2009年08月

2009年08月31日

米国の識者から批判されるニューヨークタイムスの「鳩山論文」

鳩山由紀夫民主党代表の『NEW YORK TIMES 』August 26.2009への寄稿論文
<全訳掲載します>

 産経新聞は、この鳩山論文を「米に敵対的、米専門家から異議と失望」(8月30日)と論評している。東アジア共同体、アジア共通通貨、地域の安全保障体制の構築など日本の安全保障を危うくし、媚中・反米の論文である。

劉江永氏(中国・清華大学国際問題研究所教授)は、鳩山代表の東アジア共同体について「チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の訪日や新疆ウイグル独立派の活動への対応を中国国民は注目している。日中で信頼関係をつくれなければ、東アジア共同体の構築は無理だ」と述べている。(8月31日、日経新聞より)
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「日本の新たな道」
民主党代表 鳩山由紀夫 


 市場原理主義と友愛の理念

 冷戦後、日本は、アメリカが主導する運動ではグローバリゼーションと呼ばれることの多い、市場原理主義の風に絶えず吹き付けられてきた。原理主義者が資本主義を追求する際、人は目的ではなく手段として扱われる。結果として人間の尊厳は失われる。
 我々はいかにして、我々の市民の財産と生活を守るため、倫理や節度を欠いた無制限な市場原理主義と金融資本主義に終止符を打てるだろうか。それが我々が現在直面している問題である。
 こうした時代に、我々は−フランスのスローガン「自由、平等、友愛」のように−自由に内在する危険を抑制する力としての友愛の理念に回帰するべきである。
 私の言うところの友愛とは、資本主義という世間に流布しているグローバル化されたブランドの行き過ぎを抑え、我々の伝統を通じて育まれた地域経済の慣習を調整することを目的とした原理として表現できる。
 最近の経済危機は、米国流の自由主義市場経済が世界の理想的な経済秩序を代表しており、すべての国家は自国の経済を支配する伝統と規制をグローバル(むしろアメリカの)スタンダードに合わせて修正しなければならない、という観念に基づいた思考法の結果起きたものである。
 日本では、グローバリゼーションに対してどの程度距離を置くかという点で意見が分かれる。あるものはグローバリズムを積極的に採用し、あらゆることを市場の命令下に置くことを主張した。別のものは、社会のセーフティネットと我々の伝統的な経済活動を守るために努力が払われるべきだと信じ、より控えめなアプローチを支持した。小泉純一郎首相(2001-2006)の就任以来、自由民主党は前者を支持し、我々民主党は後者の立場に傾いてきた。
 いかなる国における経済秩序も長い年月を経て構築されたものであり、伝統や慣習、国民の生活様式の影響を反映している。しかし、グローバリズムは、非経済的な価値、環境問題や資源の制約といった問題を何ら顧みることなく発展してきた。
冷戦の終結以降の日本社会の変化を振り返れば、グローバルな経済が伝統的な経済活動にダメージを与え、地域コミュニティを破壊したと言うことに何ら誇張はない。
 市場の理論から見れば、人は単に人的なコストでしかない。しかし、現実の世界においては、人は地域コミュニティの骨組みを支えるものであり、生活様式、伝統、文化を物理的に体現するものである。個人は、地域コミュニティの中で職業と役割を得、その家族を扶養することができて、人としての尊敬を得るのである。
 友愛の原理において、我々は、農業や環境や医療など人間の生命や安全に関わる分野を、グローバリズムのなすがままにする政策を採用しない。
 政治家としての我々の責任は、グローバリズムの行進によって脇に追いやられた非経済的価値に我々の注意を再び向けることにある。我々は人々を結びつける絆を再生し、自然や環境をより考慮し、福祉と医療制度を再建し、より良い教育と子育て支援を提供し、富の格差に対処する政策に取り組まなければならない。

