2007年09月
2007年09月21日
渋沢健氏講演「『論語と算盤(そろばん)』型資本主義とは何か―)「楽しむ」ことはパワーの源」(その5)
渋沢栄一の残した言葉で、私にとってトップ5に入ると思われる言葉に「常識とは何か」というものがありまして、「『智』『情』『意』の三者が均衡を保ち平等に発達したものが完全の常識だと考える」と言っています。
面白いと思ったのは、「お前常識ないな」というのは、多くの場合、「そんなことも知らないの」という意味だと思うんですが、ここで言っている常識というのは、「智があるかないか」、「情があるかないか」、「意があるかないか」じゃなくて、この三つがバランスしているということなんです。
バランスしていれば、一人ひとりが常識を持てる。一人ひとりが常識であれば、ば、それがじ常識な持てば、それが社会の常識になるということです。だから「智」だけあっても常識があるとは言えない。そこにはやはり「情」とか「意」があって、それがバランスして常識になるわけです。
実はこの言葉を見付けた半年くらい後にアメリカの経営学者のジム・コリンズさんが書いた「Good To Great」という本を読んだんです。
邦訳では「ビジョナリー・カンパニー・2」といって、私は英語版を読んだんですが、その最初に「なぜこの世の中にはグレート・カンパニーが少ないのか。それはほとんど会社がグッド・カンパニーになろうとするからだ」と書いてあるんですね。
それはカンパニーだけじゃなくて人間もそうです。私も親から子供の頃、「いい子になりなさい」とは言われましたが、「グレートになりなさい」とは言われませんでした。
じゃあグレート・カンパニーの経営者が共通している点というのは何か。
まず「何が経済エンジンか」、これ「知識」ですよね。次に「何に情熱を持つか」、情熱は「情」です。そして「何に世界一になれるか」、これは「意志」だと思います。
つまり渋沢栄一が言っていることと同じなんですね。東西超えて、時代を超えて普遍的な考え方なんだなぁと思いましたね。
それから「王道あるのみ」、これも面白いと思いました。
王道と言うと非常に重い感じがしますが、渋沢栄一は「社会問題とか労働問題等のごときは、たんに法律の力ばかりをもって解決されるものではない。法の制定はもとよりよいが、法が制定されておるからと云って、一も二もなくそれに裁断を仰ぐということは、なるべくせぬようにしたい。もしそれ富豪も貧民も王道をもって立ち、王道はすなわち人間行為の定規であるという考をもって世に処すならば、百の法文、千の規則あるよりも遙かに勝った事と思う」と言っています。
王道というのは、「人間行為の定規」と言いますが、簡単に言えば、「当たり前のことは当たり前にやりましょう」ということなんですね。常識な人であれば王道を歩むことができるということでしょう。
それがいかに難しいかということは自分もよくわかっているんですが、それを一人ひとりやることで「市民社会の形成」につながるんじゃないかと思います。
資本主義というと、日本では時に暴力的に扱われますが、日本の場合、資本主義の土台として市民社会というものがないんじゃないかと感じますね。民主主義がきちんと機能するにも市民社会の形成が必要です。
しかもそれは他人、人がつくるんじゃなくて自分がつくる。「一人ひとりがつくることが大切ですね」というのがメッセージなのかなぁと思います。
それから「合理的の経営」というところも面白いなぁと思いました。
「たとえその事業が微々たるものであろうと、自分の利益は小額であるとしても、国家必要の事業を合理的に経営すれば、心は常に楽しんで事に任じられる」ということなんですが、成功する人というのは「楽しむ」んですね。
私は大成功した人とお会いする度に思うんですが、そういう人に共通している点があるんですね。それは人生を楽しんでいるというオーラを感じるんですね。
「大成功しているんだから楽しいのは当たり前」と思うかもしれませんが、実は逆なんですね。
そういう人たちって、「楽しい」ということを遺伝子として持っているんですね。
だから、とりあえず何かやってしまうんです。そしてやると、案外できちゃうんですよ。実績になるわけです。できちゃうんですよ。
そうなるとそれが循環的になって膨らんでいくんじゃないかと思いますね。
「遊び心を持てよ。楽しめよ」と言っているんですね。この方は大変波乱万丈な人生を送られたんですが、やはりその根底には「楽しむ」という気持ちがあったんですね。
そんなことをつくづく感じます。
ただ、「楽しむ」というと、一般的にはある意味、無責任、責任放棄にリンクしている感があるんですが、そうじゃないということに気付かせてくれたのが論語だったんですね。
この言葉を書いたメモをいつも財布の中に閉まっておくんですが、それが「子の曰く、これを知る者は、これを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」という言葉です。
渋沢栄一は、「行動を起こす時、物事を知ることが大切だ」と言っています。これは大前提ですね。
でも知るだけでは必ずしも行動には繋がらない場合が多いです。だから、知ることだけではなくてじゃなくて、好きであることが大事であると言っています。好きであれば、こちらから、あちらへ行きたいという気持ちが沸いて行動へ繋がります。
でも好きであっても壁にぶち当たることもあるわけで挫折するかもしれない。、だから楽しむことが最も大事であると渋沢栄一は言っています。楽しかったら別に壁にぶち当たっても平気なんですね。楽しいから、別のルートを探します。
でも知るだけじゃなくて、好きであることが大事。でも好きであっても壁にぶち当たることもあるわけで、だから楽しむことが大事。楽しかったら別に壁にぶち当たっても平気なんですね。
その意味で「楽しむ」という行為は何かをやる上でのパワーの源になると思います。
2007年09月20日
統一会派:民主党と国民新党が当面見送り決める
先の国会で、民主党と国民新党が郵政民営化の実施を1年凍結する郵政民営化凍結法案を共同提出したが、それが今回は見送りとなった。
また、25日に予定されている首相指名選挙に向け、民主党が共産、社民、国民新党の3野党に働きかけているが、それがうまくいかないようだ。
それは、当然の話。
前提に、政策の一致が必要となる。
それを抜きに民主党が呼びかけている。
反自公で一致しても、では、他の野党が小沢氏を担ぐのか?
それはできない相談だ。
憲法改正は?、安保政策は?
これらが一致しなくて、民主党は、「首相指名選挙では小沢代表を」とよくも頼めたものだ。
民主党は、社民や共産との政策の関係をどう考えているのだろうか。
そろそろ、選挙に勝てば良いとのことだけではなくて、政策における野党との関連についてハッキリすべきであろう。
前回の参議院選挙は、自民党の相次ぐ失政で、民主党は敵失で勝利したわけで、民主党の政策が十分に吟味されて勝利したわけではない。
民主党は、野党に「首相指名選挙では小沢代表を」と頼むのであれば、政策について簡単な覚書でも作って国民に示すべきであろう。
もう民主党は、政策を曖昧にし全ては政権を取ってから、では許されない。
以下、毎日新聞を掲載しました。
統一会派:民主党と国民新党が当面見送り決める
民主党と国民新党は19日、両党の統一会派結成について当面見送ることを決めた。国民新党が求めていた郵政民営化の実施を1年凍結する郵政民営化凍結法案の共同提出も断念する。
統一会派と凍結法案の共同提出については、今国会開会前の9月上旬に民主党の小沢一郎代表と国民新党の綿貫民輔代表が協議していったん見送りを決めた。国民新党内から共同提出を求める声が出たため、再度協議していた。
国民新党の亀井久興幹事長は19日、国会内で民主党の山岡賢次国対委員長と会談。亀井氏は凍結法案の提出のほか、民営化を本格的に見直す法案の共同提案や参院での郵政民営化の特別委員会設置などを統一会派結成の条件として提示したが、折り合わなかった。
凍結法案は8月の臨時国会に民主、社民、国民新の3党が提出したが、廃案になった。
毎日新聞 2007年9月20日 1時05分
また、25日に予定されている首相指名選挙に向け、民主党が共産、社民、国民新党の3野党に働きかけているが、それがうまくいかないようだ。
それは、当然の話。
前提に、政策の一致が必要となる。
それを抜きに民主党が呼びかけている。
反自公で一致しても、では、他の野党が小沢氏を担ぐのか?
それはできない相談だ。
憲法改正は?、安保政策は?
