2016年11月11日

「南スーダン国際平和協力業務実施計画の変更」について

防衛
この度『日本の防衛政策 第2版』(田村重信編著、内外出版)を出版しました。
増刷となりました。

 「南スーダン国際平和協力業務実施計画の変更」について

 本件は、南スーダン国際平和協力業務を実施している施設部隊に、平和安全法制で新たに規定した、国際平和協力法第3条第5号ラの業務、いわゆる「駆け付け警護」及び宿営地の共同防護の任務を付与するものです。

 南スーダンの情勢について

 南スーダンでは、本年7月7日、首都ジュバでキール大統領派とマシャール第一副大統領派との間で衝突が発生しました。同月26日、ジュバから退避したマシャール前第一副大統領に代わり、タバン・デン前工業大臣が第一副大統領に就任しました。
 国連は8月12日、UNMISSマンデートを延長し、活動期限を本年12月15日までとするとともに、地域保護部隊を創設する等を決定しました。
 10月1日から11月1日かけて現地を訪問された柴山総理大臣補佐官も、現在、ジュバは比較的落ち着いている状況であり、自衛隊が安全を確保した上で、意義ある活動を行える状況とのことです。
 他方、地方においては武力衝突や一般市民の殺害行為が度々発生していることから、情勢は厳しく、楽観はできないと考えています。


 11月20日から派遣が開始される、南スーダン派遣施設隊第11要員の準備訓練について

 本年8月25日から10月26日にかけて、青森駐屯地、岩手山演習場等において、第11次要員の準備訓練を実施しました。
 実動を伴う訓練の中では、9月14日から、「駆け付け警護」や「宿営地の共同防護」に係る訓練についても実施しました。
 この訓練については、10月21日に統合幕僚長、23日に防衛大臣が視察を行い、その後陸上幕僚長から防衛大臣に対し、訓練の総括が報告されました。
 その結果、防衛省として、第11次要員の練度については、新たな任務に十分対応可能なレベルに到達しているとのことです。


 新任務付与に関する考え方と今後の方向性等について

 今般、付与する方向の任務は「駆け付け警護」と宿営地の共同防護です。
 

 「駆け付け警護」

 「駆け付け警護」は、自衛隊の施設部隊の近傍でNGO等の活動関係者が襲われ、他に対応できる国連部隊が存在しない等の極めて限定的な場面で、要請を受け、応急的かつ一時的な措置として行うものです。
 南スーダンには現在も少数ながら邦人が滞在しており、厳しい治安情勢を踏まえると、邦人に不測の事態が生じる可能性は皆無ではありません。このような状況である以上、「駆け付け警護」という任務と必要な権限を付与し、事前に十分な訓練を行う等の体制を整えることで、邦人の安全に資するのみならず、実施に際しての自衛隊のリスクの低減に資する面もあると考えられます。
 なお、PKO法上、「駆け付け警護」を実施するためには、受入れ国政府の同意が国連の活動及び自衛隊の業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められることが必要です。
 この点、関連する要素を総合的に考慮すれば、受入れ同意は安定的に維持されていると認められ、実施計画に規定されている我が国の活動期限である来年3月31日まで、切れ目なく、「駆け付け警護」を実施することが可能と考えます。
 なお、現在のUNMISSマンデートの期限は本年12月15日までですが、マンデートが延長される場合その他必要な場合には、速やかに国家安全保障会議でその評価を再確認する方針です。


 宿営地の共同防護

 南スーダンにおいては、一つの宿営地を、我が国を含む複数の国の部隊が活動拠点として使用しています。 このような状況において、他国の要員がたおれてしまえば、自衛隊員が襲撃される恐れがあり、他国の要員と自衛隊員は、いわば運命共同体であることから、共同して襲撃に対処した方が、安全を高めることができます。
 宿営地の共同防護は、情勢が厳しいからこそ実施する、自己の安全を高めるための任務です。
 これにより、自衛隊は、より円滑かつ安全な活動が実現可能となり、自衛隊に対するリスクの低減に資すると考えられます。
 なお、PKO法上、宿営地の共同防護は「自己保存のための自然権的権利」であり、実施計画の変更は不要です。

 また、ゴラン高原国際平和協力活動のように、5原則は維持されている状況にあっても、安全を確保しつつ有意義な活動が困難となった場合、我が国独自の判断で撤収するという政府の方針についても、実施計画に明記する方向です。