 東アジア共同体の創造〜アメリカの時代の終焉と中国の台頭

 友愛の概念から生まれるもう一つの国家的目標は、東アジア共同体の創造である。もちろん、日米安全保障条約は、日本の外交政策の礎であり続けるだろう。
 しかし同時に、アジアに位置する国家としてのアイデンティティを忘れるべきでない。増大する活力を示す東アジア地域は、日本の基本的な存在圏として認識されるべきであると信じている。だから我々は、安定的な経済協力と地域間安全保障のための枠組みを構築し続けなくてはならない。
 金融危機は、多くの人に、アメリカの一国主義の時代は終わるかもしれないと示唆した。そしてそれはまた、世界の基軸通貨としてのドルの永続性に疑いを提起もした。
 私はまた、イラク戦争の失敗と金融危機によって、アメリカ主導のグローバリズムの時代は終焉し、世界はアメリカ一極支配の時代から多極化の時代に向かうだろうと感じている。しかし、今のところアメリカに代わる覇権国家は、見当たらない。ドルに代わる世界の基軸通貨となる通貨も見当たらない。アメリカの影響力は後退しているものの、今後、二、三十年は世界の軍事・経済のリーダーであり続けるだろう。
 近年の情勢を見れば、中国は軍事力を拡大しながら世界の経済を牽引する国家になることは明らかである。日本が経済規模で中国に追い越される日はそう遠くはない。
 覇権国家たらんと奮闘するアメリカと覇権国家になろうとしている中国との狭間で、日本はいかにして政治・経済の自立と国益を守ったらよいのだろうか?この問題は、日本のみならずアジアの中小国家の共通の悩みである。これらの国々は、この地域におけるアメリカの軍事力を有効に機能させたいが、アメリカの政治・経済の過度の影響力は抑制したいと考えている。また、隣国である中国の軍事的脅威を減少させながら、中国の巨大化する経済活動を秩序化したいと希望している。これがこの地域の地域統合を加速させる主要因である。
 今日、良くも悪くもマルクス主義とグローバリズムという超国家主義がとん挫し、再びナショナリズムが国家に大きく影響を与えつつある。我々は、新たな国際協力の枠組みの構築を目指しながら、過剰なナショナリズムを克服し、経済協力と安全保障のルール創りに進むべきである。

 アジア共通通貨と地域の集団安全保障体制の実現

 ヨーロッパと違いこの地域の国々は、国家の規模、発展段階、政治体制も異なり、経済的な統合を短期間で実現することは不可能である。しかし、日本が先頭に立って、韓国、台湾、香港が続き、ASEANと中国の高度成長の先に地域通貨統合の実現を目標とすべきである。通貨統合の背景となる恒久的な安全保障の枠組みづくりの努力を惜しむべきでない。
 アジア共通通貨の実現には、10年以上かかるだろう。共通通貨が政治的統合をもたらすには、さらなる歳月が必要であろう。ASEAN、中国(香港を含む)、韓国、台湾のGDPは世界の4分の1である。東アジアの経済的な力量と相互依存関係は拡大・深化している。地域経済圏として必要・十分な構造は、すでに形成されている。
 他方、この地域では歴史的、文化的対立ばかりでなく安全保障上の対立があり、難しい政治的課題を抱えていることも事実である。軍事力の増大や領土問題は、二国間でたとえば日韓、日中で解決することは不可能である。二国間で交渉すると国民感情が高まり、ナショナリズムの激化を招く危険がある。しかし実は、地域統合を阻害しているイシューは地域統合を進展する中でしか解決できないというパラドクスにある。EUの経験は、我々に地域統合は領土問題を風化させることを示している。
 私は、日本国憲法の理想とする平和主義、国際協調主義を実現する道は、地域統合と地域の集団安全保障体制であると信じる。それはまた、米中の間で日本の政治・経済の独立と国益を守る適切な道である。
 ヨーロッパ統合の世論を創始者であるクーデンホフ・カレルギー伯爵は、85年前に記した『汎ヨーロッパ』(私の祖父である鳩山一郎は伯爵の『全体主義国家対人間』を日本語に翻訳している)で以下のように語っている。
「すべての偉大な歴史的出来事は、ユートピアのような夢で始まり、現実として終わった。ある着想がユートピア的夢で終わるか現実になるかは、それを信じる人々の数とそれを実現する人々の行動力とにかかっている。」

