2017年03月07日

全人代、党大会控え人心安定優先――習政権の苦渋にじむ(遠藤誉氏)

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 3月5日、全人代(全国人民代表大会)が開幕した。注目点は国防費と経済規模と民心。第19回党大会を控えた今年、安定を優先。随所に人民の不満への警戒が滲み出ており、トランプ政権を意識した場面もあったが、ほぼ窮地の裏返しだ。

◆初めて1兆元を超えた国防費

 全人代は中国時間の午前9時から北京の人民大会堂で開幕し、李克強国務院総理が政府活動報告を行なった。報告の中で「国防費」に関しては一言も触れなかった。言及したのは「国防」に関する中国政府の考え方のみで、それも報告が終わる数分前。「国家の主権と安全のために強軍目標は維持する」ことと「軍隊に対する党の指導は絶対である」と言ったくらいだ。

 国防費に関して最大の関心を示していた日本や西側諸国は肩透かしを食らっただろうが、予算案は5日午後以降から始まる会議で審議され、財政部案が決議された後に正式に公開される。

 おおむねの国防費に関しては、3月4日に内外記者向けに開催された「新聞発布会」で、全人代の傅瑩(ふえい)報道官がCNNの記者の質問に回答する形で発表している。

 それによれば、「2017年の国防予算案の伸び率は(前年比で)7%前後になり、GDPの1.3%を占める」とのこと。史上初めて1兆元(約16兆5千億円)の大台を超える。とは言え、「アメリカが先月、ミュンヘンにおける国防会議でNATO(北大西洋条約機構)加盟国に要求したGDP比2%の国防費に比べれば、中国の国防費のGDPに対する割合は非常に低い」と彼女は「にこやかに」切り返した。

 またCNN記者の「中国のGDP成長率が減少している中で、軍事費だけは成長を続けるのはなぜか」「アメリカのトランプ大統領が最近、軍事予算を大幅に増やすと言ったことと関係するか?」という質問に対して、傅瑩女史はおおむね以下のような主旨のことを答えている。

「世界で頻発している紛争あるいは戦争行為に関して、中国が主導しているものが一つでもあるだろうか?中国は対話を重んじており、ASEAN諸国とも対話で問題を解決している。アメリカは中国が軍事的にアメリカに追いつき追い越すのではないかと警戒しているようだが、中国の軍事力など、とてもアメリカには比べようもない。しかし中国は今後も、国家主権と安全を守るために、軍隊の発展を継続していくだろう」

◆「とても、アメリカには及ばない」と中国政府関係者

 たしかにトランプ大統領は2月27日、政権初の予算案で国防費を9%増額する方針を明らかにした。それによれば、2017年度のアメリカの国防費は約5500億ドル(約60兆円)になるだろうとのこと。

 中国政府関係者にこのたびの中国の国防費に関して聞いたところ、以下のような回答が戻ってきた。

1. アメリカの国防費は中国の3倍以上あるのに、なぜ中国の国防費だけを問題にするのか。GDP成長率が、アメリカや日本、あるいはヨーロッパ諸国に比べて非常に大きいことは全く無視している。
 軍事費は絶対額ではなく、GDP比で考えるべきだ。GDP比から言っても、アメリカは3.5%前後で、日本だって1%近い。GDP比で見なければおかしい。

2. それに、中国の軍事力なんて、とてもアメリカには遠く及ばない。日本にだって、陸軍はまだしも、海軍となると技術的には日本の方が遥かに上だ。アメリカの航空母艦に至っては10隻以上。中国はたった「遼寧」1隻しか持ってない。その中国に、何を脅威など感じてるんだい?アメリカに追いつきたいとは思っていたとしても、追い越すなんて、夢のまた夢だよ。

3. 1人当たりのGDPで計算すると、日本の国防費は、中国の4倍だってことに気づいているだろうか?中国の人口は約14億。日本は約1億。一人当たりのGDPが同じだとすれば、中国の国防費の絶対額が日本の14倍を超えたときに、初めて脅威を覚えればいい。今はその時じゃない。


 しかし、いま警戒していなければその時はいずれやってくるし、中国の膨張主義と領土問題に関する強引な主張を心配しない日本人はいないだろう。

 それに中国としては台湾問題と北朝鮮問題に関して軍事強国になっておかなければならない、せっぱ詰まった事情があるはずだ。前者は今年1月12日のコラム「中国、次は第二列島線!――遼寧の台湾一周もその一環」に書いたように、第二列島線までを照準に定めているだろうし、また2015年2月22日のコラム「いざとなれば、中朝戦争も――創設したロケット軍に立ちはだかるTHAAD」に書いたように、「いざとなったら、北朝鮮を武力弾圧するために」備えておかなければならないだろう。(なお、1人当たりGDPに関する計算は確認していないし、そういう論理でもないだろうと思われるので、これに関する分析は、ここではしない。)