 本件は、稲田防衛大臣及び柴山首相補佐官も出席されて8日朝開催された国防・内閣第一・外交合同部会にて御審議の上、了承。その後、10日の政調審議会、本日の総務会でも了承、与党政策責任者会議でも了承されました。

 政府は、15日の閣議決定を経て、11月20日から派遣が開始される施設部隊の第11次要員から新任務が付与されます予定です。       



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2016年10月28日

六中全会、集団指導体制堅持を再確認――「核心」は特別の言葉ではない(遠藤誉氏)

防衛
この度『日本の防衛政策 第2版』(田村重信編著、内外出版)を出版しました。

27日、六中全会閉幕時、習近平は集団指導体制堅持を複数回強調した。コミュニケに「習近平総書記を核心とする」という言葉があることを以て一強体制とする報道は間違っている。胡錦濤も江沢民も核心と呼ばれた。

◆集団指導体制堅持を強調

10月27日、中国共産党第18回党大会第六次中央委員会全体会議(六中全会)が北京で閉幕した。閉幕に際し、習近平は中共中央委員会総書記としてスピーチをおこなった。スピーチにおいて、習近平は何度も集団指導体制を堅持することを強調した。

その多くは「民主集中制」という言葉を用いて表現したが、「集団指導体制(集体領導制)」という言葉も用いている。これまでのコラム「六中全会、党風紀是正強化――集団指導体制撤廃の可能性は?」でも書いてきたように、「民主集中制=集団指導体制」のことである。

10月27日、CCTVでは、習近平の講話を含めて解説的に六中全会の総括が報道されたが、その中で、「民主集中制」が4回、「集団指導体制」が1回出てきたので、「集団指導体制」に関して、5回も言ったことになる。

「核心」という言葉に関しては2回使われている。

このCCTVにおける報道を文字化して報道したものを探すのは、やや困難だったが、たとえばこの報道をご覧になると、(中国語を使わない)日本人でも目で見てとれる。

後半(最後の部分)には「人民日報」の解説が加わっているので、そこは無視していただきたい。

前半は習近平が六中全会でナマで言った言葉を報道したCCTVの記録(文字化したもの)である。

そこには「民主集中制」という言葉が4回出てきており、「集体領導制(集団指導体制)」という言葉が1回、出てきている。

コミュニケで、わざわざ「民主集中制」や「集団指導体制」を堅持すると言ったとは書いてないのは、それは中華人民共和国憲法で定められていることなので、当然と思ったからだろう。憲法を改正して「民主集中制」(集団指導体制)を撤廃するなどということになったら、中国共産党の一党支配は逆に崩壊する。

だというのに、日本のメディアは一斉に「コミュニケに“核心”という言葉があった」、だから「習近平の一極集中が行われる」「一強体制か」などと書き立てている。まるで「集団指導体制が撤廃された」かのような書きっぷりだ。



◆江沢民も胡錦濤も「核心」と呼ばれた

中でも、27日夜9時からのNHKのニュースでは「核心というのは特別な言葉で、毛沢東とトウ小平にしか使ってない」という趣旨のことを報道していた(録音していないので、このような趣旨の報道、という意味である)。それは全くの誤解だ。

まず江沢民に関して言うならば、「中国共産党新聞」が「江沢民を核心とした中央集団指導体制の経緯」というタイトルで、江沢民を「核心」と呼んだ経緯が詳細に書かれている。

文革後、毛沢東の遺言により華国鋒が総書記になり、すぐ辞めさせてトウ小平が全体を指揮し、胡耀邦を総書記にして改革開放を進めたが、民主的過ぎるということで失脚し、天安門事件を招いた。いびつな形で総書記になった趙紫陽もすぐさま失脚さえられ、天安門事件のあとにトウ小平は江沢民を総書記に指名したわけだ。

このときに一極集中を図って、何とか中国共産党による一党支配体制の崩壊から免れようとしたトウ小平は、江沢民に「総書記、国家主席、軍事委員会主席」の三つのトップの座を全て与えた。そして改めて「江沢民を核心とした集団指導体制」を強調したのだ。

「江沢民を核心とする」という表現に関しては、列挙しきれないほどのページがあるので、省略する。

つぎに「胡錦濤を核心とする集団指導体制」に関しては、たとえば、中国共産党新聞(→人民網)が「トウ小平が胡錦濤をずば抜けた核心的指導者としたのはなぜか」という趣旨のタイトルで、胡錦濤を「核心的指導者」と位置付けている。

この記事が発表されたのが、2015年4月18日であることは、注目に値する。つまり、習近平体制になった後にも、「胡錦濤を核心とする指導体制」を強調したかったということである。