※文章のタイトルは、訳者が付記。
※参照:鳩山由紀夫「私の政治哲学」『Voice』2009年9月号

shige_tamura at 10:17|PermalinkComments(1)TrackBack(0)clip!鳩山由紀夫 | 民主党

自民惨敗 民主圧勝、国民はマニフェストの実行を注視している

 自民党の303議席が119議席に。
 民主党の112議席が308議席になった。自民惨敗 民主圧勝となった。
 小選挙区の恐ろしさが現れた。
この結果は、事前の世論調査通りとなった。政党支持率、党首の支持率で、選挙結果が予測できる。小選挙区は、票差が僅差でも負けは負けとなり、総議席数に大きな影響を与える。
 政治評論家の花岡信昭氏が今朝のメルマガで“「小泉選挙」の裏返しだ”と書いていた。(終わりに花岡氏のメルマガを掲載)

 自民党は1955年以来、第1党の座から転落し、本格的な「政権交代」が実現した。いつか、この日がくるかと思っていたが、それが今回だった。

 敗因は、自民党長期政権への飽き、選挙前の党内抗争、党首の不人気、国民の閉そく感が自公政権への批判となったこと。
 背景は、冷戦後の日本の経済停滞がじわじわと国民生活に及び、失業、格差などの影響が国民に直接、肌で感じられるようになったことで、その不満が自公政権に向けられたことだ。
 鳩山代表は、グローバリズムは良くないといっても、その中で日本は生きていることを忘れてはならない。
 なぜ、ユニクロが一番なのか。それは、商品のすべて(9割)を中国で生産しているからだ。その分、日本国内の繊維・衣料業界は衰退し、省かれたその製造・問屋などの流通に携わる雇用は失われる。
 日本は、いやでも世界の競争の中で打ち勝っていかなければならない。

 子ども手当て、高速道路料金の無料化、福祉の充実、すべて良いが、そのための財源をどうして生み出すかが重要だ。内需拡大・消費拡大といっても、それがすべて借金では、あとで返済が大変である。
 借金でなく、働いて稼いで儲けた金(税収)であれば良いのだが、借金ならばあとが大変になる。結局は、その付けが子どもや孫に行くことになる。

 小泉改革は、日本を再生するための構造改革で、それには痛みが伴うというものだ。
 そこで、苦しいからといって国債に依存するのではなく、子どもや孫にその付けを回さない政策を行うということだ。
 ところが、痛みがでてくると全てが小泉改革のせいだ、という批判になる。

 今回、小泉改革を批判して民主党が政権の座に就いたが、子ども手当て、高速道路料金の無料化、農業の戸別所得補償などのバラマキ政策で、その恩恵をうけた関係者は良いかもしれない。でも、その負担は、「自公政権のような国債発行はしない」「4年間は消費税を上げない」「行財政改革で生み出す」ということで本当に可能なのだろうか。

 小泉純一郎元首相ではないが「民主党マジックを見てみたい」ものだ。
 
 今日の日本の状況は、誰が政権を取っても舵取りが大変である。耳触りの良いことばかり言っても政策の実行はできない。

 例えば、後期高齢者医療制度だ。
 今、医者に行くと「世界一の日本の医療制度・日本医師会」というポスターが貼ってある。アメリカのオバマ大統領は、医療改革で大変な思いをし、そのために支持率が低下している。イギリスでは、医療費が無料でも、医者に行きたくても順番を数日待つという。

 後期高齢者医療制度、民主党は廃止という。
その対案は「選挙後」というのだから、早く代案を示してほしい、妙案はないと思う。批判は、簡単、しかし、具体案をだすと必ず皆が満足できるものはない。批判がでる。

 かつての日本は、高度経済成長で税収が伸び、その税収で手当てができた。今はそれができない。
 社会福祉予算は、毎年、だまっていても1兆円増える。
 福祉の充実は良いが、北欧では20%程度の消費税など高い税負担である。民主党は、福祉の充実のための税負担を国民に求めない。それで辻褄があうのだろうか。

