2008年06月

2008年06月23日

小沢代表「名誉毀損」―講談社側の勝訴が確定

小沢報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊之取材メモ)(6月20日)によると、名誉毀損裁判が、講談社側の勝訴が確定したとのこと。
以下、関係記事を掲載します。

「事務所費」問題ーー『週刊現代』2審も勝訴。小沢一郎上告せず

 2007年始め、大手マスコミでも取り上げられた民主党・小沢一郎代表の「事務所費」問題ーー本紙ではそれを機に、マスコミ随一かと思えるほど徹底して報じた。もっとも、これより半年以上先駆けて報じていたのが『週刊現代』(06年6月3日号。長谷川学氏の署名記事)。
 これに対し、小沢氏と民主党は同年9月7日、発行元の講談社と長谷川氏を相手取り、謝罪広告と6000万円の損害賠償を求めて提訴。だが、1審に続き、6月4日の2審も「マンションは個人資産と言われても仕方がないのではないか、との論評の域を出ていない」として小沢氏の請求を棄却した。
 なお不満なら、2週間以内に上告できたが、小沢氏はせず、講談社側の勝訴が確定した。

 とはいえ、小沢氏側2審も敗訴の件は、全国紙もNHKも一切報じなかったから、ご存じない方は多いだろう。何も政権交代があり得るこの時期に、自民党を利するような報道をしなくても、との意見もあろう。本紙は「次期総選挙で政権交代なければ日本の将来なし」とまで思っているが、それはそれ。・・・・


 なお、これに関連した産経新聞(6月21日)の記事を掲載します。

 小沢代表の不動産10億円−「陸山会所有」認めず、2審も敗訴
                     

 民主党の小沢一郎代表が、隠し資産を所有しているかのような記事を「週刊現代」に書かれ、名誉を傷つけられたとして発行元の講談社などに損害賠償を求め、小沢氏が敗訴した今月4日の控訴審判決の中で、小沢氏が資金管理団体「陸山会」の所有とし、自身の個人所有ではないとしている不動産資産について「各マンションが陸山会のものであると断定することはできない」と認定していたことが20日、分かった。

 また、陸山会自体に関しても「(運営の仕方などについて)第三者が知る機会は保証されておらず、権利能力のない社団としての実態を有するかどうかは不明」と指摘している。

 小沢氏は昨年2月の記者会見で、陸山会が都内などに計13件総計10億2000万円の不動産を購入しており、登記簿上の所有者は小沢氏となっていることについて、「私個人としては何の権利ももっていない」と主張。自身の名義になっている理由に関しては「権利能力なき社団である政治団体での不動産登記は認められておらず、登記は個人名で行われるべきことになっている」と説明していた。

 小沢氏は、週刊現代が平成18年6月3日号で「小沢一郎の『隠し資産』6億円超を暴く」との見出しの記事を掲載したのに対し、6000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたが、1審の東京地裁は「前提事実の重要部分は事実」として請求を棄却。
 2審の東京高裁も4日、1審判決を支持し、控訴を棄却した。

shige_tamura at 17:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!小沢一郎 

教育再生のために ― 親子で『論語』を素読する気運を(その5)

論語「「論語」百章ー子供と声を出して読みたい」(岩越豊雄著、致知出版社)で有名な石塾 塾長 岩越豊雄さんが「日本論語研究会」(4月12日)で講演をされました。今回は(その5)です。

五、幼少期にこそ論語を

 それからもう一点、教育改革の視点として申し上げたい事があります。

 それは一流の本物の良い文章つまり古典を子供時代に読ませるという事です。
 私も「石塾」というものをやっておりますが、『論語』の素読を子供たちは本当に喜びます。非常に簡潔で名文で短い文章で、なにか立派そうな事が書かれてあるのを子供たちは喜ぶのです。

