘密を構成するかについて,十分な明確さがないことについて若干懸念が示されている。
 このため,事実上,政府は自らにとって不都合な情報を秘密指定することが可能となっている。今次法案においては,秘密を漏洩した公務員は10年以下の拘禁刑に処せられる可能性がある。本件法案は衆議院を通過し,現在参議院にて審議中である。2名の特別報告者は深刻な懸念を示すとともに,当該法案について引き続き検討している。私は,日本の政府及び立法府に対し,国内及び国際的な懸念に耳を傾けることを促したい。日本政府及び立法府は,日本国憲法及び国際人権法によって保護される情報アクセス権及び表現の自由の適切な保護措置をまず整備することなしに,法案の国会通過を急ぐべきではない。
 エドワード・スノーデン氏による暴露の後,ますます多くの国々が立法を開始しつつある中,人権理事会もまた本件を取り上げていることを嬉しく思う。我々は5日(木),情報アクセス権とそれに対する制裁の問題について,セミナーやイベントに参加し,記者ブリーフを行う予定である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 ということで、特定秘密保護法案を反対するメディアが報道した。

 こんな質問すれば、誰でも「それは酷いね」となる。ピレー氏は、特定秘密保護法案に内容をよく知らないからね。 
 それで、以下の記事なった。
 その後、日本政府関係者が、氏に「日本政府の説明を聞くこともなく、先般の発言をしたことは遺憾である」旨を伝えた。
 これに対し,ピレー人権高等弁務官より,「説明に感謝する。」と。

  
 日本の報道はこうだ。
 

 朝日新聞デジタル版(2013年12月3日付)

 国連人権高等弁務官「急ぐべきでない」 秘密保護法案
【ジュネーブ=野島淳】国連の人権保護機関のトップ,ピレイ人権高等弁務官が2日,ジュネーブで記者会見し,安倍政権が進める特定秘密保護法案について「何が秘密を構成するのかなど,いくつかの懸念が十分明確になっていない」と指摘。「国内外で懸念があるなかで,成立を急ぐべきではない」と政府や国会に慎重な審議を促した。
 ピレイ氏は同法案が「政府が不都合な情報を秘密として認定するものだ」としたうえで「日本国憲法や国際人権法で保障されている表現の自由や情報アクセス権への適切な保護措置」が必要だとの認識を示した。
 同法案を巡っては,国連人権理事会が任命する人権に関する専門家も「秘密を特定する根拠が極めて広範囲であいまいだ」として深刻な懸念を示している。


 日本経済新聞電子版(2013年12月3日付)

 国連人権高等弁務官,特定秘密保護法案に懸念
【ジュネーブ=原克彦】国連のピレイ人権高等弁務官は2日の記者会見で日本の特定秘密保護法案について「秘密の要件が明確でない。政府がどんな不都合な情報も秘密に指定できてしまう」と懸念を表明した。「日本の憲法が保障する情報へのアクセスと表現の自由を担保する条項を設けないまま,急いで法案を成立させないよう政府と議会に呼び掛けたい」とも語った。
 ピレイ氏は法案が衆院を通過したことについて「状況を注視している」と強調した。国連人権高等弁務官事務所は11月22日に,言論の自由などを担当する特別報告者2人が,告発者やジャーナリストへの脅威を含むとして法案に「重大な懸念」を表明したと発表していた。


 毎日新聞電子版(2013年12月3日付)

 秘密保護法案:国連人権高等弁務官「秘密の定義が不明確」
 国連のピレイ人権高等弁務官は2日の記者会見で,日本の特定秘密保護法案について「『秘密』の定義が十分明確ではなく,政府が不都合な情報を秘密扱いする可能性がある」と懸念を表明した。
 ピレイ氏は「日本の憲法や国際人権法が定める情報へのアクセス権や表現の自由に対する適切な保護規定を設けずに,法整備を急ぐべきではない」と指摘。「政府と立法府に対し,国内外の懸念に耳を傾けるよう促す」と述べた。(共同)