 なお、クリス・フッド氏(英王立国際問題研究所研究員)は、民主党の政策は1997年に英国で保守党から政権を奪ったニューレーバー(新しい労働党)の考えに似ている。異なるのは日本は英国よりも所得税や消費税の税率が低い点であり、財源問題が焦点となるだろう。民主党は国民に対し「これらの政策を実現するためには税率の引き上げに踏み切らざるを得ない」と説明する必要が出てくる。(日経新聞、8月31日)―と述べている。

 鳩山政権に望むのは、選挙で示したマニフュストを着実に実行することである。
それができれば、民主党への不安が解消されて、国民も再評価するが、できなければ信を失うことになる。




(以下が、花岡氏のメルマガです)

≪「小泉選挙」の裏返しだ ≫

 長い間、政治の世界を見続けてきて、本格的な政権交代に初めて遭遇した。
 メディアの事前予測が出ていたから衝撃度は少なかったものの、民主300超が現実のものになるとは、この選挙戦がスタートした時点では想像もつかなかった。
 まあ、小選挙区制を軸とした選挙制度だから、こういうことが起きるのも、あり得ない事態ではない。カナダなどで前例はある。
 国民の審判なのだから、結果は厳粛に受け止めなくてはなるまい。とはいえ、民主党が勝った、というよりも、自民党が自滅的敗北を喫した、というイメージのほうが強い。

 今回の結果は4年前の裏返しである。小泉氏が「郵政改革」の一点に焦点を絞り、自民党をぶっ壊すとやって圧勝したのは、いったいどういうことだったのか。その総検証を自民党は怠ってきた。そのツケが一気に噴き出した。

 将来への漠たる不安が横溢する中で、民主党は「生活第一」を掲げ、「政権交代」の一点で大きな仕掛けに出た。ワンフレーズ・ポリティクスという点では、小泉氏と小沢氏の手法は同じだ。
 小泉チルドレンと同様の小沢チルドレンが主役となった。勝てば官軍の世界であって、「小沢ガールズ」と揶揄されようと何だろうと、選挙をしのいでしまえば怖いものはない。政治家は選挙で負ければタダの人、とはよくいったものだ。

 「鳩山政権」がスタートするわけだが、まだ現実感覚が出てこない。民主党のマニフェストは「ばらまき満載」のとんでもない代物だ。これを踏まえての政権運営がいかなるものになるのか、そこが見えてこない。
 だが、そんなこともこれだけの圧勝となると、すべて吹き飛ばされてしまう。だいたいが、マニフェスト選挙という掛け声の一方で、有権者はマニフェストなどまったく抜きにした投票行動に出た。

 鳩山氏の会見を聞いていて、国民のみなさまの「お暮らし」という表現に辟易とした。「お暮らし」である。なんでもかんでも「お」をつければいいというものではない。その「お」にポピュリズムがにじんでいる。

 それにしても308議席である。中曽根政権時代に自民300というのに出くわして驚いた記憶があるが、これをさらに上回る。
 そこで、民主党に対して心配するのもなんだが、巨大化したがゆえの「分裂圧力」が出てきはしないかと、そこが気になる。

 これが一部メディアの予測したように320に達していたら、また違った展開になっていただろう。320は3分の2ラインだ。ここに達すると、衆院再可決が可能になる。
 つまり、参院では単独過半数に至っていないことを気にする必要がなくなる。社民党に連立の誘いをしなくてもすむのだ。

 鳩山氏は社民党、国民新党との連立政権をつくると言明した。党内には旧社会党グループを抱え、社民党との連立でスムーズな国会運営を目指す。
 そこに、この政権のあやうさが浮かんでくる。日米安保体制をどう認識するかといったことから始まって、社民党は旧来型社会党と同じ体質だ。ここを気にしていたら、現実的な外交・安保政策など出てこようがない。