 斎藤孝さんという方が『声に出して読みたい日本語』という本を出しておられます。あの方が言っております。『論語』だけでなく宮沢賢治の詩とか短歌とか百人一首とか子供に素読させた。その中で子供が一番喜んだのは『論語』だったと。
 今度、世田谷区で出した「日本語」という教科書では一・二年生の教科書に宮沢賢治の詩と一茶の俳句とか漢詩が出てきます。もちろん『論語』も出てきます。
 こういうものは子供には難しい、一般にはそう思われます。それは、大人の錯覚です。そうじゃないのです。子供は、特に四年生位までは臨界期といって、凄い吸収力があります。そういうものをどんどん吸収するのです。確かに、五、六年になると、ちょっと自我が出てきますから、ただ上からさせられると抵抗があります。
 しかし、このように、子供時代に本物の古典を教えるという事は、非常に大切なことだと思います。

 私も小学校の教員をやっておりましたが、日本の国語の教科書は薄うえに、つまらないものが載っている。たとえば「モナリザ」という詩、「モナリザは私が右に動くと右を見る。左に動くと左を見る。不思議だな」。そんな子供の詩です。(会場笑)。
 そんな詩が乗せてある。いいですよ、別に悪いとは言わないけれども、ただでさえ薄い教科書に、そんなものが載せてある。子供達の一番吸収力のある時に、その時間を無駄にして、つまらないガラクタが詰め込まれている。子供が不幸です。

 実は先日、『論語』百章の本を読んだ広島の方から電話がありました。幼稚園生だそうです。一緒に『論語』を素読しているそうです。その子が、幼稚園で友達をいじめている子に向かって「己の欲せざるところは人に施すことなかれ」(場内爆笑)。
と言ったそうです。
 園長さんがびっくりして、「お宅はどんな教育をしているのですか」という問い合わせが有ったそうです。「家(うち)では子供と『論語』を素読しています」といったそうです。将に至言です。子供にもなんとなくその意味は分かるのです。

 とにかくまず、親子で論語を素読してみてはどうか、そうすれば、子供に、ああしろ、こうしろといわずに、基本的な人間としての在り方がわかってくる。出来るかどうかは別として、それが大事だという事です。

 いま、阿川弘之の「大人の見識」(新潮新書)という本がベストセラーになっています。最後の章は「孔子の見識」です。「大人の見識」をつけるには、やっぱり「論語」を学べということでしょうか。阿川さん自身、お子さんと、食事前の五分間『論語』を一緒に素読したって書いてあります。
 いま慶応義塾大学教授の阿川尚之さんです。
私の本に推薦文を寄せて下さった葛西敬之さん(JR東海会長/教育再生会議委員)も子供の頃にお父さんから『論語』の素読を受けてそうです。
 お父さんは高校の国語の先生だったそうです。毎週日曜日にお父さんから『論語』を素読させられたそうです。小学五、六年の時だそうです。お父さんが出張で居ないときはホッとしたそうです。
 イヤだったと、正直におっしゃっています。けれども、子供時代に素読を受けたことがで、大人になって経営者として、また国鉄改革をする上で、非常に力になったと、おっしゃっています。
 
 やっぱり、子供時代が大事なのです。
 そういう意味で、子供時代に古典中の古典である、『論語』を親と子で素読する。ご飯の前に五分間だけでもいいから素読する。そういう機運が日本中に広がれば。確実に、日本の教育の再生につながると信じています。それは、本当に具体的で、単純な一番分かりやすい教育再生の方法です。

民主党と自治労の関係

 橋本僕が前から問題視していた、民主党と自治労の関係
について、今朝の日経新聞で、橋本大二郎氏(前高知県知事)が知事の経験から批判しています。
 今、大阪府の橋下知事も職員の人件費削減問題で苦労しています。