――といった記事になりました。


 これに対し、日本政府の対応は、

 現地時間12月3日(火),在ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使よりピレー人権高等弁務官に対し,本法案の概要及び衆議院における主な修正点について説明した上で,法案は日本国憲法及び自由権規約にも整合したものである旨説明。当事者である日本政府の説明を聞くこともなく、先般の発言をしたことは遺憾である旨を伝えた。
 これに対し,ピレー人権高等弁務官より,概要以下のとおり述べた。
・説明に感謝する。
・衆議院での審議によって,法案に日本国憲法との整合性を持たせるべく修正が施され,国会がチェックアンドバランスの役割を果たしていることを評価する。
・法案の内容については自分も更に検討した上で,更なるコメントがあれば連絡したい。
――ということだ。

 マスコミは怖いね。
 こうした日本を辱めたいマスコミがいるから、他から日本が批判されるのだ。
 マスコミは、こうして自ら都合のいいよう発言をさせ、記事をつくるのだ



【参考】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
1.設立・沿革
 国連人権高等弁務官(OHCHR:United Nations High Commissioner for Human Rights)のポストは,1993年6月の世界人権会議の最終文書として採択された「ウィーン宣言及び行動計画」の勧告に基づき,同年12月20日の第48回国連総会決議48/141により創設された。人権高等弁務官事務所は,同弁務官を長とし,国連事務局の人権担当部門として機能する。
2.組織・任務 
(1)人権高等弁務官事務所は,ジュネーブに本部を置き,職員数1,069名(2012年末現在)より構成される。人権享受の普遍的な促進,人権に係る国際協力の促進,人権に係る国際的基準の普遍的実施等の促進などを任務とする。ジュネーブの本部事務所の他,ニューヨークに連絡事務所,世界約59か国・地域に事務所その他のフィールド・プレゼンスを有している。
(2)人権高等弁務官は,国連事務次長の地位を有し,国連事務総長の指揮及び権能の下で,国連の人権活動に主要な責任を有している。任期は4年で,再選は1回のみ可。初代はアラヤ・ラッソ氏(1994-1997,エクアドル国籍),2代目はメアリー・ロビンソン氏(1997-2002,アイルランド国籍),3代目はデ・メロ氏(2002-2003,ブラジル国籍。バグダッド国連本部爆破事件により死去したため,その後約1年間ラムチャラン副高等弁務官が代行),4代目はルイーズ・アルブール氏(2004-2008,カナダ国籍。元カナダ連邦最高裁判所判事),5代目はナバメセム・ピレー氏(2008年9月〜,南アフリカ国籍,元国際司法裁判所判事,再選され2012年9月以降2期目に入った)。 

2013年12月04日

大好評!高村正彦副総裁 記者懇談 冒頭発言(バイデン米国副大統領)

日経
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 安倍首相とバイデン米国副大統領との間の話で、沖縄本島の東部、米軍訓練水域の一部を開放に向けての合意があったということ、また、オスプレイの訓練の県外移転の計画も進んでいることも喜ばしいことだと思います。


 一方で、憂慮の念に堪えないのは、鳩山首相の最低でも県外発言以来、普天間がひょっとしたら固定化してしまうのではないかという懸念が払しょくできない、あるいは増大してしまうかもしれないということです。


 最低でも固定化阻止ということで、やはり現実的英知を結集する必要があると思います。


shige_tamura at 11:23|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 

2013年12月03日

〜町おこし 成功への道〜【4】大分県豊後高田市

日経
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 がんばる日本
 〜町おこし 成功への道〜【4】

 にぎわいを取り戻した「昭和の町」 大分県豊後高田市

 大分県北部に位置し、人口2万4000人の豊後高田市の商店街は、昭和30年代まで国東(くにさき)半島一のにぎわいを誇る町として栄えた。しかし、唯一の鉄道が廃線となり、自家用車の普及とともに郊外の大型店に客足を奪われ、40年代以降は「犬と猫しか歩かない」といわれるほど衰退した。かつてのにぎわいを取り戻すため、商工会議所が中心となり、残っていた30年代の街並みを再生。今では年間40万人の観光客が訪れる「奇跡の町」となった。