 実質的に選挙戦を仕切った小沢氏は、またまた「神話」をつくってしまった。これで一段とパワーアップし、事実上の院政体制が確立することになる。
 となると、党内の「反小沢グループ」がいつまでおとなしくしているか。これが自公と拮抗してかろうじて多数を制したぐらいの結果だったら、党内に結束力が強まるだろうが、これだけ膨張すると、存在感を誇示しようといろいろな動きも出かねない。

 自民党は自民党で、これだけの大敗北を喫してしまえば、そういってはなんだが、「さばさばした」対応も可能になる。新総裁がだれになるのかはともかく、ある種の求心力が出てくるだろう。

 しばらくは鳩山新政権への「ご祝儀感」が作用していくのだろうが、政治の世界、場面転換も早いのである。

shige_tamura at 10:08|PermalinkComments(3)TrackBack(0)clip!自由民主党 | 民主党

2009年08月30日

鳩山代表は「インターネットの普及は、時として制御不能の政治的混乱を引き起こしかねない」と主張

 高峰康修さん 2009年08月29日 21:07から以下の意見が寄せられました。

NYT紙の鳩山論文を読んで「これは、アメリカを激怒させる内容だ」と嫌な予感がしていたところです。国内向けの『Voice』9月号の論文の中からわざわざ反米的な要素を凝縮して米紙に寄稿するなど、外交的資質ゼロです。日米関係の悪化が目に見え、全くもって憂鬱です。

ということで、『Voice』9月号の鳩山代表の「私の政治哲学」を読みました。

あきれました。いろいろありますが、

とくに、
「マルクス主義とグローバリズムという、良くも悪くも、超国家的な政治経済理念が頓挫したいま、再びナショナリズムが諸国家の政策決定を大きく左右する時代となった。数年前の中国の反日暴動に象徴されるように、インターネットの普及は、ナショナリズムとポピュリズムの結合を加速し、時として制御不能の政治的混乱を引き起こしかねない」
―というのです。

驚きました。

今回の選挙は、新聞・テレビは「政権交代」を誘導する番組ばかり、ワイドショーは、酒井法子の覚せい剤報道ばっかりです。その中で、選挙について、自由に質の高い、まともな議論をしているのはインターネットの世界です。

インターネットは、民主党には制御できないメディアでしょうが、 「インターネットの普及は、ナショナリズムとポピュリズムの結合を加速し、時として制御不能の政治的混乱を引き起こしかねない」との記述は看過できません。

 これが、鳩山民主党のメディアに関する考え方です。

shige_tamura at 17:52|PermalinkComments(9)TrackBack(0)clip!鳩山由紀夫 | 民主党

2009年08月29日

民主党の5つの約束の問題点

ko(この写真は、昨日(8月28日)、小泉純一郎元首相の講演の時のものです)

以下は、僕の見解です。

選挙情勢は、政権交代の流れのなかにある。
選挙は、いつも1つか2つが争点になる。
今回は、政権交代が争点となった。
一度やらせてみたらいい。日本は民主主義国だから。ということだろうが。

重要なのは政策の中身です。問題は、民主党のマニフェストだ。

そこで、今回「民主党の5つの約束の問題点」を書いてみました。


1、国の総予算207兆円というが、本当にそうしたとらえ方でよいのだろうか。
年金積み立てなどの社会保険料も総予算という感覚でできるのだろうか。
これが可能かどうかは、今年の予算編成でハッキリする。

2、税金のムダと天下りを根絶しますというが。
ムダをどうして省くのか見てみたい。
また、天下りをなくして公務員の定年を延長するのか、それで、公務員給与2割カットはできるのか。

3、議員の世襲と企業団体献金は禁止し、衆議院定数を80削減します。
議員の世襲は自党でやればよいこと、企業団体献金をなくして、個人献金にするというが、企業団体献金と個人献金の関連などをどうするかが問題。

4、中学卒まで、1人当たり年31万2000円の「子ども手当て」を支給。
結構ですが、5.5兆円の財源をどうするのかが問題です。
その上、高校は実質無料化し、大学は奨学金を大幅に拡充します。
良いことですが、この財源が心配です。