胡錦濤時代の「胡錦濤を核心とする」という表現に関して、すべて列挙するわけにはいかないが、たとえば、2003年6月の「国際先駆導報」には「第四代指導者の核心 中国国家主席胡錦濤」というのがあり、2010年4月の「新華網」は、「胡錦濤総書記を核心とした党中央は…」といった表現が入っているタイトルの記事を公開している。

また、2011年6月には「胡錦濤同志を核心とした集団指導体制」]というタイトルの記事がある。

これも探せばキリがないが、江沢民よりもやや少ないのは、胡錦濤政権時代、メディアは、前の指導者の江沢民によって完全に牛耳られていたからである。

したがって、文革や天安門事件などの特殊な過渡期以外は、「中共中央総書記」は、常に全党員(現在は8700万人強)の頂上に立っているので、常に「核心」なのである。そういうピラミッド形式ででき上がっているヒエラルキーこそが、中国共産党の根幹だからだ。

このような中国の政治の実態を知らずに、なんとしても「習近平が集団指導体制を撤廃して一強に躍り出た!」と言いたい「権力闘争論者」に支配された日本のメディアが、「核心」という言葉を見つけて、鬼の首でも取ったように「ほらね、やっぱり(集団指導体制を撤廃して)一極集中を狙いたいんだ」と煽っているだけである。

◆日本の国益を損ね、国民をミスリードする日本メディアの罪

このような誤導をする日本のメディアは、日本の国益を損ねるだけでなく、日本国民に災いをもたらす。

なぜなら、「中国における腐敗の根がいかに深く、いかに広範で、手が付けられないほどになっているか」そのため、「中国の覇権にも、中国経済の成長にも限界が来る」という現実を見逃させるからである。

腐敗による国家財産の流出は、習近平政権誕生前では、全国家予算の半分に達する時期もあったほどだ。全世界に「チャイナ・マネーのばらまき外交」をすることによって、国際社会における中国の地位を高めようとしている中国としては、財源がなくなっていくのは大きな痛手だ。これは、日本の外交政策に影響してくる。

また、腐敗は調査すればするほど「底なしの範囲の広さ」が明瞭になってくるばかりで、腐敗を撲滅することは、このままでは困難だというが実態である。

中央紀律検査委員会書記の王岐山(チャイナ・セブン、党内序列ナンバー6)などは「100年かけても腐敗は撲滅できない」と吐露していると、香港のリベラルな雑誌『動向』は書いている。

「大虎」はまだ捕えやすいが、末端の「ハエ」となると無尽蔵にいて、また互いに利害が絡んでいるため、摘発を邪魔する傾向を持つということだ。

だから「厳しく党の統治を強化する」というのが、六中全会のテーマだったのである。

日本人にとって、最も重要なのは、「中国の腐敗が続けば、中国の経済は破綻し、それは日本経済に直接響いてくる」ということだ。

権力闘争説は、日本人の目を、この現実から背けさせるという意味で、日本国民の利益を損ねる、実に罪作りな視点なのである。

少なからぬ日本メディアに、猛省を求めたい。




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2016年09月06日

『日本の防衛政策 第2版』(田村重信編著、内外出版)について

防衛
この度『日本の防衛政策 第2版』(田村重信編著、内外出版)を出版しました。

 平和安全法制が成立し、いよいよ防衛に関する基礎的な知識が必要となっています。
 最近、バイデン米副大統領が演説で、共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ氏を批判して、「(日本が)核保有国になり得ないとする日本国憲法を、私たちが書いたことを彼(トランプ氏)は知らないのか。学校で習わなかったのか」といった誤った発言もあります。また、いまだに防衛費の「GNP1%」枠があると間違って思っている識者などがいます。

 自衛隊は憲法上軍隊ではなく、国際上は軍隊です。自衛隊が海外で諸外国の軍隊と同じ活動がどうしてできないのか?自衛隊は、捕虜として扱われるか?などなど、キチンと知っておく必要があります。

 こうしたことが全て本書に出ています。辞書代わりにお使いいただければ便利です。
今回、平和安全法制の成立を踏まえ『日本の防衛政策 第2版』(内外出版)として大幅改定したものです。

 本書は、「教科書 日本の安全保障」(芙蓉書房出版、2004年)、「教科書・日本の防衛政策」(芙蓉書房出版、2008年)、「日本の防衛政策」(内外出版、2012年)と改定を重ね、今回、平和安全法制の成立を踏まえ『日本の防衛政策 第2版』(内外出版)として大幅改定したものです。