 以下、橋本大二郎氏のコメントを掲載します。


「政論異論」(日本経済新聞、6月23日)
 橋本大二郎氏(前高知県知事)政界再編の触媒約めざす

―民主党による政権交代では駄目なのか。

「民主党は『改革』といいながら、自治労を有力な支持基盤としていることに強い疑問と違和感を持っている。
 自治労は自分が知事になって闘ってきたものの一つ。
 地方の活力を奪ってきた責任は非常に大きい」

shige_tamura at 11:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!民主党 

2008年06月20日

マイケル・グリーン氏の講演録(その1)

グリーン去る6月11日、「日米同盟について」というテーマで、マイケル・グリーン氏・米国CSIS(戦略国際問題研究所)日本部長、元NSC上級補佐官が、自民党本部で講演した。
 以下、講義録を記載する。

 ご紹介有難うございました。
 戦略国際問題研究所のグリーンでございます。
 実は今日は国防3部会の会議に出席するのは初めてではないのですが、実はちょうど20年前に当時この前亡くなられた椎名元代議士の秘書として、この部屋で行われた国防部会に参加したのです。
 私の記憶は確か、テーマは当時は「スパイ防止法」の話でした。今は情報保全法(秘密保護法)ですか、もう少し耳ざわりのいい言葉を使いますけれども。ですから本当に、今日は20年前を思い出して懐かしくうれしい思いでございます。

 今日は、日米安保の現状、そして米国の大統領選挙、それから私はマケイン候補者のアドバイザーで、マケイン政権の対アジア外交はどうなるか、という3点ぐらいについて意見交換させていただきたいと思います。時間があれば北朝鮮問題とか中国の軍事力の強化などについても触れたいと思っています。

 日本の取材、日本の新聞、テレビを見る限りオバマ候補者はとにかく勝つという雰囲気なのですけれども、私の研究所に日経新聞の研究員が1人おりまして、その方に頼んで日本の新聞にオバマさんの名前とマケインさんの名前がどれぐらい載っているかという調査を頼んだところ、オバマさんの名前はマケインさんの2、3倍くらい新聞に出ています。なんとなくオバマブーム、名前もなんとなく日本人ぽい名前で、今オバマさんが勝ってオバマ政権になるのではないか雰囲気が、なんとなく日本にあるんじゃないかと私は思うのです。

 確かに今回の選挙で民主党が有利、民主党の強い点がいくつかありまして、特にブッシュ大統領の人気は今30%くらいですけれども、福田さんは26%ぐらいですか、もうちょっと頑張ればブッシュさんと同じくらいになるのですけれども、この30%の支持率というのは、米国の大統領にとってはちょっと低い方になります。
 それからアンケート調査によると、米国では毎年、国民を対象に「国が進んでいる方向はどうか」というアンケートが行われますが、今回初めて8割以上が「国の方向は良くない」と回答したのです。
 加えて、景気の問題や、オバマさんが予備選で今まで選挙に参加していない若い有権者の政治参加を促したため若者の投票率がものすごく高いこと、他にも共和党より珍しく民主の方がお金があることなど、いろいろな点で、歴史的、構造的に民主党の有利な点があります。確かに議会選挙では既に上院、下院とも民主党が過半数を持っていて、これからも増えるということはほとんど確実です。

 しかし、大統領選は議会選挙や日本の選挙と違って、有権者は大統領を決めるときは、候補者は核兵器のボタンに指を乗せていて、いざというとき自分の家族を本当に守る気があるか、本当に経済のために頑張ってくれるか、性格は良いか、米国の国際社会の代表というか指導者として尊敬されるか、このような点をみて投票します。

 つまり米国の有権者は、候補者の政党よりも、候補者の資質や性格で判断するのです。
 ですから最新のアンケート調査をみますと全国の支持率でマケインが46%、オバマが48%ですが、2%ぐらいの差というのはほとんど意味がないので、人と人の戦いだとほとんどタイです。ご存じのとおり米国の大統領選挙は選挙人制度です。
 ですから、全国の支持率よりも各州別に、候補者はどれだけ支持率があるかということの方が意味があるのですが、だいたい50州の中で約20いくつかの州、ほとんど南部の方が必ず共和党、北東はほとんど民主党、真ん中のペンシルベニア州とかオハイオ、ウイスコンシン、ミネソタ、フロリダ、オレゴンといった12州ぐらいがいわゆるスウィングステイト、つまり共和党も民主党も、どちらが勝ってもおかしくないのです。
 スウィングステイトの中の今のアンケート調査を見るとマケインが有利です。特にフロリダ、オハイオ、ミシガン。

