2008年04月

2008年04月18日

名古屋高裁におけるイラク空自活動に関する判決を理解するために(続)

 名古屋高裁におけるイラク空自活動に関する判決について(平成20年4月17日)


1 判決のポイント

(主文) 

 控訴を棄却(自衛隊のイラク派遣等の違憲確認及び差止めを求める訴えは却下、損害賠償請求は棄却。)

(判決に示された傍論)

 現在のイラクにおいては国際的な武力紛争が行われているものということができ、とりわけ、バグダッドは、イラク特措法にいう「戦闘地域」に該当する。
 空自の空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドへ空輸するものについては、他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない。
 現在イラクにおいて行われている空自の空輸活動は、イラク特措法2条2項(武力行使を禁止)、3項(活動地域を非戦闘地域に限定)に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる。


 2 政府の基本的な考え方

(判決について)

 自衛隊のイラク派遣等の違憲確認及び差止めを求める訴えは不適法なものであるとして却下、また、損害賠償請求は、法的根拠がないとして棄却された、国側勝訴の判決。
 本判決の空自の空輸活動を違憲と判断した部分は、判決の結論を導く上で必要のない下級審における傍論にすぎず、最高裁にその是非を問うこともできないから、政府として、これに従う、従わないという問題は生じない。
 控訴人の請求は、自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するか否かを判断するまでもなく、却下あるいは棄却されるべきものであるため、政府は自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するか否かにつき主張・立証する必要はなく、実際にそのような主張・立証はせず。

 したがって、こうした中で、判決の結論を導く必要がないにもかかわらず示された今回の高裁の見解について、納得できるものではない。

(「非戦闘地域」の判断について)

 イラク特措法に基づき対応措置を実施する地域については、個別・具体の様々な情報を入手した上で判断すべき性格のもの。
 政府は、これまでに我が国が独自に収集した情報、諸外国や国際機関等から得た情報を総合的に勘案した結果、バグダッド飛行場を含め、イラク特措法の実施要項において実施区域として指定されている地域は依然として「非戦闘地域」の要件を満たしているとの考え。

(空自の活動について)

 イラクの復興と安定は、我が国及び国際社会全体の平和と安全の観点から重要であること、また、多くの国がイラクを支援する中、我が国も国際社会の一員としての責務を果たす必要があること等から、政府は、自衛隊のイラク派遣を決定。
 イラク特措法に基づき空自が行う輸送活動は、他国の兵員の輸送を含め、それ自体としては武力の行使または武力の威嚇にあたらない活動であり、また、いわゆる「非戦闘地域」に限って実施することとする等、他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みの下に行われており、憲法との関係においても問題はなく、また、イラク特措法に基づき適法に行われている。

 今回の判決が、空自の活動継続にとって影響はない。


【参考】 4月18日 官房長官定例会見

結論を導くのに必要のない部分でですね、自分のというか、裁判官の意見を述べるというのは、やっぱりその、判決のあり方としておかしいのではないか、というような報道がいくつかありまして、なるほどなと私もそういう印象を受けたところであります。




 今回の名古屋高裁の判決は、自衛隊のイラク派遣の差し止め等については国側の勝訴である。
本判決の自衛隊の空輸活動を違憲と判断した部分は、判決の結論を導く上で必要のない下級審における傍論にすぎず、最高裁にその是非を問うこともできないから、政府として、これに従う、従わないという問題は生じないと考えている。

 自衛隊のイラク派遣に関する他の判決としては、これまで同種の訴訟が多数提起されており、これらの訴訟においては、いずれも、自衛隊のイラク派遣等の合憲性について判断することなく、すべて国側勝訴の判決がなされており、憲法判断に関する終審である最高裁判所においても、その方針は維持されている。