◆GDP成長目標「6.5%前後」を想定――「穏中求進」

 李克強国務院総理は5日の政府活動報告の中で、中国の今年のGDP成長目標を「6.5%前後」にするとした。昨年の全人代では、「2016年の成長目標を6.5%〜7.0%とし、2016年から始まる第13次5カ年計画では年平均6.5%以上」と定めている。そのことから考えると、早くも「6.5%」という「年平均」の値に合わせたことになる(昨年は6.7%)。

 成長率を大きめに設定すると投資が盛んになってバブルが起きる可能性があり、不動産価格の高騰などを招く。低く見積もれば経済が減速したとして国際的な影響をもたらし、中国の国内に対しても不安定要素をもたらす。

 今年は秋に第19回党大会が待ち構えているため、不安定化しない程度に高揚感を保つ必要がある。

 それを中国語では「穏中求進」(穏やかな中にも前進をする)という言葉で表して、今年の政権スローガンの一つにしている。政府活動報告にも出てきたが、5日の午後、習近平国家主席が上海代表団と会談し、そこで何度も使っている。

◆人民の不満を警戒

 何よりも目立ったのは、李克強首相が報告の中で人民に不満があることを認めたことだ。そのため都市部における新規就業者数目標を1100万人としたり、農村部の1300万人以上を都市部に定住させたり、医療保険への財政補助を増やしたり、空気の汚染に代表される環境対策を強化するために「藍天保衛戦」(青空を保つ戦略)という言葉を繰り返した。

 さらに携帯電話料金やデータ通信に関しては、国内長距離の上乗せ料金を年内に廃止すると宣言し、慣例の間合いの決まった拍手ではなく、珍しく自発的拍手が起きた。さらに貧困脱却や格差の是正、医療、高齢化問題、食品安全、民工とその留守家族問題、若者が創業する際の法的保障など、民生向上のための対策を数多く打ち出している。

 民法総則に対する改正案を閉幕(3月15日)までに討議する。これは1986年に制定されたもので、30年間におよぶ社会の劇的な変化に適応していない。

◆「三去一降一補」――供給側構造改革に着手するスローガン

 中国では今、「三去一降一補」というスローガンが流行っている。3月5日の政府活動報告の中にも出てきた。これは「供給側(サプライ・サイド)の構造改革」を指し、「三去」は「生産過剰を解消(除去)する」「在庫過多を解消(除去)する」「テコ入れ(レバレッジ)を除去する(やめる)」で、「一降」は「コストを引き下げること」、「一補」は「弱点を補う(補足支援する)こと」である。

「三去」によって解雇される者が増えたり、倒産企業が増えたりするという「痛み」を伴うので、どんなに「一降一補」をしても追いつかず、そのさじ加減が難しい。やらなければ中国の経済は減速するだけだし、やれば人民の不満が増大する。

 経済が減速したのでは「中国共産党が統治しているからこそ、中国経済は成長し続けるのだ」という、中国共産党による統治の正当性を人民に示すことができない。すると人民の不満が噴出する可能性がある。となると一党支配体制は崩壊の危機に直面する。だから、「三去一降一補」を一定程度推進するしかない。

 しかし推進すれば必ず解雇された労働者からの不満が爆発し、これもまた一党支配体制を崩壊させるきっかけを導きかねない。

◆「長征」精神に学ぼう!――苦労に耐えるのだ!

 ならば、どうすればいいのか?

 苦労に耐えるのだ!

 1970年代末から一人っ子政策が始まっているので、辛抱ができない、わがままな若者が増えている。彼らには毛沢東が行なった「長征」の過酷な経験を知らせ、その過酷な経験にもめげずに耐え抜いた当時の中国共産党軍(紅軍)の精神を学ばせる。「偉大な革命のために――!」

 だからいま、習近平国家主席は毛沢東回帰をし、長征映画やテレビドラマを強制的に放映し、教育機関でも「長征精神」を叩きこんでいる。

 いかに毛沢東が偉大であったか、いかに勇敢に抗日戦争を戦ったか。だから、国民党軍から逃げるために徒歩で北西にある延安にたどり着いた長征を、中国では「北上抗日」と呼んでいる。(それがいかに偽りであるかは拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』に、詳細に書いてある。中共軍が逃げた先の延安には、日本軍はいない)。

 習近平国家主席への個人崇拝と抗日神話は、このために必要なのである。

 習近平への「一強」を、権力闘争などと、現実離れしたことを言っている研究者やメディアは、中国の真実を見る目を日本人から奪っていると言っていいだろう。

 また、李克強が報告で何回「習近平を核心と言ったか」を数え上げて「一強」の証拠などと報道しているメディアは、日本人の中国観を誤導しているとしか言いようがない。 

 2016年19月28日のコラム<六中全会、集団指導体制堅持を再確認――「核心」は特別の言葉ではない>にも書いたように、胡錦濤元国家主席(総書記、中央軍事委員会主席)も、「核心」と定義づけられていた。しかし江沢民が大きく宣伝するのを許さなかっただけだ。胡錦濤政権時代の「チャイナ・ナイン」は胡錦濤は3人、江沢民派6人で激しい権力闘争があり、多数決議決で負けるので政治は「中南海を出ない」状況にあった。しかし習近平政権の「チャイナ・セブン」においては、ほとんど全員が習近平を支援していた。多数決議決は習近平の思うままだ。なぜ権力闘争をしなければならないのか。論理的整合性がない。