これらが一致しなくて、民主党は、「首相指名選挙では小沢代表を」とよくも頼めたものだ。
民主党は、社民や共産との政策の関係をどう考えているのだろうか。
そろそろ、選挙に勝てば良いとのことだけではなくて、政策における野党との関連についてハッキリすべきであろう。
前回の参議院選挙は、自民党の相次ぐ失政で、民主党は敵失で勝利したわけで、民主党の政策が十分に吟味されて勝利したわけではない。
民主党は、野党に「首相指名選挙では小沢代表を」と頼むのであれば、政策について簡単な覚書でも作って国民に示すべきであろう。
もう民主党は、政策を曖昧にし全ては政権を取ってから、では許されない。
以下、毎日新聞を掲載しました。
統一会派:民主党と国民新党が当面見送り決める
民主党と国民新党は19日、両党の統一会派結成について当面見送ることを決めた。国民新党が求めていた郵政民営化の実施を1年凍結する郵政民営化凍結法案の共同提出も断念する。
統一会派と凍結法案の共同提出については、今国会開会前の9月上旬に民主党の小沢一郎代表と国民新党の綿貫民輔代表が協議していったん見送りを決めた。国民新党内から共同提出を求める声が出たため、再度協議していた。
国民新党の亀井久興幹事長は19日、国会内で民主党の山岡賢次国対委員長と会談。亀井氏は凍結法案の提出のほか、民営化を本格的に見直す法案の共同提案や参院での郵政民営化の特別委員会設置などを統一会派結成の条件として提示したが、折り合わなかった。
凍結法案は8月の臨時国会に民主、社民、国民新の3党が提出したが、廃案になった。
毎日新聞 2007年9月20日 1時05分
小沢代表の国際感覚を疑う
前防衛大学学校長の西原正氏が小沢代表をテロ特措法への対応で批判していました。
以下、掲載します。
09/20産経新聞【正論】より
「小沢代表の国際感覚を疑う」ユーラシア南西部の変動に注目せよ
平和・安全保障研究所理事長 西原正
≪冷戦後の国際変動の中心≫
12日の安倍総理の突然の辞任表明によって、日本の政治に大きな空白が生じてしまった。当面、インド洋における海上自衛隊の給油給水活動の継続を確実にする道筋が見えなくなっている。しかし、補給活動の継続は「国際公約」でないとしても、国際社会の強い期待である。海上自衛隊の活動は、国際テロ阻止行動の一環であり、その活動を停止することは日本の国際的責任の放棄である。民主党、とくに小沢代表はことの深刻さを認識すべきである。
冷戦終結後、多くの政府や識者は、国際政治変動の中心舞台は米ソが対峙(たいじ)していたヨーロッパから東アジアに移ったと認識していたが、実際には変動の源泉は中東、南西アジア、それに中央アジア、ロシア南部につづくイスラム教圏であった。湾岸戦争、アルカーイダやタリバン勢力に対する戦争、そしてイラク戦争、ロシア政府にテロ行為を繰り返すチェチェン民族過激派、レバノンでのイスラエル軍とイスラム教過激派武装勢力ヒズボラとの衝突など、冷戦後の主要な軍事衝突はこの地域で起きている。
この地域では、インドとパキスタンの核保有宣言があり、その間、パキスタンのカーン博士による国際的地下ネットワークを通してリビア、イラン、北朝鮮に核技術が流れた。イランの核技術がイスラム教国にさらに拡散する可能性もある。
このユーラシア南西地域の安全保障環境はますます悪化して、アフガニスタン、イラクなどにおける武力抗争の拡大によって、改善のめどがなんらついていない。広大なイスラム教圏は、テロリストの温床であり、ケシ栽培による世界的な麻薬の供給源(テロリストの主要財源の一つ)であり、世界有数の闇武器市場でもある。
≪安全保障環境は悪化傾向≫
悪いシナリオを描くならば、アフガンとパキスタンの国境が事実上消滅し、タリバンが両地域にまたがる勢力圏を確立し、一種の「タリバン国」を樹立するかもしれない。また最近のパキスタンのムシャラフ政権の失政と腐敗ぶりを見れば、イスラム過激派勢力が政権をとる事態も考慮しておくべきであろう。同国の軍部には上から下まで過激派に同情的な分子が多数いるので、軍部が分裂して、過激派軍部が反米、タリバン支持の政権を樹立することになれば、核兵器を管理下に置くだろう。また最近のバングラデシュに活動拠点をもつイスラム過激派がインドで起こす大規模テロなどは、インドにおけるイスラム過激派のテロがさらに拡大することを示唆している。
≪まず給油現場視察して≫
とくに、日本にとってのシーレーンの重要性からいえば、イランがホルムズ海峡を通過する外国船舶をミサイルなどで脅すことが懸念される。さらに、パキスタンにイスラム過激派政権ができれば、インド洋(とくにオマーン湾)の海上の安全を脅かすかもしれない。
インド洋やアラビア海では、テロ分子、武器、弾薬、麻薬、秘密資金などが小船で移動している。それらはアフガンおよびパキスタンへ流れるものもあれば、逆にそこからアフリカのソマリアなどに流れるものもある。またイランを通してアフガンに流れるものもあるであろう。したがって、海上自衛隊が友邦艦船への給油以外に、周辺海域における不審船情報を友邦艦船に供与することも重要な任務である。
民主党は、海上自衛隊がイラク戦争に関与している友邦艦船にも給油をしていると非難するが、給油を受けた友邦艦船にしてみれば、パキスタン経由でアフガンに流れる武器、弾薬、麻薬、テロ分子を取り締まるのが本務だとしても、イラン、イラクの方に航行する不審船をわざわざ見逃すようなことはしない。それを杓子(しゃくし)定規に区別しようとするのは、現場の状況を知らない者のすることである。
小沢代表は、「テロとの戦い」を高く掲げた安倍総理を辞任に追い込んだわけだが、もし本気で海上自衛隊の活動停止を叫ぶとしたら、その前に、まず現場を見に行くべきである。そしてさらに、ベルギーの北大西洋条約機構(NATO)本部に出向いて、多くの犠牲者をだしてテロリストと戦っている多国籍軍(ISAF、37カ国参加)の代表と話してみるのがよい。
小沢氏は、彼らの前で、日本の国益のためにそして国際社会のために、正面切って日本の活動中止を説く勇気があるだろうか。
(にしはら まさし)
以下、掲載します。
09/20産経新聞【正論】より
「小沢代表の国際感覚を疑う」ユーラシア南西部の変動に注目せよ
平和・安全保障研究所理事長 西原正
≪冷戦後の国際変動の中心≫
12日の安倍総理の突然の辞任表明によって、日本の政治に大きな空白が生じてしまった。当面、インド洋における海上自衛隊の給油給水活動の継続を確実にする道筋が見えなくなっている。しかし、補給活動の継続は「国際公約」でないとしても、国際社会の強い期待である。海上自衛隊の活動は、国際テロ阻止行動の一環であり、その活動を停止することは日本の国際的責任の放棄である。民主党、とくに小沢代表はことの深刻さを認識すべきである。
冷戦終結後、多くの政府や識者は、国際政治変動の中心舞台は米ソが対峙(たいじ)していたヨーロッパから東アジアに移ったと認識していたが、実際には変動の源泉は中東、南西アジア、それに中央アジア、ロシア南部につづくイスラム教圏であった。湾岸戦争、アルカーイダやタリバン勢力に対する戦争、そしてイラク戦争、ロシア政府にテロ行為を繰り返すチェチェン民族過激派、レバノンでのイスラエル軍とイスラム教過激派武装勢力ヒズボラとの衝突など、冷戦後の主要な軍事衝突はこの地域で起きている。
この地域では、インドとパキスタンの核保有宣言があり、その間、パキスタンのカーン博士による国際的地下ネットワークを通してリビア、イラン、北朝鮮に核技術が流れた。イランの核技術がイスラム教国にさらに拡散する可能性もある。
このユーラシア南西地域の安全保障環境はますます悪化して、アフガニスタン、イラクなどにおける武力抗争の拡大によって、改善のめどがなんらついていない。広大なイスラム教圏は、テロリストの温床であり、ケシ栽培による世界的な麻薬の供給源(テロリストの主要財源の一つ)であり、世界有数の闇武器市場でもある。
≪安全保障環境は悪化傾向≫
悪いシナリオを描くならば、アフガンとパキスタンの国境が事実上消滅し、タリバンが両地域にまたがる勢力圏を確立し、一種の「タリバン国」を樹立するかもしれない。また最近のパキスタンのムシャラフ政権の失政と腐敗ぶりを見れば、イスラム過激派勢力が政権をとる事態も考慮しておくべきであろう。同国の軍部には上から下まで過激派に同情的な分子が多数いるので、軍部が分裂して、過激派軍部が反米、タリバン支持の政権を樹立することになれば、核兵器を管理下に置くだろう。また最近のバングラデシュに活動拠点をもつイスラム過激派がインドで起こす大規模テロなどは、インドにおけるイスラム過激派のテロがさらに拡大することを示唆している。
≪まず給油現場視察して≫
とくに、日本にとってのシーレーンの重要性からいえば、イランがホルムズ海峡を通過する外国船舶をミサイルなどで脅すことが懸念される。さらに、パキスタンにイスラム過激派政権ができれば、インド洋(とくにオマーン湾)の海上の安全を脅かすかもしれない。
インド洋やアラビア海では、テロ分子、武器、弾薬、麻薬、秘密資金などが小船で移動している。それらはアフガンおよびパキスタンへ流れるものもあれば、逆にそこからアフリカのソマリアなどに流れるものもある。またイランを通してアフガンに流れるものもあるであろう。したがって、海上自衛隊が友邦艦船への給油以外に、周辺海域における不審船情報を友邦艦船に供与することも重要な任務である。
民主党は、海上自衛隊がイラク戦争に関与している友邦艦船にも給油をしていると非難するが、給油を受けた友邦艦船にしてみれば、パキスタン経由でアフガンに流れる武器、弾薬、麻薬、テロ分子を取り締まるのが本務だとしても、イラン、イラクの方に航行する不審船をわざわざ見逃すようなことはしない。それを杓子(しゃくし)定規に区別しようとするのは、現場の状況を知らない者のすることである。
小沢代表は、「テロとの戦い」を高く掲げた安倍総理を辞任に追い込んだわけだが、もし本気で海上自衛隊の活動停止を叫ぶとしたら、その前に、まず現場を見に行くべきである。そしてさらに、ベルギーの北大西洋条約機構(NATO)本部に出向いて、多くの犠牲者をだしてテロリストと戦っている多国籍軍(ISAF、37カ国参加)の代表と話してみるのがよい。
小沢氏は、彼らの前で、日本の国益のためにそして国際社会のために、正面切って日本の活動中止を説く勇気があるだろうか。
(にしはら まさし)
2007年09月19日
「パブリック・ディプロマシー」(金子将史編著、PHP研究所)
PHP総合研究所の金子将史さんが、「パブリック・ディプロマシー」(金子将史編著、PHP研究所)を届けてくれました。
早速読みました。そしたら、昨日の夜、夏休みで台湾にいる大学生の長女から電話があり、パブリック・ディプロマシーについて研究しているから、『ソフト・パワー』(ジュセフ・S・ナイ著)などの本を持ってるかと聞かれました。
「もちろん持ってるけど、パブリック・ディプロマシーの本もあるよ、最新の本が」と答えました。
この分野が脚光を浴びてきているのがわかりました。
なお、この本は、PHP総合研究所が2006年から、「パブリック・ディプロマシー」に関する研究プロジェクトを発足させ、調査研究を行ってきたのをまとめ、この内容を書籍『パブリック・ディプロマシー「世論の時代」の外交戦略』として、発表したものです。
パブリック・ディプロマシーとは、外交の目的を達成するためには、相手国政府に働きかけるだけではなく、その国や第三国の国民にアウトリーチしていく必要があるとの考え方から、さまざまな情報発信や交流活動を行っていくものです。
この本は、具体的な事例を豊富に交えながら、この分野の全体像を捉えることを目指しており、現在、我が国でもパブリック・ディプロマシー強化の必要性が次第に認識されるようになってきておりますが、本書がそうした議論のなかで大いに参考となります。
「世論の時代」の外交戦略との副題、関係者必読の本です。
ご一読を!