 その点で、今回の名古屋高裁の判決は、極めて異例である。

 今回の名古屋高裁判決に示された傍論の論点は、.丱ダッドは戦闘地域、多国籍軍兵士のバクダッドへの空輸は他国の武力行使と一体化等である。

 このうち、,砲弔い討蓮▲丱ダッド全域ではなくバクダッド飛行場等を実施区域としており、同飛行場は非戦闘地域の要件を満たしている。
 また、△砲弔い討蓮航空自衛隊の輸送活動は、それ自体武力の行使に当たらず、また、いわゆる「非戦闘地域」に限って実施すること等、他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保するイラク特措法の下に行われており、我が国憲法との関係で、問題がない。


名古屋高裁の自衛隊のイラク派遣判決の新聞社説

 今回の自衛隊のイラク派遣判決などの憲法・安全保障については、新聞の社説が大きく異なる。
 今回も、違憲について、朝日、毎日が支持、読売、産経が不支持である。
 以下、社説を掲載する。


 朝日新聞4月18日社説  イラク判決―違憲とされた自衛隊派遣

 あのイラクに「非戦闘地域」などあり得るのか。武装した米兵を輸送しているのに、なお武力行使にかかわっていないと言い張れるのか。
 戦闘が続くイラクへの航空自衛隊の派遣をめぐって、こんな素朴な疑問に裁判所が答えてくれた。いずれも「ノー」である。
 自衛隊が派遣されて4年。長年、疑念を抱いていた人々も「やっぱり」という思いを深めたのではないか。
 航空自衛隊の派遣に反対する3千人余りの人々が派遣差し止めを求めて起こした訴訟で、名古屋高裁が判決を言い渡した。
 差し止め請求は退けられ、その意味では一審に続いて原告敗訴だった。だが、判決理由のなかで憲法などとのかかわりが論じられ、派遣当時の小泉政権が示し、その後の安倍、福田両政権が踏襲した論拠を明確に否定した。
 判決は、イラクの現状は単なる治安問題の域を超え、泥沼化した戦争状態になっていると指摘した。とくに航空自衛隊が活動する首都バグダッドの状況はひどく、イラク特措法の言う「戦闘地域」にあたるとした。
 小泉政権は、イラクのなかでも戦火の及ばない「非戦闘地域」が存在し、そこなら自衛隊を派遣しても問題ないと主張した。陸上自衛隊を派遣した南部サマワや、首都の空港などはそれにあたるというわけだ。
 判決はそれを認めず、空輸活動はイラク特措法違反と明確に述べた。空自の輸送機はこれまで攻撃を受けなかったものの、何度も危険回避行動をとったことを防衛省は認めている。実際に米軍機などが被弾したこともあった。判決の認識は納得がいく。
 もう一つ、多国籍軍の武装兵員を空輸するのは、他国による武力行使と一体化した行動であり、自らも武力を使ったと見られても仕方ない、つまり憲法9条に違反するとした。
 もともと、無理のうえに無理を重ねた法解釈での派遣だった。当時の小泉首相は、非戦闘地域とはなにかと国会で聞かれ、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」などと開き直ったような答もう一つ、多国籍軍の武装兵員を空輸するのは、他国による武力行使と一体化した行動であり、自弁を繰り返した。
 判決後、町村官房長官は派遣続行を表明した。最高裁による最終判断ではないからということだろう。それでも、高裁の司法判断は重い。判決を踏まえ、与野党は撤収に向けてすぐにも真剣な論議を始めるべきだ。
 日本の裁判所は憲法判断を避ける傾向が強く、行政追認との批判がある。それだけにこの判決に新鮮な驚きを感じた人も少なくあるまい。
 本来、政府や国会をチェックするのは裁判所の仕事だ。その役割を果たそうとした高裁判決が国民の驚きを呼ぶという現実を、憲法の番人であるはずの最高裁は重く受け止めるべきだ。