 ですから今回の大統領選の結果は構造的、歴史的には民主党が有利ですが、本当に一寸先は闇、本当に見通しできないのです。
 二人とも前例のない候補者、マケインが71歳で、レーガン大統領が立候補したときより一つか二つ上、最高齢の候補者です。それからもちろんオバマさんは最初の黒人の候補者です。
 米国の有権者が最終的にどちらを支持するか、しないか、というのは政治学者は本当にわからないのです。
 そして二人とも自分の政党の非主流派の候補者、民主党だとヒラリー・クリントンが主流派、共和党だと最初はマケインが一番強いと思われていたけれど、ただ、主流派じゃないですよね。主流派の候補者はロムニー知事であったのです。
 ですから初めて両党とも非主流派の候補者が戦います。
 ですから二人とも党内にある無所属の票、共和党はだいたい3割ぐらい、民主党がだいたい3割ぐらい、この票を獲得すべく、オバマ氏もマケイン氏も目標に活動しています。

 二人とも性格が非常に尊敬されています。
 ご存じのようにマケインさんがベトナム戦争のベテランで、オバマさんも非常におもしろい経歴で、お父さんがケニアから米国に留学して、そしてその後お母さんが離婚してインドネシア人と結婚したので、子供の頃インドネシアに4年間子供のときに住んでいたとか、黒人で初めて、ハーバードロースクールの雑誌の編集局長、これはハーバード大学でとても力のあるポストなんですが、これに入ったとか、二人とも本当に性格が良く尊敬されている。

 ただ弱点もあるんですね。
 マケインの弱点はやっぱり2つあって、1つは歳の問題です。
 例えば討論会でマケイン候補者がちょっと「おじいさん」ぽく見えることがあると、すぐマスコミに批判されます。
 僕は本人に何回も会いましたが、非常に若くて元気ですよ。
 本人に会ったら60歳ぐらいというイメージなんですが、テレビではそういう風にみえないので、討論会で質問が聞こえなかったり、人の名前を忘れたり、といった老人ぽいことをしてしまうとかなり支持率が落ちるという危なさがあります。

 それからもう一つは、マケインさんは共和党ですが本当に独立した、私が昔働いていた椎名先生みたいに本当に頑固で非常に独立した、戦略性を持ち、自分の原理原則を守るようないわば小泉型というような政治家なのです。
 それで、例えば民主党のケネディ議員との移民政策法案の協力とか、民主党のリーバーマン議員との地球温暖化防止に係る法案のように超党派の法案作りの経歴がかなり多くあります。
 ただ、ブッシュ大統領はあまりにも人気が無いので、オバマさんと民主党は今一生懸命「マケイン政権になったらブッシュ政権の3期目だ」「ブッシュ、イコール、マケイン」というところを攻撃していて、やっぱりそれは弱点なのです。
(以下、次回へ)

円安バブル崩壊(野口悠紀雄著 ダイヤモンド社)

円高「円安バブル崩壊」(野口悠紀雄著 ダイヤモンド社)に、民主党の2007年参議院選挙のマニフェストの年金対応がおかしいとの批判が記されていた。


第6章 年金改革をいかに進めるべきか

7.必然性がない税方式への移行

 年金を税で賄う方式が脚光を浴びている。
 日本経済団体連合会の御手洗富士夫会長が、基礎年金の全額を税で賄う「全額税方式」の導入に前向きな姿勢を明らかにした。福田康夫総理大臣も、自民党総裁選挙の議論のなかでこの考えに柔軟な姿勢を示した。