◆トランプ政権に代わってグローバル経済を牽引

 3月5日の政府活動報告で、李克強国務院総理は「反グローバル化、保護主義」に反対すると語気を強めて強調し、暗にトランプ政権の経済貿易政策を批難した。中国こそが世界経済成長の原動力の一つで、世界経済成長に対する貢献度は30%に達するとした。これは中国共産党機関紙「人民日報」の機関紙「人民網」も早くから報道していた。その意味でトランプ政権のTPP撤退などを受け、中国はより強く「一帯一路」やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を主導することにより、中国こそはグローバル経済を牽引することをアピールした格好になる。

 とは言え、すべてが習近平政権が追い込まれた窮地の裏返しであることが見えた全人代開幕だった。


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2017年01月31日

「日本論語研究会」の予定

〜日本政策学校後援〜


第134回
1、日 時 2月4日(土)16時30分〜18時
2、場 所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(新宿区市谷八幡町8番地TKP市ヶ谷ビル) 
3、講 師 吉川 圭一(グローバル・イッシューズ総合研究所代表取締役)
(テーマ、「トランプ大統領誕生ーその意義と今後」)

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第135回
1、日 時 3月18日(土)16時30分〜18時
2、場 所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(新宿区市谷八幡町8番地TKP市ヶ谷ビル) 
3、講 師 末富 理栄(防衛省大臣官房企画官)
      (テーマ、「防衛省の仕事」)

第136回
1、日 時 4月8日(土)16時30分〜18時
2、場 所 TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(新宿区市谷八幡町8番地TKP市ヶ谷ビル) 
3、講 師 岩越 豊雄(公益社団法人 国民文化研究会参与、寺子屋「石塾」主宰)
(テーマ、「二宮尊徳と論語」)

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〇参加費 無料です。
〇問い合せ先  田村重信(代表幹事)
 Eメールstamura@hq.jimin.or.jp へ連絡下さい。
電話―3581−6211(職場) 
(参考)日本論語研究会の講演日程等は、日本論語研究会のホームページhttp://www.rongoken.com/と代表幹事のブログhttp://tamtam.livedoor.biz/archives/cat_50011952.htmlに掲載しています。

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2017年01月23日

二階幹事長代表質問(全文)

 私は、自由民主党・無所属の会を代表し、安倍内閣総理大臣の施政方針演説に対し質問いたします。

 昨年12月22日に新潟県糸魚川市で発生した大火災は、最大瞬間風速27.2mの暴風にあおられ、市の中心市街地から北側にかけて、約4万平方メートルを焼きつくしました。被災された糸魚川市の方々に改めてお見舞いを申し上げます。一日も早い生活再建に、政府与党はできることの全てを行ってまいる決意です。

 安倍総理は、早速26日に糸魚川市長と面会され、現地の要望をつぶさにお聞きになるとともに、28日に派遣した政府調査団の報告を受けられ、通常の火災ではなく、これを「風害」として検討するよう指示されました。

 その結果、今回の事案を被災者生活再建支援法の適用要件である自然災害と位置付け、新潟県が同法を適用できるようになりました。また、総理は1月11日、海外出張の前日に現地にお入りになり、「復興まちづくり推進協議会」を設置し、現地の要望に応えて副市長と復興担当の参事を政府から派遣することをお決めになりました。再建に向けた確かな足掛かりとして、多くの感謝の声が現地から寄せられていることは、ご承知の通りであります。

 私たち自由民主党も年末年始を返上し、大火発生から2週間で、3回の対策会議と現地視察を行いました。未曾有の大火災に見舞われ、生活のすべてを失われた住民の皆さんの苦しみは、察するにあまりあります。応急住宅への入居はメドが付き、当座の生活資金、中小企業再建などのご相談は、それぞれのご事情に合わせて、国、県、市が懸命に対応しています。がれき処理は個人負担がゼロとなりましたが、なおお困りのことがあれば、即座に検討し、実行していきたいと考えています。

 日本の災害対策の歴史を振り返りますと、関東大震災では「火災」、阪神淡路大震災では「地震」、東日本大震災では「津波」の対策が、それぞれ強化されてきました。しかし、今回の大火災で現実を目の当たりにし、再び同様な火災が起きても延焼を二度と起こさせないため「災害に強い街づくり」に取り組まなければならないと痛感いたしました。

 今は、どこで何が起きるかわからない時代です。私たちは、既存の制度をフル活用して対策を行い、なお現行制度で足らざるところは、制度改正等でしっかりと対応すべきであります。