 昭和30年代の商店街を復活して
「なつかしい空間」に観光客呼ぶ

 休日を中心に多くの観光客が集まる「昭和の町」。
 昭和の名車「ミゼット」も街に溶け込む

 大分空港からバスで約45分、豊後高田市のバスターミナル正面から始まる「昭和の町」は五つの商店街で構成され、道幅8辰領沼Δ望赦30年代の面影を残す38店舗が並ぶ。大衆食堂や電器店、駄菓子屋、薬局などさまざまだが、かつて繁栄した町を復活・再生させたコンセプトは四つある。 

 一つ目は「昭和の建築」の再生。多くの店舗が古い建物の外壁だけをリフォームしていたため、それを元に戻すだけで往時の外観がよみがえった。

 二つ目は「昭和の歴史」の再生で、店の歴史を物語る「お宝」を店頭に展示している。例えば、電器店は30年代の「三種の神器」(白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫)、お菓子屋はアイスキャンデーを売っていた頃の自転車を店頭に置いて、観光客をノスタルジーに浸らせる。

 三つ目はこれまで大事にしてきた商品を前面に出す「一店一品」で、バス停に近い喫茶店では揚げパンや鯨の竜田揚げなど、半世紀前の学校給食の定番を味わうことができるようにした。
 さらに、最も重視しているのがお客と会話をしながら心を通わす対面販売。スーパーマーケットとは違う昔ながらの「昭和の商人」の商法で、これが四つ目。

 平成13年9月にオープンしたこの町は四つの商店街の7店舗でスタート。趣旨に賛同する店が次々に現れ、観光客向けに農業倉庫を改装して「昭和ロマン蔵」の展示施設も設けた。しかし、あくまでも主役はこの町の商店で、観光の力を借りて生活の場である商店街を存続させることが最大の目的だった。

 その結果、町を訪れる観光客が、開設から4年目に25万人を突破。その後も増加し続けて、10周年を迎えた平成23年には40万人を超えたため、「奇跡の町」と呼ばれるようになった。

 町を訪れた約300人にアンケート調査を行った結果、年配の観光客は「なつかしい感じがする。町の雰囲気が良く、お店に入りやすい」。若いカップルや夫婦連れは「未知の異空間」として、この町に新鮮な驚きを感じていた。


「観光まちづくり会社」
 を官民一体で設立

 店頭にアイスキャンデー売りの自転車が置かれたお菓子屋

 バブル崩壊後の平成4年、急速に凋落(ちょうらく)した商店街に危機感を抱いた豊後高田市の商工会議所は、外部のコンサルタントの力を借りて中心市街地の「商業活性化構想」を策定した。
 しかし、その構想実現には多額の費用がかかり、1店舗当たりの負担も大きく、多くの商店主が難色を示して頓挫。もっと自分たちの身の丈に合ったプランを考える動きが、商工会議所青年部や一部の商店から出始めた。

 それから9年後、商業地の再生に観光の要素を積極的に取り入れて開設した「昭和の町」はマスコミの話題となり、順調な滑りだしを見せたが、さらに多くの観光客が訪れなければ持続可能なプロジェクトにならない。

 そこで、平成17年11月に市と商工会議所に加えて地元企業や個人、政策投資銀行などが出資して「豊後高田市観光まちづくり(株)」を設立した。官民一体で「昭和の町」の振興と、国東半島の仏教史跡や城下町と連携する広域観光に取り組み、「フラフープ大会」や「レトロカー大集合」などのイベントを開催。事業収益を商店街と観光施設の整備、休日に無料で運行するボンネットバスなどに充てた。

 その実績によって「地域づくり総務大臣表彰」(平成19年度)や、「サントリー地域文化賞」(平成21年度)などを受賞している。


「お帰りなさい、
 思い出の町へ」

 昭和32年式のボンネットバス「昭和ロマン号」。
 昭和の町周遊コースのほか、市内の名所をめぐるコースも人気


 永松博文豊後高田市長と同様に「昭和の町」の振興に力を尽くしてきた野田洋二商工会議所会頭(65)は、「商店街ににぎわいは戻ってきたが、道はまだ半ば。店の後継者問題もあるが、とにかく私たち共通の願いはこの町を残すこと。年配者だけでなく若者にも楽しんでもらえる町にしたい」と、これまでの歩みを語る。