 民主党は2007年参議院選挙のマニフェストで全額税方式の年金改革を提言しているので、福田総理や御手洗会長の発言は、民主党との政策協議の誘い水にしようとする意図があるのではないかと言われている。

 なお、経済同友会は、07年春に、税方式で新たな基礎年金を設ける構想を示している(このため、消費税率を16%まで引き上げる。なお、報酬比例部分は民営化する)。

 さて、基礎年金の国庫負担率は、09年度までに、財源を確保したうえで現在の3分の1から2分の1に引き上げるべきことが決まっている。このためには、約2.5兆円の財源が必要だ。これは、消費税の税率でいうと、ほぼ1%に相当する。

 ところが、消費税の税率引き上げについては、安倍晋三前内閣が「07年の秋以降に議論を行う」として検討を先送りしていたために、基礎年金国庫負担率引き上げも宙に浮いたかたちになっていた。

 消費税の税率引き上げを提示することは、政治的には容易なことではない(増税は常に困難な課題だが、この問題に関しては民主党が消費税の税率引き上げに否定的なので、余計難しい)。
 そこで、「いっそのこと、年金制度の抜本的改革とセットで、消費税率の税率を一挙に数パーセント引き上げる」という案が登場したとしても、不思議ではない。

 また、国民年金の保険料徴収が進まないという事情もある。現在では保険料を納めていない人が4割近くまで上昇しているが、これに対する有効な手立ては見つからない。そこで、「徴収がより確実な税に財源を切り替えよう」と考えられているのかもしれない。
 

現行制度との連続性確保は難しい

 しかし、税方式への移行については、財源確保以外にもいくつかの困難な問題がある。
 これについては、民主党マニフェストに対する批判として、本章の6で論じたのだが、もう一度この問題を取り上げることとしよう。

 大きな問題は、次の2つだ。
 第一は、移行期の問題である。年金制度はすでに数十年にわたって継続しているので、白紙に新しい制度を描くのとは違う。これまでの制度との連続性が確保されなければならない。しかし、これは困難な課題である。
 特に問題となるのは、これまでの制度で保険料を支払ってきた人と、支払わなかった人(あるいは、不十分にしか支払わなかった人)との区別だ。まず、未払いがなかったとしても、年齢によって累積支払額は異なる。それらを同一に扱ってもよいだろうか?

 さらに、国民年金については、最近の時点では約6割の人しか保険料を納付していない。未払いの人のなかには、「年金はいらないから、保険料は払わない」という「確信犯」も多いに違いない。これらの人に対して、完全に支払った人と同額の年金を給付するのでは、「正直に払った人が損をする」ことにならないか?

 こうした問題に対処するには、保険料支払者が存在する世代に対する給付は、保険料支払額を考慮して年金額を調整しなければなるまい。その計算は複雑だし、年金給付においては、「保険料方式」が残存し続けることになる。この移行が完了するまでには何十年もかかるだろう(じつは経団連は1998年に「税方式」を提言したが、保険料をすでに納めた人に不公平感が生じるという批判があって、議論は沙汰やみになったという経緯がある)。
 
 第二の問題は、所得制約だ。全額を税で賄う給付は、実質的には公的扶助(生活保護)である。したがって、所得制約が必要になる。

 問題は、この「所得」としていかなるものを採り、それをどのように捕捉するかである。給与所得とすれば、給与所得者に著しく不利である。また、年金受給年齢において労働を続けることに対する強い阻害要因となる。

 現在の厚生年金の在職老齢年金は、給与所得によって年金の減額または停止を行っている。基礎年金について給与所得だけを基準にして所得制約をかければ、現在の在職老齢年金とは比較にならぬほどの不公平と歪みが発生する。