 国民の安心安全を守り、強くしなやかな国づくりに力を入れていくことは、安倍政権の最重要課題だと認識しています。

 例えば、南海トラフの巨大地震が起きた場合、高知県黒潮町では「34m」の津波が町を飲みこみ、和歌山県太地町では、何も対策を取らなかった場合、住民の74%が津波で死亡するという厳しい想定が発表されています。政府は、こうした想定を伝えるだけではいかにも配慮不足と言わざるを得ません。防災先進国として何か具体的な対策や、手を差し伸べることが必要であります。こうした自然災害に対抗する国土強靭化の取り組みと、総理ご自身のご決意をお伺いします。あわせて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際、万が一のことが起きた場合、オリンピアン・パラリンピアンを始め、観戦に来られる多くの日本人や外国人観光客の誰一人にも被害を出させないことが開催国日本の責任です。この点についても総理のお考えを、お伺いします。

 今年は東日本大震災から7年目、復興創生期間2年目を迎えます。復興計画に則って、住まいやまちの復興、産業の再生が徐々に進んでいます。2016年度末には、高台移転は69%、災害公営住宅は83%の事業が完了する見込みです。しかしいまだ避難されている方々は13万人余りいることも事実です。今後福島の帰還困難区域以外については徐々に避難指示が解除され、にぎわいを取り戻すための取り組みが進んでまいります。帰還困難区域についても、復興・再生に向けた法案が今国会に提出されることになっています。

 私は、復興に立ち向かうための「政治の決意」が人々を元気づけ、明日への挑戦、さあやるぞというやる気を引きおこすと信じています。東北の復興に対する総理のご決意をお伺いします。

 先月22日、20年越しの課題であった沖縄県北部の4000ヘクタールの米軍訓練場が返還されました。安倍総理がこの難題に果敢にチャレンジし解決されたことは、基地負担軽減に向けた大きな進展であり、日米両国の長年の悲願をかなえたすばらしい出来事であります。

 一方で、給油訓練中の不具合でオスプレイが不時着した事故もありましたが、沖縄県民の気持ちを逆なでするような事態は到底認められません。私は本件に関し、特に米国公使に二度とこのようなことがないよう直接申し入れを行ったところでありますが、政府においても、再発防止を米国に強く求め続けなければなりません。沖縄の負担軽減と抑止力維持に向けた総理のご決意を伺います。

 昨年11月、高知県黒潮町で地震津波の脅威と防災の知見を過去から学び、将来の防災リーダーを育成する「世界津波の日高校生サミット」が開催されました。世界初の取り組みであり、安倍総理からはビデオメッセージも頂きましたが、日本を含む世界30か国360名の高校生が、津波防災に関する分科会、避難訓練などを主体的に行い、「黒潮宣言」という形で取りまとめられました。

 私は先日、太平洋・島サミットの閣僚会合で来日されたナウルの大統領はじめ、パプアニューギニアやマーシャルの外相など8カ国の首脳にお会いしましたが、気候変動と津波防災に、引き続き、日本との連携を深めていきたいとの申し入れがあったほか、高校生サミットに参加したそれぞれの国の高校生たちが、現在、すでに「若き津波大使」として、津波防災に熱心に取り組んでいるとの話も伺いました。

 今年はこの「世界津波の日高校生サミット」を、多くの離島を抱える沖縄県で開催したいと考えております。総理は一昨年、3月以降のすべてのバイ会談で、世界津波の日の創設を働きかけて頂き、国連総会において、「稲むらの火」である11月5日を、「世界津波の日」とする決議案が全会一致で採択されたわけであります。安倍総理のご理解に大変感謝申し上げるとともに、本年沖縄で開催することは、県にとっても大変良い機会になると考えておりますが、安倍総理のお考えをお聞かせ願います。

 日本の国土は狭く山がちであり、国土の約7割を中山間地が占めています。中山間地は、水源涵養機能のほか、洪水や土壌の浸食・崩壊を未然に防止するなどの多面的機能があり、下流域の安心安全を守っています。

 農政新時代をめざす安倍政権の方向性は大賛成であります。海外競争力を高め、農産品の輸出で外貨を稼ぎ、日本ブランドを向上させることは、これからの農政の柱の一つとして、どんどんやっていただきたいと思いますが、みんながみんな、そうした流れに乗れるかどうかはわかりません。

 中山間地で農業に携わる方々は、総農家数の約4割とも言われます。私の地元和歌山県も中山間地が多く、農業者の将来への不安は尽きません。担い手の減少で、耕作放棄地が拡がれば、中山間地の多面的機能も低下し、下流域の安心安全も守れません。中山間地における農業の振興・発展は日本全体の課題であり、平地に比べて厳しい環境に、どう対応するのか、総理のお考えを伺います。

 経済的に困難な状況にあっても、それが理由で意欲のある学生の進学や修学の機会が奪われてはいけません。学生のやる気を後押しし、能力を最大限引きだし社会に生かすには、本人の努力を支援する仕組みが必要です。

 党内でも議論を重ね、本年4月から給付型奨学金制度の一部、これは私立大学の自宅以外から通う学生と社会的擁護を必要とする学生が対象ですが、先行して始まることになりました。来年度からは、一定の成績を基準とし、国公私立の自宅生も含めて支給され、無利子奨学金の貸与人員も増員することになります。

 児童養護施設の施設長や福島で被災した子供たちが通う高校の教師からも、これまで大学進学をあきらめたり、躊躇していた生徒たちにとって、進学の後押しになり大変有難いとの声が寄せられています。