 その願いは商店主も同じで、「肉のかなおか」の金岡次男さん(62)は、「商店街にとって一番大切なのは、お客さんとどれだけ触れ合い、いかに楽しく帰ってもらうか」だと言う。そのため、創業者の父から受け継いだコロッケを売りながら、観光土産になる新商品の開発に努めてきた。10年かけて開発した豊後牛の「肉みそ」は、そんな金岡さんの思いが詰まった名品だ。

 「お帰りなさい、思い出の町へ」というコンセプトで、時代の波に取り残された「昭和の町」を復活・再生した豊後高田市。地域の歴史遺産として観光化したこの町の成功は、自分たちの足元を見つめ他に誇れるものは何か、外に発信できるものは何かを見つけることの大切さを示している。


「昭和の町」へのアクセス

バス
大分空港から豊後高田バスターミナル(昭和の町)までリムジンバスで約45分

電車と車
JR日豊本線、博多駅から約1時間35分、宇佐駅下車。「豊後高田 昭和の町」まで車で約4キロ、10分

『自由民主』より

shige_tamura at 11:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 

2013年12月02日

<遠藤誉が斬る>習近平政権は軍を掌握しているのか?――中国の防空識別圏設定に関する一考察

日経
 27日の日本経済新聞(3面)に、『改正 日本国憲法』(田村重信著、講談社+a新書)の広告が載っています。
 紀伊国屋書店新宿本店の週間ベストセラー11月18日〜11月24日(新書)
 「第3位」
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<遠藤誉が斬る>習近平政権は軍を掌握しているのか?――中国の防空識別圏設定に関する一考察


 中国が国際常識をわきまえず一方的に防空識別圏設定を宣告した。これに関して一部、習近平が軍部を掌握していないのではないか、軍の独走ではないかといった論調が見られる。本稿では軍と党の関係という視点から見た、防空識別圏設定の論考を試みたい。今般、中国が国際常識をわきまえず一方的に防空識別圏設定を宣告した。


 これに関して一部、習近平が軍部を掌握していないのではないか、軍の独走ではないかといった論調が見られる。本稿では軍と党の関係という視点から見た、防空識別圏設定の論考を試みたい。

◆中共中央政治局に、3人も軍事委員会トップが

 中国人民解放軍を管轄しているのは図にある中共中央軍事委員会であり、この軍事委員会を管轄しているのは中国共産党中央(中共中央)委員会である。つまり「軍は党の軍」なのである。

 中共中央委員会は党大会の前後以外は年に一回しか開催されないが、その上には中共中央政治局というトップ組織がある。構成メンバーは25人で、その中から7人の常務委員が選ばれて、さらなる上部の「チャイナ・セブン」を形成している。

 政治局会議と常務委員会会議は必要に応じて随時開催する。その政治局委員には2人の中共中央軍事委員会副主席が入っている。一人は範長龍(陸軍)で、もう一人は許其亮(空軍)だ。

 これまでは軍事委員会の副主席になるのは陸軍だったが、昨年の第18回党大会直前に軍事委員会会議を緊急開催し、胡錦濤と習近平が連携して「空軍」である許其亮(元人民解放軍・空軍参謀長、同空軍司令員)を軍事委員会副主席に推挙。本来なら2人いる国家副主席を、一時期4人にまで増やす前代未聞の強引な手法を取った。そうしてでも「空軍」を軍事委員会副主席に持って行き、中共中央政治局委員に据えたかったのである。

 つまり習近平の意思を組む2人が中共中央軍事委員会におり、習近平(中共中央軍事委員会主席)自身を入れると、中共中央意思決定機関の中心である中共中央政治局に軍事委員会関係者が3人も入っていることになる。

 中共中央政治局は習近平政権そのものだから、この構築から、軍は党そのものということができ、党が軍を掌握していないという事態は生じ得ない。

◆国家安全委員会と軍との関係

 では三中全会で新しく設立されることになった「国家安全委員会」と軍との関係はどうだろうか。第10回の同コラムでも書いたように、国家安全委員会の構成メンバーは「国家公安部、中国人民武装警察部隊(武警)、国家安全部(スパイなどを偵察)、中国人民解放軍総参謀部第二部(総参・情報部)と第三部(総参・技術偵察部)、中国人民解放軍総政治部の聯絡部、国家外交部、中共中央対外宣伝弁公室(外宣弁)」などである。