 ところが、事業所得や資産所得等を含めた所得を正確に補足するのは、現在の徴税体制では困難だ。特に資産所得については、分離課税になっているものが多いため、現在の体制では把握ができない。しかし、資産所得を除外して所得制約を課するのでは、高額の資産を保有する高齢者に著しく有利である(本来は、そうした人に対する年金をこそ制限すべきであるにもかかわらず)。

 したがって、税方式の年金に移行するのであれば、現在の所得税制を抜本的に改正して完全な総合税制度を確立し、所得捕捉を完全に行う必要がある。これは、言うは易く実現はきわめて困難な課題である。

社会保険庁がダメなら国税庁が徴収すべきだ

 以上のように考えればわかるように、最も本質的な問題は、「税方式に移行することの必然性は何なのか?」ということである。

 「社会保険庁による保険料の徴収に問題が生じているから、徴収がより確実な税にしよう」と考えられているのであれば、まったくの見当違いだ。

 社会保険庁が保険料の徴収能力を持っていないと判定されたのなら、それへの対処は、保険料を国税庁が徴収することである(事実、アメリカなどの制度はそうなっている)。「保険料を国税庁が徴収すること」と、「保険料という考えをやめて税にすること」とは、別のものなのだ。

 前者の場合、保険料納付と年金給付は関連づけられている。保険料を納めなかった人、あるいは必要な期間納めなかった人には、年金は給付されない。しかし、後者の場合、このような関連づけは存在しない。

 したがって、「保険料方式ではなく税方式がよい」というのは、「負担と給付のあいだに関連をつけなくともよい」という考えなのである。そうした考えに立つなら、「なぜ関連づけないほうがよいのか」を、説得的に示さなければならない。関連づけをしない給付は、「年金」という名称で呼ぶとしても、その実態は年金ではなく、高齢者を対象とする公的扶助である。

 したがって、「高齢者だけを対象としてなぜ高額の公的扶助を行なわなければならないのか?(若年のワーキングプアをなぜ見捨ててもよいのか?)」を、説明しなければならない(私の考えでは、これは正当化できない)。また、公的扶助に所得制約は不可欠だから、どのようにしてそれを実行するかを示さなければならない(私の考えでは、それは不可能である)。

 そして、これまでは「関連づけが必要」として保険料方式を採ってきていたのだから、なぜ現時点でその考えを180度転換しなければならないのかを、説明しなければならない(私の考えでは、納得できる理由はない)。

 最近脚光を浴びている「税方式」の論議は、こうした疑問に対して納得できる答えを示せるものではないと考えられる。


shige_tamura at 13:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!民主党 

2008年06月19日

「与党・国際平和協力の一般法に関するPT」中間報告

与党 先ほど、与党・国際平和協力の一般法に関するPTが終わりました。
 その結果、以下の中間報告が取りまとめられました。


「与党・国際平和協力の一般法に関するPT」中間報告

 当PTは5月23日に第1回会合を開催し、別紙の基本合意を行った。
 以後、下記の4項目の論点について9回に亘り熱心な議論を行った。その議論の結果を下記の通り報告するが、これらの項目については、与党政策責任者会議で合意の上、引き続き当PTで協議する。


(記)


1、国連決議のある場合・ない場合
(1)。丕烹蓮↓国連決議のある国際平和協力活動について、わが国にとってふさわしい範囲で参加を得ることを検討する。
(2)4慙国連決議のない国際平和協力活動については、引き続き議論する。

2、わが国の行う活動内容
(1)停戦監視任務、後方支援任務の実施を引き続き検討する。
(2)人道復興支援任務の内容の拡充を検討する。
(3)新たに警護任務を付与するか否かについては、武器使用権限との関係も併せて引き続き検討する。
(4)文民の任務を拡充し、派遣に当たっての安全確保の枠組みについて検討する。
(5)船舶検査等、その他の活動内容については引き続き議論する。