 資源の無いわが国において、教育への投資は何よりも重要であり、国の将来を見据えた長期戦略と言えます。給付型奨学金制度の意義と、国家戦略としての教育投資の在り方について、安倍総理にお伺いします。

 第2次安倍政権は発足以来4年が経過し、税収も所得も格段に増え、経済環境に明るさを取り戻していることは、客観的な統計からみても明らかであります。今後とも腰を据えて経済最優先で取り組んでいくことは言うまでもありません。安倍総理に、経済最優先に当たられる決意をお伺いします。

 経済成長の鍵はイノベーションにあります。昨年11月にパリ協定が発効しましたが、「脱炭素化」は世界的な潮流であり、優れた環境・エネルギー技術を持つわが国は、この分野で世界をリードできる存在です。将来の市場規模や潜在力が巨大と予測される中、成長戦略として、地球温暖化対策に積極的に取り組むことについて、総理のお考えをお伺いします。

 経済のパイを拡大すると同時に、持続可能な社会保障制度の構築も着実に進めていかねばなりません。社会保障制度は世代を超えた助けあいの精神が基本であります。従って世代間対立にならない改革が必要です。この精神は、日本人の気質と言いますか、勤勉でまじめな国民性とも合致した、いわば日本人の生き様とも言えます。

 例えば、「介護離職ゼロ」の取組みは、介護サービスの充実によって、高齢者だけでなく、若い世代の生活の向上にもつながります。

 わが国の社会保障制度は世界でも類を見ないほど恵まれており、「世界に冠たる社会保障制度」を次世代に引き継ぐため、国民の社会保障制度に対するご理解を十分いただくことが、安倍政権の重要な役割だと考えます。この点について、総理のお考えを伺います。また、年金、医療、介護の改革・充実を、国民の納得感をもってどのように進めていくのか、塩崎厚生労働大臣にお伺いします。

 地方創生は本格的な事業展開の段階に入り、オンリーワンの色をどれだけ出せるかが問われており、ボールは市町村の側にあります。

 私の地元、和歌山県田辺市上秋津地区では、地域の小学校移転を契機として、地域住民が立ち上がり、その旧校舎を活用して、都市と農村の交流を楽しむための体験型グリーンツーリズム施設「秋津野ガルテン」が、8年前に設立されました。地域の野菜や果物をふんだんに使った農家レストランをはじめ、宿泊・農作業体験、地元の果物を使ったお菓子作り、ミカンの樹のオーナー制度等、上秋津の魅力が多く詰め込まれています。

 「自分たちでできることは行政ではなく、自分たちでやる」という活動が各地で始まっています。私たちはこうした動きを大切にし、後押ししたいと思います。

 誰一人見捨てない、誰一人忘れない。
「ノーワン・レフト・ビハインド」という声が地方からも聞こえています。多世代に渡る「ぬくもりのある支援」が必要です。地域における「声なき声」に耳を傾けつつ、必要な法制度については検討を進めてまいりたいと考えています。

 私はほんの小さな取組みですが、自民党本部前で各地の物産を集めた販売会を時々行っています。東京のど真ん中で、ふるさとをアピールする機会を作ることで独自のアイディアやノウハウが蓄積されます。地方創生の一助になることを信じ、今後とも続けてまいりたいと思います。

 昨年10月から今日までの間、沖縄県、秋田県、滋賀県、徳島県、群馬県川場村、和歌山県、岩手県の7県が自ら手を挙げ、アイディアを凝らし、大変なにぎわいを見せてくれました。2月16日には総理のお地元山口県の物産展も予定されていますが、この際、地方創生に懸ける安倍総理の意気込みをお伺いします。

 天皇陛下のご退位等の問題は、国家の基本にかかわる重要な課題であり、決して政局にしてはなりません。与野党は、静かな環境の中で節度ある真摯な議論を行い、両院正副議長のもとでしかるべく、国民の総意としての立法府の考えを取りまとめていくことが求められています。

 天皇の地位は、日本国民の総意に基づくものであり、国民の代表である我々国会議員が、陛下のお気持ちに沿いながら、多くの国民のご理解を得て、進めていかなければなりません。政府におかれては、議長のもとで取りまとめられた立法府の考えを、最大限尊重することは当然のことでありますが、安倍総理の基本的認識をお伺いします。

 現行憲法制定から70年が経過し、時代に合わせて憲法を変えていくことが求められています。衆参の憲法審査会で議論を深めていくことは、各党の共通認識であります。

 憲法の三大原則「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」を堅持し、21世紀における新たな国家像を示すものとして、どの部分を変えるのかという具体的な項目の論議を行い、広く国民の皆様に知っていただくことが、私たちの責務です。次の70年を見据えた憲法の在り方、また、国会での憲法論議について、安倍総理のお考えをお伺います。

 一億総活躍社会を目指す安倍政権にとって、すべての人に働きやすい職場づくりを進めていくことが、一層求められています。だらだらと働いていては生産性は上がりません。長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスをはかり、メリハリを利かせていくことが大切です。