 毎日新聞4月18日社説:  イラク空自違憲 あいまいな説明は許されない

 イラク復興特別措置法に基づく航空自衛隊のバグダッドへの空輸活動を違憲とする判決が出た。自衛隊のイラク派遣に反対する市民グループが国を相手取って、派遣が憲法違反であることの確認を求めた控訴審で、名古屋高裁(青山邦夫裁判長)が17日、判断したものだ。
 陸上自衛隊は06年7月にイラク・サマワから撤退したが、空自は昨年6月のイラク特措法改正で活動が2年間延長された。イラクで5年目の活動を展開しており、クウェートから首都バグダッドへの輸送などを担当している。
 判決はまず、バグダッドで米軍などと武装勢力との間で激しい武力衝突が起きていることを指摘し、特措法でいう「戦闘地域」にあたると認定した。そのうえで、「多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、他国による武力行使と一体化した行動で、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」とした。
 政府と同じ憲法解釈で特措法を合憲としたとしても、活動を「非戦闘地域」に限定した特措法と、武力行使を禁じた憲法9条に違反するとの判断である。
 重要なのは、判決がイラク国内の紛争は多国籍軍と武装勢力による「国際的な武力紛争」であるとの判断に基づき、バグダッドを「戦闘地域」と認定したことだ。政府がイラクでの自衛隊の活動を合憲だと主張してきた根拠を根底から覆すものだからだ。
 イラクに自衛隊を派遣した小泉純一郎首相(当時)は、国会で非戦闘地域について質問されて、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域である」と答弁し、物議をかもしたことがある。また、党首討論では、イラク国内の非戦闘地域について聞かれ、「イラク国内の地名とかを把握しているわけではない。どこが非戦闘地域かと聞かれても、分かるわけがない」と発言したこともあった。
 判決は、極めてあいまいだった当時の首相発言を指弾する内容でもある。政府は判決を真摯(しんし)に受け止め、活動地域が非戦闘地域であると主張するなら、その根拠を国民にていねいに説明する責務がある。
 さらに、判決が輸送対象を「武装兵員」と認定したことも注目に値する。政府はこれまで、空自の具体的な輸送人員・物資の内容を明らかにしてこなかった。小泉首相は、当時の記者会見で「空自による物資の輸送はしている。しかし、どんな活動をしているかは部隊の安全の面があり、公表できない部分もある」と述べていた。
 しかし、輸送対象に米軍を中心とする多国籍軍が含まれており、当初の「人道復興支援」から「米軍支援」に変質したのではないかとの見方が前からあった。
 政府は、輸送の具体的な内容についても国民に明らかにすべきである。


 読売新聞4月18日社説 イラク空自判決 兵輸送は武力行使ではない

 イラクでの自衛隊の活動などに対する事実誤認や、法解釈の誤りがある。極めて問題の多い判決文である。
 航空自衛隊がクウェートとイラクの間で実施中の空輸活動の一部について、名古屋高裁は、国際紛争解決の手段としての武力行使を禁じた憲法9条に違反するとの判断を示した。
 市民団体メンバーらが空自のイラク派遣の違憲確認と差し止め、損害賠償を国に求めていた。
 判決は、原告の請求をいずれも退けた。違憲確認の請求についても「利益を欠き、不適法」と判断している。それなのに、わざわざ傍論で「違憲」との見解を加える必要があったのだろうか。
 国は、訴訟上は勝訴したため、上告できない。原告側も上告しないため、この判決が確定する。こうした形の判例が残るのは、好ましいことではない。
 イラク復興支援特別措置法は、自衛隊の活動について、人道復興支援などを「非戦闘地域」で行うよう定めている。
 判決文は、イラクでの多国籍軍と国内の武装勢力との抗争を「国際的な戦闘」と“認定”した。それを前提として、空自による多国籍軍兵の空輸は「他国による武力行使と一体化した行動」で、武力行使に当たる、と結論づけた。
 だが、多国籍軍による武装勢力の掃討活動は、イラクの安定と安全への貢献を求めた2003年5月の国連安全保障理事会決議1483などを根拠としている。イラク政府も支持しており、正当な治安維持活動にほかならない。
 仮に掃討活動が武力行使だとしても、憲法上の問題はない。空自による多国籍軍兵の空輸は、武力行使と一体化しないからだ。
 内閣法制局は、「一体化」の有無を判断する基準として、地理的関係、密接性など4項目を挙げている。空自の輸送機から降り立った兵士がすぐに戦闘活動を開始するなら、一体化する恐れもあるだろうが、実態は全く違う。
 判決文は、バグダッドが「戦闘地域」に該当するとしている。
 だが、イラク特措法に基づく基本計画は、空自の活動地域をバグダッド空港に限定している。空港は、治安が保たれ、民間機も発着しており、「戦闘地域」とはほど遠い。空港が「戦闘地域」になれば、空自は活動を中止する。
 イラク空輸活動は、日本の国際平和活動の中核を担っている。空自隊員には、今回の判決に動じることなく、その重要な任務を着実に果たしてもらいたい。