早速読みました。そしたら、昨日の夜、夏休みで台湾にいる大学生の長女から電話があり、パブリック・ディプロマシーについて研究しているから、『ソフト・パワー』(ジュセフ・S・ナイ著)などの本を持ってるかと聞かれました。
「もちろん持ってるけど、パブリック・ディプロマシーの本もあるよ、最新の本が」と答えました。
この分野が脚光を浴びてきているのがわかりました。
なお、この本は、PHP総合研究所が2006年から、「パブリック・ディプロマシー」に関する研究プロジェクトを発足させ、調査研究を行ってきたのをまとめ、この内容を書籍『パブリック・ディプロマシー「世論の時代」の外交戦略』として、発表したものです。
パブリック・ディプロマシーとは、外交の目的を達成するためには、相手国政府に働きかけるだけではなく、その国や第三国の国民にアウトリーチしていく必要があるとの考え方から、さまざまな情報発信や交流活動を行っていくものです。
この本は、具体的な事例を豊富に交えながら、この分野の全体像を捉えることを目指しており、現在、我が国でもパブリック・ディプロマシー強化の必要性が次第に認識されるようになってきておりますが、本書がそうした議論のなかで大いに参考となります。
「世論の時代」の外交戦略との副題、関係者必読の本です。
ご一読を!
自立と共生は小沢氏の専売特許か
総裁選挙で福田康夫氏が「自立と共生」をキャッチコピーにしたことを小沢氏が文句をいっている。
でも、自立と共生は誰でも使う言葉で、自由とか平和とか民主とかと一緒である。
こうした言葉を先に使っていたからダメというのもどうかと思う。
小沢氏が作った自由党も、今所属している民主党も、自由民主党の名前から拝借したようなもので、
自由民主党が自由も民主も「ずっと前から使っているけれど、どうしたんでしょうか」と言ったらどうなるの?
そんなことより、自立と共生のために具体的に何を行うかが重要と思いますが。
(参考)
自立と共生「私の言葉」 小沢氏、福田氏を牽制
(9月19日8時2分配信 産経新聞)
民主党の小沢一郎代表は18日、党本部で記者会見し、自民党総裁選で福田康夫元官房長官がキャッチフレーズに「自立と共生」を掲げたことについて「ずっと昔からぼくも使っていた言葉をおっしゃっているようだ」と指摘。その上で「『小沢一郎が20年前から使っているけれど、どうしたんでしょうか』って、本人に聞いてください」と述べ、新首相に選出される見通しの福田氏を牽制(けんせい)した。
自民党総裁選では、福田氏と麻生太郎幹事長の2候補が格差是正や農村対策など、7月の参院選で民主党が掲げた政策と似た主張を展開している。このため、民主党内には「攻めにくい」(幹部)と戸惑う声もあるが、小沢氏は「口先で言ってもだめだ。政権を持っているのだから、人のまねをするよりも、やればいい。言葉の遊びになっているのが問題だ」と批判した。
小沢氏は平成4年、羽田孜元首相と結成した羽田派(改革フォーラム21)の基本理念で「自立と共生」を打ち出し、翌5年の新生党結党でも基本理念として強調。その後もこれをしばしば訴えてきた。
小沢氏はまた、福田氏が立会演説会で、「自立と共生」を「自立と共存」と言い間違えたことなどを念頭に「(福田氏は)肝心の自分のスローガンを思いだせないという話だから、(これ以上は)伝聞に基づいてコメントできない」と皮肉たっぷりに語った。
このほか、福田氏が言及した衆院の「話し合い解散」には、「自民党が解散しようと思えばそうなる。話し合いとはちょっと違う」と述べ、突き放した。
2007年09月18日
渋沢健氏講演「『論語と算盤(そろばん)』型資本主義とは何か―信用なくして資本主義は成り立たない」(その4)
(四)信用なくして資本主義は成り立たない
渋沢栄一は九一歳まで生きました。波乱万丈でありましたが、人生を思う存分楽しんだと思います。
人生を大きく三分の一ずつに分けて考えますと、最初は三三歳までの第一国立銀行を開業した時期までで、次の三分の一は財界人として活躍した時代です。
よく渋沢栄一は「五〇〇社の会社をつくった」と言われますが、実際には五〇〇社の創設に株主として、経営者として、相談役として関与したと言った方が正しいです。記録に残っているのは四七六社です。
ただ余り知られていませんが、実は渋沢栄一は営利企業だけではなく、今で言うNPO、教育、社会福祉活動にも取り組みまして、団体としては六〇〇の団体の創設に関わりました。
最後の三〇年は、主に民間外交に力を入れまして、アメリカには四回行って、四人の大統領にも会っています。
当時、民間人でアメリカに行って大統領にまで会った人というのはいなかったと思います。それもビジネスでなく、八一歳の時にはアメリカで起こった排日問題の善後策を考えるためアメリカに渡って、大統領と会見しています。まさに財界人としての社会責任を果たすためでした。
それで渋沢栄一は、第一国立銀行をつくった時、「銀行は大きな河のようなものだ。銀行に集まってこない金は、溝に溜まっている水やポタポタ垂れている滴と変わりない。折角人を利し国を富ませる能力があっても、その効果はあらわれない」と言っています。
その意味で銀行というのは間接金融の大きな河であって、ファンドというのは直接金融の大きな河になり得るのかもしれない。
散らばったお金が集まって、一つの塊になる。それが資本主義なんですね。
銀行というのは大企業ですよね。でもファンドというのは中小企業です。一般的なその意味での信用力は違うのかもしれない。でも「信」がなければ、銀行はもちろんのこと、ファンドにもお金は集まらないですよ。
「託したお金を合理的に運用して、大きく増やして返してくれるでしょうね」という信用。その信用がないと、ファンドや銀行も、そもそも資本主義は成り立たないわけです。
続いて、渋沢栄一の「企業家の心得」ということですが、四つあります。第一が「其の事業は果して成立すべきものなるや否やを探究すること」、第三が「其の企業が時機に適合するや否やを判断すること」、第四が「事業成立の暁に於てその経営者に適当なる人物ありや否やを考えること」なんですが、問題は第二です。
「個人を利すると共に国家社会も利する事業なるや否やを知ること」です。
当然、個人にとって収益はちゃんと上げなきゃいけない。でも同時に国家社会にも重要だということですね。
最近、CSR、コーポレート・ソーシャル・リスポンシビリティー(企業社会責任)ということが言われておりますが、CSRに関しても、最近に外来したものではありません。
2007年09月17日
麻生太郎候補の所見発表演説会(演説全文)
麻生太郎候補・所見発表演説会(9月16日(日))
(演説全文)
麻生太郎です。親愛なる同僚議員の皆さん、また、自由民主党党員・党友の皆さん、皆さんを通じて私は敬愛する日本国国民に申し上げたいと存じます。そして世界の人々に、私の己の信じるところを訴えたいと存じます。
私が愛する日本は、今、立ちすくんでおります。本来、歩みを止めるべきでないときに急停止を余儀なくされた。そういう状況にあります。このことを思うにつけ、私は断腸の思いにかられます。責任を果たそうとして果たせなかったこの1週間、またさらにこの先1週間、政治の空白に対して責任を感じるところです。国民の皆さまに対しまして心からお詫びを申し上げる次第です。
だからこそ、時間をいただいたこの総裁選に課せられた期待と責任はことのほか大きい、そう思わないではいられません。自由民主党が本当に変わったのか、国民は見ております。開かれた国民政党としてその名に恥じない政党になったのか、国民は瞳をこらしております。本総裁選の意義はまずもってその点にこそあろうと存じます。
後世、歴史家が振り返るときに、古い自民党と小泉改革以来の新しい自民党との再試合だったと、そう記述するに違いないと存じます。どんな結末をもたらすのか、われわれに課せられた責務は重大であります。私ども全て、国民の目を強く意識し、政策をもって白黒をつける戦いに堂々と挑まねばならないと存じます。
私は、皆さまの前に政策の選択をお見せしたいと存じます。私が信じる日本人の能力を語ろうと存じます。指導者に求められる資質を述べたいとも存じます。その上で何を選ぶのか。公平無私の見方、国益を忘れぬ目をもって選んでいただきたい、このように思っております。
急ごしらえでつくった合意は簡単に崩れます。あわててまとめた多数派も、成立のその瞬間から瓦解への方向に動き出す。わが自由民主党はすでにそのことを過去の歴史から学んだはずでありました。わが党は長い歴史において、ある結論に達しております。それは、指導者を選ぶときに、国民に広く候補者と政策の選択をお見せして、国民の声を聞きながら選ぶのでなければならないということであろうと存じます。
皆さん、今ほど日本が危機に臨んで強い指導者を必要としているときはありません。安定した指導者ではありません。強くて頼りになる指導者をこそ必要といたしております。また、今ほど日本の農山村・漁村、地域の経済がたった2文字を求めて渇望しているときはありません。その2文字とは「希望」であります。皆さん、朝に希望を持って目覚め、昼は懸命に働き、夜は感謝とともに床につく、人間の営みとはこの3つが十分にできるなら「幸せ」なのだと存じます。
私は、日本の若者に希望を与えて、農山村・漁村のおじいちゃん、おばあちゃんに「この先そんなに悪くはなりませんよ。きっといいことがあるよ」という希望を感じてもらいたい。私は、毎晩感謝の思いとともに眠りにつけるよう、粉骨砕身この身を捧げてまいる所存であります。
また、今ぐらい日本の発する言葉が重みを増しているときもないのであります。日本の発する言葉とは、煎じ詰めたところ内閣総理大臣の発する言葉であります。世界がそれに耳を傾けます。日本の環境を守り、治山治水に精を出しているお父さん、子どものお弁当を作り、それから働きに出るお母さん、あるいは“ネットカフェ難民”と呼ばれ、明日の暮らしを心配する若者に対しても総理は呼びかけなくてはならんのだと存じます。
私は強い言葉を発する総理になりたいと存じます。わが国の進むべき道はこうなのだと、明確な言葉を語れるような総理にもなりたいと存じます。日本という国は素晴らしい国なのだ。頼りになる仲間だ。そして尊敬に足る国だと、諸外国の指導者に、またその国の国民に思ってもらうことのできる、そういう言葉を発することのできる総理大臣になりたいとも考えております。