5、「年金通帳」で消えない年金、結構ですね。
  
6、年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現すると、
これ平成15(2003)年マニフュストから4年後には具体案を示すといってましたが、
また、2007年のマニフュストの主要政策に、必要な財源15.3兆円のなかに年金基礎部分への消費税全額投入6.3兆円が入っていましたが、今回それがありません。
これって「消えた年金制度」でしょう。
結局、できないから具体論は「選挙後」に先送りしたのでしょう。

7、後期高齢者医療制度は廃止し、といっていますが具体論は「選挙後」ですね。
これって無責任ですね、具体論がないから言えないのですね。

8、医師の数を1,5倍にします。といいますが、不足している産科・小児科はどうするの。

9、「地域主権」を確立し、第1歩として、地方の財源を大幅に増やします。
これはいいですが、具体的にどうなるのか心配です。その中身がないのですから。

10、農業の戸別所得補償制度を創設。その財源はどうするの?

11、高速道路の無料化、これは愚策です。1000円にしても渋滞が起こって大変なのに、タダにしたら高速道路が渋滞道路になります。
それから、30兆円を超える赤字はどうなるの。今は、高速道路料金2兆円で借金を返し、道路の補修なども行っているのが、今度は、すべて税金ですか。道路を利用しない多くの人にしわ寄せがくるのです。これまた財源が心配です。

12、郵政事業の抜本見直しで地域を元気にします。
 具体的にどう見直すのですか、それで混乱が大変ですね。
郵便局を国営にして、それで本当に地域が元気になるのですか。

13、中小企業の法人課税を11%に引き下げます。
 もうかっている企業はよいのですが、大部分は「仕事は欲しい」というのが現状ですよ。

14、月額10万円の手当てつき職業訓練制度により求職者を支援します。
 それでも職がないという現状にどう対応するのですか。

15、地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てます。
 民主党のCO2削減目標を25%といっていますが、各家庭で年間負担が36万円も増加、その上に高速道路無料化で、自動車のCO2は増えますね。矛盾した政策をやっているのです。こんなことして新産業が育つどころか、今の産業が維持できなくなります。

shige_tamura at 15:31|PermalinkComments(1)TrackBack(0)clip!民主党 | 鳩山由紀夫

朝日新聞が「鳩山論文」に批判と報道

 今朝(8月29日)の朝日新聞は、
鳩山氏寄稿「米主導の市場原理で尊厳喪失」
米専門家が批判
「G7首脳、同意しない」
米紙に寄稿の「鳩山論文」相次ぎ批判

との記事を載せています。鳩山氏は、世界の中で日本が生きているとの認識があるのでしょうか、
 以下、掲載します。

【ワシントン=伊藤宏】民主党の鳩山代表が27日付の米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に寄稿した論文をめぐり、米国内に波紋が広がっている。「米国主導」の世界経済の体制を批判的にとらえ、アジア中心の経済・安全保障体制の構築を強調した内容が、米側の目には「現実的でない」と映るようだ。専門家らの間には日米関係の今後に懸念を抱くむきもある。

 鳩山氏は論文のなかで、「冷戦後、日本は米国主導の市場原理主義、グローバリゼーションにさらされ、人間の尊厳が失われている」と指摘。自ら掲げる「友愛」の理念のもと、地域社会の再建や、東アジア地域での通貨統合と恒久的な安全保障の枠組みを作る考えを強調した。

 これに対し、日本政治に詳しい米外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員は27日、朝日新聞の取材に「グローバリゼーションは米国式の資本主義、との批判だが、これはG20における日本の役割にとって、何を意味するのか。民主党政権は国際通貨基金(IMF)体制の支援から離れて、他の体制を見いだすのか。経済再生の努力から優先順位を移すのか。米ドル体制の支援とは、別な立場をとるのだろうか」と疑問を投げかけた。

 元米政府関係者は「オバマ政権は、(鳩山氏の)論文にある反グローバリゼーション、反アメリカ主義を相手にしないだろう。それだけでなく、この論文は、米政府内の日本担当者が『日本を対アジア政策の中心に据える』といい続けるのを難しくするし、G7の首脳も誰一人として、彼の極端な論理に同意しないだろう。首相になったら、評論家のような考え方は変えるべきだ」と批判した。