 産経新聞4月18日 【主張】空自派遣違憲判決 平和協力を否定するのか

 イラクでの航空自衛隊の平和構築や復興支援活動を貶(おとし)めるきわめて問題のある高裁判断だ。
 名古屋高裁は自衛隊のイラク派遣差し止め訴訟の控訴審判決で、差し止めと慰謝料請求の訴えを棄却しながらも「米兵らを空輸した空自の活動は憲法9条1項に違反するものを含んでいる」と、違憲判断を示した。
 原告側は上告しない方針で、国側も上告できない。自衛隊のイラク派遣を違憲とする初の判決は確定する。この違憲判断は主文と無関係な傍論の中で示された。
 傍論で違憲の疑義を表明することは、憲法訴訟のあり方から逸脱している。
 しかも被告の国側は最高裁への上告を封じられる。これは三審制に基づき最高裁をもって憲法判断を行う終審裁判所としたわが国の違憲審査制を否定するものと指摘せざるを得ない。
 違憲判断自体も問題だ。空自が多国籍軍の兵士をバグダッドへ空輸する任務は、他国による武力行使と一体化した行動であり、自らも武力行使したとの評価を受けざるを得ないとした。
 空自は平成16年3月から、クウェートを拠点にC130輸送機で陸自などの人員、物資をイラク南部に輸送してきた。一昨年に陸自が撤退後、輸送範囲をバグダッドなどに拡大し、現在、国連や多国籍軍の人員・物資を輸送している。政府は「バグダッドはイラク特別措置法がうたう非戦闘地域の要件を満たしている」と主張しており、空自は当たり前の支援活動を行っているにすぎない。
 忘れてならないのは空自の活動が国連安保理による多国籍軍の駐留決議も踏まえていることだ。
 これにより、日本はイラクをテロリストの温床にしないという国際社会の決意を共有している。
 憲法9条で禁止されている「武力による威嚇又は武力の行使」は、侵略戦争を対象にしたものと解釈するのが有力だ。国際平和協力活動を違憲という判断は日本が置かれている国際環境を考えれば、理解に苦しむ。
 「自衛隊違憲」判断は35年前、あったが、上級審で退けられた。今回は、統治の基本にかかわる高度に政治的な行為は裁判所の審査権が及ばないという統治行為論を覆そうという狙いもあるのだろう。傍論に法的拘束力はない。
 政府は空自の活動を継続すると表明している。当然なことだ。


名古屋高裁の自衛隊のイラク派遣判決

 名古屋高裁が自衛隊のイラク派遣は憲法に違反するとの判決を示した。
 これに対する政府のスタンスを記したい。

 
 航空自衛隊のイラク派遣について、派遣差し止めや慰謝料を請求する裁判において、名古屋高等裁判所は原告側の控訴を棄却する一方で、「憲法9条に違反すると見られる」と判示した。

 この判決においては、国の主張が認められたものの、判決理由で航空自衛隊の活動が違憲とされた。

 自衛隊部隊のイラク国内等への派遣及びその活動は、憲法の範囲内で、イラク人道復興支援特措法及び自衛隊法に基づく適正なもの。

 自衛隊の派遣を違憲と判断した部分は、判決の結論を導くのに必要のない傍論に過ぎない。
 自衛隊部隊のイラク派遣差止等を求める訴訟は、現在、岡山の1地裁並びに札幌、名古屋(本件事件)及び福岡の3高裁において係属中。