 私が自民党国防部会を担当しながら、慶應義塾大学大学院法学研究科・非常勤講師として「日本の安全保障講座(15年間)」を教えている中から生まれました。

 現在、日本の大学には安全保障に関する講座が極めて少ないことは昨今の事情から考えればおかしな事です。また、安全保障講座に関する体系的な教科書もありません。そこで、防衛省・自衛隊の協力も得て、この本を出版したというわけです。

 特に今回、「冷戦後の安全保障政策の変遷」の他「我が国の防衛政策の基本」には力を入れて書いたものです。最近の憲法第9条、自衛隊、集団的自衛権などの関連が正確に理解できます。

 今、平和安全法制の成立に伴って、防衛政策についての正しい知識が必要です。ところが、キチンとした本がありません。そこで、本書が役立つわけです。

 是非とも、ご一読いただき、日本の安全保障に関する正しい知識を深めていただければ幸いです。

 また、大学の授業等でお使いいただければ幸いです。(教科書及び参考書として指定)



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2016年08月27日

政治に必要なのは人間学 最も重要なのは己に克つこと



江戸時代の庶民から武士に至るまでが学び、武士のたしなみとまでいわれた「論語」ですが、その要諦が今では忘れられつつあります。経営者や政治家が不正に手を染める現実に、田村塾を主宰する田村重信氏は、“人間学の欠落”を補うべく『日本論語研究会』を立ち上げ、既に12年目を迎えました。論語が説くのは、人から信用されること。そのためには下積みを嫌がらずにコツコツと勉強し、一生懸命努力することだと言う。未来のリーダーを志す若い人たちへの提言を伺いました。

大事なのは地道な努力と一生懸命勉強する気持ち

―政界に入る前の経緯を教えて下さい。

政治の世界に関心をもったのは、立候補して生徒会長になった高校生の時です。ポジションを握ると自分のやりたいことが実現できる、それが政治なんだと実感したことですね。

人前で喋ることは苦手でしたけど、大学に入って弁論大会に出たら、最初は落ちて3回目に優勝して、それ以後ずっと優勝するものだから、弁論部の方から「もう出ないでくれ」と言われました。それから世の中を変えるには、政治であれば与党となり政権をとらなければダメだと実感したわけです。

―宏池会の事務所に入ったのがキャリアのスタートでは?

縁があって、後の総理大臣で当時大蔵大臣をされていた大平正芳さんが会長の『宏池会』に入りました。入った時は22歳でぺーぺーですから、何をしたらいいのか分からない。そこでかってに新聞のスクラップ作りを始めました。そんな雑用がしだいに人の役にたっていくわけですね。

宏池会は政策ブレーンがしっかりとしていて、高度経済成長を作った下村治(戦後を代表する官庁エコノミスト)さんがいたりして、その下働きの土曜研究会に参加して財政経済などの勉強をしました。

どんなことをしても下積みというのはあるんだということを若い人には考えてもらいたいですね。今でもコピー取りは自分でやります。地道な努力や一生懸命勉強するという気持ちを常に意識の中に持っていることが大事だと思います。

“人間学の欠落”を補う「論語」

写真2

リーダーになるには素養が大事だとおっしゃっていますね?

いろいろと下積みを重ねながら自分の知識を広めていくことでロジスティック(後方支援)をきちんとやっていく。人間というのは、知識を吸収するのと同時に人と人との関係を築くことが極めて重要です。リーダーになるには素養がものをいいます。そうした教育が意外とないんですね。

だから政治家のトップになっても「責任は官僚にとらせろ」とかそんなバカなことを言う。そうではなくて、トップになる人は責任は自分でとらないといけない。いろんな人をうまく使いこなすことが大事なんですね。

1990年代のバブルあたりから、経営者でも政治家でも平気で不正をやる人が増えた。それは何なんだろうと考えると、“人間学が欠落している”ことだ、と気がつきました。それをきちんとやるには日本人は、『論語』を学ばなければと思って、10年前に『日本論語研究会』というのを始めました。

―田村塾を創設した狙いはなんでしょうか?