総理に選ばれました暁には、日本をどんなふうに変えたいのか申し上げます。日本と日本人の底力に私は揺るぎない信頼を置いております。その力を十分に解放すること。それによって、力強い成長軌道に今一度、日本をのせることであります。地方経済に息を吹き返させることであります。実力を解放し、自力成長をさせることです。
これから具体的な例を内政について3つ、外政についても同じく3つ申し上げさせていただきます。
はじめに内政についてであります。内政は将来不安の払拭、これは目下の状況ではまずは年金の話だと存じます。第2は徹底的な機会の平等、不当な格差は断固つぶすということです。第3に、経営者の目をもって新たな経済成長戦略を力強く押し進めるということであります。
順にご説明を申し上げます。
まずは年金です。支払い漏れが1人もないよう徹底を期します。そのため、全ての国民の皆さまに年金が確認できるようハガキを送りたいと存じます。社会保険庁、自治体窓口で保険料を横領したとかいう不逞の輩は、金銭の多寡を問わず言語道断の所業であります。なぜならこれは制度、この年金制度によせる国民の信頼を根底から掘り崩し、ひいては政治それ自体に不信を招いたということに他ならないからであります。私は、年金が国民の未来というものを託するに足る、信頼のおける制度に生まれ変わるよう、政権の命をかけて取り組んでまいりたいと存じます。
加えて、年金問題の本当の核心は、今日ただ今35歳の青年が65歳になったとき安心して暮らせるか、そこに見通しをつけてやることです。まずは現行制度に不公平をなくし、次に年金制度の将来設計を考え直す。このことに総力をつぎ込む所存です。
第2は機会の平等です。40歳とか50歳にもなれば、人間は己の顔に責任を持てとよく言われます。危機に及んでどっしり落ち着き、微笑みを絶やさぬ顔、私はこういう顔を国民の皆さまに対しお見せすることも指導者の使命であろうと存じます。
人間とは、目の前の選択肢の中から一つ一つを選んでいき、ついには顔をも自分でつくるわけであります。オギャアと生まれた赤ちゃんがその場所で、日本のどこにあるか、産んでくれた両親がどんな両親であるのかと、自分で選ぶことはできません。したがって、政府が心がけるべき最も大事な仕事というのは機会の平等を徹底して図るということだろうと確信します。そこから格差の是正という緊急の政策課題が出てまいります。中でも、農山村・漁村という地を、また企業で言えば中小零細企業、ここに今の日本では強い影が落ちております。農山村・漁村に生まれつき、中小零細企業に働く両親のもとに生を受けた子供が、ただそのことだけで将来に豊かな展望が持てない。そんなことになれば日本は日本ではなくなります。
方法はあろうと存じます。例えば、地方交付税のあり方を大幅に変えることがその1つだろうと存じます。補助金にしても、地方が自分の工夫を生かして使えるようにしてやる。そういうようなことができるのではないでしょうか。総務大臣として私は国から地方へ3兆円の税源委譲という大改革をやらせていただきました。全省庁が反対だったと存じます。地方にできることは地方にという構造改革をさらに進めます。
危機に追い込まれたとき、人間は2つの反応をとるであろうと思います。助けてくれといって人をあてにする。「何クソ」といって自分で活路を開く。中央と地方の関係が今のままですと、地方に「何クソ」という気持ちがなかなか起きません。
例をあげます。能登半島の「加賀屋」という老舗の旅館があります。ご存じかとは思いますが、交通の便は悪く、だんだんと客足が遠のいておりました。しかし、仲居さんに英語、中国語を勉強させ、台北や上海からのお客さんを増やして伸びました。この間の地震の被害にもあわれましたが評判はいささかも衰えておりません。
それから北海道旭川市にある旭山動物園、私も行きました。今では日本一有名な動物園。あれも「何クソ」と言って活路を開いた一例で、今では上野動物園より集客力は高いのではないでしょうか。企業や団体にはこういうことがいくらでもできる。自治体にもこれはできるというように思い込ませなければならんのです。
別の例をあげます。半導体、シリコンウェハー、シリコンの板のことです。この板に回路を書きます。ふつう回路は平面に並びます。しかし、一定の面積の板に回路を平面に並べる微細な技術は限界にきております。「それなら回路を垂直に重ねて書いていけば限界を突破できるじゃないか」――実はこれ、世界最先端の技術ですが、日本人の科学者が思いついた独創であります。圧倒的競争力を持つ技術で、わが国はいま一度、半導体産業の先頭に立つ、そんなことも決して不可能ではありません。
申し上げます。日本の底力というものにはとてつもないものがあるのだと、私はそう信じております。そして、そういう技術を持った工場を地方が誘致してはどうでしょうか。大きな工場ではありません。また、観光産業ならお客さんを広くアジアに求める。エコツーリズムの客を、思い切ってオーストラリアとかニュージーランドとかいう南半球圏に求める。自治体には頭さえしぼれば、そしてそれを許す財政的支援、裏付け、それに人材、それさえあればできることはいろいろある。
私の都市・地方間格差の是正政策の根本には、市町村長というものが地域の経営者としての発想を持って動きやすくする、そういう背骨を一本通しております。申し上げますが、こういう話は霞が関からは出ません。総理・総裁に求められる力というのは、霞が関に信頼されつつ、かつ違うアイディア、違う発想、突破口を示してやることだと思います。それに必要な総裁の能力とは、あらゆる人に、この人と話したい、話を聞いてもらいたい、アイディアを教えてやりたい、そう思ってもらえることであろうと思います。
そして第3は、経営者の目をもって新たな成長戦略を強く押し進めるということであります。成長促進と言いますと、すぐ予算をくれという話になります。これが役人の発想だと思います。何か新しい商売を探したり、仕入れの仕方を変えたりして原価をもっと下げたり…これが経営者の発想です。
わが党の政調会長をさせていただいたときでありましたが、港の通関やら建築申請やら、そのために役所に資料を提出しろという法律は数えてみたら5万2100本ありました。それを、たった1本の法律をつくり、1回で、それもオンラインで手続きが済むようにしました。すさまじい抵抗がありましたが、構造改革とはこういうことをやるのだと思います。
日本経済というもののコストを思い切って下げてやる。それで利幅が増えれば、株の配当とか、または働く人の給料、いわゆる労働分配率、いろんな難しい言葉がありますけれども、ともに上がる。こういうやり方はあろうと思います。ただし、役所の縦割りを残しておいてはできません。強い政治指導者がいて、はじめて可能なのであろうと存じます。
外交に話を移します。3つ申し上げたいのは、第1にインド洋の給油活動、第2に今、日本の外交が歴史的転換点にあるということ、第3が拉致の解決であります。
インド洋の活動は、日本が日本の国益をかけ、自分のためにやっていることです。6年前の9月11日、日本人も24人犠牲になったことを忘れてはなりません。インド洋は日本に油を送るシーレーンの出発点であります。ここをテロリストの勝手気ままにさせてはならない。日本の国益とはその1点に集中していると言っても過言ではありません。これを「アメリカのため」などというのは言語道断、もしくは事実誤認も甚だしいと存じます。
ヨーロッパの国々が日本を見直したのはこの給油活動です。それからイラクに送られた自衛隊員。盗みの一つ、軽犯罪の一つも犯さず、見事な規律を示した自衛隊の若い隊員に対しイギリスやオランダが驚いた。
皆さん、日本のGDPは世界の10%を占めます。中国、ロシア、そして韓国を足したよりまだでかいのです。それにふさわしい貢献を日本は立派にやっている。こう彼らが心の底から得心した。それで今、わが国の外交は大きくその地平を広げられました。これが第2の点です。欧州諸国と一緒になり、東欧諸国、バルカン諸国で自由と繁栄を伸ばしていく、こういう政策ができるようになった。
安倍総理は、インドの国会演説において「自由と繁栄の弧をつくる政策だ」と紹介をされました。アメリカとオーストラリアと一緒になって、アジアや太平洋の安全にもっと責任を持つという政策にもつながった。それらの根も、元をただすとインド洋の活動であったのであります。これだけのスケールを持つ活動なのだということを、だれかが国民に語り続けなければならないと存じます。私はそれをやってまいる所存です。日米同盟の強化はこういういろんなルートからもっとできるようになります。
第3は拉致の問題の解決であります。私は、新潟の海岸に足を運びました。横田めぐみさんが連れ去られたという、その場所にも行きました。鈍く曇る日本海を見ましたが、正直涙がにじみました。断固諦めない。私は日本国主権をかけ、日本の生命を守るという国家にとって最も重要な任務の遂行のため、北朝鮮に解決を迫ります。
私は、パレスチナの若者が日本を待っているのを知っています。ホンジュラスの子供が青年海外協力隊のこしらえた教科書で算数を学び、学校が好きになったということ。カンボジアの民法を日本の若い女性の法律家がつくっておるのです。私たちの誇りとする日本はとてつもない力があるのだと。
ぜひ私は、自分が愛し、誇りとしてやまぬ日本を、日本人の一人一人が誇りとして、そして未来に希望を、活力を求めることができる国になるよう、私の命をかけて頑張っていきたいと覚悟を決めております。全国の党員・党友、ならびに国会議員諸先生の深いご理解をお願い申し上げ、麻生太郎の所見の表明とさせていただきます。
長時間のご清聴ありがとうございました。
麻生 太郎 (あそう たろう)
選挙区: 衆議院福岡県第8区
生年月日: 昭和15年9月20日
経歴: 昭和38年 学習院大学政経学部卒業
昭和52年 自由民主党入党
昭和54年 衆議院議員初当選
(以降、当選9回)
平成 8年 国務大臣 経済企画庁長官
平成13年 国務大臣 経済財政政策担当
党政務調査会長
平成15年 総務大臣
平成17年 外務大臣
平成19年 党幹事長(現職)
ホームページ: http://www.aso-taro.jp/
(演説全文)
麻生太郎です。親愛なる同僚議員の皆さん、また、自由民主党党員・党友の皆さん、皆さんを通じて私は敬愛する日本国国民に申し上げたいと存じます。そして世界の人々に、私の己の信じるところを訴えたいと存じます。