 判決理由(要旨)における自衛隊派遣の違憲理由
 
○平成15年5月になされたブッシュ米大統領による主要な戦闘終結宣言の後にも、多国籍軍と各武装勢力の抗争が継続しており、こうしたイラク国内の戦闘は、実質的に平成15年3月当初のイラク攻撃の延長であって、国際的な武力紛争である。

○特に、首都バグダッドは、イラク特措法にいう「戦闘地域」に該当。

○航空自衛隊の空輸活動は、それ自体は武力の行使に該当しないものであるとしても、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っているものといえる。

○したがって、少なくとも多国籍軍の武装兵員を、戦闘地域であるバグダッドへ空輸する活動については、他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない。


 これに関する政府の考え方について
 
○イラク特措法に基づく自衛隊の活動は、それ自体としては武力の行使又は武力の威嚇にあたらない活動であり、また、いわゆる「非戦闘地域」に限って実施することとする等、他国の武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みの下で実施。

○バグダッド飛行場についても、政府としては、これまでに我が国独自に収集した情報、諸外国や国際機関等から得た情報を総合的に勘案した結果、イラク特措法上の「戦闘行為」(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて行われることがないと認められる旨判断。


 なお今回、外務省の元駐レバノン特命全権大使だった控訴人天木直人に特有の損害賠償請求は、「控訴人天木の全権大使の免官に際し、違憲違法な退職強要行為があったことは認められず、控訴人天木の権利利益が侵害されたものとは認められない。」とされた。

2008年04月17日

野党の後期高齢者医療制度への対応に批判

 野党の後期高齢者医療制度に関する無責任な批判に対して、北国新聞が社説で批判していました。
 それにしても、「うば捨て山よりひどい」「高齢者を早く死なせようとしている」といった批判は、あまりにもひどい批判です。
 以下が、その全文です。


(4月16日北国新聞より)

野党の医療制度批判 大衆迎合の危険なにおい


 「保険証が届かない」「年金から天引きされるなんて知らなかった」などの不満が石川県や富山県内の自治体窓口に相次ぐなか、後期高齢者医療制度の保険料の天引きがスタートした。二年も前に法律ができていたにもかかわらず、大混乱を招いた責任は、厚生労働省の怠慢にあると言わざるを得ない。

 ただ、「うば捨て山よりひどい」といった野党の批判には、ポピュリズム(大衆迎合)の危険なにおいがする。天引きは支払いの手間を省き、納付漏れを減らして徴収コストを下げるメリットがあり、天引きをやめれば、高齢者が自分で支払いをしなければならず、徴収率も下がる。保険証が届かないなどのトラブルはいずれ解消されるものであり、混乱に乗じて制度そのものを廃止せよと主張するのは、いかがなものか。

 約三十兆円の国民医療費のなかで、老人医療費(七十歳以上)は約十兆円に上る。毎年一兆円前後増える医療費のうち、最も伸び率の高い老人医療費を減らす工夫は必要だ。高齢者の負担は、できるだけ少ない方が良いに決まっているが、負担を減らそうとすれば、そのシワ寄せは現役世代にいくのである。

 民意を敏感に政治に反映させていくのは当然としても、それはあくまで「大衆本位」の政治を実現するためであって、「大衆迎合」とは違う。ポピュリズムを全否定はしないが、ポピュリズムに振り回されてしまっては、政治の方向を誤るだろう。私たち国民は、政府・与党および野党の主張に耳を傾け、どちらが民意を正しく反映しているのか、冷静に見極めていかねばならない。

 今回、混乱が拡大したのは、福田政権が新たな軽減策を講じた結果、保険料算定基準の自治体への通知が遅れたからである。それが保険証をめぐるトラブルを招き、周知の遅れにもつながった。制度の複雑さ、年金からの天引きという徴収方法も不安を増幅させた要因だろう。