日本政策学校において人間学を中心にした田村塾というのを作ってもらって、今年第二期になるわけです。今年はバージョンアップしまして、本当に政治家になりたい人のためにより具体的に、前文部科学大臣の下村博文先生に顧問になってもらったりしています。

政治家だけでなく、リーダーを目指すという人たちが対象です。すでに60名以上が参加予定でして、参加者が多いということに私の方がびっくりしています。


世の中の最大の敵は自分、自分に打ち克つことが重要

以下はこちらでご覧ください。
http://patriots-jspm.com/age/age_50over/201608203.html


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2016年08月22日

海保の精神は「正義仁愛」――タジタジの中国政府(遠藤誉氏)


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 11日に尖閣沖で中国漁船と衝突したギリシャ貨物船は中国福建の港に寄港させられ取り調べを受けているが、それがまた中国ネットユーザーの批判を浴びている。
 一方、日本の海保の精神は「正義仁愛」。
 これでは日中韓外相会談開催を中国は嫌うだろう。


◆事故の瞬間、中国公船は接続水域にいた

 日本の報道によれば、中国漁船とギリシャ貨物船の衝突事故が起きたのは11日の5時半頃で、一方、「11日の朝方には中国公船は尖閣沖から姿を消していた」とのことだった。

 この「11日の朝方には」という「朝方の時間」によっては、何が起きたのかを分析する際に非常に異なってくる。

 事故が起きる前に中国公船がいなくなったのか、それとも事故が起きてからいなくなったのか。

 そのどちらだったとしても、なぜなのか?

 そして、なぜ中国公船は中国漁船を助けなかったのか、あるいは助けられなかったのか?

 それを紐解く前に、どうしても「中国公船がいなくなった」と報道されているその時間帯を正確に知らなければ謎が解けない。

 そこで思い切って日本の海上保安庁(以下、海保)に直撃取材をした。

 すると意外な回答が、海保から戻ってきた。

 「事故が起きた時、中国公船は尖閣の接続水域にいましたよ」

というのである。

 では、何が起きていたのか?


◆海保の精神は「正義仁愛」

 さらにしつこく食い下がると、以下のようなことを教えてくれた。

1. 8月11日05:32に、海保は国際VHF(Very High Frequency)という周波帯の無線電波を傍受した。これは国際的に決められている周波数の救難信号である。

2. 海保は巡視船および航空機をすぐさま救難信号の方向の現場海域に急行させ、06:05に事故現場に到着した。救難信号の電波を発信していたのはギリシャの貨物船だったので、貨物船から状況を聴取して衝突事故の概況を掌握。

3. 衝突した相手の中国漁船は沈没している模様で、緊急に船員の捜索に当たったところ、漂流していた中国漁船船員6名を発見し、6名の人命を救助することに成功した。

4. 人命救助の時は、ともかく「人の命を助ける」ということに全神経を集中しているので、周りの状況になど目を配るゆとりはなかった。

5. しかし6名の船員を救助した後に、ふと周りを見ると、そこには6隻の中国公船が到着していた。いつ到着したのかは定かではない。海保が事故現場に到着した時には、事故海域には中国公船の姿はなかったように思う。船名や船の正体を正確に見極めるのには相当の時間がかかり、かなり近くまで接近しないとできない。人命救助が最優先だったので、それを正確に確認するゆとりはない。

6. さらなる人命救助のために遭難者の捜索に当たった。救助した中国漁船の船員から聞いたところによれば、乗組員は全員で14名。まだ8名が見つかっていない。必死の捜索を続けたが、8名は見つからず、気が付けば中国公船も行方不明者の捜索に当たっているようだった。

7. 海上保安庁の精神は「正義仁愛」。どの保安官に聞いても、必ず間違いなく「正義仁愛の精神に基づいて行動している」と回答するだろう。

以上がおおむねの回答であった。


 6名の人命を救ったのは、まちがいなく日本側である。それはもしかしたら事故現場に到着した時間差による違いだったかもしれないが、その原因は中国側が発表しない限り突き止められない。中国自身がどのような判断をしたのかは分からないという。

「いずれにせよ、海保にあるのは『正義仁愛』のみ。ともかく目の前に人命の危険があれば、それを救うために全ての力を注ぐ。それだけです」と海保は言葉を結んだ。

 その志の高さには、深い感動を覚える。


◆ギリシャ貨物船を福建に寄港させて取り調べている中国

 その中国、8月13日の新華社福州(中国・福建省)によれば、福建海事局が、中国漁船と衝突を起こした「嫌疑」により、ギリシャ貨物船を中国海事パトロール船の監視下に置き、中国福建省沿海部の港に寄港させ、海事調査を受けるよう命じたとのこと。

 これは中国交通運輸部(日本の省に相当)海事局の指示に基づいたもので、福建省海事局は事故調査班を設置し、ギリシャ船籍貨物船を調査していると発表。

 この報道に対して、中国大陸のネットユーザーたちが、また騒いでいる。

●ほう、いったい誰が6人の船員の命を助けたのか、一文字たりとも書かないのか?