 つまり中国人民解放軍の総参謀部が二部局も入っている。しかも最も肝心な総参謀部だ。

 中国人民解放軍には「総参謀部、総政治部、総后勤部(後方活動)、総装備部」という4つの総部機構がある。中でも総参謀部は最も権限があり、「作戦、情報、通信、軍事訓練、軍務、動員、装備、機密、(陸空海の)測量製図、外交、管理」などを統括する。その総参謀部の「情報、技術偵察」に関する二大部局が国家安全委員会に入っているので、国家安全委員会が中共中央軍事委員会の指示の下で、国防識別圏に関しても関わっていくだろう。

 ただし国家安全委員会の頭には「国家」という文字があるのを見逃してはならない。

 頭に「中央」が付いていると、これは「中共中央」のことで共産党系列の会議で議決するだけで運用されるが、「国家」が付いている場合は、「国務院(中国政府)」側に設置される組織となる。

 そのため2014年3月に開催されるであろう全人代(日本の国会に、一応、相当)で決議されてからでないと正式には動き始めない。それが「三中全会」という中国共産党の会議で提起されたのは「党が政府の上にある(党が政府を指導している)」からである。

◆中国の防空識別圏への対応は天下分け目の分岐点

 昨年の第18回党大会により発足した習近平政権は、政権スローガンとして「中華民族の偉大なる復興」「中国の夢」そして「海洋強国」を宣言した。「海洋強国」を唱えながら軍事委員会副主席に、陸軍ではなく初めて「空軍」出身者を指名したのは、「海空」を制覇して本気でアジア覇権に乗り出すことを示している。これは軍のクーデターとか強硬派の勝利とか、そういった類のものでなく、中国の国家としての意思決定なのだ。
 
 今年6月の米中首脳会談で、習近平は「太平洋には中米両大国を受け容れる十分な空間がある」とオバマ大統領に言った。これは拙著『完全解読 「中国外交戦略」の狙い』で詳述したように、G2構想(中国流に言えば新型大国関係)を念頭に置いての発言である。
 
 国内に多くの矛盾を抱え窮地に追い込まれている習近平は、G2だけでなく「G1」を狙っている。「G1」になるのが先か、人民の不満により内部崩壊するのが先か、そのせめぎ合いの中にある。先に「G1」になれば、さすがに政府に不満を持つ人民も中国共産党の統治の正当性を納得するだろうという戦法だ。
 
 そこに「米民間航空機のフライトプランに関する中国への事前通知」という事態を受けて、中国の国営テレビCCTVは、まるで勝利宣言のような加熱した報道で燃えている。

 米国政府としては「中国にフライトプランを提出せよと積極的に民間航空会社に指示を出したわけではないが、しかし航空会社の提出は黙認する」というスタンスのようだ。しかし中国の要求に従うか否かは、天下を分ける分岐点である。
 
 こういう時にこそ日米同盟の強さを見せてほしいという肝心の分かれ目で、アメリカが中国の指示に従うなどということは、あってほしくない。   

 本日(12月2日)、バイデン・米副大統領が来日する。

 日本政府はこの機を逃さず、何としても日米の足並みを揃えるよう強く要望してほしい。バイデンは2012年2月14日の習近平(当時国家副主席)の訪米を担当した人物。習近平には実に低姿勢だ。今般の訪日後に訪中するバイデン副大統領の習近平に対する態度如何(いかん)で、防空識別圏設定のアジアに及ぼす影響が決まる。

 いや、米中の力関係も決まるだろう。

 日本政府には何としても現状維持を貫き、日米協力の下で頑張ってほしいと望む。そうでないと、日本国民の安全に多大な影響をもたらすことになる。
(<遠藤誉が斬る>第12回)


遠藤誉(えんどう・ほまれ)
筑波大学名誉教授、東京福祉大学国際交流センター長。1941年に中国で生まれ、53年、日本帰国。著書に『ネット大国中国―言論をめぐる攻防』『チャイナ・ナイン―中国を動 かす9人の男たち』『チャイナ・ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ・ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●(上下を縦に重ねる)子(チャーズ)―中国建国の残火』『完全解読「中国外交戦略」の狙い』など多数。

(レコードチャイナより転載)

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