 だが、そうした不安につけ込んで「高齢者を早く死なせようとしている」などと批判するのは、やり過ぎではないか。


shige_tamura at 16:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!民主党 

2008年04月15日

一枚岩でない民主党

最近の民主党は、一枚岩でなくなった。
というと、最初から「一枚岩ではないよ」という意見もあろう。

党内で様々な意見があっていいが、採決などの大事な時には、党の決定は守るものであるが、それが、最近は、党議決定に反対する動きが堂々とでてきているということである。

これは、大連立問題で小沢代表の力が弱まり、鳩山幹事長、山岡国対委員長らの連携がうまくいっていないことでもわかる。
また、9月には民主党の代表選挙がある。この駆け引きがはじまっているのだ。


政治評論家の鈴木棟一氏は「夕刊フジ、4月12日付」の「風雲永田町」で民主党の動きを以下のように記している。


造反、渡辺秀央「党利より国益」―「財務官は天下りではない」


 日銀人事の政府案「白川総裁、渡辺博史副総裁」に対し、民主党は「白川同意、渡辺不同意」で党議拘束をかけた。しかし、参院では渡辺秀央氏ら3人が造反して渡辺副総裁に「同意」。ほかに5人が欠席または棄権。渡辺氏については賛成115票対反対121票で、差はわずか6票だった。

 実は自民党執行部は「反小沢」の確信犯といえる渡辺氏と連絡し大いに期待していた。渡辺氏もこう語った。
「渡辺副総裁にも賛成しよう、と20人余りに話をした。ある程度手ごたえがあったが1日半でひっくり返された。党議拘束を外せば間違いなく成立していた」。

 造反の名分は。
「まず、国会議員として党利より国益。それに党内の圧倒的多数が渡辺副総裁容認だった。仙谷の同意人事小委員会でも、この意思表示をした」。

 参院では興石議員会長が小沢代表に同調して渡辺副総裁は天下りだからだめだ、と主張した。
 「私は興石議員会長に、参院はまとまりませんよ、と話をしていた」。

議員会長の心のうちは。
「よくわからない。彼の立場から、山口2区の補選を控えて、党の結束を第1に置いたのではないか。小沢代表の意見で党がまとまるべきだ、と」。 

 党内の状況をどう見る。
「2大政党政治の悪い面が出ている。あまり数がいない国際金融の専門家を否定した。国の運営より、党利党略が前に出すぎている」。

小沢代表らは「天下り反対」と言ったが。
 「事務次官経験者ではない。財務官が天下りということはない。もし言うなら、天上がりだろう」。

いま参院の経産委員長だが。
 「民主党の推薦で立法府の責任者の1人をやっている。党議決定に反したことは確かなので、委員長辞任を申し出た」。

経産委員長としての思いもあったのでは。
 「中央と地方の格差是正、税制関連法案の審議の遅れがあった。なにより金融は自由経済の血液だ。日銀人事にわれ関せず、というわけにはいかない。委員長としての責任からも、今回は党議拘束に同調できない、と思った」。

 最後に渡辺氏は「信念に従って行動し、スッキリしているよ」と笑った。


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2008年04月14日

睡眠時無呼吸症

昨日の日曜日の夜9時からの「NHKスペシャル」は、睡眠時無呼吸症だった。
実は、僕も睡眠時無呼吸症の重症患者なのだ。

昨年、妻から夜寝ていて、「いびきと呼吸が止まるから、病院で診てもらったら」といわれ、ちょうど人間ドックがあって、特別に検査をしてもらった。

 機械を家に持って帰って検査をして、その結果を後で聞くというもので、検査結果は、「睡眠時無呼吸症の重症の可能性があり、専門医から診てもらいなさい。」というものだった。

そこで、池袋の睡眠時無呼吸症の専門クリニックで検査してもらうことになった。検査は、一泊入院で、予約制で約一か月後とのことだったが、幸い、その夜患者からキャンセルがでたということで、検査入院することになった。

 そのため、着替えの下着を買って、夜の検査入院時間にクリニックにいった。
 検査は、テレビにでたように、身体のあちこちにセンサーをつけて一晩検査するわけで、途中、おしっこがしたくなったら、ボタンを押して、看護師にきてもらって、歩けるように、センサーのコンセントをはずしてもらうわけだ。
 