私が愛する日本は、今、立ちすくんでおります。本来、歩みを止めるべきでないときに急停止を余儀なくされた。そういう状況にあります。このことを思うにつけ、私は断腸の思いにかられます。責任を果たそうとして果たせなかったこの1週間、またさらにこの先1週間、政治の空白に対して責任を感じるところです。国民の皆さまに対しまして心からお詫びを申し上げる次第です。
だからこそ、時間をいただいたこの総裁選に課せられた期待と責任はことのほか大きい、そう思わないではいられません。自由民主党が本当に変わったのか、国民は見ております。開かれた国民政党としてその名に恥じない政党になったのか、国民は瞳をこらしております。本総裁選の意義はまずもってその点にこそあろうと存じます。
後世、歴史家が振り返るときに、古い自民党と小泉改革以来の新しい自民党との再試合だったと、そう記述するに違いないと存じます。どんな結末をもたらすのか、われわれに課せられた責務は重大であります。私ども全て、国民の目を強く意識し、政策をもって白黒をつける戦いに堂々と挑まねばならないと存じます。
私は、皆さまの前に政策の選択をお見せしたいと存じます。私が信じる日本人の能力を語ろうと存じます。指導者に求められる資質を述べたいとも存じます。その上で何を選ぶのか。公平無私の見方、国益を忘れぬ目をもって選んでいただきたい、このように思っております。
急ごしらえでつくった合意は簡単に崩れます。あわててまとめた多数派も、成立のその瞬間から瓦解への方向に動き出す。わが自由民主党はすでにそのことを過去の歴史から学んだはずでありました。わが党は長い歴史において、ある結論に達しております。それは、指導者を選ぶときに、国民に広く候補者と政策の選択をお見せして、国民の声を聞きながら選ぶのでなければならないということであろうと存じます。
皆さん、今ほど日本が危機に臨んで強い指導者を必要としているときはありません。安定した指導者ではありません。強くて頼りになる指導者をこそ必要といたしております。また、今ほど日本の農山村・漁村、地域の経済がたった2文字を求めて渇望しているときはありません。その2文字とは「希望」であります。皆さん、朝に希望を持って目覚め、昼は懸命に働き、夜は感謝とともに床につく、人間の営みとはこの3つが十分にできるなら「幸せ」なのだと存じます。
私は、日本の若者に希望を与えて、農山村・漁村のおじいちゃん、おばあちゃんに「この先そんなに悪くはなりませんよ。きっといいことがあるよ」という希望を感じてもらいたい。私は、毎晩感謝の思いとともに眠りにつけるよう、粉骨砕身この身を捧げてまいる所存であります。
また、今ぐらい日本の発する言葉が重みを増しているときもないのであります。日本の発する言葉とは、煎じ詰めたところ内閣総理大臣の発する言葉であります。世界がそれに耳を傾けます。日本の環境を守り、治山治水に精を出しているお父さん、子どものお弁当を作り、それから働きに出るお母さん、あるいは“ネットカフェ難民”と呼ばれ、明日の暮らしを心配する若者に対しても総理は呼びかけなくてはならんのだと存じます。
私は強い言葉を発する総理になりたいと存じます。わが国の進むべき道はこうなのだと、明確な言葉を語れるような総理にもなりたいと存じます。日本という国は素晴らしい国なのだ。頼りになる仲間だ。そして尊敬に足る国だと、諸外国の指導者に、またその国の国民に思ってもらうことのできる、そういう言葉を発することのできる総理大臣になりたいとも考えております。
総理に選ばれました暁には、日本をどんなふうに変えたいのか申し上げます。日本と日本人の底力に私は揺るぎない信頼を置いております。その力を十分に解放すること。それによって、力強い成長軌道に今一度、日本をのせることであります。地方経済に息を吹き返させることであります。実力を解放し、自力成長をさせることです。
これから具体的な例を内政について3つ、外政についても同じく3つ申し上げさせていただきます。
はじめに内政についてであります。内政は将来不安の払拭、これは目下の状況ではまずは年金の話だと存じます。第2は徹底的な機会の平等、不当な格差は断固つぶすということです。第3に、経営者の目をもって新たな経済成長戦略を力強く押し進めるということであります。
順にご説明を申し上げます。
まずは年金です。支払い漏れが1人もないよう徹底を期します。そのため、全ての国民の皆さまに年金が確認できるようハガキを送りたいと存じます。社会保険庁、自治体窓口で保険料を横領したとかいう不逞の輩は、金銭の多寡を問わず言語道断の所業であります。なぜならこれは制度、この年金制度によせる国民の信頼を根底から掘り崩し、ひいては政治それ自体に不信を招いたということに他ならないからであります。私は、年金が国民の未来というものを託するに足る、信頼のおける制度に生まれ変わるよう、政権の命をかけて取り組んでまいりたいと存じます。
加えて、年金問題の本当の核心は、今日ただ今35歳の青年が65歳になったとき安心して暮らせるか、そこに見通しをつけてやることです。まずは現行制度に不公平をなくし、次に年金制度の将来設計を考え直す。このことに総力をつぎ込む所存です。
第2は機会の平等です。40歳とか50歳にもなれば、人間は己の顔に責任を持てとよく言われます。危機に及んでどっしり落ち着き、微笑みを絶やさぬ顔、私はこういう顔を国民の皆さまに対しお見せすることも指導者の使命であろうと存じます。
人間とは、目の前の選択肢の中から一つ一つを選んでいき、ついには顔をも自分でつくるわけであります。オギャアと生まれた赤ちゃんがその場所で、日本のどこにあるか、産んでくれた両親がどんな両親であるのかと、自分で選ぶことはできません。したがって、政府が心がけるべき最も大事な仕事というのは機会の平等を徹底して図るということだろうと確信します。そこから格差の是正という緊急の政策課題が出てまいります。中でも、農山村・漁村という地を、また企業で言えば中小零細企業、ここに今の日本では強い影が落ちております。農山村・漁村に生まれつき、中小零細企業に働く両親のもとに生を受けた子供が、ただそのことだけで将来に豊かな展望が持てない。そんなことになれば日本は日本ではなくなります。
方法はあろうと存じます。例えば、地方交付税のあり方を大幅に変えることがその1つだろうと存じます。補助金にしても、地方が自分の工夫を生かして使えるようにしてやる。そういうようなことができるのではないでしょうか。総務大臣として私は国から地方へ3兆円の税源委譲という大改革をやらせていただきました。全省庁が反対だったと存じます。地方にできることは地方にという構造改革をさらに進めます。
危機に追い込まれたとき、人間は2つの反応をとるであろうと思います。助けてくれといって人をあてにする。「何クソ」といって自分で活路を開く。中央と地方の関係が今のままですと、地方に「何クソ」という気持ちがなかなか起きません。
例をあげます。能登半島の「加賀屋」という老舗の旅館があります。ご存じかとは思いますが、交通の便は悪く、だんだんと客足が遠のいておりました。しかし、仲居さんに英語、中国語を勉強させ、台北や上海からのお客さんを増やして伸びました。この間の地震の被害にもあわれましたが評判はいささかも衰えておりません。
それから北海道旭川市にある旭山動物園、私も行きました。今では日本一有名な動物園。あれも「何クソ」と言って活路を開いた一例で、今では上野動物園より集客力は高いのではないでしょうか。企業や団体にはこういうことがいくらでもできる。自治体にもこれはできるというように思い込ませなければならんのです。
別の例をあげます。半導体、シリコンウェハー、シリコンの板のことです。この板に回路を書きます。ふつう回路は平面に並びます。しかし、一定の面積の板に回路を平面に並べる微細な技術は限界にきております。「それなら回路を垂直に重ねて書いていけば限界を突破できるじゃないか」――実はこれ、世界最先端の技術ですが、日本人の科学者が思いついた独創であります。圧倒的競争力を持つ技術で、わが国はいま一度、半導体産業の先頭に立つ、そんなことも決して不可能ではありません。
申し上げます。日本の底力というものにはとてつもないものがあるのだと、私はそう信じております。そして、そういう技術を持った工場を地方が誘致してはどうでしょうか。大きな工場ではありません。また、観光産業ならお客さんを広くアジアに求める。エコツーリズムの客を、思い切ってオーストラリアとかニュージーランドとかいう南半球圏に求める。自治体には頭さえしぼれば、そしてそれを許す財政的支援、裏付け、それに人材、それさえあればできることはいろいろある。
私の都市・地方間格差の是正政策の根本には、市町村長というものが地域の経営者としての発想を持って動きやすくする、そういう背骨を一本通しております。申し上げますが、こういう話は霞が関からは出ません。総理・総裁に求められる力というのは、霞が関に信頼されつつ、かつ違うアイディア、違う発想、突破口を示してやることだと思います。それに必要な総裁の能力とは、あらゆる人に、この人と話したい、話を聞いてもらいたい、アイディアを教えてやりたい、そう思ってもらえることであろうと思います。
そして第3は、経営者の目をもって新たな成長戦略を強く押し進めるということであります。成長促進と言いますと、すぐ予算をくれという話になります。これが役人の発想だと思います。何か新しい商売を探したり、仕入れの仕方を変えたりして原価をもっと下げたり…これが経営者の発想です。
わが党の政調会長をさせていただいたときでありましたが、港の通関やら建築申請やら、そのために役所に資料を提出しろという法律は数えてみたら5万2100本ありました。それを、たった1本の法律をつくり、1回で、それもオンラインで手続きが済むようにしました。すさまじい抵抗がありましたが、構造改革とはこういうことをやるのだと思います。
日本経済というもののコストを思い切って下げてやる。それで利幅が増えれば、株の配当とか、または働く人の給料、いわゆる労働分配率、いろんな難しい言葉がありますけれども、ともに上がる。こういうやり方はあろうと思います。ただし、役所の縦割りを残しておいてはできません。強い政治指導者がいて、はじめて可能なのであろうと存じます。