 一億総活躍社会は国土強靭化の観点からも、大いに推進してまいりたいと考えています。レジリエンスとは、もともと精神医学の言葉で、何事にもめげない、耐え抜き、回復するという意味であり、国土強靭化を国民運動として、自民党は、5年前からそのような政治思想を持って進めてまいりました。

 日本が主導した第3回国際女性会議ワウが、先月東京で開催されましたが、強くしなやかな国づくりには、女性も男性も、お年寄りも若い人も、障害のある方も、すべての国民の皆さんが、ハード面においてもソフト面においても、一緒になって参加して頂くことが大切です。政府はこの点を忘れずに、国民全員参加で進めて頂きたいと思います。一億総活躍社会と働き方改革、また社会全体のマインド醸成について、加藤担当大臣にお伺いします。

 安倍政権は日本外交の「格」と「評価」をあげています。G7やG20においても日本のプレゼンスが高まっており、礎となっているわが国の政治の安定性が、各国からこれほどまでに頼りにされている時代はありません。

 総理は先週、フィリピン、オーストラリア、インドネシア、ベトナムの4カ国を訪問され、各国との連携を強化してまいりました。世界を俯瞰する外交は5年目に入り、成功例として、世界の注目を集め続けています。今回の外国訪問の成果を総理に伺います。

 世界の首脳に先駆け、大統領選直後のトランプ氏に、ニューヨークでお会いになったことは、お二人の信頼関係を構築するうえで、大きな一歩になったことは間違いありません。わが党も、今後多くの議員を派遣し、様々なレベルでのチャンネルを広げ、日米関係の深化に力を尽くしてまいります。総理は近いうちに、トランプ大統領と首脳会談に望まれますが、日米関係を希望の同盟として、これまで以上に発展させるご決意を伺います。

 外交は両国がウィンウィンの関係でないとうまくいきません。その点で、韓国は大変難しい国だというのが率直な感想です。プサン総領事館前の市民団体による慰安婦像の設置は、ウィーン条約に照らして問題があり、看過した韓国政府の国際的な評価を低下させています。一昨年の日韓合意はしっかりと守ってもらいたいと強く申し上げておきたいと思います。

 しかしこうした時期だからこそ、私たちの方から交流を絶やすことはしてはならないのであります。政府間の交渉は当然のこと、党は人的交流を通じ、相互理解に努めてまいります。

 日中関係は、今年、国交正常化45周年、来年は平和友好条約締結40周年の節目の年であります。様々な分野で相互理解を進める良いチャンスだと考えており、党としても、防災、環境、観光、青少年交流など、より一層後押ししてまいりたいと思います。

 日露関係は、先般のプーチン大統領との首脳会談を踏まえ、今後とも粘り強く交渉していくことが必要です。日露関係について、総理のご決意を改めて承りたいと思います。

 外交は相手側と波長を合わせることが何よりも重要です。私は、「木を植え、種をまき、井戸を掘ること」を旨とする外交に、いささか努力を続けてまいりました。幹と根のしっかりした大木に育つには長い時間が必要です。安倍総理の外交はまさにそうした観点から行われているものであり、今後とも、短期的な視野に陥ることなく、長い目で見て両国に良い影響が及ぶよう、努めて頂きたいと思います。

 私たち自由民主党は、今や国会において多数を占め、国民の皆様からの期待も多く頂戴しておりますが、いまこそ初心を忘れることなく、仕事にまい進していかねばなりません。先の国会で成立した「部落差別解消推進法」は長年の悲願であり、ここに改めてご賛同いただいた議員の皆様方に深く感謝申し上げます。部落差別解消推進に懸ける総理の意気込みをお伺いいたします。

 目の前に起きる社会の動向に敏感に反応し、世の中の動きをつぶさに把握し、スピード感を持って対処する。常に明日を見つめる洞察力を持ち、未来に向かって行動することは当然のことであります。

 丁寧に幅広く意見を聞き、建設的な議論を行い、国民に分かりやすい「未来を拓く国会」にしていきたいと思います。

 社会的に弱い立場の人を大切にするのが政治の使命であります。国際環境が混とんとする中、日本が政治を安定して前に進め、落ち着いた環境の中で仕事を進めていくことが求められています。

 政治の使命を果たすため、ここにおられる議員各位のご協力を頂くことを切にお願いし、私の代表質問とさせていただきます。

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shige_tamura at 14:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!自由民主党 

2017年01月17日

「ギリシア人の物語 民主政のはじまり(2)」(塩野七生著、新潮社)

政治は、ある職業でもある技術でもなく、高度な緊張を要する生活のなかであり・・・

民主主義にとって最大の敵は、「機能しない」ことであり、「結果が出ない」ことなのだ。


「安全保障」とはなんだろう。

 歴史の成り行きに任せていたら、結果的として百年間保障された、ということか。
 それとも、終了直後からの諸々の対策、保障されなくなった事態も考慮したうえで実行に移した諸々の対策、をつづけてきたからこそ、その結果として、百年間の安全が保障されたということか。