 僕も大変だが、クリニックも大変である。

 数日後、検査結果は、睡眠時無呼吸症の重症という診断だった。

 治療は、寝ているときにシェーパップというマスクを付けることになる。
 そのために、再度、マスクの空気量などの調整のために一泊入院することになる。 これも、約一か月先で、受付の人に、「キャンセルが出たら教えて」ということで、結果的にはキャンセルがでたために早めに一泊入院となった。

 これも、前回と同じように身体中にセンサーを付けて一泊過ごすことになった。

 その後、睡眠時無呼吸症の治療用シェーパップ・マスクを持って帰ってつけて寝ることになる。

 ところが、その日は、夏の暑い日で、クーラーなしでマスクを付けたために、暑くて途中で外して、「これは僕には無理だ」ということで、クリニックに返しにいった。

 その時に、医者から睡眠時無呼吸症の危険性について丁寧な説明があり、再度、マスクをつけることに挑戦した。

 1日目はつらかったが、2日目からあまり気にならなくなった。
 マスクを付けて寝た朝は爽快である。それ以来、毎日つけている。海外に行く時も、出張の時も持っていく。

 マスクを付けなかった時は、いくら寝ても寝足りない感じがした。また、会議中によく眠くなった、本を読んでもすぐに眠くなる。テレビを観てもすぐに眠くなった。

 ところが、今は違う。仕事や勉強などの集中力が格段によくなった。

 今では、寝ていてもいびきをかかず、息も止まらない。

 僕が、睡眠時無呼吸症だというと、知り合いの社長も3年前からマスクをつけているといった話もあり、この病気多いんだなと思ったら、ついにNHKでも放送された。

 意外と気がつかないものだ。

 睡眠時無呼吸症の疑いのある方は、一刻も早く専門医の治療を受けたら良いと思う、体験者としての意見である。

2008年04月10日

在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の民主党の対応

 在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)について、労組(全駐留)が民主党などに働きかけた。
 その結果、参議院の外交防衛委員会が動き出す。
 もしも、労組が民主党に働きかけなかったら委員会は開かれないままだ。

 昨日の党首討論でも、福田首相が国会の審議を行ってほしいとの要請を小沢代表にしていた。

 今回も労組の既得権維持の民主党の体質が現れた。


(参考)

基地従業員の給与負担継続を―全駐労が野党各党に要請
(4月8日付 琉球新報)
   
 全駐留軍労働組合沖縄地区本部(興那覇栄蔵委員長)は七日、連合沖縄を訪ね、野党各党が在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)にかかわる特別協定に反対する方針を固めたことを受け、民主党や社民党など野党各党に基地従業員の給与負担を継続するよう要請した。
 興那覇委員長は「野党が思いやり予算の反対の理由の一つに、娯楽施設の駐留軍労働者の人件費を挙げていることは極めて遺憾。基地従業員の雇用実態を把握した上で議論してほしい」と述べた。
 要請に対し、野党側は思いやり予算と基地従業員の給与は別問題で考えるべきだとの認識で一致し、県が抱える基地問題を政府や県外の人々に認知させ、総合的に思いやり予算を見直す必要があるとの考えを示した。


shige_tamura at 13:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!民主党 

2008年04月09日

自民党かながわ政治大学院で講演しました

田村 自民党かながわ政治大学院専門政治講座で「政策立案の技術」というテーマで講演しました。
 以下、自民党神奈川県連のホームページに掲載されていました。


 3月29日(土)に専門政治講座が開催されました。
 今回は、自民党本部政務調査会首席専門員の田村重信さんに『政策立案の技術』と題してご講演いただきました。
 ご講演では、ご自身の体験等を交え、55年体制下の時代、野党時代、連立、そして現在のねじれ国会と、時代の変化にによって政策立案の仕方が違うことなどをお話されました。
 受講生からは、『政策立案に長年携わってこられた方のお話なので、とても臨場感があり、大変勉強になりました』などの声がありました。


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