外交に話を移します。3つ申し上げたいのは、第1にインド洋の給油活動、第2に今、日本の外交が歴史的転換点にあるということ、第3が拉致の解決であります。
インド洋の活動は、日本が日本の国益をかけ、自分のためにやっていることです。6年前の9月11日、日本人も24人犠牲になったことを忘れてはなりません。インド洋は日本に油を送るシーレーンの出発点であります。ここをテロリストの勝手気ままにさせてはならない。日本の国益とはその1点に集中していると言っても過言ではありません。これを「アメリカのため」などというのは言語道断、もしくは事実誤認も甚だしいと存じます。
ヨーロッパの国々が日本を見直したのはこの給油活動です。それからイラクに送られた自衛隊員。盗みの一つ、軽犯罪の一つも犯さず、見事な規律を示した自衛隊の若い隊員に対しイギリスやオランダが驚いた。
皆さん、日本のGDPは世界の10%を占めます。中国、ロシア、そして韓国を足したよりまだでかいのです。それにふさわしい貢献を日本は立派にやっている。こう彼らが心の底から得心した。それで今、わが国の外交は大きくその地平を広げられました。これが第2の点です。欧州諸国と一緒になり、東欧諸国、バルカン諸国で自由と繁栄を伸ばしていく、こういう政策ができるようになった。
安倍総理は、インドの国会演説において「自由と繁栄の弧をつくる政策だ」と紹介をされました。アメリカとオーストラリアと一緒になって、アジアや太平洋の安全にもっと責任を持つという政策にもつながった。それらの根も、元をただすとインド洋の活動であったのであります。これだけのスケールを持つ活動なのだということを、だれかが国民に語り続けなければならないと存じます。私はそれをやってまいる所存です。日米同盟の強化はこういういろんなルートからもっとできるようになります。
第3は拉致の問題の解決であります。私は、新潟の海岸に足を運びました。横田めぐみさんが連れ去られたという、その場所にも行きました。鈍く曇る日本海を見ましたが、正直涙がにじみました。断固諦めない。私は日本国主権をかけ、日本の生命を守るという国家にとって最も重要な任務の遂行のため、北朝鮮に解決を迫ります。
私は、パレスチナの若者が日本を待っているのを知っています。ホンジュラスの子供が青年海外協力隊のこしらえた教科書で算数を学び、学校が好きになったということ。カンボジアの民法を日本の若い女性の法律家がつくっておるのです。私たちの誇りとする日本はとてつもない力があるのだと。
ぜひ私は、自分が愛し、誇りとしてやまぬ日本を、日本人の一人一人が誇りとして、そして未来に希望を、活力を求めることができる国になるよう、私の命をかけて頑張っていきたいと覚悟を決めております。全国の党員・党友、ならびに国会議員諸先生の深いご理解をお願い申し上げ、麻生太郎の所見の表明とさせていただきます。
長時間のご清聴ありがとうございました。
麻生 太郎 (あそう たろう)
選挙区: 衆議院福岡県第8区
生年月日: 昭和15年9月20日
経歴: 昭和38年 学習院大学政経学部卒業
昭和52年 自由民主党入党
昭和54年 衆議院議員初当選
(以降、当選9回)
平成 8年 国務大臣 経済企画庁長官
平成13年 国務大臣 経済財政政策担当
党政務調査会長
平成15年 総務大臣
平成17年 外務大臣
平成19年 党幹事長(現職)
ホームページ: http://www.aso-taro.jp/
福田康夫候補の所見発表演説会(演説全文)
福田康夫候補・所見発表演説会(9月16日(日))
(演説全文)
私は、このたびの自由民主党総裁選挙に立候補をいたしました、福田康夫でございます。このたびの突然の選挙にあたりまして、この選挙に至る経緯等を考えまして、皆さま方、党所属国会議員の先生方、そして党員・党友の皆さま、そして広くは多くの国民の皆さま方に、心から謝罪をしなければいけない。
なぜならば、国会もこのことにより2週間近く停滞をさせてしまう、こういうことになりました。私どもの意図するところでもないし、健康の問題ということであれば、これ以上のことを申し上げることもないのでありますけれども、しかし、考えてみますと、参院選で大敗を喫したということでございました。
その大敗の原因として、様々なことがございました。そういうことの集積の結果、今があるんだろうと思っております。わが党にとりましても、誠に緊急事態と申しますか、それ以上に、危機的な状況に立ち至ってしまったということについて、皆さま方に、党員の一人、党所属国会議員の一人として、お詫びを申し上げなければいけないと思っております。
そのような状況のなかで、急きょ、総裁選が行われるということになりまして、私も立候補することを決意いたしましたけれども、わずか4日しかないという中で、ここまで至ったわけであります。私も、政見を十分準備したという状況ではございませんけれども、しかし私の所信の一端を皆さま方に聞いていただき、そしてご判断を願いたいと思っておるところでございます。
今の時代というのは、いろいろな問題があります。そして、その問題、一つ一つを着実に解決していかないと、この日本、そしていま自民党に持たれているこの皆さま方の不信、国民の不信というものは、解決していかないのではないかと思っております。若い人たちは、将来に対する不満もありますけれども、いま現在の自分達の賃金・雇用状況等がどうも悪化してきている、ということもございますし、そして、お年寄りになればですね、年金が、これが何か信頼できないと、こういうような状況にあるということでございます。
若い人もお年寄りの年金、これが不安な状態の中で、自分たちの年金、将来一体どうなるのかなと、こういう不安を持っていると思います。
しかし、私どもの取り巻く環境というのは、雇用・賃金の不安というようなことだけじゃなくて、さまざまな問題がございます。日本は人口減少時代に立ち至りました。2年前からそのような傾向になりましたけれども、その結果生ずることは、将来の経済が一体どうなるかということもございます。経済の質を落とさないで、どのようにして日本を維持していくのかということも考えて、そして国民の皆さま方に提示していかなければいけないという問題もございます。
その上に、私どもを取り巻く環境というのは、何も国内だけのことではない。資源の問題あり、そして環境の問題も最近は強く叫ばれるようになってまいりました。そのようなことを考えてまいりますと、私どもはうかうかしてられないなという気持ちにさせられてしまう。当然のことだと思います。
政治家自身が、将来に対してしっかりとした道筋を持っているのかどうか。もし、政治家があいまいな考えしか持っていなければ、今の若者たち、そして多くの国民の方々が、将来に対して「いったい日本はどうなるんだろう」、そして「自分たちの将来の生活はどうなるのだろう」ということに不安を持つのは当然だと思います。
ましてや昨今の年金の問題。まことに大きな問題でございます。この問題は早く解決しなければならないけれども、しかし、このことによって日本の政府の信頼は著しく傷つきました。そしてこれほどの大きなことになれば、国家の威信も傷つけられたと言ってもいいというように私は思っております。そのような状況で、早く道筋を立てなければいけない。
もちろん、年金の問題も解決しなければいけません。これは、着実にひとつひとつ解決していくしかないと思っておりますが、早くこの信頼を取り返すことができるよう、このことに全力を挙げる必要があると思います。
将来への道筋を考える場合に、将来日本がどうなるのか、そして日本だけでなくて世界がどうなるかということも合わせて考えていかなければならないような日本の状況にあると思います。早く言えば、環境の問題。これは、日本だけの問題ではありません。世界の問題なのであります。日本が良くなればそれでいいということはありません。
このことをどうやって将来に結び付けていくか。「将来、こうあるべきだ」という姿を描いて、今どうするか、今の第一歩をどう踏むのか、ということを考える必要があると思います。今までのように、経済がなだらかに成長する、そういう社会の中で環境も考えなくても済むということであるならば、これは非常に簡単であります。過去からのグラフを描いて、ずっと昇っていけばいいだけですからね、右肩上がりの線を描いていければよかった。
しかし、今はそういうことは許されないということになりました。ですから、私たちはどうするんだということを決めて、それに対してどういう道筋を歩んでいくかということを今考えなければいけない。早く考えなければいけない。そしてその考えを、日本だけでなく、他の国にも同調させるような働きかけもしていかなければいけない。それがわれわれの仕事じゃないでしょうか。
日本は幸いにして、環境のことで申し上げれば、技術的には先進国であります。世界をリードできる国であります。その日本が、そのような働きかけを世界にしなければ、われわれは怠慢の謗りを免れない。その結果何が起こるか。お互いに資源と環境悪化のことについて競争、ケンカを始めなければいけないということを、私どもはやはり考えなければいけない。
特にそういう技術をもっている日本であるからこそ、その責任を感じなければいけないと思います。世界とは協調していかなければいけないという、その理由の大きなところはそこにあります。
これからは、資源の争奪戦争を起こさないようにしなければいけない。そして同時に、環境のこれ以上の悪化を少しでも食い止めるということをしていかなければいけない。そういうことを私どもは政策の大前提としておかなければいけない。そのために何をするかということを具体的な政策として提示していかなければいけない。これがわれわれ政治家の責任であると思っております。
そのようなことを考えて、そういうことを達成できるためにどういうことをしていくのか、いろいろな方策があります。私は自民党の中で、「200年住宅」というプランを提案いたしております。そして具体化をするための制度を組み立てておるところでございますけれども、この200年住宅というのは、いま現在たった30年しか持たない、新築して壊すまで30年という、この無駄遣いをやめて、欧米並みに50年、70年80年というように寿命を長くしていく。そのことによって、資源を節約し、そこから出てくる廃材を少なくする。環境のためにそういうことをしていく。また、30年の家が200年持てば、コストも安くなります。国民負担が住宅については格段に小さくなるということも、私どもは考えながら、将来の国民負担が増える要素が多い中で、少しでも国民負担を減らすことを考えていかなければいけない。