 歴史を後世から見る立場に立つと、前者になる。同じ歴史でも、その時代に生きた人の視点で見ると、後者に変わる。
 前者だと、所詮は成り行きどおりに進むのが歴史だから、それをどうこうしようとして成される人々の努力のすべてが無用に見えてしまう。その中でも常人以上に営々たる努力を惜しまなかったリーダーたちに至っては、常人以上の愚か者で、それでも彼らが何かをやったのは、地位や権力にしがみつきたかったにすぎない、とでも裁かれ終わりだ。
 こう考える人には、「安全」が長期にわたって「保障」された状況を示す「平和」も、ピースと呼ぶほうがふさわしい。英語でピースと言っていると、何となく、そう言っているだけで実現するような気分になってします。

 古代ローマ人は、「平和」を「長期にわたる安全保障の継続」と認識し、厳しくも冷徹な人間たちによる努力の成果、と考えていた。

 このように考えると、権力者も普通の人もふくめた当事者全員の安全保障への努力も、バカバカしくは見えてこなくなる。たとえこの種の努力が、後世から見れば無用に終わったことであっても、愚かな行為には見えてこなくなるのだ。
 それどころか、想定外の事態さえも考えに入れたうえで成された対策の数々があったからこそ、その結果として、たとえ百年間にしても、ギリシア人は「平和」を享受することはできたのであった。ペルシア軍の侵攻を、心配しないで済んだのである。

 これを、地位や権力にしがみつきかったからであると断ずるのは、下品な言い方を許してもらえば、「下司(げす)の勘繰り」にすぎない。下司の勘繰りくらい、歴史に親しむのに、ふさわしくない心の持ちようもないと思っている。

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2017年01月16日

ナイジェリアを「金で買った」中国――「一つの中国」原則のため(遠藤誉氏)

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中国は11日、ナイジェリアに対する400億ドルの新規投資と引き換えに、台湾との関係を格下げし北京が主張する「一つの中国」原則を遵守することを約束させた。今後もこの外交戦を強化する。トランプ発言に対抗するためだ。

◆台湾のナイジェリア代表処の改称と移転

中国の王毅外相は1月11日、訪問先のナイジェリアでオンエアマ同国外相と会談し、「台湾は中国の領土の一部であり、中国を代表する合法的政府は、唯一、中華人民共和国のみである」という「一つの中国」原則を堅持することを約束させた。会談後の共同声明に署名したと、中国政府および中国共産党のメディアが一斉に伝えた。その中には中国政府の通信社「新華網」や中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球網」あるいは中央テレビ局CCTVがあり、特にCCTVは「メディアの焦点」という特別番組でこの問題を特集した。

ナイジェリアは「中華民国」と国交を結んでいるわけではないが、しかし首都アブジャに台湾との交流窓口として「中華民国商務代表団」を置いていた。中華人民共和国(北京政府)とも国交を結んでいながら、台湾との窓口組織名に「中華民国」という名称を使っている国は少ない。CCTVの報道によれば「アフリカでは唯一の国だ」とのこと。

このたび両国は台湾との交流窓口を首都アブジャからラゴスに移し、かつ窓口の名称から「中華民国」という言葉を削除することに合意した。

王毅外相は両国関係を新たな段階に引き上げるために、「一つの中国」原則を基礎に置きながら「ナイジェリアの鉄道、高速道路、水力発電および軍事安全」など、巨大なポテンシャルを持つ領域における協力を約束した。

◆その陰には400億ドル(約4.5兆円)の新たなチャイナ・マネー

1月14日、中国大陸のウェブサイトの一つである「観察者網」は「大陸はナイジェリアに400億ドルを新たに投資 台湾驚愕」というタイトルの報道をした。

それによれば中国政府はナイジェリアに、新たに400億ドル(約4.5兆円)の投資をすることを決定したとのこと。中国はすでにナイジェリアに450億ドル(5兆円強)を投資している。

王毅外相は共同記者会見で「中国はすでにナイジェリアに220億ドルの投資を実施し終わっており、残りの230億ドルに関しては現在当該プロジェクトを実施中だ。このたびさらに、新たに400億ドルの投資を追加したということだ」と述べた。

合計850億ドルの「チャイナ・マネー」をナイジェリアに注ぐことになる。

これだけのチャイナ・マネーを注いで、「国を買う」戦術に出たと言っていい。

◆対台湾の大陸“外交戦”新モデル

観察網は大陸(中国政府、あるいは北京政府)のこのやり方を「対台湾の大陸“外交戦”新モデル」と名付けている。同時に、「中華民国」と国交はないものの、台湾との間で「代表処」などの形で非公式交流機関を設けている国を、一つ一つ落していく「新しい手」に出るだろうと分析している。

1月14日付の「環球網」はまた、王毅外相が行くところ、必ず「一つの中国」原則を認めさせるための「鉄拳」が動いていく。台湾はそれ相当のツケを払わなければならないと、警告している。