――書く勇気がないんだろ?

●いったい誰が助けたんだい? 

――日本だよ。日本の巡視船さ。俺は書く勇気を持っているぜ。

●中国の巡視船は?海警船は何してたんだい?

――さあね、救難信号が聞こえなかったんじゃないかい?お茶でも飲みに行ってたとか?

――いやいや、仕事を終えて帰宅したんじゃないのかい?

――釣魚島って、中国の古来からの島だろ? 海警船はいつもいるんじゃないのか?

●ふだん、中国の海警船は釣魚島のまわりに常駐しているよ。なのに、なんで、日本が先に(事故現場に)着いたんだい?やっぱり、実際のコントロール権に関しては、日本の方が優勢なんじゃないのかな?

●ギリシャ貨物船を中国漁船と衝突した「嫌疑」で監視下に置いたって言ってるけど、なに? 船の中に日本人がいて偽装工作をやっていたか否かを調べてるっていうわけ?

――中国は「嫌疑」をかけることしか、できないのか。

――自国の民を助けるために駆け付けることはできないくせに、他国の船を「嫌疑」の名の下に拿捕するのだけは早いんだから。

●今度は「反ギリシャ運動」でもする?ギリシャ製品不買運動とか? そういうことに注意をそらさせても無駄だよ。

●日本人は中国に対して、なんて良くしてくれるんだろう。これを「人道精神」って言うんだろうね。国籍とは無関係なんだよ。

●日本の巡視船が助けるなんて!得難いことだよ!これはどういう精神から来ているんだろう?

8月15日付け本コラム「中国衝撃、尖閣漁船衝突」にも書いたように、中国政府はネットの力に押されて8月11日の夜、ついに日本の行動を称賛する声明を発表している。

 そして今度は、その「不名誉」を埋め合わせネットユーザーの批判をかわすために、ギリシャ貨物船を「中国の力」の下で監視下に置き取り調べをしていることを公表したというのに、名誉を挽回したどころか、新たな政府批判を招いてしまった。



◆精神性の高さ

 筆者が驚いたのは、日本の海保を取材したときに初めて知った「正義仁愛」に代表される「海保の精神」という言葉と、中国のネット空間で数多く見られる「人道精神」や「これはどういう精神から来ているんだろう?」といったネットのコメントなど、「精神」という言葉がそこにあるという一致だった。

「力」ではなく「精神」が、もし最後に重要な役割を果たすのだとすれば、それは何とも心強いことだ。

この「精神性」において、このたびの件は日本の快挙であった。しかも、海保側は高い志でやるべきことをやっただけで、次の勤務に専念し尾を引いてない。

しかし中国では、その「精神性の欠如」ゆえに、いまだに尾を引き、ネットユーザーから厳しい指摘を受けていることは興味深い。

8月5日から11日にかけて急増した中国公船と漁船の尖閣沖侵入は、8月6日と9日の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を目指して、日本に「犠牲者ぶるな」というシグナルを発するためだった。オバマ大統領の広島訪問により「日本に対する歴史カード」の効力が弱まることを懸念した威嚇だったと解釈できる。

9月4日から中国の杭州で開かれるG20で中国包囲網を作らせないようにするために慰霊のための行事を利用するなどという、その「精神性の低さ」は至るところで露呈し、中国の心あるネットユーザーにも見透かされている。

◆日中韓外相会談を嫌う中国

日本の外務省の発表によれば、今年、日本で開催することを予定している日中韓サミットに向けて、23日から行なわれることになっている日中韓外相会談に関して調整が行われているが、具体的日程に関しては発表が見送られたとのこと。21日、日中韓の外務省次官級による最終調整のための協議が都内で開催され このとき日本と中国による二国間会談も開かれた模様。日本側は中国公船による領海侵入に強く抗議したようだが、中国のネットユーザーからここまで批判されている状況では、中国としては「大きな顔」をして日本と向き合うことはできないはず。会談では中国側は、「釣魚島は中国の領土」という独自の主張を繰り返したらしいが、本心はそれどころではないにちがいない。

中国のネットユーザーが「精神性」に行きついたということに、中国政府はきっと「タジタジ」といったところだろう。

海保の「正義仁愛」という精神が、ついに外交の場で発揮され始めたと解釈することができる。日本の快挙だ。



遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士

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