国民負担、環境の問題、両面を考えて、われわれはこういうようなことを具体的にひとつひとつ積上げていく。その結果、できる社会が「ストック型の社会」であります。要するに、つくったものは次の世代でも使ってもらいましょう。その次の世代でも使ってもらいましょう。そういう考え方をこれからは取り入れていかなければいけない時代になったのだと、そういうことを提案するのが自民党であり、それを実行するのが自民党だと思っております。
いろいろな分野がございます。そういう一つ一つの分野において、私の今申し上げましたような考え方を実行していくということが必要です。人口が減少してくれば、労働力は不足してまいります。その労働力の不足を何によってカバーしていくか。今までのように2次産業だけでやっていくということは、これは大量消費、大量生産、こういう悪循環、環境破壊という問題につながります。そういう連鎖はもう断ち切ろうということを考えていくことも必要であります。
様々な分野でそういう取り上げはできます。政策も取り上げることもできます。そういうようなことは、すべて改革であります。今までの考え方をガラリと変えて、そして新しい方向に進んでいく、そういう施策を推進していくことが今求められております。
そして、そういう改革を進めるにあたって、これは政治のリーダーシップがなんといっても大事でございます。小泉改革は、小泉総理の稀なるリーダーシップによって、あのような大きな改革が成し遂げられました。郵政改革は100年続いた制度を変えたんです。道路公団改革もいたしました。
官から民へ、中央政府の権限をなるべく小さくして、それを民間に持っていく、地方にも持っていく、そのことによって民間活力を引き出そうという考え方でございます。この改革は、もうやっちゃったんです。改革の方向性、これは変えられません。後戻りもできません。しかし、このことによって起こった諸問題、様々な問題があるとすれば、その分野について手を加えていかなくてはいけないと思います。
小泉改革の中で、経済合理主義を追求した部分がございます。経済合理主義、規制改革とか構造改革的なことでもございましたけれども、経済合理主義を進めた結果が都市と地方の格差という問題になりました。また、企業間格差、雇用の格差、いろいろな格差が生じてまいりました。この格差は経済合理主義を進めれば進めるほど広がるものだと思います。ですから、この格差を埋める努力をしなければなりません。これは、改革を停滞させることとは違うのです。それはそれでまた新しい仕組みを考えて、この格差を埋めていく方法をとらなければいけないと思います。そのための構造改革もあろうかと思っております。
小泉改革は、これは変わらない。さらにこれから新しく起こす改革も、できるものは早く改革していく。そして、時間のかかるものに、時間をかけることはやむを得ない。しかし一方では、競争が激化している部分があります。
特に、国際競争分野は非常に競争が激しい。この国際競争をやっている部分を止めるわけにはいきません。東京は、ビルが林立しております。私の選挙区はここから新幹線で100キロでございますけれども、そこは山が並んでおります。そのくらいの格差があるんです。これを格差、というべきかどうかという問題はありますけれども、そこで生活している人のいろいろなインフラストラクチャーは、これは確かに差があるんです。
ですからその差を埋める努力をこれからしていく必要があるというふうに私は思います。そういうことを考えながら、これからの改革を進めていく。そして、日本全体が同じような気持ちで生活できるような社会をつくることが必要だと思っております。
そのためには、私は「自立と共生」という言葉を改革の理念にしたいと思います。自立は、地方も自立、都市も自立。共生は、「共に支え合う」という共生。地方と都市は、お互いに話し合って、そしてお互いに共生することを考える。共存社会なんですね、お互いに。国際社会でも同じようなことがいえると思います。
国際社会では、日本は自立します。しかし、日本だけでは生きていけません。やはり、国際社会の中で共生をしていくという精神が必要なのです。そのようなことを私は改革の中心に据えて、政策の課題として取り上げていきたいと思っております。
そのような大きな改革をする場合に、何が一番大切か。やはり、政治の信頼じゃないですか。政治の信頼なくして、今の改革はできません。年金の問題もそうでございましたけれども、そういう問題を観察しておりますと、どうも今までの日本の行政、政治は、生産者の方に偏っていたのではないかと。生産者の立場で行政を行っていたのではないかと。そういうような心配がございます。年金の問題もそうです。集めてしまったら、お戻しするときに、そのデータがない。まさにそういうことじゃないですか。BSE問題もございました。
生産者の方に目を向けていた行政に、食品の検査、これを厳しくするということによって、真に国民が求めている健康問題、安全問題ということを提示したものであるというふうに思います。このあいだの耐震偽装の問題もそうでした。つくる方の立場の行政。今は、国民の立場、住む人の立場に立った行政をしていかなければいけない。
そういうような視点にこれから変えていくということも同時に、視野の中に入れて考えていく。そのことによって国民の信頼を得ていかなければいけない。今、政治の信頼を得るには、不祥事だけに対する対応ではなくて、根本的に、国民を目線に据えた、そういう行政を展開する。そのことが極めて大事であり、そういうふうに変えなければ、私は国民政党としての自民党もない、そしてまた、政治もなくなる、そのように思っております。
そういうことを考えながら、私はもし、総裁という立場を頂けるのであれば、そういう観点から強力な政策立案、そして実行をしてまいります。そして同時に、お金の問題を一切問われないようにするということは、心構えとして大事だというふうに思っておりますので、そういう提案もしてまいりたいと思っております。どうか、皆さま方によろしくお願いを申し上げまして、私の所信の表明とさせていただきます。大変ありがとうございました。
福田 康夫 (ふくだ やすお)
選挙区: 衆議院群馬県第4区
生年月日: 昭和11年7月16日
経歴: 昭和34年 早稲田大学政治経済学部卒業
石油会社入社
昭和52年 内閣総理大臣秘書官
平成 2年 衆議院議員初当選
(以降、当選6回)
平成 7年 外務政務次官
平成 8年 党外交部会長
平成11年 党経理局長
平成12年 国務大臣 内閣官房長官
沖縄開発庁長官
平成13年 男女共同参画担当大臣
平成17年 党新憲法起草委員会小委員長
ホームページ: http://www.y-fukuda
(演説全文)
私は、このたびの自由民主党総裁選挙に立候補をいたしました、福田康夫でございます。このたびの突然の選挙にあたりまして、この選挙に至る経緯等を考えまして、皆さま方、党所属国会議員の先生方、そして党員・党友の皆さま、そして広くは多くの国民の皆さま方に、心から謝罪をしなければいけない。
なぜならば、国会もこのことにより2週間近く停滞をさせてしまう、こういうことになりました。私どもの意図するところでもないし、健康の問題ということであれば、これ以上のことを申し上げることもないのでありますけれども、しかし、考えてみますと、参院選で大敗を喫したということでございました。
その大敗の原因として、様々なことがございました。そういうことの集積の結果、今があるんだろうと思っております。わが党にとりましても、誠に緊急事態と申しますか、それ以上に、危機的な状況に立ち至ってしまったということについて、皆さま方に、党員の一人、党所属国会議員の一人として、お詫びを申し上げなければいけないと思っております。
そのような状況のなかで、急きょ、総裁選が行われるということになりまして、私も立候補することを決意いたしましたけれども、わずか4日しかないという中で、ここまで至ったわけであります。私も、政見を十分準備したという状況ではございませんけれども、しかし私の所信の一端を皆さま方に聞いていただき、そしてご判断を願いたいと思っておるところでございます。
今の時代というのは、いろいろな問題があります。そして、その問題、一つ一つを着実に解決していかないと、この日本、そしていま自民党に持たれているこの皆さま方の不信、国民の不信というものは、解決していかないのではないかと思っております。若い人たちは、将来に対する不満もありますけれども、いま現在の自分達の賃金・雇用状況等がどうも悪化してきている、ということもございますし、そして、お年寄りになればですね、年金が、これが何か信頼できないと、こういうような状況にあるということでございます。
若い人もお年寄りの年金、これが不安な状態の中で、自分たちの年金、将来一体どうなるのかなと、こういう不安を持っていると思います。
しかし、私どもの取り巻く環境というのは、雇用・賃金の不安というようなことだけじゃなくて、さまざまな問題がございます。日本は人口減少時代に立ち至りました。2年前からそのような傾向になりましたけれども、その結果生ずることは、将来の経済が一体どうなるかということもございます。経済の質を落とさないで、どのようにして日本を維持していくのかということも考えて、そして国民の皆さま方に提示していかなければいけないという問題もございます。
その上に、私どもを取り巻く環境というのは、何も国内だけのことではない。資源の問題あり、そして環境の問題も最近は強く叫ばれるようになってまいりました。そのようなことを考えてまいりますと、私どもはうかうかしてられないなという気持ちにさせられてしまう。当然のことだと思います。
政治家自身が、将来に対してしっかりとした道筋を持っているのかどうか。もし、政治家があいまいな考えしか持っていなければ、今の若者たち、そして多くの国民の方々が、将来に対して「いったい日本はどうなるんだろう」、そして「自分たちの将来の生活はどうなるのだろう」ということに不安を持つのは当然だと思います。