3、憲法第9条との関係
(1)従来の憲法解釈を前提とする。
(2)PKO参加5原則を維持する。但し、現在展開されているPKOの実態にもとづき、その運用のあり方について検討する。
(3)上記(2)以外の場合のわが国の活動は、いわゆる「非戦闘地域」に限定する。

4、国会の関与
自衛隊の部隊の派遣については、原則として個別案件ごとに国会の事前承認を要することとする。

以上


岡田克也氏が本を出版

岡田民主党の岡田克也氏が本を出したというので、早速買って読んだ。
 タイトルは「政権交代」だ。
 榊原英資氏が先だって文藝春秋から「政権交代」という同じタイトルの本を出した。
 
 岡田本は、タイトルの”パクリ”かと思った?


 読んだ感想は、内容が昔話ばかりで、民主党が政権を取ったらどうなるか、といった具体的なことがない。
 政策がない。
 かつて小沢一郎氏が同じ講談社から「日本改造計画」を出したが、これは、内容のある政策本だった。
 それに比べ、岡田氏の本は、政策についてはスローガンだけが並んでいた。

 この本、迫力がない。「なんでかな」と思った。
 本には、

 「政治家になろう」
  その気持ちが固まっていったのは、三十歳を過ぎたころだったろうか。

と書いてあった。この辺が不明確だからである。

 政治家で大事なことは、何のために政治家になるのかという明確なビジョンである。彼には、それがない。


 榊原英資氏の「政権交代」の方が内容がある。

 でも、岡田本は、多くの人に読んでもらいたい。
 そして政治を考えてもらいたい。
 

shige_tamura at 09:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!民主党 | 岡田克也

2008年06月18日

小沢一郎のメディア戦略

小沢1民主党の小沢一郎代表は、20日に「選・小沢一郎 あちきの浮浪雲」(小学館)の厳選マンガ作品に解説入りの本を出す。
 これは、9月の代表選を意識したもの。

 それに加えて、次期衆院選に向けて地方行脚を開始した。

 これは、地方を回るとその県のテレビや地元紙が大きく報道する。
 そのため、大勢の人を集めなくても、視察やミニ懇談会をするだけで、大きくその地域で報道してくれる。その方が、マスコミ戦略的には効果があるというものだ。

 その際に、小沢氏のバックが田畑や老人ホーム、保育園、工場などであれば親しみがそれだけ持てることになる。


 以下、関連記事を掲載する。


「地元メディアを重視―民主、衆院選向け戦略」
(6月16日、共同通信・琉球新報)


 民主党が次期衆院選に向け、地元メディア重視の戦略を展開している。参院選よりも「地域密着の戦い」になるためで、少しでも大きく取り上げてもらおうと、小沢一郎代表や鳩山由紀夫幹事長の全国行脚では、地元メディアを意識した視察や記者会見を積極的に設けている。

 「民主党の鳩山が直接ごあいさつにうかがいました」。15日、山口市中心部の商店街を練り歩いた鳩山氏は、買い物客や商店主らに駆け寄り次々握手して「気さくさ」をアピール。地元メディア向け会見では「本来自民党支持者が多い商店街で、現政権への強い憤りを感じた」と民主党の勢いを強調して見せた。

 小沢氏も各地で、国会では見せない笑顔を振りまいている。9日の新潟県五泉市での農業視察では、地元農家が作ったイチゴやサトイモをほお張って見せ、その翌日も奈良県葛城市のネギ農家で「うまい」を連発しながら牛肉のネギ巻きを口に運んだ。いずれも地元のニュース番組を意識した演出だ。

 民主党幹部は「地方に行けば地元紙や地元テレビが比較的大きく扱ってくれる。その地域に『民主党』を印象付けるには効果的だ」と指摘する。

 もっとも、小沢氏は戦略が勝利に直結するとは考えていないようで、13日の公認内定者との会合では「自民党は腐ってもタイ。底力がある」と強調。「風」に期待せず地道に選挙区を回るよう叱咤した。

shige_tamura at 17:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!小沢一郎 
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