1月10日付の本コラム「米中断交さえ!? 台湾総統の米国経由外交」で、筆者は以下のように書いた。

――北京政府は、「蔡英文は必ず制裁を受けることになる。現に昨年(12月20日)、台湾と国交を結んでいたサントメ・プリンシペ国は台湾と国交を断絶し中華人民共和国と国交を結んだ(12月26日)。台湾を国家と認める国は、この地球上でわずか21カ国しかないが、それも一気に無くなっていくだろう」と環球時報に言わせていた。

同日、テレ朝の「ワイドスクランブル」という番組で、「今後中国はどう出ると思うか」といった趣旨の質問に対して、筆者はおおむね「中国は今後、台湾と国交を結んでいる国を、チャイナ・マネーを使って、つぎつぎと落していくことだろう」と回答した。

その翌日に、王毅外相がナイジェリアにおける台湾との交流窓口の名称から「中華民国」という名称を削除させて、チャイナ・マネーにモノを言わせて「一つの中国」原則を誓わせたのは、なんとも象徴的である。

◆トランプ政権と日本

現在、中華民国と国交のある国は21カ国。国交はないが(あるいは断絶したが)非公式機関を置いて経済文化交流を行っている国は60ヵ国ある。日本などがその一つで、大使館は置かない代わりに、たとえば「台北駐日経済文化代表処」といった組織が設置されている。

日本はそれ以外にも台湾との間の交流窓口として「交流協会」というものを設立していた。これは1972年9月に中華人民共和国との間で日中国交正常化に関する共同声明に調印したとき、同時に中華民国との国交を断絶したことによって同年12月に設立された日台間の交流を存続させる財団法人である。

その「交流協会」を今年1月1日から「日本台湾交流協会」と改称したのは、少なくともナイジェリアとは逆の方向で、評価していい。

これまで中国の顔色を窺っていた日本の外務省としては非常に画期的なことで、おそらくトランプ陣営の中における対中政策の傾向を感知してのことだと推測される。つまり、トランプ政権の対中政策が「一つの中国」原則にも疑義を挟む可能性を秘めている何よりの証拠だろう。

1月13日、トランプ次期大統領はアメリカのウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し「もし北京が為替や貿易問題で譲歩しなければ、アメリカは“一つの中国”を見直さなければならなくなる」と語った。BBS中文網などが「トランプ:“一つの中国”原則を守るには北京の譲歩が必要」と伝えた。

昨年12月11日に米フォックス・ニュースのインタビューに対して述べた「通商を含めて色々なことについて中国と取り引きして合意しない限り、なぜ“一つの中国”政策に縛られなきゃならないのか分からない」という同氏の回答と比べると、やや強硬感が和らいだ感はある。しかし、トランプ次期米大統領はホワイトハウス内に貿易政策を担当する「国家通商会議」を新設し、トップに対中強硬派で知られるピーター・ナバロ氏を起用すると決定しているので、「一つの中国」原則に対する懐疑論は収まらないだろう。

そもそも北京政府が主張する「一つの中国」原則的概念を世界に広めてしまったのはニクソン元大統領とキッシンジャー元国務長官で、ニクソン氏が2度目の大統領選に勝とうとした個人的欲望から前のめりになった結果だ。日本の頭越しにキッシンジャー氏が訪中したことに驚いた日本が、あわててアメリカに追随した。日米が「一つの中国」を認めて(あるいは認識すると認めて)しまったことで、他の国が日米にならたったため、あたかも1972年以降(あるいは米中国交正常化が調印された1979年以降)の国際秩序を形成してしまった「不動の原則」のように見えるかもしれない。

そしてその結果、中国を強大化させてしまい、今では中国の覇権に苦しめられているというのだから、日米ともに反省しなければならないだろう。日米が強大化させてしまった中国が、それゆえに日米に脅威を与え、戦争の危険性さえ招くとすれば、本末転倒。

日本人は「中国共産党が如何にして強大化したのか」という歴史の真相を学ぼうとしないために、今もなお同じことを繰り返しているのである。思考停止が自国民に不幸をもたらすことにメスを入れたのがトランプ発言だ。いろいろ問題もあり、不確定要素も多い人物ではあるが、この発言にはアメリカ国民の感覚も込められているのではないかと、筆者には思われる。アメリカの中国研究者やシンクタンクとの接触により感じ取った実感だ。

安倍首相が地球儀を俯瞰して、東南アジアなどの関係国と経済交流などを強化するのは悪いことではない。ただ常に発展途上国に対しては日本国民の税金が膨大に使われており、おまけにほとんどの国が中国と日本に「いい顔」をして漁夫の利を得ている。安全保障に関しては当てにならない。

それよりは、「日中戦争中に毛沢東率いる中共軍が日本軍と共謀していた真相」を直視し、中国共産党がいかにして強大化したかを正視する勇気を日本が持つことの方が有効ではないだろうか。お金は一銭もかからない。真の思考力を持つ勇気を持てばいいだけのことである。

それにより中国共産党が統治の正当性を失うのである。「一つの中国」の是非を解くカギは、すべてこの事実の中にあるのだ。

この真相を直視する方が、かえって、戦争を回避できると筆者は信じている。


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