ましてや昨今の年金の問題。まことに大きな問題でございます。この問題は早く解決しなければならないけれども、しかし、このことによって日本の政府の信頼は著しく傷つきました。そしてこれほどの大きなことになれば、国家の威信も傷つけられたと言ってもいいというように私は思っております。そのような状況で、早く道筋を立てなければいけない。
もちろん、年金の問題も解決しなければいけません。これは、着実にひとつひとつ解決していくしかないと思っておりますが、早くこの信頼を取り返すことができるよう、このことに全力を挙げる必要があると思います。
将来への道筋を考える場合に、将来日本がどうなるのか、そして日本だけでなくて世界がどうなるかということも合わせて考えていかなければならないような日本の状況にあると思います。早く言えば、環境の問題。これは、日本だけの問題ではありません。世界の問題なのであります。日本が良くなればそれでいいということはありません。
このことをどうやって将来に結び付けていくか。「将来、こうあるべきだ」という姿を描いて、今どうするか、今の第一歩をどう踏むのか、ということを考える必要があると思います。今までのように、経済がなだらかに成長する、そういう社会の中で環境も考えなくても済むということであるならば、これは非常に簡単であります。過去からのグラフを描いて、ずっと昇っていけばいいだけですからね、右肩上がりの線を描いていければよかった。
しかし、今はそういうことは許されないということになりました。ですから、私たちはどうするんだということを決めて、それに対してどういう道筋を歩んでいくかということを今考えなければいけない。早く考えなければいけない。そしてその考えを、日本だけでなく、他の国にも同調させるような働きかけもしていかなければいけない。それがわれわれの仕事じゃないでしょうか。
日本は幸いにして、環境のことで申し上げれば、技術的には先進国であります。世界をリードできる国であります。その日本が、そのような働きかけを世界にしなければ、われわれは怠慢の謗りを免れない。その結果何が起こるか。お互いに資源と環境悪化のことについて競争、ケンカを始めなければいけないということを、私どもはやはり考えなければいけない。
特にそういう技術をもっている日本であるからこそ、その責任を感じなければいけないと思います。世界とは協調していかなければいけないという、その理由の大きなところはそこにあります。
これからは、資源の争奪戦争を起こさないようにしなければいけない。そして同時に、環境のこれ以上の悪化を少しでも食い止めるということをしていかなければいけない。そういうことを私どもは政策の大前提としておかなければいけない。そのために何をするかということを具体的な政策として提示していかなければいけない。これがわれわれ政治家の責任であると思っております。
そのようなことを考えて、そういうことを達成できるためにどういうことをしていくのか、いろいろな方策があります。私は自民党の中で、「200年住宅」というプランを提案いたしております。そして具体化をするための制度を組み立てておるところでございますけれども、この200年住宅というのは、いま現在たった30年しか持たない、新築して壊すまで30年という、この無駄遣いをやめて、欧米並みに50年、70年80年というように寿命を長くしていく。そのことによって、資源を節約し、そこから出てくる廃材を少なくする。環境のためにそういうことをしていく。また、30年の家が200年持てば、コストも安くなります。国民負担が住宅については格段に小さくなるということも、私どもは考えながら、将来の国民負担が増える要素が多い中で、少しでも国民負担を減らすことを考えていかなければいけない。
国民負担、環境の問題、両面を考えて、われわれはこういうようなことを具体的にひとつひとつ積上げていく。その結果、できる社会が「ストック型の社会」であります。要するに、つくったものは次の世代でも使ってもらいましょう。その次の世代でも使ってもらいましょう。そういう考え方をこれからは取り入れていかなければいけない時代になったのだと、そういうことを提案するのが自民党であり、それを実行するのが自民党だと思っております。
いろいろな分野がございます。そういう一つ一つの分野において、私の今申し上げましたような考え方を実行していくということが必要です。人口が減少してくれば、労働力は不足してまいります。その労働力の不足を何によってカバーしていくか。今までのように2次産業だけでやっていくということは、これは大量消費、大量生産、こういう悪循環、環境破壊という問題につながります。そういう連鎖はもう断ち切ろうということを考えていくことも必要であります。
様々な分野でそういう取り上げはできます。政策も取り上げることもできます。そういうようなことは、すべて改革であります。今までの考え方をガラリと変えて、そして新しい方向に進んでいく、そういう施策を推進していくことが今求められております。
そして、そういう改革を進めるにあたって、これは政治のリーダーシップがなんといっても大事でございます。小泉改革は、小泉総理の稀なるリーダーシップによって、あのような大きな改革が成し遂げられました。郵政改革は100年続いた制度を変えたんです。道路公団改革もいたしました。
官から民へ、中央政府の権限をなるべく小さくして、それを民間に持っていく、地方にも持っていく、そのことによって民間活力を引き出そうという考え方でございます。この改革は、もうやっちゃったんです。改革の方向性、これは変えられません。後戻りもできません。しかし、このことによって起こった諸問題、様々な問題があるとすれば、その分野について手を加えていかなくてはいけないと思います。
小泉改革の中で、経済合理主義を追求した部分がございます。経済合理主義、規制改革とか構造改革的なことでもございましたけれども、経済合理主義を進めた結果が都市と地方の格差という問題になりました。また、企業間格差、雇用の格差、いろいろな格差が生じてまいりました。この格差は経済合理主義を進めれば進めるほど広がるものだと思います。ですから、この格差を埋める努力をしなければなりません。これは、改革を停滞させることとは違うのです。それはそれでまた新しい仕組みを考えて、この格差を埋めていく方法をとらなければいけないと思います。そのための構造改革もあろうかと思っております。
小泉改革は、これは変わらない。さらにこれから新しく起こす改革も、できるものは早く改革していく。そして、時間のかかるものに、時間をかけることはやむを得ない。しかし一方では、競争が激化している部分があります。
特に、国際競争分野は非常に競争が激しい。この国際競争をやっている部分を止めるわけにはいきません。東京は、ビルが林立しております。私の選挙区はここから新幹線で100キロでございますけれども、そこは山が並んでおります。そのくらいの格差があるんです。これを格差、というべきかどうかという問題はありますけれども、そこで生活している人のいろいろなインフラストラクチャーは、これは確かに差があるんです。
ですからその差を埋める努力をこれからしていく必要があるというふうに私は思います。そういうことを考えながら、これからの改革を進めていく。そして、日本全体が同じような気持ちで生活できるような社会をつくることが必要だと思っております。
そのためには、私は「自立と共生」という言葉を改革の理念にしたいと思います。自立は、地方も自立、都市も自立。共生は、「共に支え合う」という共生。地方と都市は、お互いに話し合って、そしてお互いに共生することを考える。共存社会なんですね、お互いに。国際社会でも同じようなことがいえると思います。
国際社会では、日本は自立します。しかし、日本だけでは生きていけません。やはり、国際社会の中で共生をしていくという精神が必要なのです。そのようなことを私は改革の中心に据えて、政策の課題として取り上げていきたいと思っております。
そのような大きな改革をする場合に、何が一番大切か。やはり、政治の信頼じゃないですか。政治の信頼なくして、今の改革はできません。年金の問題もそうでございましたけれども、そういう問題を観察しておりますと、どうも今までの日本の行政、政治は、生産者の方に偏っていたのではないかと。生産者の立場で行政を行っていたのではないかと。そういうような心配がございます。年金の問題もそうです。集めてしまったら、お戻しするときに、そのデータがない。まさにそういうことじゃないですか。BSE問題もございました。
生産者の方に目を向けていた行政に、食品の検査、これを厳しくするということによって、真に国民が求めている健康問題、安全問題ということを提示したものであるというふうに思います。このあいだの耐震偽装の問題もそうでした。つくる方の立場の行政。今は、国民の立場、住む人の立場に立った行政をしていかなければいけない。
そういうような視点にこれから変えていくということも同時に、視野の中に入れて考えていく。そのことによって国民の信頼を得ていかなければいけない。今、政治の信頼を得るには、不祥事だけに対する対応ではなくて、根本的に、国民を目線に据えた、そういう行政を展開する。そのことが極めて大事であり、そういうふうに変えなければ、私は国民政党としての自民党もない、そしてまた、政治もなくなる、そのように思っております。
そういうことを考えながら、私はもし、総裁という立場を頂けるのであれば、そういう観点から強力な政策立案、そして実行をしてまいります。そして同時に、お金の問題を一切問われないようにするということは、心構えとして大事だというふうに思っておりますので、そういう提案もしてまいりたいと思っております。どうか、皆さま方によろしくお願いを申し上げまして、私の所信の表明とさせていただきます。大変ありがとうございました。
福田 康夫 (ふくだ やすお)
選挙区: 衆議院群馬県第4区
生年月日: 昭和11年7月16日
経歴: 昭和34年 早稲田大学政治経済学部卒業
石油会社入社
昭和52年 内閣総理大臣秘書官
平成 2年 衆議院議員初当選
(以降、当選6回)
平成 7年 外務政務次官
平成 8年 党外交部会長
平成11年 党経理局長
平成12年 国務大臣 内閣官房長官
沖縄開発庁長官
平成13年 男女共同参画担当大臣
平成17年 党新憲法起草委員会小委員長
ホームページ: http://www.y-fukuda