 別の元米政府関係者も「グローバリゼーションについての米国への批判は一方的に過ぎるし、日米同盟の重要性に触れたくだりも、非常に少ない。鳩山氏はもっと日米関係に理解のある人だと思っていたが、変わったのだろうか」と話す。

 ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストは、いずれも27日付で、日本の総選挙に関する記事を掲載。いずれも民主党が勝利して政権交代が起きる可能性が高いことを伝える内容で、今回の総選挙に関する米国の関心の高さを示している。

shige_tamura at 15:15|PermalinkComments(1)TrackBack(0)clip!民主党 | 鳩山由紀夫

2009年08月28日

小泉純一郎元首相の演説会は超満員でした

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 昨日の2カ所目(町田市)も超満員でした。
 小泉純一郎元首相の演説会は、どこも大盛況でした。

小泉純一郎元首相の演説会は満員

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 昨日(8月27日)、小泉純一郎元首相は、第1カ所目が東京都三鷹市の個人演説会でした。ここでも満員でした。


2009年08月27日

講演録「民主党批判」(田村重信)(その6、おわり)

 これは、僕の「民主バラマキ政策を検証する会」(自民党愛知県連主催、8月12日、名古屋ウエスティンナゴヤキャッスルホテル)での講演録です。


 インド洋の補給支援をやめたら大変なことになる


 それから、「政策INDEX」ということでいろんなことを民主党は用意してるんですよ。日本がいかに悪い国だったか。もっともっと戦後賠償しなければいけないだとか、永住外国人に地方参政権を与えよだとか、夫婦別姓を実現しよだとかね。
 うちのかみさんなんか外国人ですよ、関係ないんだから。だって世間では邱淑恵という名前で通ってるから、それでいいわけですよ。パスポートは田村淑恵なわけです。そんならべつにおうちでどうのこうのっていう話じゃないでしょう、と思うんですね。(わざわざ夫婦別姓にしなくても)

 それからインド洋での補給支援、やめますって言ってるわけでしょう、法律が切れるから。
 これ(アフガニスタン、主要8カ国(G8)の活動状況)見てください。G8の主要国。不朽の自由作戦(OEF)の「陸上での活動」と「海上での活動」、それと国際治安支援部隊(ISAF)(地方復興チーム(PRT)として派遣される部隊を含む)の活動です。
 G8の主要国は、どのどれかの活動をしています。日本は、「海上での活動内容」だけです。他の国は、「陸上での活動」「海上での活動」、「国際治安支援部隊(ISAF)」などに参加しています。ロシアは例外で協力はしていません。それは、ロシアがアフガン戦争をやった国の関係です。だから、遠慮して参加していないのです。
 民主党政権になると、今度は、日本は全部に参加しないことになるでしょう。そしたら、世界からどう見られるかですよ。補給支援活動を中止すると、主要8カ国の中で、部隊派遣の形で参加しない国は日本とロシアのみになるのです。
 湾岸戦争のときにおカネは出したけれども「日本は国際的な貢献してないね」ということで、それで海上自衛隊の掃海艇を出した。その後、PKOの法案をつくって、それでやってきたんです。

 ところが、またぞろ逆戻りするのではないかというようなことを思うわけであります。


 厚生労働大臣 舛添要一の民主マニフュスト批判


 次に「民主党の財源の問題」で、これを数字にした表で、「埋蔵金」活用と政府資産売却(合計5兆円)、これは恒久財源ではないのです。それから、自民党と民主党の違いということでは、成長戦略があるかないか、財政再建の話もあまりないし、それから安全保障、防衛の話も全然ありませんということでございます。
 それから、「民主党のマニフェストに対する見解」ということで、厚生労働大臣の舛添(要一)先生が反論をしたわけです。
「厚生労働行政について、いかに現実的で安心と希望を持てる選択肢を国民に提示していくか、そこを競うべきである」ということ、それから「民主党には少子高齢化社会における給付と負担のビジョンがない!」では、「給付と負担のビジョンが決定的に欠け、現実味がない。仮にムダを省いて財源を捻出するというのであれば、まず現在の社会保障や雇用の給付を削らないということを明示すべきである」

 それからいろいろ民主党は言ってますが、それは「政府与党が即に取り組んでいるもののコピーが多い」と。それから「給付を上げれば保険料も上がる」んですよと。そこをやっぱり言わないというのは無責任だということなわけでございます。


 後期高齢者医療制度を廃止して、どうするのか


 時間の関係で、あとはまた愛知県連の政調会の方から素晴らしい表をつくってもらって、説明してもらいますが、最後に、後期高齢者医療制度の問題なんですが、この問題については、小泉(元)総理がこんなことを言っていました。
 医療保険の窓口負担は、75歳以上は1割です。(現実には70歳から74歳も1割なんです。)6歳以下が2割です。それから現役が3割ということで、福祉予算、高齢者に配慮して手厚くしてるんだということと、これから予算配分もできるだけ乳幼児の対策もあるし、子どものために振り向けなきゃいけないという総論は非常に賛成だと。みんなそういうけども、いざ議論になるとなかなかうまくいきませんねということでございます。
 それから医療制度というのは、だれが政権を担当しても変わらない三つのことがある。一つは、保険料負担。健康な人もおりますが、それをどう負担するか。
 二つ目は、税金をどう投入するのか。
 三つ目は、病気になった人の負担をどうするのか。
 この三つの組み合わせしかない。
 そして、75歳以上を最も手厚くしているのだ。だから、そういう意味で、今の長寿医療制度、それが後期高齢者制度は悪いということを言うならば、それじゃ一律にしたらどうなるのかということです。そんなこととてもできないだろう。それから保険料アップ、それから税金を上げて消費税を上げる。これもなかなかできないでしょう。それから患者の負担を増やすということもなかなか、例えば現役から4割取るとか乳幼児から3割にするとか、それだってなかなかできないでしょうということです。
 一律にしたら、もっと反発が出てくるということなんです。だから、廃止しろと民主党は言っていますが、具体的な対案がないんですよ。あるはずがないですよね。今この制度、非常に評判がよくなっているわけですから、これを廃止したらいろんな不具合が生じてくるということなんですね。
 民主党は、後期高齢者医療制度を廃止するというが、対案はというと、「選挙後」というのです。


 民主党は不安をあおるだけ


 というようなことで、民主党がそのときどき問題をとらえて不満を、不安を「ばーっ」と増強をして、高速道路をタダにするとか、ガソリン税をタダにするとかって「わあーっ」て言っちゃうものですから、結局、そのツケが今回のマニフェストに出てきて、いちばん大事な年金(制度設計)の問題は、今回は口をつぐんだままなのです。
 だから、そういうことをわれわれ責任政党は系統だってきちんとフォローして、攻めるべきは攻める、そして、またこちらで主張すべきは主張するこということでやっていく必要があるのだと思います。

 まだ約20日間ありますけれども、これからの戦い方によっては十分勝算があると思います。今、私の話が少しでも役に立って、1人でも多くの人にこの話が伝えられれば幸いだと思いますし、あとは毎日、できるだけブログを更新してたり、あるいは今、自民党のホームページが政策的に非常によくなってきています。

 そこで、今日お持ちした簡単な資料がありますが、これも自民党のホームページからこういうふうに簡単に、「成長戦略なき民主党『経済政策』」、こういう簡単なものからもっと詳しいものまで入って、自民党のホームページでいろいろと資料提供はなされているということでございますので、具体的な話はそこからお読みとりいただく、あるいはこれから県連の政調会の専門の方から具体的にお話しいただけると思いますので、私はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました(拍手)。

(おわり)
(この講義録は、当日の講演に若干加筆いたしました)

参考)「手作りチラシ集積サイト」は、良いです。見てください。

shige_tamura at 12:43|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!講演録 | 自由民主党
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